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30代以上で起業するメリットとは? 浜松市が「R30ベンチャー」に適している理由

Sponsored By 浜松市

30代以上で起業するメリットとは? 浜松市が「R30ベンチャー」に適している理由
Photo: 木原基行

ある程度の社会人経験を積み、次のキャリアへのステップアップが視野に入る30代

それと同時に、結婚や出産などライフステージの変化が起こることも多いこの時期、「起業」という選択肢は魅力的でありながらも、リスクと捉えられがちです。

静岡県浜松市は浜松バレー構想を掲げ、シリコンバレーのような起業の街を目指し、さまざまな起業支援の取り組みを行っています。

昨年から、ライフハッカー[日本版]では浜松で活躍する起業家たちを紹介してきましたが、彼らに共通していたのは、いずれも30代以上での起業であるということ。

浜松の生活環境の良さと「ものづくりの街」特有のビジネスチャンスとの両立が、30代以上の起業家を惹きつける魅力となっているようです。

そこで、30代以上での起業をライフハッカーでは「R30ベンチャー」と名付け、これから全5回にわたって浜松市とR30ベンチャーに関する連載を行っていきます。

今回は浜松を舞台に30代で「起業」や「第二創業」に挑戦した経営者3人の鼎談(ていだん)を実施。 職種も経歴もさまざまな3人に、30代で起業するメリットや浜松という土地の魅力について、本音で語ってもらいました。

三者三様の理由で浜松を選んだ「R30ベンチャー起業家」

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(左から)株式会社PrmaCeed(プレマシード)代表取締役・岩田彰人(いわたあきひと)氏、株式会社ピアックス代表取締役社長・小原林太郎(おはらりんたろう)氏、リンクウィズ株式会社代表取締役・吹野豪(ふきのごう)氏
Photo: 木原基行

── 岩田さんが経営するPrmaCeed(プレマシード) は東京を拠点に自社メディアの運営や企業のメディア化支援、ネット広告の運用代行などを行っています。3人のなかで、岩田さんだけが浜松市の出身ではありません。事業内容からすると浜松との関わりは薄く感じますが、どういった縁から浜松で事業を始めたのでしょうか。

岩田彰人氏(以下、岩田):確かに、僕は浜松には縁もゆかりもありませんでした。東京出身で東京育ち。本社も東京ですね。

浜松との縁は、以前、合同会社simpleA前代表の金城さんとお仕事をご一緒したことが始まりです。

彼から、浜松市がベンチャー企業誘致を積極的に始めることを聞いたのですが、正直に言えば、「とりあえず、浜松は良いところだから飲みにおいでよ」という軽いノリで誘われたのがきっかけでした(笑)。

飲みの席とはいえ、実際に話を聞くと、ビジネスチャンスがありそうな予感がしました。

PrmaCeedは、メディア運用と広告運用を行っています。最初は、制作・運用部署を浜松に移せば人件費が抑えられるのではないかと考えました。

しかし、浜松は製造業が充実しており、給与の中央値を見ると東京と大きくは変わらない。人件費という面では、あまりアドバンテージがないことがわかりました。

一方で、家賃が安かったり、生活環境が良かったりするメリットがあります。また、東京にも名古屋にも近い地の利もある。なにより惹かれたのは、 一般的には知られていないが、面白い企業が沢山あることです。

私自身、浜松といえば「ヤマハ」や「河合楽器製作所」「スズキ」などBtoCの大企業しか知りませんでした。しかし実際は、それらの大企業を支える中小企業が、山ほどあります。

そのなかには、ものづくりの技術を活かして、医療・宇宙・航空などさまざまな分野で活躍し、世界的なシェアや独自の高い技術を持っている企業も多い。残念ながら、一般には、ほとんど知られていませんけどね。

── そこにビジネスチャンスがあると感じたのですね。

岩田:PrmaCeedはインターネットを使って情報を伝えるのが仕事です。

もしかすると、浜松のものづくり企業の存在を外に伝えることで、スタートアップを始めとしたさまざまな企業とつなげることができて、そこになにか新しくて面白いことが生まれるかもしれないと考えました。

そこで、 PrmaCeedの浜松事業所「Hamamatsu Lab.」を立ち上げたのです。

「Hamamatsu Lab.」では、浜松の工業技術を中心に、農産物から観光まで、広く「優れたヒト、モノ、コト」を探し、発信する作業を行っています。

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リンクウィズ株式会社代表取締役・吹野豪氏
Photo: 木原基行

