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重要なのは目標設定。「PDCA」ならぬ「G-PDCA」とは?

重要なのは目標設定。「PDCA」ならぬ「G-PDCA」とは?
Photo: 印南敦史

G-PDCA勉強術 必ず目標達成できる方法』(石川和男著、明日香出版社)の著者は、建設会社総務経理担当部長、大学講師、時間管理コンサルタント、セミナー講師、税理士と、5つの仕事を掛け持ちしている人物。

以前、『30代で人生を逆転させる残業0の時間術』(CCCメディアハウス)という著書をご紹介したこともあります。

文字どおり、マルチタスクの実践者だというわけですが、必ずしも順調なプロセスではなかったようです。誇れる学歴があるわけでもなく、卒業後は建設会社の経理部に配属されるも、簿記の知識ゼロだったため先輩から怒鳴られる日々。

その後も怠惰な生活を続け、会社も辞め、借金を背負っていた時期もあったというのです。にもかかわらず現在、充実した人生を送っているのは、「PDCA」による勉強のおかげなのだとか。

このまま一生を終えたくないと、人生を逆転させるための計画(P)を立てました。その計画にそって勉強し(D)、練習問題やミニテストで検証(C)しながら、改善(A)する。

これを繰り返していった結果、建設業経理士や宅建に合格しました。 また、簿記の知識のない私が最初から税理士試験に挑戦しても無理だと思い、日商簿記3級、2級と、徐々に難易度を上げながらPDCAを高速で回転させてレベルアップし、最終的には税理士試験に合格しました。

さらに転職先の会社では、実務や経理に即したスキルアップをPDCAで行いました。すると、仕事の専門的能力がすぐに身につき、以前の職場ではリストラ要員だった私が、会社創立以来最速で課長職に抜擢されたのです。(「はじめに」より)

言うまでもなくPDCAサイクルとは、生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法。実践されている方も少なくないでしょうが、それは著者も同じ。

仕事のみならず、勉強、読書、執筆、講義進行、掃除、ダイエットまでにおいて、PDCAサイクルを回しているのだそうです。

ただし正確には、PDCAの前に「G」がつくのだといいます。どういうころなのかを探るため、第1章「G(ゴール)がなければ、はじまらない」を見てみたいと思います。

そもそもPDCAってなんだろう?

PDCAの前につく「G」とは、すなわちゴールのこと。どのようなゴールに向かっていくかを事前に設定することによって、計画が明確になり、モチベーションが維持できて1日の行動がぶれなくなるというわけです。

そこで本書においては、Gを含めたPDCAの回し方が解説されています。まずはG-PDCAサイクルの「用語説明」に注目してみましょう。

◆ G-PDCAサイクル用語解説

・ Goal(ゴール)=目的を達成するための目標、自分の思い描いていたことが実現すること(夢、希望、願い、願望、志、奇跡、ビジョン、大願成就など、あなたの好きな言葉に置き換えてもいいです)

・ Plan(プラン)=計画

・ Do(ドゥー)=実行

・ Check(チェック)=検証、評価

・ Action(アクション)=改善、調整

(17ページより)

G(ゴール)を設定したら、P(計画)を立てて、D(実行)する。実行した結果をC(検証)し、A(改善)するサイクルが、「G-PDCAサイクル」だということ。

このサイクルを何度も回すことで、精度が増し、スピードもアップし、これまで以上の成果を上げることができるというのです。たとえばG-PDCAサイクルを勉強に当てはめると、次のようになるのだそうです。

◆G-PDCAサイクルを勉強に当てはめると【例】

G(ゴール)=会社で一目置かれる存在になりたいので、日商簿記1級の資格を取る P(計画)=日商簿記1級の出題傾向を調べ、受験日までに行う勉強の計画を立てるD(実行)=計画にそって勉強をはじめる

C(検証、評価)=勉強が計画通りに進んでいるか、身についているかを検証するA(改善、調整)=計画通りに進んでいなければ改善点を考え、P(計画)に反映させる

(18ページより)

PDCAのサイクルを回す(Gはゴールが変わらない限り最初だけ)ことによって、理解力が増し、知識も増え、合格や成功というゴールを決めることができるということです。(16ページより)

ゴールがPDCAを加速させる

でも、なぜPDCAではなく、G-PDCAなのでしょうか? なぜ、ゴール(G)が必要なのでしょうか? そのことを説明するにあたって、著者は「旅に出ること」を例に挙げています。

地図を広げ、いままで見たことのない新しい場所へ行こうと期待感を高めているとき、最初にすべきことはもちろん目的地(G)探し。

目的地が見つからなければ、いつまでたっても旅がはじまらないからです。目的地が定まってはじめて、計画(P)を立てられるということ。

上記の「勉強のG-PDCA」に当てはめると、「会社で一目置かれる存在になりたい」という目的のために、日商簿記1級合格という目標が定まり、そこで初めて計画を立てることができるのです。

・ 勉強をいつから始めるか?(出発日は?)

