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日本のBean to Barの先駆けによる「甘くないチョコレート」から始まる文化と市場革命

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日本のBean to Barの先駆けによる「甘くないチョコレート」から始まる文化と市場革命
Image: Mugendai(無限大)

世界中で愛される嗜好品のひとつ、チョコレート。身近なお菓子から高級料理のデザートまで、あらゆる場面で楽しまれています。とはいえ、「甘いものは少し苦手」という方もいらっしゃることでしょう。

IBMのWebメディアMugendai(無限大)では、そんな方にも必見の話題が取りあげられていました。これまでのチョコレートの概念を覆す、「Bean to Bar(ビーン・トゥ・バー)チョコレート」とは、一体どのようなものなのでしょうか。

甘い物嫌いだったのに、衝撃的な出会いから起業に至る

インタビューに登場していたのは、2014年に「Minimal-Bean to Bar Chocolate-」を立ち上げた山下貴嗣さん。「Bean to Bar」とは、ひとことで言うとカカオ豆の仕入れからチョコレートに加工するまでの全工程を指します。

チョコレートの製造はこれまで、原料のカカオ豆を生地化する一次加工メーカーと、それを製品化する大手ブランドなどの二次加工メーカーによる分業で成り立っていました。

山下さんいわく、Bean to Bar文化発祥のきっかけは、この一次加工の段階にチョコレートの職人であるショコラティエたちが関心を持ち始めたこと。

加えて、チョコレートと縁のないIT関係者や芸術家などもイノベーションの可能性を見出し、カカオ豆から自宅でチョコレートを作り始めたことだといいます。

「甘くないチョコレート」で革命を。Bean to Barの先駆けが語るブームとこれから
Image: Mugendai(無限大)

以前はチョコレートとはまったく無縁の生活で、むしろ「甘いものが苦手」だったという山下さんですが、Bean to Barのチョコレートを初めて口にした日を振り返りつつ、その魅力に取り憑かれたきっかけを以下のように語っています。

ある日、自家製のチョコレートを作ったからと、テイスティングを依頼されて。香りを嗅いでみるとオレンジのような香りがする。口に含んでみると、甘くないのに深みがあり、さらには果実味がある。「本当にカカオと砂糖だけしか入ってないの?」。大袈裟かもしれませんが、衝撃的に美味しかったんです。

市販のチョコレートやショコラティエのつくるボンボンショコラには、カカオ豆と砂糖以外に生クリームやバター・香料・乳化剤などが入っています。言うなれば「足し算」の製法によるチョコレートな訳です(中略)一方、彼のチョコレートは「引き算」の発想からつくられたチョコレートでした。シンプルな素材のみでつくられたチョコレートを味わった瞬間、僕の中でカチッと新たな味覚の扉が開いたんです。

この衝撃的な出会いを体験した山下さんは、「この素材に日本の職人の繊細な技が加われば、新たなチョコレート文化ができるかもしれない」という直感のもと、一気に起業へと邁進します。

「量」から「質」へ転換するには、生産者との信頼関係が不可欠

現在は世界中を飛び回り、カカオ農家と交渉する日々だという山下さんですが、当初はやはり大きな苦労をしたといいます。

それまでカカオ農家の多くは、大手企業のみと取引をしていました。あらかじめ決められた規格品に合うカカオ豆を大量に生産する手法です。

しかし、山下さんらが目指すのは「」を重視したチョコレートづくり。でも、たとえ市場価格の3~4倍で交渉しても、わずかな量での取引には魅力を感じてもらえなかったそう。

それでも、生産者と地道に絆を深めることで、徐々に取引範囲を広げていった山下さん。信頼関係に大きく繋がったのは、できあがったチョコレートを実際に食べてもらうことだったといいます。

多くの生産者はチョコレートを食べたことがなく、既存のルールとは異なる山下さんが求める乾燥や発酵のプロセスは、はじめは理解されませんでした。しかし、山下さんたちのチョコレートを口にすると感嘆の声を上げたそう。

そうして手塩にかけて育てたカカオ豆が生まれ変わる姿を実感することで、山下さんの要望を理解し、モチベーションも確実に変わっていったといいます。

チョコレート市場の成長のために必要な経済の考え方とは

「甘くないチョコレート」で革命を。Bean to Barの先駆けが語るブームとこれから
Image: Mugendai(無限大)

山下さんたちが目指す世界をつくり上げるには、これまでの「量の経済」から「質の経済」への移行が必要となります。

もちろん、一筋縄ではいかない困難が待ち構えているわけですが、自分たちはもちろん、生産者の方たちにもメリットがなければ意味がないと、山下さんは以下のように語っています。

安価で大量に売ることと、高価で少量に売ることが同価値にならないと、彼らにとってはメリットがない。輸入者側にとっても、輸送時に少量であるがために、輸送コストが割高になるというデメリットも生じます。

つまり、逆説的ではありますが、「質の経済」を成立させるためには、量の確保が必要不可欠なのかもしれません。そのためには、Bean to Barの作り手同士が協力し、業界を底上げしていくことも大切なのではないかと感じています。

他にも、多くが銀行口座すら持っていない現地生産者とのやり取りにブロックチェーンの導入を検討するなど、業界にイノベーションをもたらそうとする山下さんたち。現在のチョコレートの歴史がわずか150年程度であることを指摘し、「ここからが成長期」とその意欲を語ります。

チョコレートが大好きな方もそうでない方も楽しめるロングインタビューは、Mugendai(無限大)よりぜひ続きをお楽しみください。


Image: Mugendai(無限大)

Source: Mugendai(無限大)

渡邊徹則

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