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子どもが生まれて4年で4回引越し。キャリアを変えても今が一番幸せ:ニック・ファーショさんの子育てハック

子どもが生まれて4年で4回引越し。キャリアを変えても今が一番幸せ:ニック・ファーショさんの子育てハック

敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ子育て術「HOW I PARENT」シリーズ。今回は子育て中の父親のためのポッドキャスト「Paternal」を立ち上げ、自身でホストも務めるニック・ファーショさんの子育て術です。

ニック・ファーショさんって何をしている人?

子どもが生まれてから、ニック・ファーショ(Nick Firchau)さんは、「自分はいったい何をしているんだろう」と思いながら毎日暮らしていたそうです。

子育てのガイダンスが必要なのに、子育ては男性の間では共通の話題ではないことに気づいたので、それまでベテランスポーツジャーナリストだった彼は、自分が聞きたいと思う「パパのためのポッドキャスト」的なものを立ち上げることにしました。

Paternal」と名付けられたそのポッドキャストで、ファーショさんは、アメリカサッカー界のスターシアトルの先駆者的DJプロバスケットチームのニューヨーク・ニックスの選手ご愛用の理容店主などあらゆる種類の父親たちと率直で踏み込んだ会話を展開させています。

話題は、トランプ政権下でアフリカ系の子どもを育てることから、父親不在の家庭に育つ少年たちの複雑な感情まで、多岐にわたります。

インタビューを収録しながら、ファーショさんは、ここで学んだ教訓や洞察を自分の家族にどのように応用できるだろうといつも考えているそうです。そんなファーショさんの子育て術を聞いてみました。

氏名:ニック・ファーショ

居住地:コロラド州ロングモント

職業:男性であること、男性らしさ、父親であることを語るポッドキャスト「Paternal」のホスト兼プロデューサー

家族構成:妻のジャスミン(結婚6年目)、息子のナサニエル(4歳)、娘のウィラ(2歳)


──最初に、家族とキャリアについて。ここまでの人生は概ね計画通り?それとも予想外のことが多かった?

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Photo: Courtesy of Nick Firchau

妻と私は2人とも33歳のとき結婚しました。当時はどちらもニューヨーク市でメディアの仕事をしていました。

周囲のカップルは私たち同様、キャリアに集中していて、家庭を築くことを急いでもいなければ、はっきりと考えてもいませんでした。

私たち夫婦は親になりたいと思っていたので、最初の妊娠は計画的なものでしたが、ニューヨーク市のライフスタイルが子育てに向いているかどうかわかりません。当時の住まいはブルックリンの人気のあるバーの上にあったので、子どもを寝かしつけようとしているとき、お酒を飲んだりタバコを吸ったりいちゃついたりする人たちが入口にたむろしていました。

私は、1980年型のシュウインの自転車でドラッグストアにオムツを買いに行ったり、ベビーカーに乗せた息子を寝かしつけるために雪のプロスペクト公園を何マイルも歩いたりしました。その後、カリフォルニアに引っ越し、さらにシアトルに移ったときに娘が誕生しました。

将来性のある仕事に就ける都市部に住むこととコミュニティを作ることをうまくバランスさせるのは至難の業だったので、息子が生まれてから4年の間に4回も引っ越しました。本当に疲れましたが、今が一番幸せです。

──朝のルーティンは? 子どもにスムーズに外出の準備をさせる裏ワザは?

我が家には愛情表現が豊か過ぎる愛犬がいて、朝6時ごろベッドにもぐりこんできます。

それを合図に朝の大わらわが2時間ぐらい続き、やっと子どもたちを学校に送り出します。

私の役目はコーヒを作って音楽をかけること(我が家ではいまだに毎朝シアトルのラジオKEXPを聞いています)、それから、息子の髪をとかして人前に出ても恥ずかしくないように身なりを整えてやることです。

私が好きな朝の瞬間は、妻が仕事に出かける支度をしているところを娘がじっと見ているときです。服を着て、髪を整え、お化粧をする、その一部始終を真似しています。

妻と娘がシンクで一緒にいるところを初めて見たときは感動して、もう少しで泣きそうになりました。夫であり父親であることがこんなに素晴らしいことだとは思ってもみませんでした。

──パートナー以外に、誰からどの程度育児を手伝ってもらっている?

