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日本で唯一の「製硯師」が語る、デジタル時代だからこそ直筆が放つ魅力と毛筆の楽しみ方

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日本で唯一の「製硯師」が語る、デジタル時代だからこそ直筆が放つ魅力と毛筆の楽しみ方
Image: Mugendai(無限大)

メールやSNSなど生活の中で文字を扱う場面は多いものの、手書きを利用する機会はめっきり減りました。ましてや、毛筆などもう何年も触れていないという方も多いのではないでしょうか。

IBMのWebメディアMugendai(無限大)では、毛筆に欠かせないすずり)の伝統を受け継ぐ方が登場していました。デジタルツールが進化する今、生活の中であえて「文字を書く」ことの醍醐味とは。

「製硯師」は硯の全工程を扱うプロかつお医者さん

ロングインタビューに登場していたのは、製硯師(せいけんし)の青栁貴史さん。浅草に工房を構え、書の道具を扱ってきた「宝研堂」の4代目です。

「製硯師」とは青栁さんの父親が命名した職種で、現在は青栁さんが日本で唯一だそうです。一般的な硯職人は分業制が基本で、石を切り出す、硯への加工、研磨など各工程に専門職がいますが、製硯師はそのすべての工程、さらには販売のプロデュースまで携わるなど、「硯のどんなことにも対応できるプロ」という位置づけです。

日々の仕事としては、多くの時間を硯の修理や復刻作業に費やすそうで、青栁さんの元には本場中国からの依頼も舞い込むなど「硯のお医者さん」としても活躍されています。

「コミュニケーションツール」である筆と硯の歴史と功績

日本で唯一の「製硯師」が語る、デジタル時代だからこそ直筆が放つ魅力と毛筆の楽しみ方
Image: Mugendai(無限大)

筆や硯のルーツは、古代中国の新石器時代にまで遡るといわれます。約5000年前に生まれた硯は、当初は 顔料とにかわを混ぜて絵の具をつくるための焼き物の器が主流だったそうですが、唐の時代に陶器の硯に変わり、その後は石の硯が主流となりました。

一般の人が文字を書けなかった時代は、筆や硯は官僚などごく一部の人々が使う、文字を記すためだけの実用的な道具にすぎませんでした。

しかし日常的な筆記用具として使われ始め、庶民にも毛筆文化が普及すると、学問記録のためだけでなく、手紙を書いたり、日記を記したりなどコミュニケーションツールとして活用されていくことになります。

直筆だからこその自由。毛筆の気軽な楽しみ方

それにしても、筆や硯の利用はどうしても格式張ってしまい、ハードルが高く感じられます。青栁さんはそれを「小学校の書道の時間を思い出してしまうからではないか」と指摘した上で、もっと気軽に楽しんでほしいと語ります。

筆も硯も、本来は文字を書くための日常的な筆記用具です。書かれる文字に端整さや芸術性が求められる「書道」の世界とは、いったん切り離して考えてみてほしいと思います。

青栁さんは、歌舞伎役者である市川猿之助さんと手紙をやり取りする仲だそうですが、最近受け取った書状は、紙の上に自由に心のつぶやきを散りばめたようなユニークなものだったそう。筆で書いてもかしこまった文章にする必要はなく、そういった自由さが書の楽しさでもあるといいます。

伝統と最新テクノロジーが合わさり生まれる可能性

日本で唯一の「製硯師」が語る、デジタル時代だからこそ直筆が放つ魅力と毛筆の楽しみ方
Image: Mugendai(無限大)

一年に数回でも、丁寧に時間をかけて墨を磨り、手紙を書くといった機会を持って欲しいと語る青栁さんは、デジタルツールと毛筆は決して相反するものではなく、むしろ伝統最新テクノロジーが合わさることに可能性があると語ります。

僕はデジタルツールにも毛筆ツールにも一長一短があり、お互いにない点を補い合って共存することができると思っています。そのためには、僕のように毛筆文化圏最古のツールを継承している者と、テクノロジーによる最新のツールを創造しようとしている人たちが一堂に会し、忌憚なくディスカッションできる機会を持てればいいですね。案外、思いもよらない建設的な答えを導き出すことができるかもしれません。

他にも、普段の生活での筆と硯の上手な取り入れ方など、毛筆を日常的に使っている方も、縁遠くなってしまっている方も楽しめるインタビューの続きは、Mugendai(無限大)よりお楽しみください。


Image: Mugendai(無限大)

Source: Mugendai(無限大)

渡邊徹則

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