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手取り20万円以下で貯金するには? 「ミレニアル世代」のお金の貯め方

手取り20万円以下で貯金するには? 「ミレニアル世代」のお金の貯め方
Photo: 印南敦史

少子高齢化、年金問題、奨学金返済、低所得など、2000年代以降に成人を迎える世代である「ミレニアル世代」の若者を悩ませる、「お金の問題」はさまざま。

ここに属する若者は、大きな買い物をするお金もなく、給料は低く、景気が悪いため労働環境が悪いなど、恵まれているとは言いがたい状況に置かれているケースが少なくありません。

しかも景気がよかった時代を知る親世代や上司世代からは、そうした現況や未来への不安に共感してもらえないものでもあります。

理由は明白。上の世代を取り巻いていた環境や通用していたお金の常識やメソッドが、ミレニアル世代とは大きく異なっているからです。

ただ、私たちの世代にも、あと何十年もの人生があります。お金に対する不安を抱えずに、幸せに生きる権利があります。

そのためにも、私たち世代ならではのお金に対する知識や知恵が必要になっているのです。 ただ、残念なことがあります。

これは世代を問わず言えることですが、日本ではお金のことを学校で教えてもらえずに大人になります。それにもかかわらず、自分でも知ろうとしないまま、放置している人がほとんどです。

それはとても危険です、他の世代以上に私たちの世代は…。 なぜなら、このままお金の知識や知恵を知らないままでいると、損をすることばかりだからです。(「はじめに」より)

こう主張するのは、『ミレニアル世代のお金のリアル』(横川 楓著、フォレスト出版)の著者です。上記にもあるとおりミレニアル世代に属する、「お金の専門家」。自身がそのような立場にいるからこそ、感じていることがあるのだそうです。

それは、ミレニアル世代以降の若者と同じ目線、同じ状況を身をもって体感している人が書いた、同世代の身の丈に合った「お金の知識・知恵」が詰まった本が存在しないこと。

そこで本書においては、ミレニアル世代に向けて、同世代のお金の専門家として培ってきたお金の知恵と知識をわかりやすく解説しているというのです。

きょうは第3章「リアルなお金の『貯め方』&『増やし方』」のなかから、いくつかの要点を抜き出してみることにしましょう。

毎月数万円貯金したほうがいい?

もし、事故やなんらかのトラブルによって、数十万の出費が必要になったとしても、すぐに払える金銭的余裕があるのであれば問題はありません。

しかし、毎月カツカツで、なにかあったときに使えるお金もないのであれば、まずは生活のための余剰資金としてお金を残しておくことが必要になってきます。

もちろん、毎月数万円を貯めていけるのなら、どんどん貯金も増えていくことでしょう。しかし現実問題として、そのくらいのペースでお金を貯められる人はなかなかいないはず。

特に手取りが少ない人にとっては、1万円だけでもかなり大きな金額だということになるでしょう。

しかも若いからこそ、欲しいものはたくさんあるもの。また、趣味や人づきあいなどにもお金は必要です。でも同時に、お金は貯めなければならないのです。

だとしたら、働き盛りのミレニアル世代があまり労力をかけることなく、最終的に月数万円も貯金できるようにするためには、どういうマインドを保てばいいのでしょうか?

それは、「使わないお金をつくる」です。 まずは毎月500円や1000円といった超少額から、「このお金は絶対使わないぞ」というお金をつくってみてください。

この金額は自分は使わないと決めて、しんどくないと思える金額にすることがポイントです。また、何か目標を決めすぎないことも重要です。(167ページより)

なお、お金の貯め方には2種類あるのだそうです。それは、現金として物理的に貯めていく方法と、アプリを使った方法。物理的な貯金も、もちろん有効。

しかし毎回定期的にいくら貯金をするか考えるのが面倒な人にとっては、自動的に貯金ができるアプリを利用するという手段もあるということ。

いずれにしても、まずは本当に細かいところから、お金を貯めているという習慣をつけることが大事だというわけです。

ただし500円、1000円レベルの貯金を毎月続けても、人生において理想とする程度のお金が貯まるまでには時間がかかってしまうことになります、そこで、まずは超少額から「習慣づけ」をし、徐々に金額を増やしていけばいいのだといいます。

一方、「結婚のため」「将来の子どものため」など目標を決めたほうががんばれるという人もいるかもしれません。ところが著者によれば、目標を決めると「義務」になってしまいがちなのだそうです。そして、それが非常に厄介なことでもあるのだとか。

なぜなら、それができなかったとき、「できない」という事実がネガティブな感情を呼び起こしてしまうから。ミレニアル世代には「できないことを責められる」のが苦手な人が多いので、それがマイナス要因になってしまう可能性があるというのです。

私たち世代は、自分に使う時間やお金をとても大事にする世代です。 ライフイベントのためにお金を貯めることを義務にするよりも、何かにとらわれるのではなく、「いつ何があってもいいように、何かあったときに困らないように、好きな、自由な選択肢を選ぶためにお金を貯める」というぐらいに考えるのがちょうどいいのです。(170ページより)

つまりは、災害のための防災キットのような存在のお金を貯めてみるべきだということです。(165ページより)

手取り20万円以下でお金を貯めるには?

