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公共インフラが一斉に老朽化している。毎年かかる9兆円を削減できる「省インフラ」の方法とは

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公共インフラが一斉に老朽化している。毎年かかる9兆円を削減できる「省インフラ」の方法とは
Image: Mugendai(無限大)

東京オリンピックを2年後に控え、都心部は新たな施設の建設ラッシュが続いています。しかし現在、日本各地の公共施設に危機が迫っていることをご存知でしょうか。

IBMが運営するWebメディアMugendai(無限大)では、「公共インフラの老朽化」というテーマが取り上げられていました。このままでは破綻しかねない、国内の公共施設が抱える問題とは。

高度経済成長期に整った国内インフラ。老朽化対策には450兆円が必要

インタビューに登場していたのは、国内の公共施設の危機を指摘した『朽ちるインフラ』の著者である、東洋大学大学院の根本祐二教授

普段われわれが何気なく利用している道路や橋、上下水道、建築物などは、多くが1950~70年代にかけて建設されました。戦後から高度成長期という一時期に集中して建設されたために、50~60年を経た今、老朽化も一斉に起きています。

実際に、例えば下水道管の損傷が原因の道路の陥没だけでも年間3000件以上発生しているそうで、根本さんの試算では、全国のインフラ再生には今後50年間で総額450兆円、年額9兆円という莫大な資金が必要となるそうです。

この危機的状況の原因について根本さんは、「老朽化自体は仕方のないこと」としながら、「老朽化を放置してきたこと」つまり「対策を取るための財源を準備していなかったこと」に問題があると指摘しています。

毎年かかる9兆円を削減できる「省インフラ」の考え方とは

国内のインフラに危機が迫っていることは分かりましたが、必要な費用はあまりにも莫大で、現実的に対応できるのか不安が残ります。

そこで根本さんが提案するのが「省インフラ」という考え方。これは「できるだけインフラを造らず幸せになる道を探る」という発想に基づいており、毎年の更新に必要な9兆円の削減が可能だといいます。

省インフラの基本的な考え方は、広域化ソフト化(民営化・リースなど)、集約化(統廃合)、共用化多機能化の5つに基づいています。例えば、公共施設を「公民館」「学校」「集会所」などと分けるのではなく、それらを一つの施設に束ねることで、トイレや給湯室といった共有スペースを集約できるという考え方です。

他に、山間部の図書館やスーパーは車による移動式とする「モビリティインフラ」という発想もあります。

老朽化する公共インフラ。見過ごせないその現状と「省インフラ」の考え方とは
Image: Mugendai(無限大)

そうして削減できるのが、9兆円の半分にあたる「建築物(公共施設)」です。さらに残り半分にあたる「土木インフラ」も、センサーやドローンといった最先端技術を応用することで削減可能になると根本さんは語ります。

公共施設と異なり単純に減らしにくい土木インフラは特に省インフラが必要です。センサードローンを使った新しい点検技術の導入で障害を未然に防いでコストを減らす工夫が始まっています。

また、先の話になりますが、あちこちの集落に住んでいる人々が1カ所に移住して集まれば、そこにインフラを効率的に集中投資できます。人の移住なのでハードルは高いですが、実現できれば、これまで削減できなかった土木インフラの費用を劇的に削減できます。

国民1人ひとりが自分事として関わることが大事

また、公共インフラの老朽化対策といった大きな変革には、必ず「客観的な情報の把握」が重要だという根本さん。行政に対しては、国民の生命や財産に影響を及ぼす重要な情報の公開を求めるとともに、国民もこの問題に対してしっかり関心を持つべきだと語り、海外では日常的である、計画段階からの住民の会議参加を提案しています。

そして、その際には日本の「高齢化社会」がプラスに働く可能性があると根本さんはいいます。知識や経験の豊富なシニア人材は、それぞれが暮らす町の「省インフラ」実現に活躍できると期待しています。

老朽化する公共インフラ。見過ごせないその現状と「省インフラ」の考え方とは
Image: Mugendai(無限大)

決して他人事ではないこれらの問題。根本さんも「新しい施設や道路を造ること、そればかりに目を向けていた政治家を支持していた国民にも責任の一端がある」と指摘するなど、我が身を十分に振り返る必要がありそうです。ご興味のある方はMugendai(無限大)よりぜひ詳細をご覧ください。


Image: Mugendai(無限大)

Source: Mugendai(無限大)

Reference: Amazon.co.jp

渡邊徹則

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