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良い人生とは「幸福」と「満足」を掛け合わせた概念。「人生を科学」するウェルビーイングの最先端

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良い人生とは「幸福」と「満足」を掛け合わせた概念。「人生を科学」するウェルビーイングの最先端
Image: Mugendai(無限大)

みなさんは「ウェルビーイング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。直訳すると「最適な状態」という意味で、より良い人生を過ごすための指標として近年注目されています。

IBMのWebメディアMugendai(無限大)では、このウェルビーイングを科学として研究している方のインタビューが掲載されていました。働き方改革やメンタルヘルスの重要性が叫ばれる昨今、学問としてのウェルビーイングとはどのようなものなのでしょうか。

より良い人生の指標は、「幸福」と「満足」を掛け合わせた概念

ロングインタビューに登場していたのは、東京大学医学部、ハーバード大学大学院などを経て、予防医学者やベンチャー企業の共同創業者としても活躍する石川善樹さん

石川さんによるとウェルビーイングをひとことで表すなら、「幸福と満足を掛け合わせた概念」となるそうです。「幸福」と「満足」、並べると同じような言葉に思えますが、石川さんは以下のように説明しています。

幸福は日々の「体験」と強く関連していることが知られています。たとえば、よく笑ったなとか、悲しいことがあったなとか、そういう日常のポジティブ/ネガティブな「体験」と関連しています。

一方で満足は、そういう日々の生活をどのように「評価」するかというものです。たとえば、自分にとって最高の生活を10点、最低の生活を0点としたとき、今の生活は何点だろうか、と「評価」した値が満足度と強い相関を示します。

ちなみに面白いのが、幸福と満足は、必ずしも一致するわけではありません 。

ただし、まだ学問としての歴史が浅いウェルビーイングにおいて、このようなことが分かってきたのは最近のこと。しかも、現在のウェルビーイングの評価方法は「上にいくほど良い」というのが主流でギリシャ哲学の影響を強く受けていますが、実際は地域宗教観の違いによって評価には大きな差が生まれると石川さんはいいます。

地域や宗教によって異なる評価基準が必要

「自分にとってよい人生とは?」を「科学」として捉える、ウェルビーイング研究の最先端
Image: Mugendai(無限大)

例えば仏教には、不満が少ないこと、幸福に執着しないこと、苦しみは受容することといった教えがありますが、これに基づいて日本人のウェルビーイングへの影響を鑑みると、「よく笑っている、よく楽しんでいる」というポジティブな体験が少ない反面、「苦しい」というネガティブな体験も少ないのだそうです。さらに「評価」の観点で見てみると、現状を低く評価する人がほとんどで、ネガティブ体験もポジティブ体験も少なく、総合評価では世界157か国中54位となっています。

一方で例えばアメリカ人は、日常生活でそれほど多くの「幸福な体験」をしていないものの、自分たちの生活は満足だと評価しているのだそう。

石川さんは、こういった差を埋めるために自身ができることを以下のように語っています。

地域や文化によって価値観も考え方もまったく異なるなかで、そこで暮らす人々がよりウェルビーイングな状態に近づくために研究をすること。それが、私のすべきことだと考えています。

仕事は「働きやすさ」と「働きがい」のバランスが重要

仕事におけるウェルビーイングについて考えてみましょう。「働き方改革」という言葉を聞かない日はない昨今ですが、その主な主張は「残業時間を減らす」「副業を認める」といった「働きやすい環境づくり」に目が向いているように思えます。しかし石川さんは、「働きやすさ」と「働きがい」は別であり、双方は車の両輪のようにバランスを取らなければならないと語ります。

政府主導の働き方改革は、ブレーキをかける役割を担っています。過酷な労働時間を減らす、ストレスチェックや健康診断を推奨するといったものですが、働きがいを生み出すというアクセル部分を担うのは、それぞれの企業の自助努力に任せています。しかし、国も企業も現状では適切な答えを持っていないため、そこに私たちウェルビーイングの研究者が入っていく必要があるんだと思います。

「自分にとってよい人生とは?」を「科学」として捉える、ウェルビーイング研究の最先端
Image: Mugendai(無限大)

普段の生活でウェルビーイングを向上させるには

われわれが暮らしの中でウェルビーイングを向上させるには、どのようなことを心がければいいのでしょうか。石川さんはインタビューの中で、回答は難しいとしながらも以下のように語っています。

指針となるような抽象的なことを一つだけ挙げるなら、「自分にとってよい人生/暮らしとは何か?」を考えることではないでしょうか。

もっとわかりやすくいうと、「自分のスタイルって何だろうか?」を明らかにすることだと思います。スタイルを見つけるには、「衣食住」について考えてみるのが分かりやすいかもしれません。自分にとってよい服、よい食、よい住まいとは何か。そういう身近なことに対して、自分なりのスタイルを持つことから始めてみてはいかがでしょうか。

あらゆることが豊かになった現代ですが、反面、心の疲れを感じることが多いのも事実。ウェルビーイングを知っていた方も知らなかった方も、ちょっと一息、Mugendai(無限大)よりインタビューの続きをお楽しみください。


Image: Mugendai(無限大)

Source: Mugendai(無限大)

渡邊徹則

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