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おつりやポイントによる「投資」はアリかナシか? 〜マネーハック心理学

おつりやポイントによる「投資」はアリかナシか? 〜マネーハック心理学
Image: Kittisak Sirichunsuwan/shutterstock

ITとファイナンス(金融)の融合を意味する「フィンテック(FinTech)」によって、私たちの生活は少しずつ便利になってきています。

その成長株のとして期待されているのが、「おつり投資」「ポイント投資」です。

少額から始められる「おつり投資」とは?

Video: トラノコ /YouTube

おつり投資には、「トラノコ」「マメタス」などがあります。いずれも、毎日のお金の利用ログを取得し、「おつりに相当する金額」を月に1度口座からまとめて引き落とす仕組みです。

トラノコは家計簿アプリ「マネーフォワード」「Zaim」「Moneytree」のいずれかと連携するか、「トラノコおつり補足サービス」を設定することで、マメタスは家計簿アプリ「Moneytree」と連携することで、おつりの金額を計算します。

たとえば「Suica」を家計簿アプリに登録して、100円単位でおつり計算をする設定にした場合、95円のお会計をすると5円のおつりがプールされるというイメージです。

これを1カ月分累計し、月に一度口座からまとめて引き落とします。1カ月分で1万円くらいになることもしばしばですから、これを投資に回すことで、長い目で見た資産形成になります。

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トラノコでは、3つのファンドから自分に合ったものを選ぶ仕様となっている
Screenshot: ライフハッカー[日本版]編集部 via トラノコ

投資先の選択肢も、サービス内でいくつか用意されています。

おつり投資のいいところは、自動的に積み立て投資を継続させることです。金額的にもお会計の端数を積み重ねたような少額になるため、心理的ハードルも低くなります。

口座開設すら不要!「ポイント投資」とは?

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Screenshot: ライフハッカー[日本版]編集部 via dポイント投資

ポイント投資は、買い物等の際に発生するポイントを使って投資体験ができるサービスです。

代表的なのは、NTTドコモのdポイントを利用する「dポイント投資」と、セゾンカードの永久不滅ポイントを貯める「永久不滅ポイント運用サービス」。

あくまでポイントであるため、証券口座を開設する必要がありません。証券口座開設にはマイナンバーの提出などが必要なのでハードルが高いですが、これなら気楽に投資をスタートできます。

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「dポイント投資」では、「アクティブコース」と「バランスコース」を選べるようになっている。株式会社お金のデザインが設定・運用する投資信託の基準価額に連動して増減する。
Screenshot: ライフハッカー[日本版]編集部 via dポイント投資

運用方法の選択肢を選んでポイントを配分すると、実際に投資をしていたら生じたであろう増減がポイントに反映されます。

例えば、株価指数が10%上昇したら、1000ポイント1100ポイントに増えるようなイメージです。いわば、バーチャル投資のような仕組みになっています。

ポイントはクレジットカードやサービスを利用すると勝手に貯まるものなので、「自分のお金を投資した」という気持ちにならないのが最大のメリットです。

最大の価値は「スタートラインに立てる」こと

こうした投資方法は「邪道だ」とネガティブに捉えられがちですが、お金とココロの関係を考えるマネーハック心理学としては、むしろこれをポジティブに考えてみたいと思います。

なぜなら、投資に対するハードルのいくつかを、「おつり投資」や「ポイント投資」が乗り越えるきっかけになるかもしれないからです。

投資において最大のハードルは何かといえば、「知識」でも「株価」でも「購入タイミング」なければ、「投資資金」の準備でもありません。

それは、「口座開設」というアクションを自ら起こし、手続きをするということです。

「なんだそんなことか」と思うかもしれません。でも、「実行」のハードルが高く、動かない方がイージーだからこそ、実行しない人が多数派になってしまう。これは、行動心理学的においても議論となるテーマです。

「現状維持バイアス」*1や「近視眼的損失回避」*2を知ると、いかに人が賢く行動しない生き物かが分かります。

だとすれば、「おつりくらいの金額から投資? おもしろいじゃん」と思っておつり投資のアプリをダウンロードしたり、「たかがポイントくらいなら減ってもかまわないよ」とおもしろがって投資をスタートできるのなら、これに越したことはないはずです。

