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ビズリーチ代表・南壮一郎氏と鈴木康友浜松市長が語る。地方ビジネスの可能性と、浜松でならできること

Sponsored By 浜松市

ビズリーチ代表・南壮一郎氏と鈴木康友浜松市長が語る。地方ビジネスの可能性と、浜松でならできること
(左)株式会社ビズリーチ代表取締役社長・南壮一郎氏(右)浜松市長・鈴木康友氏
Photo: 木原基行

即戦力人材に特化した転職サイト「ビズリーチ」や挑戦する20代のための転職サイト「キャリトレ」を運営する、株式会社ビズリーチ

これまでに80以上の地方自治体と協力し、地方創生における採用コンサルティング事業や事業承継M&Aのプラットフォームの運営なども手掛けています。

創業者で代表取締役社長を務める南壮一郎(みなみ・そういちろう)氏は、中学・高校の多感な時期を静岡県浜松市で過ごしました。

南氏はよく社員に対して、「やらまいか」という言葉を伝えるそうです。

「やらまいか」は遠州(浜松)地方の方言で、「まずはやってみよう」という意味を持つ言葉。その言葉どおり、かつて浜松はベンチャー企業が生まれ育つ素地を持った土地でした。実際、本田技研やスズキ、ヤマハ、河合楽器など、名だたる企業が誕生しています。

しかし、2016年の開業率は全国平均を下回る3.74%。そんな状況を打破しようと始まった取り組みが、「浜松バレー構想」です。

目的は、「ベンチャービジネスを興しやすい環境を整えて、この地が再び起業家精神に溢れるように盛り上げる」

サテライトオフィスの設置や創業希望者が総合的な支援を受けられる体制の構築など、さまざまな施策が功を奏して、徐々に開業率も上向いてきました。

旗振り役の鈴木康友(すずき・やすとも)浜松市長は、政治家として身を立てる前は自ら会社を興した経験もある、今で言うところのベンチャー起業家。

今回は、浜松をベンチャーの聖地にしようと奮闘する鈴木市長と、浜松で青春時代を過ごし、今地方にも目を向ける南氏が対談。

浜松がベンチャーの聖地になるために必要なことや、地方が持つ可能性、地方自治体ができることなど、多岐にわたって語り合ってもらいました。

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市長と南氏はどちらも静岡県立浜松北高等学校の出身。今回の対談は、特別に母校で行われた。浜松北高は県内随一の進学校として知られ、政治、ビジネス、芸能など各分野で多くの著名人を輩出している。
Photo: 木原基行

チャレンジできる雰囲気や空気感を生み出す

──お二人は、浜松北高校のOB・OG同窓会などで面識があったのですか。

鈴木市長(以下、鈴木):それはなかったですね。知り合ったきっかけは、浜松の魅力を国内外に広く発信してもらう「やらまいか大使」を南さんに引き受けてもらったことです。

2015年のことで、私がベンチャーを育成する「浜松バレー構想」を立ち上げた頃。浜松出身の魅力的なベンチャー起業家ということで、お願いをしました。最初にお会いしたときから、前向きな発言しか出てこなかった。エネルギッシュで素晴らしい第一印象でした。

南氏(以下、南):鈴木市長の第一印象は、オープンで明るい。なにより感銘を受けたのは、志です。

「浜松バレー構想」の話を聞いて、率直に「どうしてベンチャーを応援するのですか」と尋ねたところ、「若い力で街をより良く変えて、もう一度、活性化させたい」と熱く語ってくださいました。

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対談を行ったのは「図書室」
Photo: 木原基行

──その志を叶える施策が、「浜松バレー構想」なのですね。

鈴木:「浜松バレー構想」では、起業する環境はもちろん、雰囲気や空気感も醸成していきたいと思っています。昔の浜松には、その空気感があったんですよ。町工場のオヤジだった本田宗一郎氏は、自転車にエンジンを載せてバイクの原型をつくりました。

それが火付け役となり、全盛期には40社くらいのバイクメーカーが誕生しました。チャンスとみれば我先にと創業する気概があったし、それを後押しする環境もありました。今はそういった気概が失われており、危機感を持っています。

浜松の周辺には、成長を牽引してくれる大都市がありません。成長して生き残るためには、自ら産業を興し、その産業を盛り上げる必要があります。その産業は、時代によって異なります。

既存産業を時代に合わせて変革させて強化することも必要ですが、将来を見据えれば、時代に合った産業を生み出すことも重要です。そのため、ベンチャーの育成や誘致を進める「浜松バレー構想」を立ち上げました。