子育てを始めた最初の4年間、我が家は実家から何千マイルも離れたところに住んでいたので、生まれたばかりの赤ん坊を抱えた最初の数カ月はどんなに大変でも、誰からもほとんど助けてもらえませんでした。

結局、当時20代だった妻の妹がシアトルの我が家に引っ越してきて、妻と私がたまに2人きりで出かける夜はベビーシッターをしてくれることになりました。子どもたちも彼女が大好きなんです。

でも、彼女自身の生活は、たくさんの男性やコンサート、二次会、Instagramで忙しく、当然のことながら、子守をしている暇はほとんど無い状態でした。

ある晩、私たち夫婦が夜11時ごろ帰宅して、「今夜はどうだった?」と聞くと、彼女は手にした空のカクテルグラスを振って「もうウォッカが無くなったわ」と言いました。

── 「これがないと生きられない」というガジェット・アプリ・チャート・ツールは?

お恥ずかしいのですが、私たち夫婦は育児やスケジューリングのアプリをいろいろ使いこなせていません。

でも、一度も子どもたちに携帯電話を見させていないことをとても誇らしく思っています。長距離フライトのときだけは、公共放送の番組をiPadで見せたりしますが。

我が家の一般的なルールは、子どもにとって携帯電話は百害あって一利なしです。妻と私は、相手が子どもの前で携帯電話を見ているところを見つけると、「こら、電話を置きなさい。子どもが気にして欲しがっているよ」という意味の暗号を使うことにしています。

そうは言っても完璧にできているわけではなく、私は政治的なTwitterに夢中ですし、妻は常に仕事のメールを見て返信しています。でも、心がけてはいます。

──子育てをするようになってから仕事のやり方は変わった?

ニューヨーク市を離れたことで、仕事と子育てのバランスがもう少し取れるようになりました。これは良いスタートです。

それ以来、妻も私も職場でくだらないことに時間を使ったり暇つぶしをすることが我慢できなくなりました。2人とも夕方5時以降はオフィスにダラダラ残っていたくないからです。

子どもを持ったことで、効率的で効果的に時間を使うことを覚えました。職場に行き、しっかり仕事をしたら、さっさと職場を出て帰宅する、という一種とりつく島が無い感じでもあります。

Slackで時間を浪費している暇などありません。だって、子どもが網戸か何かに挟まっているかもしれませんから。

──夜のルーティンは何をしている?

夕食は動物園状態になると相場がきまっています。

食事が2回か3回に分かれることもあり、たいていどこかの時点で誰かが泣きますが、こんなことは珍しいことだと思いません。

子どもたちはどちらも大の読書好きで、たとえば、息子は図書館から借りてきた恐竜の本に夢中です。ですから、ベッドタイムのルーティンの大部分は読書です。

妻が眠りに落ちる寸前の子どもたちをそれぞれぎゅっと抱きしめるところは、プロ並みです。それから、夫婦で語らい、読書をして、30分テレビを見てから寝ます。

──今のリラックス方法は?

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Photo: Courtesy of Nick Firchau

子育て中の夫婦は、週末は子どもの面倒を交替で見ればいいことに、最近やっと気づきました。

午前中は妻が、午後は私が子どもたちの面倒を見ることにすると、お互いに2時間から4時間中断されずにリラックスできます。

妻はヨガを、私はレクリエーションセンターでスイミングをします。

そうは言っても、悲しいかな、私はヘッドフォンで20分間音楽を聴いたり、夜中に台所を掃除したりするだけで、充実感を感じてしまいます。

翌朝また台所が散らかる前にリスタートボタンを押す感じですね。

──親として一番誇らしく思う瞬間はどんなとき?