もし、あなたも好奇心を持ったなら、今すぐ口座開設やサービス登録の手続きをしてみてください。

おもしろいと思ってもすぐに行動に移さなければ、このコラムのことは明日には忘れてしまうでしょう。今すぐ動くことに、意味があるのです。

*1:人は今のままを選好したり、今を基準に判断をしがちなこと

*2:中長期的には価値がある行動であっても、今すぐのガマンが必要である場合に合理的選択をしない

毎月1万円の積み立てでも、将来的に大きな価値となる

仮に毎日10回お会計をして、平均30円くらいのおつりが出たとします。100円未満のおつりをおつり投資に回すと設定しているなら、1日300円が回りますから、1カ月約1万円の積み立て投資が行われることになります。

これは小さいようですが、長い目で見ればけっこう大きな資産になる源泉です。

毎月1万円なら年12万円の投資を行うことになりますが、22歳から40歳くらいまでこれを続けていられれば、18年216万円(元本)が積み立てられます。

もしこの資金が投資を通じて年4%の成績を確保できれば、316万円くらいの資産に育ちます(手数料等は含まず)。

40歳のときどんな人生を歩んでいるかはひとそれぞれですが、このお金を持っているかどうかで、人生の余裕はそれなりに違ってくるでしょう。毎日のおつり程度の金額の積み重ねでも、けっこう大きな差になるものです。

ポイント投資についてはおつり投資ほどのペースになりませんが、それでも投資経験ポイントが貯まります。クレジットカードの引き落としや電子マネーのチャージなどで月10万円使うとして、ポイント還元率0.5%とすれば500円相当のポイントです。

年6000ポイント18年積み立てなら15.8万ポイントにもなります。ポイントをここまで貯め続ける人はいないかもしれませんが、証券口座を開設するきっかけにはなるはずです。

ぜひ、おつり投資やポイント投資をはじめてみてください。もしかしたら、それがあなたの人生を変えるきっかけになるかもしれませんよ。

次のステップは「リアルおつり投資」へ

ところで、「おつり投資」についてはおもしろい動きが見られています。金融庁が支援する実証実験として、トラノコを使った取り組みが採択されたというもの。

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Image: PR TIMES

具体的にはセブンイレブンの特定店舗に「リアルなおつりを投入するおつり投資機」を設置してみるというもの。買い物後におつりを機械に投入すると、トラノコ上に投資金額として反映されます。

今回紹介してきたサービスは、細かいおつりをその都度投資に回すわけではありません。毎回のおつりを1カ月間集計し、まとめて引き落とされるのが一般的です。

しかしこれ、「月1万円の積み立て投資」と実質的にはほとんど変わらないし、引き落としのタイミングには「うわ、結構引かれた」という感覚を持ってしまいます。

おつり投資の理想としては、数十円や数百円のおつりをリアルタイムに引き落としてほしいのですが、システム上の問題もあって「まとめておつり投資」という形に現在はなっています。

それに対して今回の実証実験では、「リアルおつり投資」を味わえます。現金のおつりをその場で機械に投げ込めば、文字通りの「おつり投資」になるからです。

ただ残念なのは、おつりを手にして端末に入金するという「手間」がかかること。これではおつり投資の本来の良さ(=勝手に小さな金額を貯めてくれる)が打ち消されてしまう恐れがあります。

また、電子マネーは使えないので、電子マネーによる利便性を得ている人にとっては、メリットが生じないということになってしまいます。

しかし、今回の実証実験を契機にシステムがアップデートされていけば、コンビニのお会計の時点でおつりを投資に回せるとか、電子マネーの利用でもリアルおつり投資ができるようになるかもしれません。

もしかすると私たちは、おつり投資によって無意識のうちにお金が増え、未来のお金のリスクを軽減する、そんな時代の入り口に来ているのかもしれません。

新しいことが好きな人はぜひ、おつり投資やポイント投資を始めてみてください。


Image: Kittisak Sirichunsuwan/shutterstock, PR TIMES

Screenshot: ライフハッカー[日本版]編集部 via dポイント投資, トラノコ

Video: トラノコ /YouTube

Source: トラノコ, マメタス, dポイント投資, 永久不滅ポイント運用サービス, リアルおつり投資

山崎俊輔

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