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ウケる企画の「4つの共通項」とは? 「クラウドファンディング」の成功法則

ウケる企画の「4つの共通項」とは? 「クラウドファンディング」の成功法則

自らのアイデアを形にするため、不特定多数の人々から資金調達をするクラウドファンディングは、今やすっかり定着した感があります。

成功するクラウドファンディング』(小田恭央著、あさ出版)の著者も、その可能性を実感しているようです。なにしろ、これまでに合計6000万円以上の資金をクラウドファンディングによって集めたというのですから。

たとえば、私が企画したプロジェクトの1つが「しゃべる音声合成ソフト」をつくりたい、というものです。私はキャラクターデザインやアプリを開発する合同会社を経営しています。

「東北イタコ」というキャラクターの「ボイスロイド」という音声合成ソフトをつくるためにクラウドファンディングを行いました。 最初の目標は450万円。この金額は開始から23分で集まりました。

そして最終的には2300万円が集まりました。「そんなことで?」と思うかもしれません。でも、本当のことです。

クラウドファンディングは、有望な企業が投資を受けるのとは違い、一般の人たちに「楽しそう」「面白そう」「それ、いいね!」と思ってもらえるだけで、お金が集まる世界なのです。(「はじめに」より)

そんな経験をもとに著者はここで、「どうすれば多くの人から資金を集められるか」「クラウドファンディングを使い、どのように夢を実現できるか」についての秘訣を明かしているわけです。

Chapter 3「クラウドファンディングを成功させる7つの法則」のなかから、いくつかの「成功法則」をピックアップしてみましょう。

たとえ500円の支援でも必ずリターンを用意する

クラウドファンディングでは、20ドル以下のリターン、すなわち「2000円程度以下のリターンがあるかないか」で成功率が15%以上変わってくるのだそうです。理由はシンプルで、つまり低価格のリターンがあると「検討」してくれる人の数が圧倒的に増えるから。

たとえば500円から支援できるとすれば、「500円なら考えてみようかな」と前向きに検討しようという気になるケースが多いわけです。

ここで気になるのが「リターン」ですが、実際のところ500円では多くのリターンは期待できません。そのためリターンは、お礼メール、秘蔵の画像の公開など、送料など追加費用がかからないものになるわけです。

しかし重要なポイントは、この段階で支援者に「500円じゃリターンがつまらない」と感じさせること。500円でそれ相応のリターンしか得られなかったとしたら、「では5000円入れてみようかな」というように思考が変化していき、高額の支援をしてもらえる可能性が高くなります。

つまり、最初の500円が次の段階への「きっかけ」になるということ。低価格なリターンをつくっておくことで、より高額の支援者が集まるという考え方。著者によれば、「500円があるから高額の支援が集まる」というのは成功の鉄則だそうです。(99ページより)

募集期間は1カ月以内が鉄則

支援の募集期間は短いほうがいいそうです。具体的には3カ月よりも、短い1カ月のほうが成功しているのだとか。これは、クラウドファンディングの特性と大きく関係していることだといいます。

というのも、クラウドファンディングで支援が増えるタイミングは、たった2回しかないから。

1回目は、プロジェクトを公開して資金調達を始めた段階。

2回目は、支援募集が終わるタイミング。

(103ページより)

つまりプロジェクトの支援期間を長くとると、最初と最後のタイミングが離れすぎて間延びしてしまうということ。でも1か月以内であれば、その心配もなくなるわけです。

このことについて著者は、好きな野球チームやサッカーチーム、スポーツ選手などを応援するときの心理にあてはめています。

たとえば次の試合が明日に迫っていたとしら、応援する気持ちも強くなっていくことでしょう。ところが次の試合が半年後だったら、なんとなく応援はするもののインパクトは弱く、頭の片隅に残っている程度になってしまうはず。

同じことで、募集期間が長いプロジェクトは「頭の隅に残る程度」になりやすいということ。

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Image: あさ出版

しっかりと応援してもらうためには、期間を短くすることによって「熱狂」を下げないようにすることが大切だというわけです。(103ページより)

初速で20%を超える仕掛けをつくる

達成率が20%を超えたプロジェクトは、17%しか失敗していないのだそうです。逆に失敗プロジェクトの大半は、支援金がほとんど入っていない状態で終わるもの。つまり20%以上集めれば、かなりの確率でプロジェクトは成功するということです。

