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仕事のロスをなくして信頼される人になる「ミスよけ」の仕組みとは?

仕事のロスをなくして信頼される人になる「ミスよけ」の仕組みとは?
Photo: 印南敦史

⬜︎ 物をよくなくす・忘れる

⬜︎ 遅刻をしてしまう

⬜︎ どんなに確認しても見落としがある

⬜︎ データを管理しきれない

⬜︎ 「話したつもり」「聞いたつもり」が多い

(「はじめに」より)

著者によれば、『ミスよけ大全――失敗を予防するちょっとした仕組み160』(中島孝志著、三笠書房)は、上記のような方のためにまとめられた書籍だそうです。

しかし現実問題として、こういった悩みを抱えている方は少なくないはず。なにしろ、失敗しない人はいないのですから。

ただ、同じミスを繰り返す人がいる一方、「あの人はミスが少ない」と信頼される人がいるのも事実。しかしそれは才能や能力の問題ではなく、どんなミスもちょっとした「仕組み」によって簡単に改善できるのだそうです。

つまり、仕事と人生の「ロス」をなくし、周囲から信頼を得るための秘訣は、この仕組みを理解しているかどうかにあるということ。

そして、そんな意味で本書には利用価値があるのです。「時間・スケジュール管理」「整理整頓」「手帳・メモ・ノート術」…など、全11テーマで160種におよぶ「ミスよけ=失敗を予防するちょっとした仕組み」が紹介されているから。

私はコンサルタントとして20年近くのキャリアを積んできましたが、その知見と経験を総動員して、できる限りたくさんの方法を集めました。

『ミスよけ大全』というタイトルにふさわしい内容になっていると自負しています。(「はじめに」より)

ミスは人から「生産性」「効率性」を奪います。そして毎日のようにミスをしている人は、ミスが少ない人にくらべて大きなハンデを負っているようなもの。

だとすれば、そのハンデをなくすことができれば、人生はより快適に、楽しくなるはず。

そんな本書のCHAPTER 5「タスク処理 ーーやるべきこと、やらざるべきこと」のなかから、いくつかの仕組みをご紹介することにしましょう。

To Doリスト① 「優先順位」を決める

その日の仕事を効率的に進めるために、出勤したらまず最初に「To Doリスト」をつくることから始めようと著者は提案しています。

「きょうすべき仕事はなにか?」「いちばん重要な仕事はなにか?」など、いま抱えている仕事にそれぞれ優先順位をつけながらリストを作成していくわけです。

優先度の高い仕事から順に並べていけば、取り掛かるべき仕事が一目でわかることになります。

1日は誰でも24時間。残業対策が進んで勤務時間が制限されつつあるいま、どうでもいい仕事に取り組む余裕などないはず。

だからこそ優先順位が大切であり、逆にいえば優先順位を無視した仕事はさまざまなミスの原因になるということ。そこでTo DOリストが必要になるのです。

To Doリストは、優先順位を認識するためにあるといっても過言ではないため、仕事中いつでも確認できる場所に置くようにすべき。

著者も、デスク横の小さなホワイトボードに貼りつけているといいます。そうすれば、いやでも目に入るわけです。

また上司であれば、部下にTo Doリストを提出させ、仕事内容の進捗度合いをチェックしておくことも重要。

To Doリストに従って仕事をしていれば、時間内に処理できるかどうかは別として、「電話するのを忘れた」「依頼するのを忘れた」などの「やり忘れ」だけは回避することが可能になります。(98ページより)

To Doリスト② 臨機応変に「入れ替え」を行う

一概にTo Doリストといっても、「なにに書くか」は人それぞれ。手帳派やふせん派、アプリ・ソフト派などに分かれるでしょう。

もちろん基本的には自分に合ったものを選べばOKですが、著者はふせんを使うことを勧めています。なぜなら、ふせんは状況の変化にも臨機応変に対応できるから。

仕事の優先順位は、刻一刻と変化していきます。朝一番ではAという仕事の優先順位がもっとも高かったのに、午後になったらBという仕事を真っ先に処理しなければならなくなったなど、状況が変わることは往々にしてあるもの。

そんなとき、ふせんのTo Do リストであれば、簡単に入れ替えをすることが可能。

1. ふせんに「今日すべき仕事」を書き込む

2. 優先順位の高いものから順に並べる

3. 目に入る位置に貼りつける

4. 臨機応変に入れ替える

(99ページより)

このように、優先順位の高いものから淡々とこなしていけば、時間配分や段取りを間違えることはなくなるはず。

そして、重要な仕事にできるだけ時間をかけ、そうでもない仕事は最低限の時間で片づけるなど、To Doリストを使えばスムースな仕事の進め方が身につくことにもなります。(99ページより)

