着陸前の激しい揺れが心配? 安心してください、パイロットの想定内です
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飛行機が苦手な人は、乱気流と聞くだけでぞっとするかもしれません。
特に、着陸直前の乱気流は最悪です。激しい揺れや衝撃に恐怖を感じるでしょう。でも、ご安心を。パイロットはきちんと対応できるよう訓練されています。
パイロットのShannon Pereiraさんが、The Points Guyでのインタビューに対し、天候に関連する着陸の問題について語っています。
見ていると非常に怖いですが、Pereiraさんはこのような着陸でも心配は無用と語っています。
次回のフライトが揺れても怖がらなくて済むように、何が起きているのかを知っておきましょう。
1. 横風
空港でよく問題となるのが離着陸時の横風です。
ただ、横風時はパイロットがクラブと呼ばれる操縦をするため、乗客が横風に気づくことはほとんどありません。クラブとは、滑走路に平行に入るのではなく、ラダーを使って機首を風上方向に向けて進入すること。
着陸時、主着陸装置が先に着くように機首を上げると同時に、ラダーを使って滑走路の中央線に沿って飛行します。エンブラエルE190を操縦するPereiraさんにとって、クラブはほぼ日常の行為。
「着陸装置に横方向の負荷をかけたくないと思うかもしれませんが、航空機はちゃんとそれに耐えうる設計になっています」
外から見るとかなり力技に見えますが、乗っている人からは比較的スムーズに感じられるため、ほとんど気づくことすらありません。
2. ウインドシア
これに対し、ウインドシアは「落ちるような感覚」がするため、恐怖に感じられるかもしれません。これは風速が急低下するために起こる現象で、地面に近いほど危険度が高いように感じられるでしょう。でも、心配しないで。パイロットは、きちんと対策を知っています。
ウインドシアが報告されている場合、パワーを上げ、フラップを浅くして、速度高めで進入します。
1993年以降、米国の商用機には、ウインドシア警告システムが付いています。パイロットはこれを頼りに、「マイクロバースト」と呼ばれる危険な現象を回避しています。
3. マイクロバースト
マイクロバーストとは、狭い範囲で下降気流が発生すること。
このマイクロバーストが原因の事故は、過去にいくつか発生しています。この下降気流が地表に当たると、風速が急激に変化します。
そこを航空機が通過すると、「激しい下降気流のあとに追い風」がやってきます。どちらも予測が難しく、どこからともなく発生するため、経験豊富なパイロットでさえ機体の制御ができなくなることがあるのだそう。
とはいえ、そんなマイクロバーストにもテクノロジーで対処できるのでご安心を。
航空管制室は低空ウインドシア警告システムを備えており、着陸エリア周辺でのマイクロバーストの発生を予測しています。さらに、最新の天候情報をパイロットと共有しています。
パイロットは管制室と連絡を取ることで、離着陸時の事故を未然に防いでいるのです。
さらには、安全な着陸ができない状況を想定した非常事態計画をしっかりと叩き込まれています。それは「ゴーアラウンド」と呼ばれる方法で、その名の通り、着陸できなければ再び浮上します。
シミュレーターでかなりの訓練を積んでいるので、実際にゴーアラウンドの機会が来たら躊躇することはありません。着陸したいのはやまやまでも、そうしなければならない理由があるのですから。
揺れるフライトでパイロットが着陸を遅らせて周回をはじめても、パニックに陥る必要はありません。彼らはあなたを衝撃から守るために、あらゆる対策をしてくれているのです。
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Image: Senohrabek/Shutterstock.com
Source: The Points Guy, YouTube
Aimée Lutkin - Lifehacker US[原文]
訳: 堀込泰三
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