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「そもそもなにが言いたいの?」 どんな相手とも英語が話せるようになるために、必要な6つのルール

「そもそもなにが言いたいの?」 どんな相手とも英語が話せるようになるために、必要な6つのルール
Photo: 印南敦史

あなたが英語ができないのは、やみくもに勉強したり、最短で英語ができるようになる方法を知らなかっただけです。そのため、英語がイヤになったり、めんどくさくなったり。

私が開催する英語講座「大人のための5歳児英語」では、短期間で英語が上達することを目標にしています。この講座にはさまざまなレベルの方にお越しいただいています。(「はじめに」より)

こう語るのは、『たった4時間でどんな相手とでも英語が話せる6つのルール』(奥村美里著、かんき出版)の著者。元同時通訳者で英語教師、英語コーチという肩書きの持ち主です。

たとえば著者の講座では、当初は自己紹介で名前と職業しか言えなかった人が、4時間後には仕事や休みについて楽しく話せるようになったり、言いたいことが瞬時に言えるようになったりするのだとか。

それどころか「英語力ゼロで海外旅行が不安です」「ネイティブとの会話が全然続かないのが悩み」と言っていた人が、わずか2カ月で、外国人との会話を無理なく続けられるようになっているというのです。

信じられないような話ですが、英語は難しいものでも大変なものでも、ストレスがたまるものでもないといいます。ストレスなく、簡単に、楽しく話せるようになる方法があるそうで、本書ではその秘密を明かしているわけです。

英語にするには、言いたい日本語を、まず、5歳の子どもにもわかるようなカンタンな日本語にする。これが初めのステップです。(中略) たとえば、「感銘」は、5歳の子どもにはわからないので「この本、よかった」とか「この本、好き」と言いかえられますね。

すごくカンタンじゃないですか? 「この本、よかった」ならThis book was good.「この本、好き」ならI like this book.ですね。 (「はじめに」より)

こうした考え方に基づく本書から、Chapter 1「大人のための5歳児英語基本の6つのルール」を引き出してみましょう。

ルール1 「そもそもなにが言いたいのか?」を考える

彼女は苦しい胸中を吐露した。

たとえばこんな文章を英語に置き換えるとしたら、「“苦しい胸中”って?」「“吐露”って?」と焦ってしまうかもしれません。そかしそんなときは、「そもそもなにが言いたいの?」と考えてみるといいそうです。すると、こう解釈できるわけです。

彼女は困っていることがあった。それを話した。

困っていること=問題(problem)なので、言い換えてみると次のようになるということ。

彼女は困っていることがあった。それを話した。

She had some problems. She talked about them.

正解はひとつではなく、何通りでも表現することが可能。たとえばこの例でいえば、困ったことがあった=心配していた(was worried)でもいいということになります。

彼女は心配していた。それについて話した。

She was worried. She talked about it.

このようにしてもOKだということ。このように、常に「そもそもなにが言いたいの?」と考える習慣を身につけることが大切だと著者は言います。(22ページより

ルール2 文章はとにかく短く!

多くの人は英語を聞いたり話したりする際、頭に浮かんだ日本語の文章をそのまま訳そうとしてしまいがち。ところが、英会話ではそれが高いハードルになってしまうのだといいます。

私は古くて美しいお寺や神社がたくさんあり、世界的にも有名な京都という街の出身です。

このような文章を一文で表現しようとすると、

I’m from a world famous city called Kyoto where there are many old and beautiful temples and shrines.

と、長くまどろっこしい文章になってしまいます。これを簡潔に表現するためには、伝えたい順番に、短い文章で表現してみるのがポイント。

短くした日本文例

1 私は京都出身です。

2 京都には古くて美しいお寺や神社がたくさんあります。

3 世界的にも有名な街です。


英文例

1 I’m from Kyoto.

2 There are many old temples and shrines there.

3 It’s world famous.

無理やり一文で伝えようとすると厄介な文章も、このように短く分け、単純化すれば簡単だということ。(26ページより)

ルール3 大胆に省略する

著者は英語学習者に対し、「大胆に省略すること」を勧めています。そして最初からすべてを伝えようとせず、まずは「7割」を目指せばいいとも主張しています。そしてそのために心がけるべきは、次の2つのポイントだそうです。

ポイント1 省略しても意味が通じる部分は大胆にカット!

