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活字離れを起こしていた私が親子で読書好きになるために実践し、効果を感じている方法

活字離れを起こしていた私が親子で読書好きになるために実践し、効果を感じている方法
Image: LightField Studios / Shutterstock.com

私はなるべく多くの本を読みたいし、息子にも読書好きになってほしいと思っています。しかし、そう望んでおきながら、私は小学校に上がった頃から20才になるまで、教科書以外では活字に触れない生活をしていました。

読書をしない家庭だったのかというと、むしろ反対で、私の母は年間300冊以上本を読む読書家でしたし、家のいたるところに本棚が並ぶ、ミニ図書館のような環境でした。

では、本に囲まれ、読書のメンターが側にいたにも関わらず、なぜ、母のような読書家にならなかったのでしょう。自分の経験を振り返り、親子で読書が好きになれる方法を考えてみました。

読書を楽しむ姿を見せるのは大事、でも寂しがらせてはダメ

小さい頃、私は読書ばかりしている母に不満を持っていました。いったん読書が始まると、自分の世界に入り込んでしまって、私の入る余地がなくなってしまうからです。疎外感を感じるようになり、いつからか「読書とは母を奪うもの」「本なんてなくなればいい」と考えるようになっていました。

おそらく、スマホ中毒の親を持つ子どもが「自分は大切にされていない」と感じるのと同じ感覚だと思います。なので、私は母が読書している姿を見るのが好きではありませんでした。

ところが、読書好きの子どもを育てているママ友の話を聞くと、「子どもを読書好きにしたいなら親が読書している姿をみせる」必要があるのだとか。それなら、私は大の読書好きになっているはずなのにどういうことでしょう。

振り返ってみた結果、母に足りなかったことは「本が原因で子どもに寂しい思いや嫌な思いをさせないこと」だと思いいたりました。

そこで、可能な限り心地いいブックライフを送るために、本をジャンル別に分けて、付き合い方を変えることにしました。

心地いいブックライフのための本のジャンル分けと付き合い方

その1:遊ぶ部屋…読むだけでは終わらない本を置く

まず「遊ぶ部屋」には、本を中心に私たち親子がコミュニケーションを取れる作品を置いています。感情を揺さぶりディスカッションのきっかけになる物語だったり、知的好奇心をくすぐりアクティビティのきっかけになる読み物だったり、何度も親子間でやりとりが発生する指差しゲーム系の本だったり、基本的に読むだけでは終わらないものがメインになっています。

レベルは、自分でも読める赤ちゃん向けの本もあれば、私が噛み砕いて説明しなければいけないような難しいものまでさまざま。勉強の意味合いが強い本は、なるべく楽しい雰囲気を出そうと天気のいい日にベランダにレジャーシートを敷いて、ピクニックしながら読むような工夫をしています。

その2:寝る部屋…寝かしつけのための本を置く

「寝る部屋」には、私が一方的に聞いて聞かせる寝かしつけを意識した本を揃えています。このように本を分けて置く理由は、ワクワクする冒険活劇物語や、怖すぎる怪談、数分で読み終わらないボリュームの作品を息子が読みたがることを避けるためです。

そういった本は、睡眠導入には向いていないと思います。「これ読んで」「これはダメ。こっちはどう?」「これは嫌」といったやり取りは、なるべく発生させたくありません。ですから、あらかじめ親が寝かしつけ用の本を見繕いその中から選ばせる方がいいだろうと考えました。

内容やテイストは、遊ぶ部屋にあるのとは真逆。先が知りたくてウズウズすることはなく、ワクワクして寝られなくなってしまうようなこともない、まるで国語の教科書に掲載されているような本ばかりです。たとえば、以前「コストパフォーマンスの良い英語学習法」の記事でご紹介したUsborneコレクションです。

これは背表紙の色で難易度が分かれているため、時間と体力がある日は難しい本、眠いけれどもう一冊読みたいときは5分以内に終わる簡単な本、という風に選ぶことができますし、小さめで、ある程度の硬さがある紙質なので、寝転がった状態でもページがめくりやすいのもポイント。

また、優しい色使いのいたって普通の(特徴的でない挿絵なので、子どもが目を輝かせて見入ってしまうこともありません。本が原因で目が冴えてしまった、ということがないため、寝かしつけもスムーズに進み、私もイライラさせられることがありません。

その3:仕事部屋…親が自分のための本を置く

「仕事部屋」に置かれているのは、「対自分」の本です。仕事部屋には家族全員分の机があり、各自仕事の資料や集中して読みたい小説などが置かれています。私が自分だけの読書時間を確保したいときは、ここにきて過ごします。時間は朝5時から6時まで。この時間に設定している理由は、息子に読書の邪魔をされずにすむからです。