── 吹野さんは浜松の出身ですね。カナダへの留学や東京への就職を経て、浜松でリンクウィズを起業しました。ロボットというハードウェアをより良く使うためのソフトウェアを提供するベンチャーですが、なぜ起業の地として、ビジネスチャンスが豊富な大都市ではなく地元浜松を選んだのでしょうか。

吹野豪氏(以下、吹野):リンクウィズは英語版のサービスしかやっていません。英語版をベーシックにして、日本語版はローカル版と位置づけたほうが開発をしやすいのです。

グローバルな視点からすれば、別に東京である必要はありません。「東京か浜松か」といったことは、あまり考えませんでしたね。

世界を見据えるという意味では、創業当時のヤマハ発動機や本田技研も同じだったのではないでしょうか。今は両社ともグローバル企業です。

そうした大企業の存在もあってか、浜松に住んでいるとグローバルな視点が身につくのは当たり前な気がします。

── グローバルな視点なら、「浜松にこだわる必要はないのでは」とも感じますが。

吹野:浜松を選んだのは、ロボットのソフトウェアを開発するスタートアップとして、ものづくりの街である浜松は相性が良いと感じたからです。これからの製造業は、ロボットによる省人化は大きなテーマですからね。

もうひとつは"故郷"だったから。カナダに留学中、祖父が亡くなったのですが、急なことで葬儀に間に合わなかった。故郷で働いていれば、そんなことはありません。

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株式会社ピアックス代表取締役社長・小原林太郎氏
Photo: 木原基行

──小原さんは、創業以来浜松に拠点を置き、50年以上の歴史を持つ木工塗装の会社であるピアックスの代表取締役社長です。岩田さん吹野さんと違い、先代の会社を引き継いでさらに発展させた、「第二創業」という表現がしっくりくると思います。

小原林太郎氏(以下、小原):そうですね。私は東京でのサラリーマン生活を経て、26歳の時に祖父が創業したピアックスに入社しました。

若い頃は家業を継ぐつもりはなかったのですが、ピアノの鏡面塗装という浜松独自の技術にチャレンジしたいという気持ちが高まり、浜松に戻ってくることを決めました。

最初は仕事や技術を覚えることにがむしゃらでした。でも、30歳を過ぎた頃から「経営のことまで考えなければ、先がない」という危機感を感じるようになりました。

ピアノの生産台数は1980年頃がピークで右肩下がり。ピアノ塗装だけでは採算が合わなくなり、1986年に家具業界にも進出しました。

31歳で常務取締役に就任してからは、当時社長だった父にも会社のビジネスモデルについて意見をするようになり、祖業であるピアノ塗装から撤退する決断を下しました。

今は、家庭用家具だけでなく、商業施設や公共施設などの什器の塗装などを請け負っています。

吹野:実は、私がサラリーマンだったとき、小原さんにお仕事をお願いしたことがあるんです。ある自動車メーカーのノベルティで高級ミニカーを作っていたのですが、その台座に高級感を持たせるためにピアノ塗装をお願いしたのが、ピアックスさんでした。

さまざまな仕事を経験して、本当にやりたいことが見えてくる30代

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株式会社PrmaCeed(プレマシード)代表取締役・岩田彰人氏
Photo: 木原基行

── 小原さんは30歳を過ぎて、経営についても考えるようになったと仰いました。吹野さんも岩田さんも、30代での起業です。30代で起業する強みについて、どのように思われますか。

岩田:20代の若さで起業すれば、勢いで進められる反面、経験が足りない。50代で起業すれば、経験や人脈はあってもパワーや熱意が足りない。そのバランスが取れているのが、30代なのではないでしょうか。

小原:30代は20代の経験を踏まえて、本気でやりたいことがわかってくる年齢だと思いますね。

吹野:私の場合、20代後半くらいまでにサブアシスタントやマネジメント、プロジェクトリーダーなどを一通り経験できたおかげで、自分になにが向いているかがわかりました。