そのため早い段階で20%以上が集まるように準備しておけば、成功率を飛躍的に上げることが可能。

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Image: あさ出版

ちなみに、初速をつけるため、やるべきことがいくつかあるのだそうです。まずひとつは、事前の告知。支援を募集する前から告知をし、スタートしたと同時にお金を入れてもらえるように準備をしておけば、初速が伸びやすくなるということ。

いきなりプロジェクトを立ち上げて驚かせるよりも、告知することで心の準備をしておいてもらい、最初に確実にお金が集まるようにしておく。これだけで、かなり成功率が上がるという発想です。

また、早期特典をつけるのも効果的。リワード(報酬)に「20名様限定、早期割引」「20名様限定、早期特典あり」などの特典を用意すると、「うまくいきそうだったらお金を入れよう」と考えている人たちが早めに支援してくれるということ。

しかも早い時期に20%を超えてしまったなら、いろいろな人が注目してくれるようにもなります。その結果、「おもしろいプロジェクトがある」とブログやフェイスブック、ツイッターなどで紹介してもらえ、情報が口コミで広がっていくわけです。

だからこそ最初に20%を超えるための仕掛けをし、それをクリアできればほぼ目標達成といえるのだそうです。しかし、逆に早い時期に20%を超えなければ、そのまま熱が冷めてお金が集まらないまま終わってしまうことになるかもしれません。

そこで早いうちに20%を超えておき、60%達成まで持っていくべきだというのです。(114ページより)

ウケる企画は「おもしろい」「新しい」「ファンがいる」「役に立つ」もの

クラウドファンディングで「ウケやすい企画」には共通項が4つあるそうです。

①おもしろいこと

②新しいこと

③ファンがいること

④世の中の役に立つこと

(125ページより)

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Image: あさ出版

この4つの要素のどれかに当てはまる企画にすれば、成功しやすいということ。ひとつひとつを見ていきましょう。

①「おもしろいこと」とは、文字どおりファンドに参加したらワクワクするような企画であるということ。

たとえば以前、「『赤ずきん』をイメージしたアイシャドウを製品化したい」「作家と一緒にみんなで本をつくる」「中野の駅前でDJイベント『Re:animation 7』を開催する」などのプロジェクトが企画され、どれも多くのお金を集めることに成功したのだそうです。

端的にいえば、「楽しいこと」を演出すると、クラウドファンディングはうまくいくということ。そのため、「楽しいこと、ワクワクをつくれないか」と考えてみることが重要だという考え方です。

②「新しいこと」がなぜ大切なのかといえば、クラウドファンディングに興味がある人は、「新しいものに興味を持っている人」がとても多いから。

目新しい企画をクラウドファンディングで行うと、たくさんの人が「それ欲しい」「試したい」と集まり、お金を入れてくれるというわけです。

③「ファンがいること」は、クラウドファンディングの成功法則。その証拠に、アイドルやアーティストなど著名人が企画を立ち上げると、高い確率で成功するもの。

ファンがいれば、そのファンからの支援に期待できるため、失敗のリスクが少ない状態でプロジェクトを企画できるということです。

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Image: あさ出版

「自分にはファンなどいないから関係ない」と思われるかもしれませんが、現時点で自分のファンがいるかいないかは無関係。

それより注目すべきは、世の中にはさまざまな「ジャンル」があり、それらには一定数のファンが必ずついているということ。

特に、ジャンルにファンがついていて、その市場が衰退している状況は、クラウドファンディングのチャンス。「その業界に生き残ってほしいと思っているけれど、どうやって応援したらいいのかわからない」というファン層に対し、クラウドファンディングで「こういう形でお金を使って支援してください」と提案すれば、ファンは「俺はそれがほしいからお金を出す」と支援してくれるというわけです。

最後に④「世の中の役に立つこと」。2011年に東日本大震災の復興支援のために多くの人が寄付をしたことに明らかなとおり、「誰かのため」というプロジェクトには善意の資金が集まるもの。

人助けをしたいという福祉の気持ちが多くの人の心のなかにあるからこそ、支援する人たちの心をいかにつかみ、どうやって思いに応えるかを考えることが重要なのだと著者は記しています。(125ページより)




クラウドファンディングを利用してみようというとき、まず最初に乗り越えるべきハードルは「難しそう」「面倒くさそう」というイメージかもしれません。

しかし本書を目にすれば、決して難しくないことがわかるはず。利用法もわかりやすく説明されているので、実現したいアイデアがある人には大きく役立ってくれそうです。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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