子どもの頃、読書中の母に話しかけると「邪魔しないで」「あと少しだからもう少し読ませて」「あなたも何か本を読めば」と言われて悲しかった思い出があります。その積み重ねが本に対してネガティブな感情を持つようになったのも確かだと思います。

自分が言われて嫌だったので、息子に言わずに済むように、家族が寝ているときに熱いコーヒーをすすりながら読書をする、贅沢な時間をすごしています。

読み聞かせは勉強とごっちゃにせず、できるだけ長く

マレーシアに住んでいたとき、親子で読み聞かせが苦痛になったことがありました。そのときに本屋をやっている友人に相談したら、「読み聞かせと勉強はごっちゃにせず、読み聞かせをするときは読み聞かせに徹すること」とアドバイスされました。彼女は常に本がある環境でふたりの娘さんを育てていますが、文字を教えるのは学校の役目と割り切って、読み役に徹しているのだそうです。

当時の私は「この単語読んでみて」「この間教えたよね?」「なんで読めないの?」と息子を叱ってばかりいました。すでに自分で本を読めるようになっている息子の同級生と比較して焦っていたこともあり、試せば試すほど不安と不満が募りました。そして、当然ですが息子は「読書=怒られる」と考えるようになり、読み聞かせの時間を嫌がるようになっていきました。

友人の「読書が楽しい時間だと教えるためには勉強と切り離して、質問はしない。読み聞かせはシャワーのように浴びせるもの」というアドバイスに従って読み聞かせに徹すると、息子は再び本を読もうと誘ってくるようになりました。私も「教えなくていいのだ」と思うことで、純粋に息子と本を囲む時間を楽しめるようになったと思います。

あれから1年以上経過し、息子は「この単語の意味は?」「今、どこを読んでいるのか指で差しながら進めて」と言うようになりました。時間はかかりましたが、言葉に対する興味が出てきたのだなと、ちょっとした手応えを感じています。

読み聞かせを止める時期はいつがいいのか

ちなみに、読み聞かせを止める時期ですが、これは私の経験から「できるだけ遅く」がいいと思います。具体的には、児童文学の面白さを理解できるようになる小学校4年生くらいまで。というのも、私が活字に興味を持てなかった理由のひとつに、小学校入学を機に親が読み聞かせをしてくれなくなったことが関係していると思うからです。

おそらく母は「もうひとりでどんどん読めるだろう」と考えてやめたのだと思いますが、当時の私は耳で聞いて想像力をはたらせる力はあったものの、自分で読み進めるまでにはいたっていませんでした。向上心や好奇心が旺盛な子なら自ら辞書を引くなりしてどんどん読むようになるのでしょうが、あいにく私は読書に関して完全に受け身でした。

もし読み聞かせをある程度の年齢まで続けてくれていたら、「耳で聞いて理解できる」と「自分の目で読んで理解できる」のベクトルが自然に交わったのではないかと思います。

そういえば、かつて息子さんをアイビーリーグに入れた友人に「子どもを勉強好きにさせるにはどうすればいいか」と聞いてみたときに、子どもたちが小学校高学年になっても日本語と英語の両方の本を読み聞かせしたり、子どもに音読してもらったりしていたと教えてもらったことがあります。

アメリカの学校ではエッセーや作文が重要視されるため、読解力や文章力を伸ばすことは大切です。そこで、子どもの頃から読み聞かせを徹底し、読解力が足りないと感じたら家庭教師をつけてサポートしていたそうです。

その話を聞いて、小学校に入ってからは、子どもの成長に合わせて読み聞かせをする意味を変えていくのもありだと感じました。

親子で継続的に読書するための工夫

次は親子で継続的に本を読む工夫について書いていきます。

その1:読み切れる本を選ぶ

まず、読み切れる本を選ぶこと。大人も子どももそうですが、好きな本、読める本でなければ読破することはできません。読破できれば満足度を感じられ、自然と次の本に手が伸びるようになります。

その2:最初の1ページを読む

読み切れる本を選ぶコツは、最初の1ページ目を読んでみること。1ページは作者が最も力を入れた文章を書いているので、ここに書かれている文の雰囲気やリズム、単語のチョイスなどが好きなら、読み切れる本である可能性が高いです。私はタイトルや書評、話題性だけで買った本を積読にしてしまうことが多いので、小説はなるべく実際に手に取ってから買うようにしています。