だからこそ、起業ができたのだと思います。20代のときは、自分が本気でやりたいことに自信がもてなかった。

──30代で家族を持っていると、20代よりも起業に慎重を期すことになると思います。そのあたりの不安はありませんでしたか。

吹野:私の場合、私も妻も両親が自営業だったので、起業に対して反対はありませんでした。もちろん、創業時の資金繰りは大変でしたが、浜松は東京よりもオフィス賃料が安い

浜松は約30平米のワンフロアで月5万円くらい。東京で起業した同世代は「オフィス賃料が高いから、そのために売り上げを上げなくてはいけない」と苦労していました。

小原:オフィス賃料もですが、家賃も東京より断然、安いですよね。2/3くらいのイメージです。

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浜松市舞阪サテライトオフィス。窓からは目の前の浜名湖が見渡せる
Photo: 木原基行

── 今回、鼎談場所として選んだ、ベンチャー企業などが利用できる浜松市舞阪サテライトオフィスも、最も安い部屋は4万2400円(市外からの進出企業はさらに半額)からですね。その他、浜松で起業する魅力はありますか?

小原:私の考える浜松の魅力は「多様性」です。新しい製品に挑戦するとき、浜松ならほぼ地域内ですべての部品を揃えられます。

「ヤマハ」や「スズキ」「浜松ホトニクス」といった、さまざまな業種の大手メーカーがあるので、下請けの中小企業も多岐にわたる。欲しいと思ったパーツは、大概手に入れることができますね。

吹野:ものづくりに深く関わるロボットのソフトウェア開発を行う弊社にとっては、現場が近いことが一番の利点です。困りごとがダイレクトに見えてくるからです。

人口減少社会において、現場はものづくりが続けられないのではないかという危機感を抱いています。ロボットの開発も、人手不足という困りごとの解消が大きい。

一方、東京は便利すぎる。便利だから、こんなものがあったらいいなという製品は作れても、これがないと困るという製品は生まれません。困りごとを解決する製品を作り出すチャンスは、浜松のような地方都市にこそあると思っています。

岩田:私の会社はものづくりベンチャーではありませんが、ビジネスの基本は同じだと思っています。それは、吹野さんが話した「困りごとの解決」。浜松では、東京では見えてこない困りごとが肌感覚でわかるメリットがあります。

ただ、そのためには浜松という土地に溶け込まないといけない。地元に根を張ってこそ、そうした情報を得られると思うので、私たちも現地に「Hamamatsu Lab.」を開設しました。これは浜松が閉鎖的という話ではなく、近くにいた方が情報を得られやすいという機能的な話。

離れた場所から表面上の情報をなぞっても、東京目線の普通のサービスしかできません。

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Photo: 木原基行

吹野:浜松には、なにかを新しく始めようとする人間を受け入れる姿勢があると思います。実際、成功されている社長さんには浜松出身じゃない方が多い。

僕の場合は新オフィスに移転したときに、浜松近隣に本社がある大企業から、オフィス機材を寄付していただきました。そういったバックアップはありがたかったですね。

── 会社が軌道に乗り始めてからは、吹野さん自身もベンチャーのバックアップをしていると伺いました。

吹野:私の場合、軌道に乗る、乗らないは関係なく、あるものは共有していこうという気持ちです。プログラマーでもあるので、有益なソースコードは皆で共有するといった最近の風潮も関係していると思っています。

具体的には、同年代のベンチャー経営者同士が立ち上げたベンチャーコミュニティ『Hamamatsu Venture Tribe』に携わっています。

ベンチャーが集まって情報共有をしたり、困りごとがあったら助け合ったりする場です。30歳前後のUターン・Iターン人材や中小企業・大手企業の中にいる実力派人材に向けてのプロモーションも行っています。

また、学生にも参加してもらって、金曜日の夜から日曜日までの54時間で仲間づくりをしながらアイデアのプロトタイプを作りあげる『Startup Weekend 浜松』のお手伝いもしています。

※『Startup Weekend』は、全世界で4500回以上開かれ、36万人以上が参加しているスタートアップ実践イベント。

岩田:僕が東京で営んでいる広告代理業やメディア業は、ライバルも多くシェアの取り合いになりがちです。

一方、浜松は東京ほどスタートアップの経営者は多くない。もちろん、競争はあるのですが、相手を見ているというよりも、自分と向き合って技術を高める研鑽を積んでいる印象です。

浜松で生活すると、東京の満員電車通勤には戻れない

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Photo: 木原基行

── 「生活」の拠点という視点では、浜松はどのような土地でしょうか。東京と二拠点生活を送る岩田さんは、どのように感じていますか。

岩田:浜松に来て感じたのは、地方でも経済が回っているということ。当たり前のことなのですが、世界でも有数の消費地で華やかさに溢れる東京で暮らしていると、経済は東京だけで回っているような錯覚に陥る。