メディア上では、「手取り20万円で1000万円貯めた」などという記事をみることがあります。しかしそれは、実家暮らしで家賃がかからないなどの状況があってこそできるものでもあります。

一人暮らしで毎月ぎりぎりの生活をしているとしたら、それは現実的な話ではないわけです。

とはいっても、お金を貯めていくことはやはり必要です。では、手取りが少なかった場合には、具体的にどのようにして貯めるお金を捻出していけばいいのでしょうか?

そのことについて、著者が「まず最初に考えるべき」だと強調しているのは、大きく3つがある「固定費」なのだそうです。それらひとつずつを確認してみましょう。

①家賃

固定費のなかでも大きな割合を占める家賃ですが、実はいちばん大きな金額を削ることができるのだそうです。そのためには場所や築年数、設備などについて妥協する必要はあるかもしれません。

しかし家賃が月1万少なければ、年間12万円も浮くことになります。だからこそ、まず最初に考える部分だというのです。

②通信費

いまやほとんどの人が持っているスマホは、新しい機種が出ると、つい乗り換えたくなるもの。とはいえ大手の通信会社であれば、へたをすると毎月1万円以上の携帯料金がかかることもあります。

そこで検討すべきなのが、格安スマホ。最新機種はなかなか対応していないとはいえ、たしかにそれなら分割料金も込みで月額5000円もしない程度です。

また、もともと持っているスマホを利用し、回線だけを格安にするとしたら、月額2000円もかからないことがほとんど。そのぶんインターネットの通信量が少なかったりもしますが、SNSやYouTubeなどには通信量がカウントされず、無制限で使えるという会社もあります。

社内携帯もあるし、LINEやスカイプを利用しているため電話はほとんど使わないというのであれば、月の携帯料金を半額以下に抑えることも可能。つまり、かなりの経費削減になるわけです。

③水道光熱費

水道光熱費は、最初から定番のところをなにも考えずに選んでしまいがち。しかしご存知の方も多いと思いますが、電気は2016年、ガスは2017年から、いろいろな会社を選択できるようになっています。

つまり会社や利用状況によって異なるものの、プランを見なおすことによって毎月1万円前後の節約になることもあるわけです。

またTポイントや楽天ポイントのようにポイントが貯まったり、電気とガス、携帯料金とのセットにすることでさらに安くなる会社も。インターネットで、住んでいる場所や毎月の料金、生活リズムなどによるシミュレーションができるので、ぜひ一度やってみるべきだといいます。

これら3つの固定費を検討すれば、年間10万円程度の経費削減につながる可能性もあるそうです。

そして固定費に次いで、消耗品や食費、趣味の費用など、毎月流動的な支出である「流動費」(毎月支払う金額が変わるお金)も見なおしてみるべきだと著者は主張しています。

しかし、手取りが20万円もしくはそれ以下の場合、必要なもの以外の出費はそもそも少ないという人も多いはず。また食費や最低限使うものに関しては、お金を使わなければならないというケースも考えられます。

でも、ある程度は、趣味や外食などの娯楽に使っているお金も見なおす必要があるということ。

もちろん、大好きな趣味や友人との食事などのお金を切り詰めるのはなかなか難しいでしょう。しかし流動的な支出を、家計簿アプリなどを利用して確認してみることは大切。そうすることで、使わなくていい部分までお金を使ってしまっていないかがわかるからです。

なお収入以上の暮らしは、借金でもしない限り不可能です。でも、もちろん借金はNG。手取りが少なく、いまの暮らしで残していけるお金がないのであれば、なにかを削っていかなければならないということ。

お金を貯めることを考えると、どの選択肢を選ぶべきか、危機感を持ってしっかりと見つめなおす必要があるわけです。

とはいえ、苦しい生活をしていくだけが選択肢ではありません。たとえば著者が提案しているのが、一度環境を変えてみるということ。

もっと収入を増やしたいのであれば、転職したり、副業などを視野に入れるなども考えられるということです。(171ページより)




「なぜお金の知識や知恵が必要なのか?」という問いに対し、著者はずばり「『人生の選択肢』が増えるから」だと記しています。

また、スマホの進化、AI、キャッシュレス化、シェアリングエコノミー、FinTechなど、新しい仕組みが続々と生まれている時代だからこそ、新しいお金の常識・知識が必要になるもの。

だとすれば、それを使いこなすことによって、出て行くお金を抑え、お金を増やしたり、残すことが可能になるでしょう。

いわば、それはミレニアル世代に与えられたチャンス。だからこそ本書を通じ、時代に合ったお金の常識・知識を身につけておくことには意味があるということです。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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