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HOW I WORK

上司は言い訳をせず責任をとれ。レノボ・ジャパンCEO デビット・ベネットさんの仕事術

上司は言い訳をせず責任をとれ。レノボ・ジャパンCEO デビット・ベネットさんの仕事術
Photo: 大崎えりや

敏腕クリエイターやビジネスパーソンに仕事術を学ぶ「HOW I WORK」シリーズ。

今回登場するのは、レノボ・ジャパン株式会社の代表取締役社長デビット・ベネット(David Bennett)さん。

ジャマイカ生まれカナダ育ちで、早稲田大学にて日本語を習得し、学習院女子大大学院で日本の古典文学を学んでいたという過去もある人物です。

今回はそんなベネットさんに、愛用するツールから会議のコツ、情報収集の方法など、日々実践している仕事術についてお話を伺いました。

マネジメントのコツや意識している点を教えてください

「ブラックボックスセオリー」という独自のマネジメントをしています。私は社員の行動を事細かく管理する「マイクロマネイジメント」が嫌いです。信頼できる部下であれば、仕事を任せたいんです。

チームに権限を与えて、問題が起きた時にはサポートをすればいい。英語でエアカバーというのですが、地上の戦いを空から援護するというスタンスです。

つまりブラックボックスというのは、部下を信頼し、権限を与え、すべて任せられる状況を作るということ。このブラックボックスが増えれば増えるほど、私は他のやるべきことに力を注げるようになるわけです。

仕事や会議を効率的に進める時間節約術はありますか?

ウォーキング・ミーティングです。

オフィス内を移動する際に、歩きながら打ち合わせをします。時間に追われているということもありますが、電話やメールではなく直接話す時間を作るという意図もあります。

レノボ・ジャパンのオフィスは奥行きが100メートル以上もあるので、ウォーキング・ミーティングに最適な環境なんです。

愛用している、仕事をうまく進行させるためのツール(ToDoリスト、アプリ、道具など)はありますか?

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Photo: 大崎えりや

レノボの2 in 1 タブレット「Yoga Book C930」です。このタブレットの良さは、デュアルディスプレイを採用し、E Ink(電子ペーパー)とディスプレイを組み合せているところ。

E Ink側にスタイラスペンを走らせれば、本物のノートのようにメモやスケッチができます。メモした情報はアプリケーションを通して保存することも可能。重量も775gと軽量で、常に持ち歩きたくなるタブレットです。

また、E Ink側をキーボードに切り替えることもできます。レノボを代表するPC「ThinkPad」はキーボードの打ちやすさにこだわっていますが、Yoga Book C930も触覚や音、アニメーションによる本物のキーボードのような打鍵感を大切にしています。

私生活では、『Oak』というマインドフルネス・アプリを使い、寝る前に6〜7分ほど瞑想をしています。私はもともと瞑想をする人間ではなかったのですが、実際使ってみるとストレス発散に効果があることがわかりました。

ストレスを強く感じないタイプだと思っていましたが、このアプリを使ったことで、ストレスが溜まっていることがわかりました(笑)。

仕事において役に立った本、効果的だった本は何ですか?

ビジネス本は読みますが、あまり好きではありません。読んだ瞬間はおもしろくても、その知識を仕事で使えるかどうかはわからないからです。

それよりも、RSSリーダーに200以上のサイトを登録して、毎日ニュースを読むようにしています。登録しているサイトは、3割が日本語、7割が英語です。ビジネスやテクノロジー関連のニュースを幅広くチェックしています。具体的には、「Engadget」「Techleader」「SemiAccurate」のほか、「Lifehacker」や「Gizmodo」も読んでいますよ。

自分の好みに合わせてAIがニュースを選別してくれるサービスもありますが、それは使っていません。自分が読みたいニュースしか目に入らないのは、得られる情報に偏りが出てしまうからです。

日々の情報収集やインプットはどのようにしていますか?

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Photo: 大崎えりや

1つは先ほどのRSSリーダー、もう1つは人に会うことです。

レノボ・ジャパンに入ったことで、さまざまな業界の素晴らしい人たちとお会いできる機会が増えました。業界や経済の動向など、多方面の意見を生で聞くことができるんです。ニュースは読めば読むほど吸収できますが、人と話すほうが情報を早く、詳しく知れます。

また、ニュースだと自分の読みたいニュースばかり読みがちですが、人と会うことで触れる情報に幅が出ることがとても重要だと思います。

古典文学を学ぶことはビジネスパーソンにとって重要ですか?また、オススメの作品があれば教えてください。

仕事で古典文学が役立つ機会はなかなかありませんが、必ず話題にはなります。そもそも外国人が古典文学を勉強しているというのは、珍しいことですよね。数年前に元ソニー会長の出井伸之さんとお会いする機会があったのですが、その時は会話の半分以上が古典文学についてでした。

1冊オススメするとすれば、『土佐日記』です。男性の作者が、女性の観点から書いたストーリーで、ものすごくおもしろいんですよ。女性が書いているように見えて、実は男性が書いているというところに奥深さがあります。

新しい環境に馴染むためのコツはありますか?

