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コミュニケーションのズレをなくす「NLP」とは?

コミュニケーションのズレをなくす「NLP」とは?
Photo: 印南敦史

社会生活を送っていく以上、他人とのコミュニケーションは必要不可欠。しかし、わかってはいても、なかなかしっくり会話のキャッチボールが進まないと思えることもあるものです。

そんなときにこそ「NLP」が有効だと主張しているのは、『マンガでわかる! すぐに使えるNLP』(藤川とも子著、日本実業出版社)の著者。かつて心理学を学ぶ過程において、産業カウンセラー資格を取得。その延長線上で、2002年にNLPに出会ったという人物です。

人とコミュニケーションをする際に、発話と文字がありますが、発話の中には、たくさんのメッセージが含まれています。

低い声、小さい声、あるいは、ゆっくりとした話ぶりやそれぞれの個性のある話し方、そして振る舞いなどからのメッセージを、できる限り正確に受け取る方法と発信する方法が、NLPにはあります。(「まえがき」より)

はたしてNLPとはなんなのでしょうか? 序章「これだけは知っておきたいNLPの基礎知識」に焦点を当て、基本的な考え方などを確認してみたいと思います。

NLPの成り立ちを知ろう

NLPは“Neuro Linguistic Programing”の略で、日本では「神経言語プログラミング」と呼ばれているそうです。

N(Neuro)は「神経」ですが、ここでは“五感”を表しているのだとか。私たちは視覚・聴覚・身体感覚・嗅覚・味覚という五感を通じて物事を体験しています。

たとえばカレーライスを食べるときには、視覚や嗅覚で「おいしそうなカレーだ」と感じ、聴覚・身体感覚・味覚も使って味わうわけです。

L(Linguistic)は言語。五感で体験した情報について、言語を使って意味づけして思考するのが人間の特性。

カレーを食べる際にも、「スパイシーな香り」「野菜の歯ごたえがある」などと情報を言葉に変えているということです。

P(Programing)は文字どおり「プログラミング」。人は言語をもとにプログラムをつくり、それにしたがって行動するもの。

そしてプログラムは、その人の感情や行動のパターンとなるそうなのです。カレーが好きな人は、カレーを見たときに「おいしい」「大好き」と感じるプログラムができているということ。

そしてNLPとは、これら「神経」「言語」「プログラミング」三者の関係をもとに、脳と心を活用するための心理学であり言語学なのだそうです。

仕事がうまくいかず、「自分はダメな人間だ」と落ち込んでいる人がいるとします。

自分をダメだと思う思考のパターンを持っているわけですが、そのプログラミングを変えることは可能。すなわち「自分の望む結果を出すために、プログラミングをどのように変えればよいのか」ということを追求し、幸せに生きるために実践するのがNLPという手法だということです。(16ページより)

「地図は現地ではない」

NLPの前提のひとつが、「地図は現地ではない」ということなのだといいます。

たとえば、自宅の最寄り駅からの帰宅ルートを地図に書き出してみるとします。目印になるコンビニや交差点など目印を細かく書き込み、ていねいな地図ができあがりました。

迷わず到着できるくらいの完成度の高さです。しかし、だからといってその地図が現地を表しているとはいえないというのです。もしも家族が地図を書いたら、きっと違ったものになるということがその証拠。

どれだけ詳細につくっても、情報が抜け落ちている部分があったり、道路の長さの縮尺が違っていたり、さまざまな情報が省略されているもの。そもそも地図に載っているコンビニはただの記号であり、実際のものとは異なります。

これが、「実は地図は現地ではない」ということです。私たちは、それぞれのフィルターで世界を認識しています。たくさんの情報の中から、自分の都合で必要なものを選び取っているわけです。(21ページより)

大型のオートバイが走っているのを見たとき、「かっこいいな」と感じる人がいる一方、「排気音がうるさい」と憤慨する人がいたり、「どこまで行くんだろう」と推測する人もいる。

このように、10人いれば10人とも、世界を違ったようにとらえているということ。「一人ひとりが世界を違ったようにとらえている」というところに、私たちのコミュニケーションがうまくいかない最大の理由があるというのです。

上司と部下との関係についても同じ。上司は、最初から細かく口出しはせず、やりたいようにやらせ、うまくいかなかったらアドバイスするのが理想的な指導だと考えているとします。

しかし、一方の部下が、仕事に取り組む前に入念にディスカッションしたうえで、自分のやり方を尊重してほしいと考えているとしたら、すれ違いや衝突が起きる可能性は高くなります。

だからこそ、まずはお互いに別々の地図を持っていることを自覚する必要があるわけです。そのうえで、お互いの地図を理解し合うべきだということです。(20ページより)

