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テクノロジーを駆使したナンセンス。敏腕プロデューサーが見せる、笑いのその先

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テクノロジーを駆使したナンセンス。敏腕プロデューサーが見せる、笑いのその先
(C)2018 YD Creation

高速通信や顔認証、AIによる工程の最適化など、いつだって現代はテクノロジーの最先端であり、私達は知らずのうちにその恩恵にあやかっています。

しかし、テクノロジーが発達しても、それをどう活用するかを判断し、決定を下すのは人間です。

地上波バラエティーの一時代を築き上げたテレビプロデューサー・小松純也さんも、テクノロジーと上手く付き合っています。

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Photo: Ryuichiro Suzuki

小松さんといえば、「ダウンタウンのごっつええ感じ」「笑う犬の生活」など、今でも語り草となっている名番組を手がけてきた、90年代テレビの立役者。「トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜」の立ち上げにも関わっています。

小松さんは、2005年の「FNS ALL-STARS あっつい25時間テレビやっぱ楽しくなければテレビじゃないもん!」の総合演出を最後に現場を退き、2009年からは部長職を担当。

2015年より共同テレビにて、制作現場に復帰しました。

Video: 松本人志×Amazon、今年最大の悪だくみ!『FREEZE(フリーズ)』予告編/Amazon Prime Video

そして、2018年にはAmazon Prime Videoの『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』や『HITOSHI MATSUMOTO Presents FREEZE』の総合演出を担当。

90年台にテレビの世界を開拓した小松さんが、ネット番組の演出を担当するというのも、時代の変遷と言えるかもしれません。

今回は、さまざまな有名タレントと仕事を共にしてきた小松さんに、ご自身の仕事術や『FREEZE』が完成するまでのエピソードを伺いました。

なお、若干のネタバレがあるので、未視聴の方は番組を見てから読むことをオススメしますよ。

一時代を築いたテレビマンの「人の動かし方」

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Photo: Ryuichiro Suzuki

──ご自身のこれまでのキャリアは『FREEZE』の制作に反映されていますか?

子供の頃から芝居という仕事に関わっていて、多少は自分も出る側になったこともあります

なので、カメラの前に身を晒している人の気持ちには共感しやすいというか、そこへのイマジネーションは持ちやすいのかなと思いますね。

──演者としての立場と、管理職として人をどう動かすかと、その両方の視点をお持ちということしょうか?

そもそも演出という仕事が、人に場を作って差し上げて、その中でどう人が動くかを考えていく仕事なんです。

与えられたシチュエーションで、どれだけその人達が自由に動けて、自身のポテンシャルを発揮できるかということを作るにあたっては、まわりの環境づくりを綿密に詰めていく必要があります

この人はどういう場所でどう動くのかを、予測しながら作る必要がある。『FREEZE』でも、こちらから特に指示があるわけでもなく、自然とこちらが想定するリアクションを起こすような外堀の埋め方をしています。

世の管理職も同じようなことをしているんじゃないですかね。

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(C)2018 YD Creation

──そのためには、その人の魅力や特性を把握する必要がありますね。うまくパフォーマンスを発揮させるための工夫は?

お笑いに関しては、自身の芸に大変なプレッシャーを感じてらっしゃる方々ばかりですから、やる気があるのが前提ですね。

僕らが魅力や能力を引き出すのは当然なんですけど、芸人さんなら自分がステージで活躍すること、あるいは松本人志という人が見てくれていることなど、そうした要素がモチベーションにつながっていると思います。

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(C)2018 YD Creation

──モチベーション管理も考えてらっしゃるのですね。

『FREEZE』や『ドキュメンタル』、『IPPON グランプリ』のようなものに関しては、出演する芸人さんは常に松本さんの視線を感じています

それがモチベーションにつながりますが、一方で萎縮につながらないように、あえて空間的に場所を切り離すなど、工夫しています。

この方法は『IPPON グランプリ』からだったかな? 自分は松本人志の前で爪痕を残すんだ、という気持ちでいらっしゃる芸人さんも多いです。

職場でのモチベーションについてはだいぶ違ってきますけどね。

──スタッフに出演者。現場でのモチベーション管理には、どんな気の配り方をしていますか?

