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知識をまとめるために必要な文字数は、たったの「20字」

知識をまとめるために必要な文字数は、たったの「20字」
Photo: 印南敦史

「学び」をもっと、「仕事に活かせる」ようになりたい。

そんな思いを抱いている方は少なくないはず。そこで、この目的を達成するために必要な考え方と学習法を明かしているのが、きょうご紹介する『すべての知識を「20字」にまとめる 紙1枚! 独学法』(浅田すぐる著、SBクリエイティブ)です。

著者はまず本書の冒頭で、「典型的な学びに関する誤解」(と、本質的な考え方)に焦点を当てています。

・学習に関する誤解①:学んだことはすべて覚えておかなければならない

→仕事に活かすことが目的なら、「全部ではなく1行だけ」覚えておく

・学習に関する誤解②:一生懸命勉強=インプットさえしていればいい

→「アウトプットするためにインプットする」が、仕事に活かす大前提

・ 学習に関する誤解③:勉強は自分のためにやるものだ

→仕事に生かしたいなら、「人のために勉強」することこそが本質

(「はじめに なぜ、学んだことがすぐ活かせないのか」より)

これらについて注目すべきは、「わかっているか」以上に「できているか」が重要だという点。そして興味深いのは、そのための学習法として著者が提案している学習法です。

本書があなたに手渡す学習法は、なんと、 「紙1枚」書くだけ で実践が可能です。にもかかわらず、

・ あなたの学びが、たった「20字」にまとまる

・ 学びを、わずか「ポイント3つ」でわかりやすく説明できる

・ 同僚やお客様の役に立ち、「周囲から喜ばれる存在」になれる

といった様々なメリットを、その手につかむことができます。

(「はじめに なぜ、学んだことがすぐ活かせないのか」より)

これらを踏まえたうえで、PART 1「初伝」:INPUT内第2章「『紙1枚』書くだけの『20字』インプット学習法とは?」のなかから基本的な考え方を抽出してみたいと思います。

20字あれば、なんでも一言で言い表せる

著者は講演などの際、ひとつひとつの学びについて「できるだけ『20字前後』にまとめましょう」と繰り返しアドバイスしているそうです。そしてここでは、その具体例が示されています。

今となっては、何を学んだかほぼ忘れている (20字)

現在は、「学び」が「消費」になっている時代 (21字)

学習を、「消費」として捉えているから (18字)

「消費」型の学習観から、「投資」型の学習観へ (22字)

「思考整理」しながら、学んでいないから (19字)

学んだ内容を、「短く要約していない」から (20字)

「1枚」で、自己満足な働き方を改められる (20字)

できるだけ「20字」にまとめましょう (19字)

(38ページより)

ご覧のとおり、どれも一見すれば要点がわかるものになっています。でも、なぜ20字なのでしょうか? 著者によればその答えはとてもシンプルで、つまりは「20字あれば、メッセージを表現できるから」。たとえばその例として、「俳句」を引き合いに出しています。

周知の通り、俳句は「5・7・5」の17音で成立している言語表現の一形態ですが、これにあえて句読点を加えれば、以下の通りとなります。

五、七、五.

あとは、句読点込みの数で再度、足し算をしてみます。

五、七、五.

=(5+1)+(7+1)+(5+1)

=20字

(40ページより)

ここからもわかるように、「20字」あれば、伝えたい内容は表現できるということです。(38ページより)

トヨタで学んだ「資料づくりの3つの制約」

著者には、サラリーマン時代の大半をトヨタで過ごしたというキャリアがあります。そんななか、世界的企業の働き方の秘密として注目したのが「紙1枚にまとめて仕事をする」というワークスタイルだったそうです。

トヨタには、企画書・決裁書・稟議書・報告書・議事録・分析資料・検討資料・ディスカッションペーパー等々、あらゆる書類について「A4もしくはA3で1枚」にまとめていくという企業文化があるというのです。