すべての行動には「肯定的な意図」がある

NLPでは、すべての行動には肯定的な意図があると考えるのだそうです。人がとっている行動は、なにかしらその人の目的にかなっているということ。たとえば毎朝必ずウォーキングをしている人のなかには、「健康になりたい」「ダイエットをしたい」などの意図があるわけです。

そして、物事が思いどおりにいかない場合も、そこになにか肯定的な意図があるのだといいます。

つい問題を先送りしてしまうとしたら、ぎりぎりまで好きなことに時間を使うことができます。切羽詰まってから取り組むことにより、集中力が高まり、効率的に取り組めるかもしれません。

仕事でミスをするとしたら、責任の重い仕事を回されずに済む可能性があります。また、周囲の人から同情を得ることも可能。一方、仕事を詰め込むと、自分が必要とされていると実感し、自己肯定感を得ることができます。

自慢話をすれば、自分の長所をアピールすることができ、承認欲求が満たされ、周囲からの尊敬を集めることができます。会議などで自分の意見を言わなければ、意見を否定されたり、他人と衝突したりする必要がなくなります。

このように、人は常に状況に応じて最善の選択をしているというのです。だから、うまくいかないことがあっても「そのときはそれがベストだった」ということ。自分の肯定的な意図に気づけば、その意図を満たす別の選択肢を考えることもできるわけです。(23ページより)

私たちはすでに「リソース」を持っている

目標を達成するために必要な要素のすべてを、NLPでは「リソース(資源)」と呼んでいるのだそうです。端的にいえば、リソースとは自分をパワフルにしてくれるもの。知識や経験、技術、お金、人脈、時間などがそれにあたります。

ビジネスであれば、予算が大きかったり、協力者が多かったりするほど、リソースに恵まれているといえます。しかしNLPが重視するのは、リソースをどのように認知しているか、どのように活用できるか。

たとえば仲間がひとりしかいなかったとしても、その人が惜しみない協力をしてくれるのであれば、それは大きなリソースだということ。

すべてのリソースは、人の記憶のなかにあるもの。「旅行で素晴らしい体験をした」「受験のとき勉強をがんばった」というような感動体験や成功体験などは、記憶のなかにある代表的なリソース。

人は、目標を達成するためには、なにか新しいリソースを追加しなければならないと考えがち。しかしNLPでは、人は目標達成のために必要なリソースをすでに持っていると考えるのだそうです。

「なかなか行動できない」という性格も、「慎重に準備して行動する」という特性としてとらえれば、リソースとして活用することが可能。つまりリソースがないと思われるような場合でも、実は自分自身でリソースに気づいていないことが多いわけです。(27ページより)

「五感」は世界をとらえるときの出発点

人は現実そのものを変えることはできません。現実とは、自分が過去に体験した出来事のこと。例を挙げれば、仕事でミスをしてしまったという現実を「なかったこと」にするのは不可能。ただし、そのとらえ方はさまざまです。

「なぜミスをしてしまったんだろう」と落ち込んで後悔しているだけでは、なんの発展性もありません。しかし、「ああいうときには、こうすればよかったんだな。次からは気をつけよう」などと改善点を見つける視点に切り替えれば、未来へ向けて明るい材料を得られるということ。

いわば、現実そのものを変えられなくても、現実のとらえ方を変えることは誰にでもできるわけです。

先にも触れたとおり、人は現実をとらえるときに、視覚、聴覚、身体感覚、嗅覚、味覚からなる「五感」を活用しています。

レストランでなにかを食べているときには、お店の様子や料理を見て、BGMなどの音を聴き、ナイフやフォークを使って食事を味わい、その香りを楽しみます。

五感を通じて得た情報を、脳が受け取って認識(言語化)しているということ。このとき、脳の神経細胞が作業しているからこそ、NLPが「神経言語プログラミング」と呼ばれているわけです。

すべての起点は五感にあり、それは、五感の使い方次第で感情や思考も変わるということでもあります。また、夢や目標を叶えるにあたっても、五感が大きな役割を果たすのだそうです。

そのため、まずは五感を使って、なりたい自分をイメージすることが大切。なぜなら脳は、五感を通してリアリティのある情報を、現実として認識するから。

そのためNLPでは、五感を使った体験やイメージを重視しているのだといいます。(30ページより)




こうした基本を軸として、以後の章ではNLPの可能性と効能がさまざまな角度から解説されています。タイトルにあるとおり、マンガやイラストがふんだんに盛り込まれているので、覚えておきたい知識を無理なく理解できるはず。

コミュニケーションの質を高めるためにも、ぜひ読んでおきたいところです。


Photo: 印南敦史

印南敦史

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