優先順位は「3つの視点」で判断する

「緊急の仕事が発生したので、ほかの仕事は中断してこちらに取りかかってほしい」というように、仕事の現場では切羽詰まった依頼が飛び込んできたりするものです。

しかし、「緊急の仕事」だからといって、すべての仕事をストップさせ、そちらだけに集中しなければならないものでもありません。なぜなら、緊急な仕事よりも「重要な仕事」を優先すべきだから。

だとすれば、上司やクライアントなどから急な仕事を振られたときには、「いますぐ取りかかるべきか」を自分で判断する必要が生じます。

そこで著者は、そのための3つの判断材料を紹介しています。

1. 時間はどれくらいかかるのか

2. 労力はどれくらいかかるのか

3. リターンはどれだけあるのか

(102ページより)

時間がかなりかかる、あるいは一度始めたらかかりきりにならざるを得ないような仕事には、おいそれと取り組むことができません。

また、労力が必要なのに、結果としてリターンが少ないといった仕事には、なにかと振り回されがちでもあります。

「緊急です」「こちらを先に!」というようなことは、あくまで相手の要望。他人の言うがままに動く必要はないわけです。あくまでも自分の優先順位に従って判断することが大切だということ。(102ページより)

2割の重要な仕事に注力する

言うまでもなく、仕事でミスが起きやすいのはたくさんの仕事を抱えているとき。そんな状況下ではキャパシティを超えてしまい、結局はすべての仕事が中途半端になってしまったりするものです。

あれもこれも完璧にこなすのは不可能ですし、すべきでもないと著者は言います。そんなときには、重要な2割に分割するという方法を使うといいそうです。

たとえば、Webサイトは2割のページにアクセスが集中します。出版界では、2割のベストセラーが全体の売上を支えています。

また、スマートフォンにはたくさんの機能がありますが、ユーザーは全体の2割しか使っていません。(103ページより)

著者が勧めているのは、仕事でもこの法則を生かすこと。つまり、重要な2割の仕事に時間と労力を注ぎ込むということです。

営業の仕事だとしたら、上位2割のお客様に対してできる限り時間と予算を使えば、すべてのお客様に均等に接するよりも大きな成果が出るということ。

そのような理由から、「すべての仕事に全力を注ぎ込む必要はない」と著者は断言しているのです。どの仕事に対しても真面目に取り組むのは、もちろんすばらしいこと。

しかし、自分の力には限りがあるのも事実。そこで、うまくメリハリをつけて仕事の取捨選択をすれば、より大きな成果を出すことが可能になるという発想です。(103ページより)

エメットの法則:「完璧に対するこだわり」を捨てる

「今度にしよう」「時間ができたらやろう」「もっと準備してからやろう」というように、なにかしら理由をつけて、ついつい仕事を後回しにしてしまうことがあるのではないでしょうか?

面倒なことや大変なことは、先送りにしたいと考えるのが人間。しかし仕事を先延ばしにすることは、かなりのエネルギーと時間を消費するものなのだと著者は指摘しています。

そして、そのうえで、ある法則を引き合いに出してもいます。

著述家のリタ・エメットが提唱した「エメットの法則」というものがあります。第1法則は「仕事の先延ばしはさっさとやってしまうより倍の時間とエネルギーがいる」というもの。

第2法則は「『まだ準備ができていない』とこだわっている完璧主義者は何事もさっさと取りかかることができない」というものです。(105ページより)

完璧主義の人はなにかと理由をつけて仕事を先延ばしし、さっさと片づける人よりも倍の時間とエネルギーを消費しているということ。

だとすれば、仕事の生産性など上がらなくて当然です。おのずと、締め切りに間に合わなくなる可能性も高くなるわけです。

そこで、「完璧に対するこだわりを捨てましょう」と著者は提案しています。そして、読者に問いかけてもいます。

「これまでの人生を振り返って、完璧だと思えたことがいままでに一度でもあっただろうか?」と。たしかに、どれだけ準備をして取り組んだことであっても、必ず満足できないところがあったはず。

人間がやる以上、完璧な仕上がりなどはありえないということです。そういう意味においても、仕事を効率的に進めるためには「100%を諦める勇気」も必要だというのです。(105ページより)




本書で紹介されている「ミスよけ」のひとつに、「本や資料は1ページ目から読まない」というものがあります。自分にとって重要な情報から先に確認することが、情報を有効活用するコツだということ。

そのため本書も最初からきっちり読み込む必要はなく、「自分がよくミスしているな」と思うテーマから読んでみればいいと著者は記しています。

そして、それを習慣化できれば、少しずつ、しかし確実にミスをよけられるようになるのかもしれません。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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