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周囲に頼らず仕事能力が飛躍する2つの習慣

BUSINESS INSIDER JAPAN

周囲に頼らず仕事能力が飛躍する2つの習慣
Image: WAYHOME studio/Shutterstock

仕事をしていて迷ったときに、同僚や上司に「どうしたら良いですか」と相談することはありませんか。

ところが、返ってきた答えが「そんなの当たり前だ」とか「そんなの私でも考え付く」など、大したことないと感じた経験もあるかもしれません。

実は、周囲に答えを求める前に、2つのことをする習慣をつけると仕事能力の開発が飛躍的に上達します。

私自身が実践しており、企業向けの研修を行う部門に在籍している際に、研修プログラムとしてまとめたこともあります。

簡単なので驚くかもしれませんが、効果抜群です。

仕事は「決める」ことの連続

ケプナー・トリゴー法をご存知ですか?

社会心理学者のチャールズ・ケプナーと社会学者のベンジャミン・トリゴーが開発した思考方法です。優秀な管理職には共通の4つのスキルがあるというのです。

4つとは、

  • SA:Situation Analysis(状況分析:何が起きていて、何をすべきか把握するスキル)
  • DA:Decision Analysis(決定分析:何をすべきか決めるスキル)
  • RA:Risk Analysis(リスク分析:どのようなリスクが起きそうか想定し手を打つスキル)
  • CA:Cause Analysis(原因分析:なぜ起きたのか分析するスキル)

つまり、優秀な管理職はまず(SA)のスキルを使って、何をすべきか他の3種類のスキルに分解します。

3種類に分解した後は、

  • (DA)何かを決める
  • (RA)決めた事のリスクを想定する
  • (CA)起こったことの原因分析をする

という仕事を進めていくのです。

冒頭の「どうしたら良いのか」という問いは、このスキルのうちのDA(決定分析)と関連しています。

読者の皆さんも日々感じているかもしれませんが、ビジネスの現場、特にマネジメントを行う立場では、このDA(決定分析)の連続です。

仕事のステップを時間軸で考えると、決定→リスク対策→実行→原因分析となります。

最初の決定のステップが間違っていると後工程ではリカバリできません。

つまり、このDA(決定分析)のスキルをつけるのは、仕事能力開発で特に重要なパーツなのです。

「決める」ためのステップは2つ

このDA(決定分析)とは、「複数の選択肢から最適案を決定する」プロセスです。

具体的には、「考える」と「選ぶ」という2つのステップから出来上がっています。

い
Image : 中尾 隆一郎

1つ目のステップは、複数の選択肢を見つけるステップ。

つまり多数の選択肢を「考える」というステップです。

2つ目のステップは、その複数の選択肢の中から最適案を決定するステップになります。

つまり「選ぶ」というステップです。

経営層など上位マネジメントの「選ぶ」ステップは「他を捨てる」という感覚に近いです。

経営の意思決定において選択が必要なケースは、甲乙つけがたかく、どれも可能性が低く、あるいは先行きを見通せない選択肢だらけなのです。

1つの例を考えてみます。

例えば何かを決めないといけない場合、ステップ1で、案A、案B、案Cの3つの選択肢を考えました。そしてステップ2で、案Bを選択しました。そしてこの結論、つまり案Bが最適解であると、会議で上司に起案しました。その結果には3つのパターンが考えられます。

  1. あなたが選んだ案Bになるケース
  2. 3つの選択肢の中から選択されたが、案Bではなく案AやCになるケース
  3. 3つの選択肢以外の案Dになるケース

会議の結論が正しいと仮定した場合…

(1)は、めでたしめでたし。ステップ1、2を見事クリアできたことになり、何も論点はありません。さらに難易度の高いDA(決定分析)に進めば良いのです。

(2)の場合は、3つの選択肢から最適な案を選択できなかったわけですから、ステップ2「選ぶ=他を捨てる」能力を開発する必要があることが分かります。

(3)の場合は、選択肢Dを思いつくことができなかったということなので、ステップ1「考える」能力を開発する必要があることが分かります。

「決める」能力を鍛えるには、

まずステップ1「考える」、ステップ2「選ぶ」どちらを強くすれば良いか分解して考えると良いでしょう。

仮に今回のケースで(3)に当てはまることが多い人は、案Dを思いついた人に発想法や日頃の情報源を教えてもらい、真似することから始めてはどうでしょう。

ステップ2「選ぶ=他を捨てる」を能力開発する場合は、まさにDA(決定分析)により手順化されていますので、ぜひ一度、参照してみてください。

「どうしたら?」は能力開発の機会を失っている

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Image: WAYHOME studio/ Shutterstock