・ 試験日はいつか?(戻って来る日は?)

・ 勉強時間は何時間かけられるか?(どれぐらいの時間をかけるのか?)

・ 直接1級から勉強するか? じっくり3級から勉強するか?(直接行くか、回り道をするか?)

・ 専門学校に通うか? 通信教育か? 独学で挑戦してみるか?(飛行機で行くか? お金がないから各駅停車の電車に乗るか? ヒッチハイクに挑戦してみるか?)

(21ページより)

その旅が未来の自分への投資である以上、現在と未来に影響を及ぼすことを毎日やり続けることが必要。

そのためG-PDCA勉強法を取り入れ、スキルアップ、キャリアアップ、資格取得、起業成功、転職成功などを実現し、自分にとってのゴールにたどり着かなければならないということ。

だからこそ著者は、ゴール設定こそが勉強を加速させ、具体的な成果を生み出す秘訣なのだと主張しています。ゴールがなければなにもはじまらず、ゴールがPDCAを加速させるのだと。

ゴールが決まれば、そこにたどり着くためのスケジュールを決めることができるわけです。(20ページより)

PDCAの回し方

一概に「PDCAを回す」といっても、どんなゴールに対して、どのくらいの期間で、どうやって行うのかなど、状況によって回し方もさまざま。

そこで著者は改めて、PDCAの回し方についてまとめています。

①勉強で達成する目標

資格試験に合格する、キャリアアップ(例:主任→課長)する、スキルアップ(職場での専門性を磨く)する、起業や転職を成功させるなど。

PDCAは、読書、ダイエット、禁煙、掃除など、計画(P)したことを実行(D)し、検証(C)して改善(A)できるのであれば、どんなことでも回すことができるそうです。

②期間

3カ月~12カ月、1カ月、1週間、1日など、期間も目標達成の難易度や勉強時間によってさまざま。たとえば1年で目標達成するのなら、1年間なにを行うかの計画(P)を立てることが必要。

そして、立てた計画を12で割って、毎月の計画に落とし込むわけです(10カ月の目標なら10で割り、3カ月なら3で割って、毎月行うことを決める)。

仮に、1カ月で行うべきことが125個、実行する日数が月25日(日曜休み)なら、1日平均5個行えば計画達成になります。

ただし大切なのは、毎日必ず5個を終わらせようと決めないこと。実行できなかった場合、自分を責め、勉強を諦めてしまうことにもなりかねないからです。

そのため、1日に5個やり切ると決めずに1週間で30個(5個×6日)を目安にするべきだといいます。遅れた分を別の日にやればいいので、急な誘いを断ったり、睡眠時間を削る必要がなくなるわけです。

③PDCAを回す方法

・ 1日の場合

たとえば通勤時にPDCAを回すとしたら、電車に乗る前に、なんの勉強を電車で行うか計画(P)を立てるべき。

電車に乗ったら、その計画に沿ってテキストや参考書を読むなどの勉強を実行(D)。そして帰りの電車ですべきことは、朝に行った勉強の検証(C)。

たとえば出勤時間に勉強した範囲の練習問題を解いたり、赤のチェックペンでマークを引いた重要な箇所を緑の下敷きで隠し、答え合わせをして検証するということ。

間違えた箇所があれば、家に戻ってからもう一度暗記。理解できていないならテキストに戻って確認するなどの改善(A)を行うことで、その範囲の理解度や記憶の強化を図るわけです。

・1週間、1カ月の場合1週間で30項目を勉強すると計画していたとしたら、それを行えたかどうか検証、改善し、次の1週間の計画にそれを反映させることが大切。

1カ月勉強して計画どおりに進まなかった箇所については、検証・改善をして次の1カ月の計画の参考に。もちろん早くやり終えたとしても、「なぜ早く終わったのか」を検証する必要があるそうです。

④PDCAを回し終えたら

目標(G)が達成されたら、次は新たな目標を立ててPDCAを回す段階。逆に目標が達成できなかった場合は、その原因を検証(C)し、改善(A)することで再チャレンジが可能になるといいます。

ただし結果がどうなろうとも、全力で取り組むことが重要。全力で取り組んだからこそ、検証と改善ができるわけです。(46ページより)




以後の章でも具体的な解説がなされているため、読み終えたころにはG-PDCAを活用するコツをつかめているはず。

現場からのステップアップを望んでいるのであれば、読んでみる価値はありそうです。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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