浜松商工会議所や金融機関、大学などと連携してベンチャー企業が総合的な支援を受けられる体制を構築し、起業しやすい環境を整えることで、皆が起業をしたくなる雰囲気や空気感が生まれるのではないでしょうか。

: 「浜松バレー構想」は素晴らしい取り組みだと感じています。歴史をみても、大きな変革はどこか狭い地域から生まれてきました。

例えば、明治維新が長州や薩摩の志士を中心に成し遂げられたのは、彼らが強い絆で結ばれて、互いに背中を押し合っていたからです。もし一人でやろうとしても、なかなか勇気を持つのは難しかったのではないでしょうか。

同じように、「浜松バレー構想」は、起業という志をもった仲間を浜松に集めようとしています。互いに協力して背中を押し合うことで、最初の一歩を踏み出す大きなきっかけになるのではないでしょうか。 浜松から時代を変えるベンチャーが生まれるかもしれないと考えると、ワクワクします。

鈴木:すでにそうした事例も生まれています。浜松を代表するメーカーに勤めていた若い技術者が起業したのですが、悩んでいた彼の背中を押したのが、ベンチャー企業の集まりへの参加。起業している仲間が沢山いる場所で、勇気をもらったのだと思います。

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高校時代はサッカー部で練習漬けの日々を送っていたという南氏。静岡県西部地区の選抜にも選ばれ、後のJリーガーたちともプレーしたそう。
Photo: 木原基行

──浜松市は、市内のベンチャー企業のネットワークづくりで若者の起業マインドを後押ししています。

:確かに、若者が起業するのはいいことです。しかし、若者でなくてはダメなわけではありません。

起業といえば20代が多く、若ければ若いほど良いといった風潮もありますが、年齢は関係ありません。本田宗一郎氏は42歳で本田技研を創業しています。むしろ、会社員として社会経験を積んだ30代、40代の方のほうが成功する確率が高いかもしれません。

30代、40代の起業なら、イントレプレナー(社内起業家)という選択肢もあります。ヤマハ発動機は日本楽器(現ヤマハ)の、トヨタ自動車は豊田自動織機の社内ベンチャーです。

「事業承継」で中小企業を受け継ぎ、再生する

鈴木:ゼロからスタートするのもいいのですが、社内ベンチャーのように土台を活かす起業もある。そういった意味では、事業承継による新しいチャレンジにも可能性を感じています。

──浜松市は 平成30年4月から、 ワンストップの創業支援総合窓口「はままつ起業家カフェ」で、事業承継に関する相談業務を始めました。既存の経営資源を活かした新規事業や、業態転換などをめざす若手後継者向けの事業承継セミナーも開いています。

:浜松市は事業承継に積極的です。ビズリーチでは、事業承継M&Aのプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」を運営していますが、浜松信用金庫さまと事業承継領域で提携しています。

後継者がいない企業を30代、40代が継いで、それまでとは異なるアイデアで経営することも、新しい起業のスタイルではないでしょうか。

鈴木:昔の発想しかできず、殻が破れない高齢の経営者は珍しくありません。新しい経営者が事業を承継し、ベースの企業の技術を使って新しいチャレンジをするのはいいことですね。

「国土縮図型都市」がベンチャー企業を育てる

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Photo: 木原基行

──「浜松バレー構想」に加え、新規事業を見据えた事業承継相談など、浜松市はベンチャー企業にチャンスを与える施策が整っています。行政のバックアップ以外で、浜松という土地が持つビジネス面での強みはありますか?

鈴木:浜松が持つ最大の強みは、やらまいかの精神と外から来た人たちを拒絶しないこと。ヤマハの創業者である山葉寅楠氏も元々は和歌山の出身。スズキの現会長である鈴木修氏は岐阜の出身です。

また、グローバル企業があるので、外国人比率も高い。そういった外の人材や文化を拒否しない気風は、ベンチャー企業と相性がいいはずです。

:浜松の強みは、逆説的に聞こえるかもしれませんが、多くの課題を抱えていることだと思います。ベンチャー企業が事業の核を考えるときに重要視することは、課題を明確にすることです。これが、最も大事であり、難しいことでもあります。