この「決める」ステップを経ずに、最初から周囲に「どうしたら良いか」を問うことは、せっかくの日々の能力開発の機会を失っていることになります。

最初から「どうしたら良いか」と問うた時に得られる回答は、自分の力で「考え」「選ぶ」ことをしたときに、本当に思いつくのか? この習慣を、ほんの少し変えるだけで、日々能力を開発できるのです。

どう変えれば良いのでしょう。

「私は選択肢A、B、Cの中からBを選んだのですが、どう思いますか?」と質問するのです。

周囲に質問をする前にステップ1「考える」とステップ2「選ぶ=他を捨てる」してから質問をするようにすれば良いのです。そして、周囲から得られた答えと照らして、パターン(1)から(3)に沿って能力開発の方向性を確認し、やってみるのです。

たった1つの案も思いつかなくて途方に暮れることもあるかもしれません。

1つの案を思いつくと、それに固執してしまうこともあるかもしれません。ステップ1(考える)の訓練をしていないことが原因です。

あるいは、たくさんの案は思いつくけれど、選ぶ際に、選ぶ基準(多面的な観点)がないことに気づくかもしれません。

これは典型的なステップ2「選ぶ」つまり、他を捨てる能力不足です。しかし、どちらも正しくトレーニングし続けると改善していきます。

仕事だけでなく、日常も使ってみる

え
Image: PKpix/Shutterstock

私自身、長年取り組むことでこのステップが習慣になりました。

口に出さなくても、心の中で「選択肢A、B、Cの中からBを選んだのですが、どう思いますか?」と自分自身に問い、自分なりの答え(仮説)まで出すようになっています。

すると、周囲の優秀な人の答えの差にがく然とすることもしばしばです。

ある日、為替に関する新聞記事を見た上司から「中尾、今後為替はどうなると思う?」と聞かれました。

選択肢は3つ、「上がる・下がる・変わらない」です。

私は、その記事の情報を踏まえて、「下がると思います」と答えました。ところが、上司の答えは違ったものでした。根拠は同じ新聞の、為替に関係ない別の記事でした。

物事を決める際には多面的な観点が必要なのですが、私は、最初に話題にのぼった記事の中にしか根拠がない、と勝手に枠を作ってしまっていたのです。

この時に、私は自分の思考の癖を知ることができました。これも、自分でステップ1、2を繰り返す習慣が身についていたからこそ身にしみた経験になったと思います。

このステップ1、2は習慣にすることが重要です。

仕事で日々、そんなに決断をしていないよという方は日常生活で使ってみても良いかもしれません。

お昼ご飯を何にするのか。次のデートの場所をどこにするのか。明日着ていく服をどうするのか。日常生活こそたくさんの決定の連続です。ぜひ身近な小さなところから始めて、習慣にしてください。これを継続したパワーに驚くこと請け合いです。

この方法は自分だけでなく、周囲の若いビジネスパーソンの能力開発にも活用できます。周りに「どうしたら良いですか」とよく聞く若手がいたら、アドバイスをしてみてはどうでしょうか?

中尾隆一郎(なかお・りゅういちろう):リクルートワークス研究所副所長。大阪大学大学院工学研究科修了。リクルート入社。リクルート住まいカンパニー執行役員(事業開発担当)、リクルートテクノロジーズ社長などを経て、現職。

BUSINESS INSIDER JAPANより転載(2018.01.25公開記事)

Image: WAYHOME studio,PKpix/Shutterstock

中尾 隆一郎

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