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親知らずは抜くべきか? 抜かざるべきか?

親知らずは抜くべきか? 抜かざるべきか?
Illustration: Elena Scotti

私は歯が丈夫な方なので、一度歯医者に行けば、次に行くのは10年後という感じでした。

歯を磨き、フロスをしているので、それが多かれ少なかれ効いていたのでしょう。家族に促されて年2回歯医者に行くようになっても、虫歯すら見つかったことがありません。

しかし、20代前半に親知らずが生えてきてからは、診てもらった歯医者全員が、親知らずは本当に抜いた方がいいと力説してきました。

親知らずは抜くのが一般的?

親知らずというのは、抜くのが一般的な治療法です。米国公衆衛生誌に載っていた2007年の研究によると、年間に500万人が1000万本の親知らずを抜いているそうです。実際、10代後半〜20代前半の若者にとっては人生の通過儀礼のようなものです。

あと数週間で39歳になる私は、いまだに4本の親知らずがすべて残っており、なかなかのレアケースだと思います。なぜなら「どうして完璧に機能している健康な骨格の一部を、自発的に抜かなければならないのだろう?」とずっと考えていたからです。

しかし、一番最近の検診で、親知らずのせいで奥歯を完璧にきれいに掃除しようとすると痛みや出血がどうしても伴う、と歯科衛生士が言いました。

それで、私は麻酔を2本打ってかなり不快な思いをしながら、さらにしっかりと歯を掃除するために、数週間後にまた歯医者に行かなければなりませんでした。

治療の後、Uberに乗って、口の中で血の味を味わいながら、動かない顔で運転手の世間話に返事をしつつ、親知らずを抜かないという自分の人生のスタンスについて考え直しはじめました。

結局、親知らずは問題を起こしていないという私の持論が覆されたからです。

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放置すればリスクも

一般的に、親知らずを抜くという治療法にまったく異論がないわけではありません。また、親知らずを放置すればするほど、それだけ問題が起こるリスクが高くなります。

米国公衆衛生誌の研究によると、親知らずの手術によって、1100万人の患者が数日間不快感や不自由さを感じています。1万1000人以上の人たちが、術後に唇や舌や頬に恒久的なしびれを訴えています。

統計的に言えば4分の1以下の数値なので、人数が多いとは言えないかもしれませんが、顔の一部が恒久的にしびれる可能性があるという恐怖は、私と同じような患者にとっては(少数ですが)十分リスクに固執するだけの不快感があります。

英国歯科ジャーナルでは、歯が歯茎に埋没していたり、患者が高齢などのリスクの高いケースでは、20%以上で恒久的な問題が起こる危険があると言っています。

親知らずを抜くメリットよりも、リスクの方が上回ると言う人たちもいます。つまり、探し回った問題を解決するための治療だというのです。

抜くべきか…

親知らず抜歯賛成派の人たちは、結局問題が起こる可能性が高いので、問題が起こる前にリスクが低い手術で抜くのがいいと言います。リスクが増加する前というのは、つまり年齢に関係があります。

米口腔顎顔面外科学会の白書では、レンタカーを簡単に借りられる年齢(米大手レンタカーの年齢制限は25歳)になる前に抜いた方がいいと主張しています。白書で引用した論文では、25歳以上の患者は、手術の拒絶反応が起こる確率が2倍になると言っており、リスクは年齢と共に上がり続けます。

シアトルのワシントン大学口腔顎顔面外科教授であり、附属病院の小児歯科部長兼副院長であるThomas B. Dodson氏はこのように言います。

大抵、親知らずの根が完全に形成される前の思春期(青年期)の間に抜くのをすすめていました。若い患者の場合、回復が早く、術後の合併症のリスクが高齢の患者よりも低いのです。

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痛くないなら問題がない、訳ではない

デラウェアのウィルミントンで開業している口腔外科医のLouis K. Rafetto氏は、親知らずは他の歯とは違うと言います。Rafetto氏は「Christiana Care Health Systems」の口腔顎顔面研修医制度のインプラント手術と歯槽再建のディレクターであり、米口腔顎顔面外科学会の元会長でもあります。