課題を可視化した上で、規制緩和などを行い、課題を解決できる環境を整備する。その上で「この課題を解決できる技術やアイデアがあれば、手を挙げてください」と発信する。

そうすれば、課題を解決したいという思いの強いベンチャー企業は、自ずと集まってくるはずです。鈴木市長は、そのアピールがとても上手です。

鈴木:12市町村が合併した浜松市は、日本で2番目に広い市です。総面積1558平方キロメートルは伊豆半島を超えており、都心部から中山間地域、海まで網羅しています。そのため、国土縮図型都市とも称されており、日本の自治体が抱えるさまざまな課題が集約しています。

その課題を解決するために行っているのが、さまざまな実証実験です。例えば自動運転なら、ソフトバンクの子会社であるSBドライブとスズキ、遠州鉄道と組んで、次世代交通システムの事業化に向けた実証実験を始めています。

中山間地域では、ドローンの実証実験が進んでいます。これは、浜松医科大学とイームズラボ、そして浜松市が「浜松ドローン・AI利活用協定」を締結し、医薬品等の運搬実証実験を実施するというもの。

今は、個人宅にも配達できるような仕組みを整えるべく、遠隔服薬指導ができるように特区提案をしているところです。

また、浜松は農業や林業といった第一次産業も盛んです。この分野に経営感覚を持った人材が参入して、休耕地を含めた土地、生産手段を集約すれば、成長産業化しやすい。

そこに、IT技術で水や肥料、温度などを管理するアグリテックを導入すれば、生産性は飛躍的にアップして、年商1億円くらいの農家はすぐに生まれます。

林業も労働集約型の前近代的な産業ですが、浜松ホトニクスの元研究者の起業家が立ち上げたベンチャー企業が、乾燥技術に光を応用できないか取り組んでいます。

:課題先進地域だからこそ、新しい技術を試すチャンスがある。技術者だけでなく、先端技術を持っている企業こそ、浜松のような地方に展開する意義があると感じますね。

鈴木:行政の仕事は、規制を緩和したり環境整備をしたりすること。それによって、ベンチャー企業が、自らの技術やアイデアでいろいろな取り組みをしやすくなればいいと思っています。

「ものづくりベンチャー」と相性がいい浜松

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Photo: 木原基行

──課題先進地域である浜松は、どのようなベンチャー企業、起業家を求めているのでしょうか。

鈴木:ITの技術を駆使してバラバラの情報を集め、それを幅広く発信するビジネスモデルは東京の方が向いている。それこそ、南さんのビズリーチは、浜松でやる必然性がない。市内の企業と組むなど、外から応援してもらえるとありがたいです。

一方、浜松で強みを発揮できるのは、やはりものづくりベンチャーでしょう。浜松にはヤマハやスズキといった大企業が多数存在します。

例えば、ヤマハは音楽だけでなく、音の持つ可能性を医療や教育にも広げようとしています。

スズキは来るべきEV社会、自動運転化を見据えている。そして大企業は、すべて自前主義でやる限界にも気づき始めています。

先日、トヨタの役員と話をする機会がありました。彼らはベンチャーとも組んで新しいアイデアや技術を貪欲に取り込もうとしています。

これからは、日本のすべての大企業がそういったスタンスになるでしょう。浜松は大企業と取引をしている技術力のある中小企業も多いので、ものづくりベンチャーにとってはチャンスに溢れた楽しい場所になるはずです。

:浜松は研究開発型のベンチャー企業に向いていると思います。行政のバックアップや大学などの教育機関も充実しているし、何よりも高い技術力を持った企業が多い。

ドローン、ロボティクス、医療テクノロジーといった最先端分野で成功事例が生まれれば、それが旗印となり人が集まるでしょう。

あとは、市長も仰ったように大企業とベンチャー企業のコラボレーションにもチャンスがあります。どの大企業も、若い会社・小さい会社から技術やアイデアを吸収し、自分たちの基礎技術にどう生かせるのかを積極的に考えています。

東京には数多くのベンチャーがあるので大企業に見出されるのも大変ですが、浜松はまだライバルが少ないのも魅力的です。

地の利がある浜松は二拠点居住にぴったり

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Photo: 木原基行

──浜松で起業をすれば、必然的にこの地に居を構えることになります。浜松が持つ住みやすさの魅力はなんでしょうか。

:市長もおっしゃいましたが、 外から来た人たちを受け入れてくれるところですね。私は海外からの帰国子女でしたが、すんなりと馴染むことができました。

あとは、自然が豊かなところも気に入っています。都市の規模としては大きいのですが、少し足を伸ばせばサーフィンができる。政令指定都市でサーフィンができるのは、浜松と福岡くらいですよ。都市機能と自然のバランスがいいですよね。

