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リーダーには必須のスキル? 職場で「かたづけ指導」をするために必要な7つの心得

リーダーには必須のスキル? 職場で「かたづけ指導」をするために必要な7つの心得
Photo: 印南敦史

リーダーはまず最初に、どんなことを身につけるべきなのでしょう? この問いに対し「かたづけ思考」だと答えるのは、『「かたづけ思考」こそ最強の問題解決』(小松 易著、PHP研究所)の著者。

意外な気もしますが、それはリーダーとして組織をまとめていくための、最強の必須センスだというのです。

かたづけ思考は、物事をひとつひとつ解決する際に役立つ「エンジン」のようなものだと著者はいいます。それはモノやコトの「片づけ」、習慣化を促す「型づけ」、ワークスタイルを方向づける「方づけ」という、3つの“かたづけ”から成り立っているもの。

そして、この3つを合わせた“かたづけ”の意味をよく理解し、それを部下に的確に伝え、チームに浸透させていく指針となるのが、次の5つ。

【かたづけ思考5つの指針】

指針1:リーダーが手本を見せる、率先垂範(そっせんすいはん)を心がけよ

指針2:思わず言いたくなる「かたづけフレーズ」と、こだわりをくすぐる「質問」を駆使せよ

指針3:誰のために片づけるのか、当事者意識を奮い立たせよ

指針4:かたづけのゴールを明確にし、GPDCAサイクル(本文中で解説)を回し続けよ

指針5:かたづけをチームの“文化”にせよ

(「プロローグ リーダーを目指す人、リーダーになった人には、『かたづけ思考』が即効! 役に立つ」より)

これらは、かたづけ思考を使いこなすためのガイドであり、チームを成長、進化、発展させるためのヒントだといいます。

そこで本書では、リーダーとして実践すべきことのすべてが詰まっているというこの5つを押さえつつ、かたづけのさまざまなノウハウを解説しているわけです。

そのなかからきょうは、チームにかたづけを指導する際の手助けになるというPart 4「“落とし穴”を回避するために チームへのかたづけ指導の心得」を見てみたいと思います。

ケース1:「時間がないから片づけられない」という不満を受けた

部下に片づけを促すと、必ずといっていいほど返ってくるのが「いま忙しくて、そんな時間ありません」というような“時間がないから片づけられない”という不満。

リーダーはそんなとき、不満を受け止めたうえで、「片づけないから時間がなくなる」「1日1カ所15分だけでいい」「片づけは、新しい時間を生み出す投資」などのかたづけフレーズを使い、かたづけの本質や役割を伝え、片づけるきっかけをつくることが大切。

特にかたづけの“役割”については、部下に伝わりやすいポイントが2つあるそうです。

1つは、仕事の効率が上がるということ。いらないモノを減らし、いるモノのベストな置き場所を決め、その人にとってモノが使いやすい状態をつくるわけです。

求めている資料にタイムリーにたどり着ければ、探す時間や迷う時間が短縮され、他のことに使える時間を生み出すことが可能。だから片づけに時間を割くことは、「新しい時間を生み出す投資」だということ。

もう1つは仕事の効果、つまりパフォーマンスが上がるということ。モノを探している間は仕事がストップしますが、そんな状態が継続的に起これば仕事に集中できません。

また、散らかっているとさまざまなモノが視界に入りますが、それも集中力を削ぐことに。身の回りのモノを片づければ、これらのマイナスを防げるわけです。

人はメリットを知れば、自分から動くようになるもの。そこで部下から不満が出たら、かたづけに対する認識を改めてもらう“いい機会”だと捉え、こういったプラスの面を伝えてみるといいそうです。(166ページより)

ケース2:一部の部下がどうしても片づけてくれない

部下にかたづけを指導しようとしてもうまく伝わらないという場合は、次のような要因が考えられるといいます。

【A】 片づけの基本的なやり方がわからない(知識の問題)

【B】 「片づける時間がない」と思っている(環境や條件の認識の違い)

【C】 部下なりに片づけたつもりでいる(ゴールイメージの違い)

(169ページより)

著者いわく、このなかで問題なのは【C】。つまり、こちらの思う“片づけた状態”と、部下の思う“片づけた状態”のイメージがずれている可能性があるというわけです。

そこで大切なのは、「片づけない理由」を部下に聞いてみること。たとえば「君にとって、片づいている状態って、どんな状態なんだ?」と聞いてみる。

すると、こちらの思う片づいたデスクが「パソコンと電話以外、なにもない状態」であるのに対し、部下は「仕事スペースが少しでも確保できれば、片づいた状態」だと考えていることがわかるかもしれないということ。