職場で自分が松本さんのようなカリスマのある存在になって「この人に認められたい」と思ってくれるようになれば良いなと思いますが、難しいですよね(笑)。

僕らのような制作側の人間は、人から押し付けられたもののためには徹夜は出来ないって思うところがあって。

自分のアイディア、自分の意思としてモノを作っているという意識を持ってもらうのが大切だと思います。

『FREEZE』はガマン大会のハイスペック版

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Photo: Ryuichiro Suzuki

──『FREEZE』のコンセプトはどうやって出来たのでしょう?

今回の番組に関しては、松本さんの作品を作るというコンセプトでやっています。よしもとのプロデューサーさんや高須光聖さんとも、『ドキュメンタル』の次になにをやろうかという話をしました。

『ドキュメンタル』あっての次の作品ですから、どうコントラストを作っていこうかという考えはありましたね。

──『ドキュメンタル』は赤や動、『FREEZE』は青や静というような、属性の対比も感じられます。

用意された環境があってそこでどう動くかを評価されるのが『ドキュメンタル』だとしたら、『FREEZE』は動かないことが評価される。

きっとそこに面白さがあると思うんですけど、『FREEZE』は純粋に笑いを追い求めてるものではなくて、状況のおかしさというか、言ってみればガマン大会のハイスペック版ですよね。

動かないから面白い」、という面白味をあじわってもらえればなと。

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(C)2018 YD Creation

──となると、配役も難しかったのでは?

正直、やってみないとわからないですからね。僕らもダイアモンド✡ユカイさんや諸星和己さんがあんなに動かないなんて思ってなかったし、逆に芸人さんの方が動かない可能性もありました。

結果として、想像していたものよりも上手くいったなと思います。

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(C)2018 YD Creation

──番組制作時のエピソードなどはありますか?

あれだけ狭い空間で竹刀を振り回して動かない人がいるなんて、考えもしなかったです(笑)。僕らスタッフもさんざんシミュレーションはやっていて、ネタのチョイスや安全性のチェックをしています。

スタッフが試して、とてもじゃないけど止まってられない状況でも、皆さんは全く動かなかったので、そこはすごいと思いましたね。

──ユニークな仕掛けも多くありましたが、仕掛けはどうやって考えられましたか?

なんせ今までにないものですよね、テクノロジーと笑いの融合だとか言ってますけど(笑)。最新テクノロジーと下らなさとの掛け合わせというか、ある種の脱力感というか、笑いの呼吸があるとすればそういうところでしょうか。

ハイテクなことでどれだけ下らなく、かつ出演者にプレッシャーを与えられるかということを、考えていきました。

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Photo: Ryuichiro Suzuki

ドローンやロボットなどの最新テクノロジーを、すごそうじゃないように使っている時点で、ナンセンスなテンションを狙っているのが伝わるこの番組。

一方でハイテクに明るい人なら、このばかばかしくも見えるシチュエーション設定にどれだけの綿密さが必要かも察しが付くということもあり、さまざまなレイヤーで楽しめる番組だと言えるでしょう。

「わかりやすさ」ではないところの笑い

──動かないということで緊張状態が続く現場だと思うのですが(『FREEZE』は1日で撮影した)、出演者のケアはどうされていますか?

こんなこと言うと冷めちゃうかもしれないけど、スタッフも含めまず第一に安全です。

スポーツで起こるようなかすり傷程度のものは仕方ないとして、事故に繋がるようなことは決して起こらないよう、シミュレーションは慎重に慎重を重ねています。シミュレーションだけで、丸々三日使いました

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(C)2018 YD Creation

──出演者の方々は何も聞かされていない状態でやって来ますしね。

精神的には結構な極限状態に追い込まれていますし、そのプレッシャーを見せていくショーでもあります。

とはいえ本当に危ないと感じたら皆さんも出来なくなりますから、その信頼感を得ながら続けるギリギリの状態を保っていくというケアですね。

この人たちとやっている分には大変なことは起きないだろうと、その安心感が伝わるようにしていますし、それはシミュレーションを重ねた現場から出る空気感だと思います。

また、出演者はどうしても頑張ってしまうので、頑張りすぎてケガをしないようにというイマジネーションも大切です。

そうした距離感って、綿密過ぎれば過ぎるほど、何もしていないように見えてくるんですよ。見てる人には危ないって言われるんですけど(笑)。

──ということは、視聴者からの「危ないことやってる」という声は、してやったりという感じですか?

