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ベッドでも「明日の仕事」が頭から離れないときはどうする? すぐに実践できる「睡眠スキル」

ベッドでも「明日の仕事」が頭から離れないときはどうする? すぐに実践できる「睡眠スキル」
Photo: 印南敦史

かつてないほど頭が冴える! 睡眠と覚醒 最強の習慣』(三島和夫著、青春出版社)の著者は本書冒頭において、睡眠について間違った常識が広まっているのではないかと危惧しています。

眠っている間というのは、ただ「スイッチオフ」になっているわけではありません。 「脳と体を休める」 「成長ホルモンを分泌して骨や筋肉の成長を促す」 「免疫力を高める」 「ストレスを解消する」 「記憶を脳に刻み整理する」 など、脳や体に欠かせないメンテナンスをしているのです。 (「はじめに」より)

しっかりメンテナンスされると、「朝、すっきり目がさめる」「頭が冴える」という質の高い「覚醒」がもたらされるわけです。

いわば「睡眠」と「覚醒」は、一方がよければもう一方もよくなる、逆に一方が悪ければもう一方も悪くなるという、切っても切れない関係にあるということ。

そして重要なのは、何度かに分けてではなく、一度にまとめて眠ることなのだといいます。睡眠時間を削って時間を捻出しようとする方も多いかもしれません。

しかし、やらなくてはいけないこと、やりたいことを優先して余った時間に眠る生活だと、どうしても睡眠が犠牲になってしまうもの。

そうした「睡眠負債」がたまると、仕事は勉強の能率は上がらず、中長期的には病気のリスクが高まることもあるといいます。

「最初に、自分にとって必要な睡眠時間を確保する」ようにすると、質の高い睡眠をとれます。 短時間睡眠法などという非科学的な幻想は捨ててください。

時計は0時から始まるように、一日を「質の高い睡眠」から始める。自分にとって必要な睡眠を、まず一日の始めに確保する。ぜひ、そこからスタートしていただきたいと思います。(「はじめに」より)

睡眠に関する疑問にQ&Aスタイルで答えている5章「ベスト・コンディションに導く実践・睡眠スキル」のなかから、「寝苦しさ」に関する項目を抜き出してみることにしましょう。

ベッドのなかでも「明日の仕事」が頭から離れない

ベッドには仕事や心配ごとを持ち込まない

ベッドに入ってからもあれこれ考えてしまうと、眠りづらくなるのは当然の話。その結果、朝から疲労感に苛まれたり、日中のパフォーマンスが下がってしまったりするわけです。

そこで著者は、(なかなか難しいことかもしれないけれども)寝室には考えごとも仕事も持ち込まないほうがいいと主張しています。

体が眠る準備をはじめる就寝の役2時間前から、脳のクールダウンも始まるもの。そこで、そのタイミングで「オン・オフ」を切り替えるべきだというのです。

つまり夜12時に寝る人であれば、どうしても必要でない限り、10時以降は仕事のことや心配ごとは考えないほうがよいというのです。

なお眠れないときに、寝室で本を読んだり音楽を聴いたりするのは逆効果。活字や音が五感を刺激するとそれだけで覚醒度が高まり、そこに「眠れない」というストレスが加わると、さらに覚醒しやすくなってしまうから。

そしてもうひとつ、寝室に持ち込むべきでないのは「人間関係」。SNSで人とコミュニケーションをとれば、「うれしい」「楽しい」「スルーされてムカつく」など、感情が揺れて覚醒してしまうというのがその理由。

また、それ以前に、スマートフォンの画面(ブルーライトの点滅)を見るだけでも覚醒度は上がることになります。(204ページより)

帰宅が午前様になると頭が冴えて眠れない

短時間でクールダウンするために、心身をゆるめる

普段は夜12時ごろに就寝する人が、夜中の1時に帰宅したとしましょう。そんなとき、いつもは熟睡している時間帯なのに、横になってもすぐに眠れるものではないのだそうです。

なぜなら、直前まで残業でエクセルなどを見ていたり、人と会話していたりと、精神的にホットな状態だから。つまり遅く帰宅したとしても、やはりクールダウンが必要だということ。

