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「集中力」を高めるための、タスクの細切れ分解法とは?

「集中力」を高めるための、タスクの細切れ分解法とは?
Photo: 印南敦史

いきなり一点にすべての能力を集め、持続させる 30秒集中法』(森 健次朗著、ワニブックス)の著者は、大学院修了後にスポーツ用品メーカーのミズノで15年間働き、競技用ウェアの開発を担当したと言う実績の持ち主。

そんななか、トップアスリートたちは「集中のルーティン」を大切にしているということに気づいたのだそうです。しかもそれは、アスリートのみならず社会人の誰もが実践できるものだったのだとか。

そこで、そもそも研究者であったこともあり、集中に関する脳科学、解剖学、スポーツメンタルなどを学びながら試行錯誤を重ね、集中法を考えてきたのだといいます。

ちなみに、集中力が高い人とそうではない人には、大きな違いがあると指摘してもいます。

集中力をコントロールできる人は、「やるべきこと自体に集中することには、あまりこだわらない」ということです。ひとまずルーティンで集中状態をつくって、物事に向かうのです。

集中できない人は、

「やるべきことに対してのやる気を高める」→「集中して物事に向かう」

集中をコントロールできる人は、

「ルーティンで集中状態をつくる」→「やるべきことに向かう」 のです。つまり、順番が違います。

(「はじめに」より)

ルーティンを駆使すれば、好きなこと、嫌いなこと、調子がいい日、悪い日、集中できる環境、そうではない環境にかかわらず、いつでもどこでも自分自身で集中状態をつくれるようになるというのです。

そこで本書では、効率と能率を高め、仕事の生産性や評価を高めたい人、独学をしていて成果を出したい人のための技を紹介しているわけです。

きょうはChapter 5「普段の習慣をちょっと変えるだけで『仕事』『勉強』の成果は変わる 重要なことを必ずやり抜く人の4つの秘策」のなかから、いくつかの要点をピックアップしてみたいと思います。

いつも自分のペースで終わらせられる人のTO DOリスト

仕事でも勉強でも、たったひとつのことをやっていればいいということはないはず。必然的に、複数のことを同時に進めなければならなくなるわけです。

しかしそうした場合は、集中が切れやすくなるものでもあります。同時並行で物事を進めるため、ひとつひとつが中途半端になり、終わらせることができなかったり、ミスを重ねたり、能率が下がってしまうわけです。

だからこそ大切なのは、達成すべきことの全体像をつかみ、重要なことから細かい作業までをうまくやりとげること。そのためにはTO DOリストの作成が大きな意味を持つわけですが、TO DOリストのつくり方にはコツがあるのだと著者は記しています。

通常、TO DOリストを作成する際には、やるべきことの仕事内容を羅列するもの。やるべきことに優先順位をつけ、やる順番に並べたり、「何時からこれを行う」というようなリストをつくる人もいることでしょう。

ところが著者は、こういうTO DOリストは集中力を下げてしまうというのです。

たとえば「10時からプレゼンの資料をつくる」と書いていたとしても、9時55分に上司と打ち合わせをすることになったとしたら、いきなり予定が崩れてしまうことになります。

そうなると落胆することになりますし、次に予定していたことを始める時間が近づくと、ついつい焦ってしまうことになるかもしれません。

TO DOリストに書き込むべきことは、何時に始めるかではなく、やるべきことの内容と、その所要時間です。

つまり、1時間であったり、30分であったり、15分という、その内容にどれだけの時間を費やすかを書き込むことが重要なのです。 たとえば、「企画書作成 20分」というように書くべきなのです。(155ページより)

こうすれば「予定が狂う」ということがなくなり、集中して仕事や勉強に向かうことができるということ。具体的には、やるべきことをまず列挙し、そこから感覚的に30秒ほどで、主要時間を決めていく作業が有効だといいます。

「何分でなにをするか」ということが決められれば、他人から影響を受けずに、自分のペースでやるべきことをことしていくことが可能に。

そしてそれが、自分で時間をコントロールすることにつながっていくわけです。

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Image: ワニブックス

この手法を使ったTO DOリストには、次のように多くのメリットがあるそうです。

・ 時間に縛られることがない

・ 隙間時間の有効活用が可能になる

・ 仕事にメリハリがつく

・ 仕事にかける時間が可視化される

「そこに何分かけるのか」ということを決められれば、その時間内で作業を終わらせようとするもの。そのため自然に集中できるようになり、生産性も高まるというわけです。(153ページより)

