歩く速さと運動強度の関係が判明|1分あたりの歩数でMETsがわかる
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日々の運動に切磋琢磨されている方も多いことでしょう。
なんとなく身体を動かすよりも運動強度を意識してプランを立てたほうが効果的。そんなことは百も承知でも、METs/メッツ(※詳しくは後述)や酸素摂取量による計算に壁を感じているかもしれません。
そういった方々にとってはラッキーなことに、1分あたりの歩数を測るだけで運動強度がわかることが判明しました。
自身で目安にするにも、人に運動をすすめるにも、とても簡単かつ実用的な運動強度の測定法をご紹介していきます。
メッツは、運動強度の指標
そもそも運動強度とは、安静時に比べてどれくらいエネルギー消費をしているか…の指標で、国際的にメッツ(METs:Metabolic Equivalents)という単位が用いられています(安静時が1メッツで、運動強度が2倍になれば2メッツ)。
たとえば歩行が3メッツ、軽いジョギングは、6メッツなどと、身近な活動や運動に対するおおよそのメッツがあてはめられていて、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準 2013」などで参照できます。
毎日行っている活動をメッツに置き換えることで、目標とする運動量の目安にできるというわけです。
当然ながらメッツをもとにエネルギー消費量の計算も行えて、健康長寿ネットによると計算方法は以下のようになります。
エネルギー消費量(kcal)=1.2×(メッツ ー 1)×運動時間(h)× 体重(kg)
ところで、ジムなどでは心拍数をもとにした運動強度が示されることがあると思いますが、これは運動時の酸素摂取量の増加と心拍数の増加がだいたい比例することから。
もとを正せばエネルギー消費量は、発生した熱量や体内で利用された酸素の量から測定するものです(酸素1リットルあたりのエネルギー消費を約5kcalに換算)。
設定した運動強度(最大酸素摂取量に対してどれくらいの割合か)に向けて、心拍数をいくつにもっていけば良いかを計算するには、健康長寿ネットでも紹介されているカルボーネン法が便利です。
目標心拍数 =(220 - 年齢)- 安静時心拍数 × 運動強度(%)+ 安静時心拍数
また、もっと簡易的な運動強度の指針として、自覚的運動強度(PRE)が使われることもあります。
ややきつい:運動強度中程度
きつい:運動強度高程度
ここまで、メッツ、心拍数、自身の感じかたの3種類が主な運動強度の測定法をご紹介してきました。
そして今回、アメリカ国立衛生研究所(NIH)から資金提供を受ける、歩行に関する研究プロジェクト「CADENCE-adults」による最初の成果として、まずは21~40歳までの1分あたりの歩数と運動強度との関連性が示されました。
これまでもメッツと歩行速度の関連性は目安として示されていましたが、歩数との関連性が示されたことで運動強度の測定がより身近になったたかたちです。
メッツと1分あたりの歩数の関係
マサチューセッツ大学アマースト校の研究者らは、歩行のペースが運動強度の信頼できる尺度となることを裏付け、運動強度と1分あたりの歩数の関連性を見出しました。
研究では21~40歳までの、5歳きざみの年齢層に対して男性10人女性10人(合計76人)の参加者をピックアップして、性別と年齢のバランスを調整しています。
参加者には、トレッドミル上で5分歩いて2分休むというセットを繰り返してもらい、歩行のペースを測定しました。メッツの測定は携帯型の間接熱量計を用いた方法で行われたようです。
歩行は時速0.5マイル(時速約0.8km)からスタートして、0.5マイルきざみでスピードアップ。走る速度までいくか、最大心拍数の75%に達するか、または「ややきつい」と感じるまで続れられました。
2つの手法で分析を行った結果、運動強度と歩数の関係が以下のように判明しました。
・1分あたり100歩:運動強度中程度
・1分あたり130歩:運動強度高程度
さらには、運動強度中程度に達した後には、1分あたりの歩数が10歩の増えるごとに、運動強度が1メッツ増すことが見出されました。
つまり、4メッツは1分あたり110歩、5メッツは1分あたり120歩に相当します。
15秒間の歩数を数えて4をかければ、1分あたりの歩数はわかりますので、この方法による運動強度の測定はすごく簡単です。
厚生労働省による身体活動基準を歩行でクリアするには?
「健康づくりのための身体活動基準 2013」では、生活習慣病発症のリスク低減のために、18~64歳で必要な身体活動量を示してくれています。
これによれば、3メッツ以上の身体活動の合計が、1週間あたり「メッツ×運動時間(h)=23以上」になるのが望ましいとのこと。
仮にすべて歩行で行うとなると、たとえば、
・1分あたり100歩:8時間
・1分あたり130歩:4時間
・1分あたり100歩:5時間 + 1分あたり110歩:2時間
…といったようなプランが立てられます。
忙しくて運動時間が捻出できない方なんかは、通勤のときに1分あたりの歩数を調整して、必要な身体活動量をクリアしてしまうのも良いんじゃないでしょうか。
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Image: Gettyimages
Source: MedicalxPress, ResearchGate, 健康長寿ネット(1, 2), 厚生労働省
山田洋路
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