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「転職」を成功させるために、自分に合った道を見つける方法

「転職」を成功させるために、自分に合った道を見つける方法
Photo: 印南敦史

これだけは知っておきたい「転職」の基本と常識 改訂新版』(箱田忠昭著、フォレスト出版)の著者は、27歳で営業課長、29歳で広報部マネジャー、33歳でマーケティング部長、38歳で外資系会社社長に就任し、年収3000万円を達成したという実績の持ち主。

しかもこれらを、すべて転職によって達成したのだといいます。

そんな経験をもとに主張しているのは、「転職をうまくやるにはコツがある」ということ。

そのコツを知っているのと知らないのとでは、天と地の差があるということです。そこで、本書においては、そのコツや転職のノウハウを明かしているわけです。

1. 今の仕事が自分に向いていない

2. 上司が嫌なヤツばかり

3. 会社に将来性がない

4. 給料、ボーナスが安い

5. 新しいことにチャレンジしたい

6. 出世させてくれない

7. リストラされそうだ

(「はじめに」より)

もしも現在の会社に上記のような問題があれば、本書を熟読して「成功する転職」をしてほしいと著者は言います。

そんな本書のなかから、転職をするために考えておくべきこと、知らなくてはならないことをまとめたという第1部「あなたの転職を成功させるには」内の第1章「あなたに合った道を見つける方法」のなかから、いくつかのポイントを抜き出してみたいと思います。

転職で人生の再スタートを

転職の理由は人それぞれ。自分なりの事情があるからこそ、転職を決意したということになるはずです。いわば、100人いれば100通りの理由が返ってきて当然だということ。

転職理由を年齢階層別に見ると、若い人たちに多い理由が「一時的についた仕事だから」「将来性がないから」ということだそうです。

そこには、新卒の際の就職活動があまりうまくいっていない様子が見てとれるだけに、「知識や技能を生かしたいから」という理由には、若い人の心の声が反映されていると著者は分析しています。

一方、年齢が上がってくると、「収入が少ないから」「時間的・体力的にきついから」といった理由が増えてくるのだとか。

とはいえ、著者はここで、そうした個人的事情を詮索しようとしているわけではありません。なぜなら、そうした自分なりの「個人的な理由」が自分自身を動かすものだから。

逆にいえば、「転職をしてどうしたいのか」「転職することによってなにを得たいのか」について、自分のなかに明確な答えが用意されていなければ、採用試験に通ることは厳しいということです。(24ページより)

能力があれば転職するべき

転職を考えたなら、もう一度冷静になり、「いまの会社はどうしてもダメなのか」「なんのために転職しようとしているのか」を、よく考えて見るべきだと著者。

希望どおりの会社に入ったとしても、何カ月、あるいは何年かすると「仕事がおもしろくない」「こんな仕事をするために会社に入ったんじゃない」など、いろいろな不満が出てくるもの。

そしてそんなときは、ふと「転職してみようかな」「いまの会社以上に、自分にあった会社があるかもしれない」などと思ったりもします。それは悪魔のささやきのように魅力的で、吸引力のある誘いだといいます。

しかし、ここが考えどころです。悪魔のささやきに耳を貸す前に、今の自分が問題だと思っていることは転職すれば解決できるのか、今の会社で解決できることではないのか、現状をよく認識しましょう。(26ページより)

辞めることは簡単です。上司と喧嘩し、「こんな会社辞めてやる!」と言って飛び出すことができればどんなにスカッとするか、考えるだけでも爽快でしょう。

しかし実際問題として、そんな衝動的な辞め方をしても意味がありません。転職するのであれば、次でやっていけるだけの実力をつけておく必要があるからです。

ご存知のように、アメリカでは転職を繰り返すことによってスキルアップをはかるのが常識。待遇や評価のよい企業を渡り歩くビジネスマンが多数存在するわけです。

また日本でも、終身雇用制が崩れ、能力のある人は自分を高く評価してくれる会社へと転職していくようになりました。

ただし、現状がちょっと気に入らないからといって会社を辞め、次の職場に移ろうと簡単に考えても、なかなかうまくいくものではありません。転職には、「会社の採用試験」というハードルがあるのですから。

ヘッドハンティングでもされない限り、移りたい会社の人事責任者の厳しい「鑑定」が待っているということ。安易な気持ちの転職希望では、その高い壁を乗り越えることができないわけです。

現状への不満だけで転職しようとすれば、「この人は、うちに来てもたぶん同じ不満を口にして結局辞めてしまうだろうな」と判断されてしまうということ。

しかし勢いだけで退職し、次の仕事が決まらずに後悔したとしても、もう前の会社には戻ることができません。だからこそ、いまのうちに仕事の能力を高めておくことがなにより大切なのです。

そこで、“転職”という言葉が頭に浮かんだ時は、次のようなことをしてみてください。 まず、1枚の紙を取り出し、真ん中に縦線を引きます。

左半分には、今、感じているストレスを、言葉にして書いていきます。上司の悪口でも、仕事への不満でも、待遇の悪さでもかまいません。どんなに小さなことでもいいので、具体的に書きます。