ポイント2 「そもそもなにが言いたいのか」だけを考える

(33ページより)

実際に例文を使って考えてみましょう。

あんなヤツ! 私のことなんてこれっぽっちも理解してくれないんだから!

「あんなヤツ」「私のことなんて」「これっぽっちも」「してくれない」と、感情的な要素が満載。しかし、これらの要素を省き、「そもそもなにが言いたいのか」だけに集中すると、次のようにわかりやすい文章になるわけです。

彼は私のことを理解していない。

He doesn’t understand me.

ここに、先ほど省略した「これっぽっちも=まったく(not at all)」「あんなヤツ=私は彼が嫌いだ(I hate him.)」を加えると、次のような文章に。

彼は私のことをまったく理解していない。私は彼が嫌いだ。

He doesn’t understand me at all. I hate him.

このように、まずは「7割」を目指し、余裕があれば残りの要素を足していけばいいということ。(32ページより)

ルール4 曖昧な表現は具体的にする

日本語には「曖昧な表現」が多いものですが、英会話においては、とにかく具体的に伝えることが大切。たとえば「この前のお店、なんかいい感じだったよね」という文章があったとすると、具体的にすべき箇所は以下のとおり。

・「この前の」は「いつ」なのか?

・「なんのお店」なのか?

・「なんか」はどういう意味なのか?

・「いい感じ」とは、具体的にどういうことなのか?

これを具体的に、ひとつひとつを詳しく説明すると、たとえば次のように表現することが可能。

「先週の水曜にランチしたイタリアンレストラン、パスタがおいしかった。もう一度行きたいな」

ここまでわかりやすくすると、英語にもしやすくなります。具体的にする作業は「そもそもなにが言いたいのか」を考えること。自分なりに頭のなかを整理する必要があるわけです。

「彼ってウザいけど、なんか憎めない」

この文章の場合、「どうウザいのか?」「どんなふうに憎めないのか?」にぴったり当てはまる英単語はなく、日本でも人によって解釈の仕方が違ってきます。

また、「憎めない」が「嫌いではない」レベルなのか、「少し好き」というレベルなのかも曖昧。そこで、「ウザい部分」「憎めない部分」を自分なりに考えたうえで英文をつくるとすると、たとえば以下のようになるわけです。

彼は人の話を聞かない。でも、おもしろいから嫌いではない。

He doesn’t listen to me. But he is funny, so I like him.

「ウザい」や「憎めない」の背景にある理由を、「●●だから好き・嫌い」というように具体的に示せると明確になり、説得力が増すということ。

英語で話す際には、「相手が推測してくれるだろう」「なんとなく伝わるはずだ」といった相手への期待は捨てるべきだということです。(36ページより)

ルール5 熟語はひらがなに言い換える

「試行錯誤」「自業自得」といった四字熟語は、英語に置き換える際に厄介なもの。なぜなら、つい、日本語の熟語をそのまま表す英単語を探そうとしてしまうから。

しかし、それらが日本語ならではの概念である以上、ふさわしい英語は存在しないことになります。そこで著者はオススメしているのは、子どもでもわかるように熟語をひらがなで言い換えること。

・配膳してください→おかずやごはんをならべてね。

・フラれたのは自業自得だ→フラれたのは、ぼくのせいだ。

というように。

同じく「彼は彼女を全身全霊で愛した」という文章であるなら、「全身全霊」をそのまま訳そうとしないことが重要。「伝えたいことはなにか」を考え、簡単な日本語に言い換えるべきだということです。

彼は彼女をとても愛していた。

He loved her very much.

「全身全霊=とても(very much)」と変換できさえすれば、すぐに訳せるわけです。(40ページより)

ルール6 正解は1つではない

英会話は試験ではないので、「この文章でなければダメ」ということはないもの。「伝わる」ことが大切だということです。

たとえば、「引越し準備は万端ですか?」という日本語を英文にするとしたらどうなるでしょう? 「準備は万端」を言い換えてみると、これらが考えられます。

引越しの準備はできましたか?

Are you ready to move?

荷造りは終わりましたか?

Did you finish packing?

もう新しい家に行けるんですか?

Can you go to your new house, now?

このように、成果は必ずしも1つではなく、複数の言い方ができるということです。(44ページより)




このように、本書のアプローチはとてもシンプルで明快。だからこそ、英語を話すためのコツを無理せず身につけることができそうです。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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