そして早く寝つくコツは、とにかくリラックスすること。帰宅したらすぐ着替え、ソファに腰かけるなどラクな姿勢になることが大切だというわけです。

体が眠れる態勢になるためには、手足などから熱を逃がす「放熱」が必要。でも立っているとうまくいかないので、座る、横になるなど、意識的に放熱しやすい状態をつくっていくべきだというのです。

末梢の毛細血管がゆるんで熱が逃げやすくなるようにすると、自然と眠気が訪れるもの。なお深夜に入浴すると覚醒してしまうので、さっぱりしたいならさっとシャワーを浴びる程度にしたほうがよいそうです。(206ページより)

朝まで眠れない日がよくある。睡眠薬を使うべき?

日中の体調から不眠症かどうかを見分け、必要なら医療機関の受診を

治療が必要な不眠症なのかどうかを自己判断するポイントですが、「週に3日以上、夜中に不眠症状があるか」「そのために週に3日以上、日中に眠気などを含む体調不良があるか」「そのような状態が3カ月以上続いているか」のすべてに該当するなら、医療機関では「慢性不眠症」と診断されるのだそうです。

その場合、自然治癒はしづらい状態なので、まずは受診して原因を調べることが先決。そのうえで、睡眠薬を使用するべきかどうかを医師と相談するべき。

しかし一時的な不眠であれば、睡眠習慣を見なおすことで数日から数週間のうちに解消されるといいます。

寝つきが悪くなるような人間関係のトラブルや心配事などがあれば、それが解消されるだけで睡眠も安定しやすくなり、睡眠時間をたっぷりとれば体調もよくなるというわけです。

覚えておきたいのは、「睡眠不足」「不眠」はまったくの別物だということ。また、不眠は睡眠障害という疾患のひとつなので、どちらか判断しづらいというのであれば、著者は受診をおすすめするそうです。(207ページより)

夕食を食べそびれたとき空腹のまま寝るのはよくない?

空腹を我慢すると寝つきが悪くなりやすい

おなかが減った状態で寝てしまうと、空腹感に意識が向きすぎて寝つけないなど、睡眠に悪影響が出てしまうもの。

そもそも食事は体をリラックスさせる行為。たべものが口からおなかのなかに入ると、胃や腸がふくらんでゆるみ、副交感神経が優位になるのだといいます。

ところが腹ペコのまま寝てしまうと、体の緊張が解けません。そのため、空腹感があるのであれば、おなかにもたれないものを軽く摂っておくといいそうです。(208ページより)

夜中、何度もトイレに行くのは不眠のせい?

まず「不眠か他の疾患か」のチェックを

睡眠中に何度もトイレに起きる人は、不眠症が疑われると著者は言います。その状態が何日も続くと、日中にも眠気や疲労感が強くなるなど、不調が表れやすくなるもの。

本当に尿意が強まって目が覚めるのか、目が覚めるからトイレに行きたくなるのか、どちらが先かは自分でも判断しづらいでしょうが、不眠がベースにある場合は後者になるのだそうです。

実際にトイレに行っても尿量がそれほど多くないなら、「不眠症」の可能性が高いということ。逆に夜間の尿量がかなり多い、日中にも頻尿があるなどの場合は、糖尿病や泌尿器系の疾患が問われるため専門の科を受診するべき。

ちなみに、「トイレに起きるのが面倒だから」と、夜に水分をとることを控える方がいますが、そうすると脳梗塞や心筋梗塞など、血管系の疾患のリスクが高まるので、神経質になりすぎるのも考えもの。

トイレの回数にこだわりすぎず、気楽に考えることもまた、対策のひとつだという考え方です。(209ページより)




著者は、睡眠医学の第一人者として数多くの実績を残してきた医学博士。そんな実績があるからこそ、「睡眠に関する書籍は多いものの、『睡眠』『覚醒』をセットで扱っているものがほとんどない」と感じているのだそうです。

そこで、質の高い「睡眠」の重要性を踏まえつつ、ビジネスパーソンにとっての最大の関心事である、しっかり「覚醒」するスキルを併せて紹介したいと考え、本書を執筆したのだということ。

そのため、利用価値の高さも抜群。しっかり眠って日中のパフォーマンスを高めたいという方にとって、大きな力になってくれるかもしれません。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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