Listen, Listen, Listen(聞く、聞く、聞く、)」です。私は、ジャマイカで生まれ、カナダで育ちました。それ以外に、シンガポールやアメリカに住んでいたこともあります。その時の経験から、相手の話をまずは聞くということが大切だと知りました。

たとえば、入社したばかりのころを例にしてみましょう。会社によって、カルチャーや歴史、直面している課題は異なり、入社した直後はわからないことばかりです。

ですから私は、「知らないことを認める」ことから始めます。知らないことは、決して悪いことでも恥ずかしいことでもありません。仕事に関係するすべての人に話を聞き、課題や状況を把握。その次に、解決策を考えればいい。だからこそ、すべてのはじまりである「Listen」を大切にしています。

また、国によって、カルチャーやビジネスの慣習、人間関係の作り方などは異なるものです。どこに行っても、理解し合うこと、理解しようとすることが大切だと思います。ただ、情報のインプットがないと理解することもできません。だからListenが大切なのです。

日々のコンディション管理で気をつけていることはありますか?

週に5日、毎回5km走っています。ランニングは嫌いなのですが、嫌いなことを自分に課すことで得られるものもあります。たとえば、食事に気を使うようになりました。

せっかく嫌いなランニングをしているのに、こんなものを食べてもいいのか? と葛藤があり、ダイエットにつながっています。ランニングが、体重管理のモチベーションになっているんです。

また、1年に1〜2回はハーフマラソンにも出ています。この前は、台湾の太魯閣(タロコ)でマラソンをしました。3年前は北朝鮮で平壌インターナショナルマラソンにも参加しました。

このように世界中で走っていますが、世界で一番好きなコースは皇居です。皇居を一周するのが大好きで、景色も雰囲気も最高です。季節によって景色が変わるのも、好きな理由の1つ。私のまわりでランニングをしている人は、皇居好きが多いんですよ。

平均的な睡眠時間はどのくらいですか?

目標は8時間ですが、実際は5〜7時間です。

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Photo: 大崎えりや

最近、「Oura Ring」というイギリス企業が開発した指輪型のスマートデバイスを使っています。Kickstarter(キックスターター)で支援したもので、アクティビティをトラッキングでき、睡眠も分析してくれるというものです。ここ2週間ほど、Apple Watchと併用して精度を比べていますが、今のところ大きな差はありません。新しいテクノロジーが大好きなので、キックスターター中毒になっています(笑)。

Oura Ringで計測してみたところ、自分では8時間寝てるつもりでしたが、実際は5〜7時間でした。寝つきはいいほうなのですが、夜に電話会議があるとレム睡眠がいつもより短くなることもわかりました。

休日は何をしていますか?

土日や休日は子どもたちをサッカーや音楽教室に連れて行っています。また、連休があれば家族で旅行にも行きます。今までさまざまな国に住んでいましたが、いつでも行けると思い、観光をしない傾向がありました。

今は、日本のさまざまな場所へ行きたいと思っています。広島や軽井沢などにも行きました。家族と一緒に旅行すると、とてもリフレッシュになります。

これまでにもらったアドバイスの中で、ベストなものを教えてください。

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Photo: 大崎えりや

カナダの大学で教鞭を執っていた頃、「言い訳をしない、責任をとる(謝る)」というアドバイスを先輩の教授に教わりました。日本人からすれば当然のことかもしれませんが、外国人の私にとってはそうではありませんでした。

当時、授業に遅れてしまったことがあります。もちろん、事故や渋滞、電車の遅延など遅れた理由はあったのですが、「誰にでも起こりえることだ」と生徒に対して悪いとは思っていませんでした。

しかし、先輩の教授から「困っているのは生徒だ。責任をしっかりとりなさい」と言われ、「確かに責任をとることは重要なことだ」と考えを改めました。

これはビジネスにも言えます。失敗を部下のせいにするのではなく、自分が責任を取る。この姿勢を20代で学べて良かったと思います。


Twitter: @DavidBennett__

Photo: 大崎えりや

Source: レノボジャパン

島津健吾

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