ルールとして明文化されていたわけではないものの、7万人の社員の大半がこの基本動作を実践していたのだとか。

そうやってつくられる資料にかかっている制約は、次の3つ。

・ 制約①:「紙1枚」に納めなければいけない

・ 制約②:「枠内」に収めなければいけない

・ 制約③:「テーマ」から逸脱したことは書けない

(45ページより)

こうした3つの制約をかけた状態で資料を日常的に作成していると、「1枚」に、「枠」に、「テーマ」内に収める要約力が身につくことになるということ。

好き勝手にダラダラと文章が書けないように制約をかけてトレーニングを積んでいけば、要約が苦手な人でも、十分に能力アップが可能だといいます。(44ページより)

「本質」を学ぶための思考整理とは?

なお、「要約力を身につけるためのカギは『制約をかけること』」だという考え方は、「学習」においても重要な意味を持つといいます。なぜなら「制約」があることによって、「学習」で重要な「思考整理」が促されるから。

「思考整理」とは、「情報を整理」し、「考えをまとめる」こと。そして資料作成も仕事も学習も、「思考整理」の繰り返し。なんであれ、まずは取り組んでいるテーマについて、考えるベースとなる「情報を整理」する。そして、それらを材料にして、あれこれと「考えをまとめる」わけです。

ところがその際、ただ考えるだけでは思考が発散してしまい、いつまでたっても考えがまとまらないということになってしまいがち。しかし、そんなときに「制約」があったらどうなるでしょう?

「この枠の中に収めるにはどうしたらよいか」という縛りがあることによって、思考の方向性は常に「なんとかして端的にまとめよう」というものになっていきます。

その結果、「一言で言うと?」「煎じ詰めると?」「要するに?」といった言葉が自然と口ぐせになり、シンプルな言葉にまとまるまで「考え抜く」習慣がつくのです。(51ページより)

「考え抜く」ことによって、「あるもの」をつかむことができると著者は言います。それは、思考整理しているテーマについての「本質」。ここでいう本質とは、多くの事象にあてはまる「よりどころ」です。

一生懸命に「学ぶ=思考整理」を繰り返した結果、自分がいま携わっている業務の「本質=よりどころ=判断基準」がつかめたとします。そうすれば、どんなときもブレずに判断・行動することができます。

応用が効くため、不測の事態にも臆することなく対応が可能。さまざまなツッコミに一貫した受け答えができるのも、本質がつかめているから。したがって「本質をつかむ力」は、仕事に活かす学習力において不可欠な要素になるということです。

加えてもうひとつ、本質には特徴があるのだといいます。本質はシンプルなので、端的な言葉で表現可能だということ。思考整理の結果として本質をつかめたからこそ、一文・一語を短く表現することが可能になるという捉え方もできるわけです。そして、ここまでの内容を20字でまとめるとすると、

学習とは、思考整理による本質探求そのもの (52ページより)

ということになります。表面的な知識の丸暗記や、パラパラと孤立した状態でキーワードを理解していくような学び方をしていたのでは、いずれその大半を忘れてしまうでしょう。だからこそ大切なのは、学習しているテーマについて、できるだけ本質を考え抜くこと。

本質とは、多くの事象に当てはまる「よりどころ」であるため、本質をひとつつかんでおけば、その学習テーマについて多くのことを芋づる式に理解できるというわけです。

また、本質はシンプルなので、端的な言葉表現することが可能。そのため本質をつかむような学び方をすればするほど、あとで思い出せるようなシンプルなインプットを、たくさん積み重ねていくことが可能になるということです。

「情報を整理」し「考えをまとめる」という思考整理を繰り返し、考え抜くことを通じて「本質」をつかめれば、学びを「端的に表現できる」ようになる。そうすれば、インプットしたことを長く記憶しておくことができ、仕事でも応用しやすくなるといいます。(49ページより)




このように基本的な考え方を軸に、以後は「20字」インプット学習法の「1枚」フレームワークについてさらに具体的な解説がなされていきます。すぐに応用できることばかりなので、「まとめる」能力を高めたいならぜひとも熟読したいところです。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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