その3:常に本を持ち歩く

そして常に本を持ち歩くこと。私は外出するときは自分の読みかけの本と、息子の外出用の短編集を持ち歩いています。これは親子ともに「外出先で発生した空き時間にスマホをいじっていたらハマってしまい、本への興味を失ってしまった」というパターンに陥らないようにするためです。また、なるべくスマホでネットサーフィンしている姿を息子に見せないためです。

親が継続的に読書するための工夫

さらに、親が継続的に読書するための工夫として、私が行っているのは以下のことです。

その1:読み上げアプリ

ちょっとした外出、例えば息子を幼稚園バスの停留所まで迎えに行くといった場合は、本ではなくイヤホンを持って『Blinkist』というノンフィクション本の要点を読み上げてくれるアプリを聞いています。15分程度で本一冊分を把握することができるので簡単に達成感を感じられますし、目でなく聴くことで気分転換にもなります。年間約5000円の有料アプリですが、読書習慣をつける上で一役買ってくれていてお買い得だったと感じています。

その2:人と読書の感想を共有する

最後が「読書サークルを作って本の情報を共有する」です。これは、生前、母が会社勤めをしていたときにランチタイムのゴシップや悪口大会をどうにかしようと始めたことでしたが、同じ本を読むことで年齢問わず共通の話題が持てるし、会話の内容も本の感想がメインになってゴシップは自然消滅するし、みんなも読んでいるから自分ももっと読みたいと読書に対するモチベーションが全体的に上がったし、いいことづくめだったと聞きました。

その当時、母があまりにも楽しそうに本を読んでいたので、私も読書へのモチベーションを高めるために読書サークルを作りたいと思うようになり、実際に作ってみました。メンバーは各国で知り合った、村上春樹の小説が好きな人たち。

きっかけは春樹小説でしたが、今はジャンルを問わず紹介し合っています。決め事があるわけでもなく「面白い本を見つけたら紹介し合う」「読み終わったら簡単に感想でも」という程度の活動ですが「あの人も読んでるから私も読まないと」とモチベーションを上げるのに役立ってくれています。

ちなみに、今私が読んでいるのは、マレーシア人の友人に勧められたミン・ジン・リー著の『PACHINKO(パチンコ)』。在日韓国人の4代に渡る年代記小説で、海外で大ベストセラーになったものです。日本人として読み進めにくい描写もあることを理解した上で、ぜひ感想を聞かせてほしいとリクエストされました。

息子にも誰かと本の内容をシェアできる楽しみを知ってもらいたいので、ママ友同士でオススメな本を紹介し合ったり、子どもが夢中になっている本を教えあったりしています。「xxも読んでいるって」と言うと、競争心が刺激されるのか積極的に読もうとしているように感じます。

親子で読書を好きになれた

私が読書のことを真面目に考え始めたのは「スマホ中毒の親を持つ子どもはないがしろにされていると感じている」という記事を書いたことと、息子がスマホにかじりついていた私を見て、同じようにスマホを触りたがったり寂しさを訴えるような発言をし始めたことがきっかけでした。

自分が母にやってほしかったこと、やってほしくなかったことを振り返りつつ、友人たちのアドバイスを元にいろいろと試行錯誤してみた結果、今のところ、子どもに寂しい思いをさせず親子で読書を楽しむことができていると思います。

読書習慣のなかった私は、「熱いコーヒーをすすりながら静かな部屋で1時間だけ本を読む」という贅沢な時間の使い方にハマっていますし、息子も「スマホゲームをやりたいと言う頻度が減り本を読めるようになりたいという姿勢が見えてきました。自分でどんどん本を読むようになるまでの道のりは長そうですが、読書好きな子どもにする種は植え付けることができたかもしれないと思っています。

中川真知子 | Twitter

1981年、神奈川県生まれ。サンタモニカカレッジ映画学部卒業。評論家を目指していたが、とある映画関係者から「作る苦労を知らずに映画の良し悪しを語るな」とアドバイスされ、帰国後はアニメ会社GONZOで制作進行を務める。結婚を機にカナダに引っ越し、オーストラリアではVFXスタジオのAnimal Logicでプロダクションアシスタントを経験。その後、オーストラリアでソーシャルワーカーと日本語チューター、Kotaku Japan翻訳ライターの三足のわらじを履き、夫の仕事に合わせてフロリダに引っ越す。現在はマレーシアでゆったり子育てを楽しみつつ、GIZMODO JAPANとライフハッカー[日本版]、金融サイトのZuu Onlineで執筆中。好きな動物はヒグマ、爬虫類(ワニ、コモドドラゴン)、両生類。好きな映画ジャンルはホラー。

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Reference: Blinkist

中川真知子

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