それは実は、そうでもないですね。状況的にはある意味でいじめの構図でもありますし、実際に危ない目に遭ったことがある人は、笑えなくても仕方ないことだと思います。

プレッシャーを見せていくショーなので、楽しめないという人がいても仕方がない。

でも、僕らが作っているのは見せ物だし、見せ物には見せ物のルールがあって、僕らはその世界でギリギリに攻めたことをやっている。もちろんシミュレーションは徹底的にしてます。

なので、見せ物のルールと一般社会のルールをごちゃ混ぜにして語られるのは、仕方がないことかもしれないですが、本意ではないですね。

その根幹には、テレビバラエティがガチやリアルといった現実要素にすり寄ってしまったのも、文脈としてはあると思いますけど…。

これからのネット番組の可能性は?

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Photo: Ryuichiro Suzuki

──最近のネット番組は、そうした「アンモラル」が取り沙汰されることもありますね。

とはいえ、地上波のルールでやれないと思ったことを目指してネット番組でやったことは一度もないんです。

たとえば『ドキュメンタル』も『FREEZE』も、テレビでやろうとしたら予算的にゴールデンタイムに編成せざるを得ないんですね。でも、編成的にそれは難しい。こうした理由で、地上波でできないという表現もあるんです。

Amazonさんだとそれが可能な環境なので、僕らはやらせてもらえています。モラルを冒しているという理由で「地上波でできない!」と表現するのは僕としては反対ですね。

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(C)2018 YD Creation

──Amazon Prime Videoのようなネット番組には、地上波と違う可能性があると思いますか?

あると思います。端的にいうと、企画本位にできるということですし、それを求めてるお客さんもいる。

地上波の場合は求めているお客さんがどれくらいいるかという数が必要なんですけど、たとえば健康情報とか、そうしたジャンルを求めているお客さんがやっぱり多いんです。僕らテレビマンとしてはそうしたものも大事にしなければいけないと思います。

しかしネットでは、こうした地上波とは違う「視聴者本位」でモノが作れるので、ありがたいと思います。

──『FREEZE』の見どころや、注目して欲しいところをまとめるとしたらどんなところでしょう?

究極のガマン大会だと思って見ていただけると楽しめると思います。昔、『ザ・ガマン(フジテレビ、1980年頃)』という番組があって、体中にバナナのエキスを付けてチンパンジーの檻で寝かされるとか、いかにもな古き良きバラエティなんですけど(笑)。

僕はとても好きだったんですけど、今ではきっと無理な内容だし、僕もそういう危ないことはやってないですよ、結局。『FREEZE』では、昔とは違うテクノロジーなどの手法を使って、その「無理」を乗り越えた、新しくバカバカしいフォーマットを見つけることができたと思います。

──『ドキュメンタル』の新シーズンも公開となりましたね。

今回は非常に実験的な回でして、女性が大勢いらっしゃいます。もともとやってみたかった試みではあったんですけど、結果としてとても面白くなりました。

今までのお客さんの趣向とは違うメンバーなので、そこは意外に思われるかもしれませんね。でも違う面白さが生まれました。「したたかな女たち」にご期待ください(笑)。


【番組概要】
Prime Original『HITOSHI MATSUMOTO Presents FREEZE(フリーズ)』
配信開始日:2018年9月19日(水)(以後毎週金曜日1話更新)
話数:全5話
出演:松本人志(ダウンタウン)、岩尾望(フットボールアワー)、クロちゃん(安田大サーカス)、しずちゃん(南海キャンディーズ)、鈴木奈々、ダイアモンド✡ユカイ、藤本敏史(FUJIWARA)、ボビー・オロゴン、諸星和己

Photo: Ryuichiro Suzuki

Image: 2018 YD Creation

Source: HITOSHI MATSUMOTO Presents FREEZE, HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル

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