Rafetto氏は、親知らずは他の歯よりも病気の影響を受けやすく、食事や他の用途で親知らずを使う必要はないと言っています。

また、親知らずは最後に生えてくるので、他の歯よりも狭いスペースに押し入ることになり、そのため歯が過密になりやすいと説明します。したがって、間違いなく検診はしなければなりません。

通常は、体に何か問題があった時に治療を受けます。しかし、この方針は親知らずにはまったく有効ではありません。Rafetto氏は「症状がないからといって、病気がないわけではありません。ただ症状がないだけです」と言います。

つまり、親知らずが痛くないからといって、問題がないと思ってはいけないということです。親知らずが痛んでからでは、実際の状態は悪いことがあります。

Dodson氏は、20歳以上で親知らずを抜かない選択をした患者の60%以上が、20年以内に少なくとも1本は抜かなければならなくなっていると言います。Rafetto氏は、“頻繁かつ予期せず”問題が起こる歯を抜かないのであれば、まめに歯医者に行ってチェックしてもらわなければならないと言います。

親知らずは虫歯や歯周病のリスクを増加させます。しかし、そのような問題を抱え続けながらも、歯ブラシやフロスをして、残りの歯に問題が起こらないようにします。

親知らずを抜かずに、他の歯が虫歯や歯周病にならないように保ち続けられるのでしょうか? Dodson氏は言います。

普通はできません。奥歯の後ろにある親知らずは届きにくく、きれいにするのは難しいです。届いたとしても、部分的に生えている歯をきれいにするのはほぼ不可能です。

抜かざるべきか…

米国公衆衛生誌の研究では、いかにリスクが少ないとはいえ、親知らずを抜くことのリスクは声高に言うだけの十分な根拠があると言っています。

(親知らずの手術を)実際に起こっている公衆衛生ハザードと呼んでおり、年間に行われている手術の3分の2は必要ないと言っています。

研究論文の著者Jay W. Freidman博士は、何十年にもわたって定期的に親知らずを抜くことの反対運動をしており、「痛みや病気は親知らず自体ではなく、手術が原因だ」と言っています。

2013年の歯科系ブログのインタビューでは、(親知らずを抜く)手術が患者の健康のリスクを生み出している言っていました。

私は神経を傷つけたり、回復までに長い時間をかけたりしたくはありません。しかし、私の年齢ではその両方のリスクがあります。自分の歯に傷つけられることはありませんが、手術では間違いなく傷つけられます

手術に気が進まないことで、窮地に追い込まれました。大学生の頃までに親知らずを抜かなかったことで、リスクの高い年齢になってしまいました。リスクが比較的低い年齢で問題のリスクを回避したことで、問題がはるかに起こりやすい年齢になってしまったのです。

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それで、結局どうすれば?

治療は「抜く」か「抜かない」かの二つに一つではありません。Rafetto氏は、親知らずをできれば抜きたくない人たちにも、より受け入れられやすそうな治療方法をいくつか紹介しています。

コロネクトミー(歯冠部切除術)は口腔内を健康に保ちます。この治療では、歯冠切除のみ行い歯根は残すので、歯冠が他の歯を圧迫せず、歯根を取ろうとして神経を損傷する可能性を回避するのです。なかなか良さそうな方法ですが、私がやったような口腔内の激しいクリーニングを何度も繰り返すことにもなります

もしくは、歯医者さんはより頻繁に検査やレントゲンをして注意深く観察をしたがるかもしれないので、治療費がかさむかもしれません。

リスクの高い患者として、調べられるだけのことは調べつくしました。あとは時の運です。

年を取って親知らずが虫歯になるなどの問題が出てきたら、手術のリスクもそれだけ高くなっているということです。

もしくは、次に歯医者に行くまでの半年間、親知らずのことをまったく考えないという手もありますね。

※訂正[2018/08/27]Rafetto氏の肩書きについて、誤訳を修正しました。

Illustration: Elena Scotti

Source: 米国公衆衛生誌, 英国歯科ジャーナル, 米口腔顎顔面外科学会, Thomas B. Dodson, Louis K. Rafetto, Dentist The Menace

Melissa Meinzer - Lifehacker US[原文

訳:的野裕子

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