つまりは、そういった認識の違いを明らかにすることが重要だというのです。なぜなら部下はそこでようやく「上司の要求している片づけは違ったのか」と気づき、こちらはこちらで「片づけのイメージをきちんと伝えきれていなかったかもしれない」と気づくことができるから。(169ページより)

ケース3:なかなかモノを捨てられない部下がいる

捨てられない最大の原因は、分けられないこと。そこで整理が進まない部下には、「使えるどうかではなく、使うか使わないか」など、分ける基準を指導することが大切。

それでも捨てられなければ、足りないのは知識ではなく、「勇気」かもしれないと著者は分析しています。「いつか必要になるかも」という不安がまとわりつくと、なかなか捨てられなくなります。

そこで、その背中を押してあげることが必要になるというのです。(173ページより)

ケース4:いまひとつ、チーム内にかたづけが広まらない

少しずつ部下が片づけてくれるようになったものの、いまひとつうまくいかない。そんなときのために、著者は「かたづけ推進チーム(環境整備チーム)」をつくることを勧めています。

全社でかたづけに取り組む場合、各部署から「かたづけ委員」を1人以上選出してチームをつくるといいというのです。初期の段階は、仕事の流れがある程度わかっていて、部内での発言権がある人を選ぶと、うまくいきやすいそうです。

かたづけ推進チームをつくるメリットは、役割を与えて責任を持たせると、当事者意識が芽生えやすいこと。チーム構成は、リーダー、そのサポートをするサブリーダーを決め、状況に応じて「号令係(片づけスタートの合図を出す役割)」など、必要な係を設定するといいそうです。(176ページより)

ケース5:チームで片づけても、なぜか毎回リバウンドする

チームでかたづけに乗り出したあとも、なにかとトラブルは起こってしまうもの。片づけているそばからリバウンドし、あっという間にもとの状態に戻ってしまうなどということも少なくないということです。

そんな場合、振り返るべきは片づけの手順。モノの片づけの基本は整理と整頓ですが、その順番が逆になっている場合があるというのです。

よく見られるのは、先に整頓をしているケース。整理のステップを飛ばして整頓に取り組むと、いらないモノが残っているので十分なスペースがなく、モノを動かしただけになりがちです。

また、その場からとりあえず取り除こうと、棚や引き出しのすき間やデスクの下などへ無理矢理押し込むと、「しまう」→「押し込む」→「隠れる」→「忘れる」という負のスパイラルが発生。簡単にリバウンドを招きます。(180ページより)

そこで最初のうちはオーソドックスに整理からスタートすると、混乱せずにすむといいます。そこで改めて、部下たちがどのように片づけを勧めているのかチェックすることが大切。(180ページより)

ケース6:かたづけに対して、やる気が続かない

片づけには、必ず飽きがくるもの。そのため、飽きさせないためには仕掛けが必要。たとえばゲーム性を高めるなど、なにか目先を帰る創意工夫を加えると効果的だというのです。

とはいえ、なかなかタイミングを合わせるのは難しいかも知れません。そこで著者がおすすめしているのは、「出社してからの15分」を有効活用すること。

出社してすぐは頭のなかがクリアなので、片づけがサクサク進むという効果も。かたづけの習慣化の極意は、タイミングにあるというわけです。(183ページより)

ケース7:社長や上司が、かたづけの重要性を理解してくれない

チームでのかたづけを成功させるには、トップの承認を得られるかどうかが肝心。各部署から人員を募ってかたづけ推進チームをつくるなど、全社を挙げて行う必要があるということです。

ときには、社長や上司が理解を示してくれないという落とし穴もあるでしょう。しかしそれは、単に「かたづけ」という言葉に引っかかっているだけなのではないかと著者は指摘しています。

日常的な言葉ほど、人によって解釈が異なるもの。そして「かたづけ」に関しては、「職場改善の一環」と受け止められにくい傾向があるというのです。

そこで重要なのは、かたづけという言葉にとらわれすぎないこと。仮に「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」といったほうが社長や上司に響きそうなのであれば、「目的なそれと同じです」と伝えればOK。つまり、理解しやすい言葉に置き換えればいいということ。

大切なのは、社長や上司が大事にしていることがなんなのかを汲み取ること。そのうえで、「片づけないことでどのような影響があるか」、あるいは逆に、「片づけることでどれだけのプラスの効果があるのか」を伝えることが大切だという考え方です。(187ページより)




決して難しいことではないはずなのに、かたづけをする際にはなにかとトラブルが発生し、うまくいかないものでもあります。そこで本書を活用して問題を解決し、よりよいビジネス環境を構築したいものです。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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