やってのける人の「細切れ分解法」

現実問題として、「仕事の量が多すぎて、精神的に圧倒され、手がつかない」と不安になってしまうようなことはあるものです。

著者は、そんなときこそ重宝するのが「細切れ分解法」が役に立つのだといいます。大きなことを細分化するわけですが、そのメリットは3つあるというのです。

【メリット1】作業自体の大きさが小さくなり、実行のハードルが下がる。

【メリット2】小さくすることで、実現性を確信できる。

【メリット3】小さなことは達成できるので、充実感を高めることができる。

(159ページより)

これらすべては、「充実感を得られる」ということにつながっているもの。その充実感は、集中を高め、細切れ分解法を重ね、いいスパイラルを自分のなかに形づくることで得られるのだそうです。

そして、大きな目標を小さく細切れにしていくためには、いつ、どこで、どのようにやるか、期日や所要時間などを具体化していくことが重要なポイント。小さな目標を達成できれば、それが自信につながっていくからだといいます。

では、どのようなときにこの方法を活用すべきなのでしょうか?

●課題1 長い時間がかかりそうなことで、終了が見えない場合

先が見えないときには心が折れそうになって、集中力が下がってしまうもの。だからこそ、こういった場合には

1 取りかかる前に、達成までの時間を算出する

2 その時間をいくつかに分解し、各々の課題を明確にする

3 その一つひとつの課題に集中して処理していく (160ページより)

という手順を行うことが大切。このことを著者は、マラソンを引き合いに出して解説しています。

42.195キロを走りきるフルマラソンに臨む場合、まずは40キロではなく、10キロに向かわせれば苦痛を感じなくさせることができるということ。

仕事や勉強でも同じで、長時間かかる作業をいくつかのテーマに分け、ゴールを意識できるようにすることがポイントだというのです。

● 課題2 やることの量が多すぎて圧倒され、手をつけられない場合

大きなことに取り組む際には、初めは全体像を見てしまうため、圧倒されることも少なくありません。しかし小さくすれば、各々の性質や課題が明確になり、「具体的にやるべきこと」がわかってきます。

そこで、やることが多すぎる場合は、次のようにするといいそうです。

1 大きな塊を、小さな塊に分解する

2 関連性のある小さなテーマをまとめる

3 ひとつずつに集中して取り組む

(161ページより)

一見すると大変そうな作業でも、細分化すれば楽に進められるようになるということです。

● 課題3 レベルが高すぎて心が折れてしまう場合

仕事や勉強に対して「自分には難しそうだ」と感じてしまうと、やる気が失われ、集中力も下がることになります。そのような場合は、次のようにすればハードルを乗り越えられるといいます。

1 自分ができるレベル、できることはどんなことかを知る

2 できるところまでやる

3 できないのはどんなことで、できない理由はなんなのか、どうすればできるのかを考える(161~162ページより)

最初はできないとしか思えないレベルの高いことであっても、実現可能なことに集中すれば、全体の解決のための糸口が見つかるということです。

人間は、自分の能力を超えること、いままで経験したことがないことにたち向うときには恐怖を感じるもの。そして恐怖を感じると、思考が停止し、行動も起こせなくなります。

すると当然のことながら、集中などできなくなります。

だからこそ、それがなんであれ、恐怖を克服して前進するためには、自分ができる程度まで物事を分解することが重要だと著者は主張するのです。

そのため、集中力を高められず、行動が滞ってしまう場合には、「時間がかかるから怖いのか」「量が多すぎるから怖いのか」「レベルが高すぎるから怖いのか」ということを考えてみるといいそうです。(158ページより)




「強い集中状態をつくるためのリラックス法」「スムーズに集中するための技術」「集中を持続させるコツ」など、集中に関するさまざまなアイデアがわかりやすく解説された1冊。

とても実践的なので、集中力アップを目指したいという方は手にとってみてはいかがでしょうか。

Image: ワニブックス

Photo: 印南敦史

印南敦史

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