次に、右半分に今の仕事や職場の良いところを書いて見ます。これは少し冷静にならないと書けません。客観的な目で、仕事と職場を見直してみます。

そして、両者を見比べてみます。左側より右側が多ければ、転職をする必要はありません。左側ばかりに文字が並び、右側に空欄が目立つ時は、(中略)どこの会社でも起こりうるかどうかを考えます。(28ページより)

どこの会社でも起こることに腹を立てているのであれば、転職してもまた同じ問題に悩まされるということ。

つまりは転職をしても無駄だということです。また、その会社独特の悪癖があったとしたら、自分はそれを改める努力をしたかどうか自問してみることも重要。

解決する努力もせずに逃げ出すのであれば、転職は解決にならないわけです。(26ページより)

成功する転職と失敗する転職の違い

ストレスのバランスシートをつくることなく、不平・不満だけを胸に会社を辞め、転職しようとしてもなかなかうまくはいきません。

先に触れたとおり、採用担当者に見透かされ、雇ってもらえないという事態になりかねないわけです。

仮に採用してくれる会社があったとしても、そののち、その会社に対する不満が出てくると、再び転職を考えるようになるもの。いってみれば「転職ぐせ」がついてしまうわけです。

転職ぐせの特徴は、転職を繰り返せば繰り返すほど条件が厳しくなり、雇ってくれる会社も少なくなるということ。

そのため、気の進まない会社であっても「採用してくれるだけありがたい」というだけの理由で入社することになり、結局はまた辞めるということを繰り返すことに。

そして気がつけば、いくつかの会社を転々とし、仕事に生きがいを見いだすこともなく、技能や能力はもちろん、給料も上がらないまま年だけを重ねることになるということ。

これこそが、「失敗する転職」の典型的な例だといいます。

一方、もちろん「成功する転職」もあります。自分のやりたいことを見つけ、それができる会社に挑み、意欲を買われて入社し、希望する職種で腕をふるうというもの。

いってみれば、転職する意味と目標を、自分のなかに明確に持っている人のケースです。

たとえば、会社に入ってすぐに「自分には向かない」と思った人がいたとします。でもすぐには辞めようと思わず、「とにかく1年はがんばって仕事が一巡するまでこの仕事を見極めよう」と会社、仕事、職場を客観的に見るのです。

これが現状認識の作業です。 それと同時に、自分が本当は何をしたいのか、じっくり考え、変革の意欲を高めたのち、転職に踏み切ります。

あるいは、自分のスキルをアップさせるために、より高度な技術をもつ会社へ移り、修得・貢献したのちまた別の技術の向上を求めて会社を替わるという人もいます。(32ページより)

このように目的意識のはっきりした人は、企業でも採用しやすく、入ったのちも会社がバックアップしてくれるものだということ。(30ページより)

転職で「なにがしたい」のか

転職にとって大切なのは、現状の認識変革への意欲。そう主張する著者はここでまた、「なぜ、転職をするのですか?」という根源的な質問に立ち戻っています。

なぜならその問いは、「転職でなにがしたいのですか?」と同じ意味だから。

採用試験で「なぜ転職するのですか?」と聞かれたとき、「会社が自分を評価してくれないので」「もっと自分に合う仕事があると思って」「給料が少なくて」など現実逃避型の理由を述べるのは、消極的で意味のないこと。

採用担当者にとっては、転職せざるを得ない個人的な理由などどうでもいいわけです。

採用者が欲しい答えは、「こんな仕事がしたいので転職を考えた」であり「入社したらこんなことがしたい/できる」という変革への意欲なのです。(34ページより)

ところがこの答えは、自分を知らないと出てこないもの。しかし転職希望者の半数以上が明確なアイデンティティーを持たず、自分がなにをしたいのかを突き詰めて考えていないと著者は指摘しています。

そういう人は不平・不満だけを理由に転職しようと、無謀な挑戦をあえてしてしまいがちです。

でもそれは、コンパス(羅針盤)を持たずに嵐の海に漕ぎ出すような危険な行為。それでは厳しい転職の海を乗り切ることができないわけです。

そして、転職の海でのコンパスは、ずばり「自分がやりたいこと」だと著者は断言しています。突拍子もないことでも、いまやっていることの延長でも、とにかく「夢」を掲げることが大切だということ。

「夢=やりたいこと」を掲げると、道が見えてきます。自分なりの価値観が生まれ、会社選びの基準ができます。

夢を実現させるには、どういう業界のどういう会社がその舞台になってくるからわかってきますし、譲れない部分と妥協できる部分も見えてきます。(36ページより)

これは、転職に際して記憶にとどめておきたい重要なポイントではないでしょうか。




このように基本的な考え方を確認したうえで、以後は「退職に際しての諸注意」「転職のための情報収集法」、果ては「面接に際しての心構え」までが具体的に解説されます。

実用性が高いだけに、転職を考えている方はぜひ読んでおくべきだと思います。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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