地方は仕事がないとか、シャッター商店街ばかりとか、夜は人がいなくなるとか、ステレオタイプの印象を持ってしまいがちです。

しかし、浜松には自動車産業を中心とした産業があり、仕事でも生活でも確固たる経済圏が成立しています。実際に暮らしてみると、仕事もあるし、生活に不便もないことが分かりました。

生活に関していえば、東京よりも豊かな暮らしができますよ。ワークライフバランスが取れています。車で少し走れば、マリンスポーツもハイキングも楽しめる。ゴルフ場も近くて気軽に行けるので、僕はこっちに来てからハマりましたね。

多趣味になって遊興費が掛かると思われがちですが、東京に比べると単価が安いのも助かります。あとは、満員電車での通勤がないことですね。うちの会社のスタッフは、浜松で仕事をした後は、東京の満員電車に辟易しています(笑)。

小原:私は気候の良さが気に入っています。暖かくて雨が少ない。

吹野:暖かくて雨が少ないから、外で遊びたくなりますよね。ベンチャー系の経営者には、サーフィン好きも多いですよ。

実は僕もサーフィンが趣味。サーフィンがてら、情報交換会になることもあります。そういえば、この「浜松市舞阪サテライトオフィス」も、目の前にある浜名湖で、マリンスポーツが楽しめることを売りのひとつにしていますね。

── 浜松の食の魅力について教えてください。

吹野:浜松と言えば鰻というイメージがあると思いますが、浜松の魚は新鮮でどれも美味しいですね。

小原:鰹が美味しいですよね。

岩田:浜松に来てから、鰹をよく食べるようになりました。結構安い居酒屋でも、普通に刺身が美味しいです。

吹野:東京だと鰹はタタキにして食べることが多いけど、浜松の人にタタキなんか出したら怒られちゃいますよね(笑)。

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舞阪サテライトオフィスのすぐ近く、浜松・弁天島の「浜菜坊」で食べられる、鰹の刺身と生しらす丼
Photo: 木原基行

起業に失敗しても死ぬわけじゃない

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Photo: 木原基行

── 最後に、浜松に興味を持って、30代で起業を考えているビジネスパーソンにアドバイスをお願いします。

小原:浜松は首都圏からも近いし、気候が温暖で暮らしやすい。自然も多く、アウトドアが趣味ならワークライフバランスも取りやすい。現に、そうした理由から浜松を選んで起業するベンチャー経営者も増えています。

吹野:昔に比べれば、起業が浸透してきたと感じています。私が就職した13年前とは状況が異なります。

今は、大学生でも起業しますよね。そのくらい身近になってきているのだから、やりたいと思ったら自分の力を信じて行動すべきです。失敗したらまた働くといった軽い気持ちでいいのではないでしょうか。別に死ぬわけじゃない(笑)。

岩田:僕も同じ意見です。20代の経験をもとに30代で自分の力を試してみたいと思ったら、やってみるべき。

やらないで後悔するくらいなら、やって失敗したほうがいい。失敗しても、これからは人手不足の時代。再就職は昔ほど難しくないはずです。




20代で社会人経験を積んで、次のステップを考え始める30代。

「いくつかのフェーズを経験したからこそ、自分に向いている仕事、本当にやりたい仕事が見えてくる」という発言には、納得させられるものがありました。

3人とも、サラリーマン生活を経て、今は自分がやりたいことをやっているという共通点があります。安定した仕事を辞めるのには勇気がいりますが、「30代なら再就職は難しくない」と踏み切るエネルギーにも感心させられました。

「浜松は現場が近いので、解決すべき本当の困りごとが見えてくる」。

浜松市は全国2位の面積を持ち、さまざまな種類の課題を抱えています。これは、日本の課題の縮図といってもいいでしょう。

岩田さんは、「浜松で成功したら、そのビジネスモデルを全国の地方都市に当てはめられるかもしれない」と語ります。

「課題が多い」と聞くと普通は腰が引けますが、ことビジネスにとってはチャンスの塊。

なにより、浜松で起業をすると、オフィス賃料や生活費を抑えつつ、ワークライフバランスが取れた働き方ができる魅力もあります。

もしかすると、今後、世界を驚かす新しいものづくりベンチャーが浜松から生まれるかもしれないと感じさせられる鼎談でした。


Photo: 木原基行

Source: 浜松市

林田孝司

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