鈴木:サーフィンが好きだったり、自然豊かな生活に憧れたりして、浜松で起業する人もいるくらいです。

ご飯も美味しい。僕は鰻が好きです。みかんも実家から送ってもらっています。最近では浜松餃子やフグも有名になりましたね。

鈴木:遠州灘は天然トラフグが獲れます。これまでは下関の市場に送っていましたが、最近は浜松名物として売り出しています。

魚ではかつお。4月から5月頃に味わえるもちがつおは、モチモチした歯ごたえが独特です。日持ちがしないため浜松でしか味わえません。夏になると鱧(はも)も美味しい。浜名湖の生しらすや牡蠣もオススメです。

自然、食べ物、あとは地の利。東京と大阪のど真ん中だし、名古屋にも近い。新幹線で品川まで1時間20分。そこから20分で羽田空港に着きます。中部国際空港にも90分で着く。

これは、ビジネスにおいてもメリットです。リニアが開通したら、東海道新幹線はあえて停車駅を増やす可能性が高いと思っています。そうなると、さらに交通の便が良くなります。

:国はリモートワークや副業、兼業を推し進めています。そうなると、二拠点居住も増えるのではないでしょうか。週の半分は東京で、残りの半分は浜松でサーフィンなんて楽しそうです。

働く拠点をどこにするのかを考えることは、働き方改革の大きな焦点。通信技術やVR(ヴァーチャルリアリティ)技術の発達により、働く場所は自由になります。仕事場と住まいが近いという常識も、この先10年で大きく変わっていくはずです。

鈴木:テレワークが普及すれば、必ずしも東京で働く必要はなくなります。浜松市では、浜名湖が一望できる浜松市舞阪サテライトオフィス」を開設するなど、浜松で働きやすい環境の整備も進めています。

浜名湖でマリンスポーツを楽しみながら仕事をすることもできるので、是非活用して欲しいですね。

起業はキャリアのなかにあるステージのひとつになる

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Photo: 木原基行

──最後に、起業を志すビジネスパーソンにアドバイスをいただけますか。

鈴木:私は国政から地方自治に転じたのですが、市長選に出馬するときは、負けたら政治家として終わりという危機感がありました。その時、妻に言われたのが「命を取られるわけじゃあるまいし」

起業も似たところがあるのではないでしょうか。戦国時代じゃないのだから、失敗しても命は取られない。そう考えて、思い切って一歩踏み出すことが重要だと思います。

:市長が仰ったとおり、起業で失敗しても死ぬことはありません。失敗して再就職を考えたときでも、雇用の流動化が進むこれからの世の中では、起業にチャレンジして何かを学んだ人のほうが評価は高い。

海外では「アントレプレナースピリッツ」といって、雇用条件で重要視される項目のひとつ。これはまさに「やらまいか精神」です。

これから、人生100年時代が訪れます。そのとき、社会保障の制度などから考えると、80歳まで働き続けることがあり得るかもしれません。僕は今42歳ですが、残り38年もある。長い期間、働き続けるということは、いろいろなステージがあるということ。

清水の舞台から飛び降りる覚悟で、起業やベンチャーへの参加を決めたという話をよく聞きますが、人生100年時代ではそんな大げさな話ではなくなります。

起業は、キャリアのなかにあるいろいろなステージのひとつ。自分が課題だと思うことにチャレンジするステージだと考えるべきです。




鈴木市長と南氏のお話を伺っていると、人生100年時代には、起業が持つ意味が変わってくることに気付かされます。

「30・40代だからこそ成功する」という南氏。「人生100年時代の30・40代は、まだまだ先が長く可能性にあふれている」という言葉には、R30ベンチャーも勇気を貰えるのではないでしょうか。

その起業を後押しする施策を推し進めるのが、鈴木市長です。浜松市はその面積の広さなどから、さまざまな種類の課題を抱えています。一見、大きなデメリットに感じますが、その課題をベンチャーが持つアイデアやテクノロジーの力によって解決しようとしています。

浜松はものづくりの街。大企業も存在しています。そのリソースを活用することで、有望なものづくりベンチャーが生まれるはずです。「浜松バレー構想」は、ベンチャーの誘致や産業育成だけでなく、地方の課題解決モデルとしても実積を残すかもしれません。

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Source: 浜松市

Photo: 木原基行

林田孝司

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