昨年コロラド州に引っ越した一番の理由は、子どもたちと祖父母の絆を深めるためでした。

慣れた土地だからとか無料で子守をしてもらえるとか家賃が安いといった理由ではなくて、子どもたちに、この世には私や妻以外にも自分たちを愛してくれる人たちがいるということをわかって欲しかったからです。

子どもたちが祖父母に駆け寄ってハグするのを見るたびに、この土地に戻ってきて大正解だったと感じます。祖父母を含めた家族から守られた子どもたちが安心と自信を感じていることが見て取れますしね。

──一番情けないと思う瞬間はどんなとき?

息子は、感情的で理屈が通じず情熱的という典型的な4歳児なので、しつけは常に課題です。

私の最悪の瞬間は、息子の感情に負けて、ふと気づくと息子と同レベルで口論しているときです。自分が大人であることを忘れてしまうんですね。

「赤ちゃんになるのはやめなさい」と何度も息子に言った自分が情けないです。もちろん、息子は赤ちゃんではありませんが、まだ理性的で感情が安定している大人ではなくて、小さな子どもです。

ですから、息子がうまくやれるように私が導かなければなりません。

──子どもたちにはあなたのどんなところを見習って欲しい?

結婚相手を正しく選ぶことです。

創造性、勇気、誠実さ、他人への優しさなど子どもに奨励したいことはたくさんありますが、私が子どもたちに教えられる最高のレッスンは、安定した安心感のある家族と暮らすことです。

もちろん、これは決して自然に手に入るものではなく、時間や環境の変化に応じて人間関係も変わります。でも、両親が協力して愛情深く子育てする姿を私の両親が私と弟に見せてくれました。妻と私は夫婦であることと同じぐらい親でいる努力をしています。そのことを誇りに思い、子どもたちに見習って欲しいと思っています。

──お気に入りの変わった儀式はありますか?

息子と私はハイキングを通して絆を深めています。

私は自然の中に身を置くことで満足感を感じ、息子は冒険心を満たしています。今のところ、息子は山道を歩いたり、岩を登って向こう側を見ようとしたりはしません。

怖がらずに屋外でハイキングしているときの息子は、私が世界で一番好きな人間かもしれません。まだ4歳なのに、既に私とチームを組んでいる意識があるのですから。

──子育てで一番難しいことは何?

子どものこととなると、私は心配性になってしまいます。

決して過干渉な親ではないので、子どもが丘の上から転がり落ちても、犬と遊んでいてこっぴどくやられても、放っておきます。でも、子どもの安全はとても気にします。

親になった瞬間から、最も愛する存在をコントロールできなくなるなんて、誰も教えてくれません。子どもには、常に健康で、幸福で、無事であって欲しいと切に願っていても、誰もそれを保証できない、という事実を受け止めるのは大変です。

──父親になってみて一番想定外のことは?

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Photo: Courtesy of Nick Firchau

親になった当初は、オムツ、睡眠不足、衛生管理、仕事と家庭の時間のバランスなど、思いがけない課題がたくさん降ってきますが、私にとって最も予想外のことは、妻との関係でした。

15歳のとき出会ったので、お互いにパートナーとしてはこれ以上無いほど相手を知っています。これだけ長い間知っていた女性が人生の新しい役割にごく自然にスムーズに適応したのを見て、驚きました。

子どもが生まれる前にも、自分は男としてどう変わるのか、子どもを持つことにどのように適応するのか、ずいぶんと考えて心配もしました。

でも、自分が父親になったことはもちろん嬉しかったのですが、妻が母親になるのを目にすることでも同じぐらい幸せを感じました。

──今までもらった子育てに関するアドバイスで心に残っているものは?

息子が生まれたとき、妻の叔父からメールをもらいました。

そこには、「世の父親の一員になることは私が今まで属してきた中でも最高の部類です」と書かれていました。この言葉は、何年も私の心に残っています。

人種、社会階層、教育、性別、信条、地理的事情、政治的志向など、さまざまな属性で人は分類されますが、「父親である」という広がりのグループに属すると、誰もが我が子に最善のものを与えたいという体験を共有します。

このアドバイスのおかげで、自分は「父親」というより大きなコミュニティの一員になったのだと感じることができました。新米パパだった自分にはそのコミュニティが必要でしたし、今でも必要としています。

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Michelle Woo – Lifehack US[原文

Photo: Courtesy of Nick Firchau

訳:春野ユリ

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