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朝は「チョコレートアイス」がいい? 脳の疲れをとる「食習慣」

朝は「チョコレートアイス」がいい? 脳の疲れをとる「食習慣」
Photo: 印南敦史

仕事や人間関係、モチベーションの低下でモヤッとした状態が続いているなら、ひとまず脳を休めてみようと提案しているのは、『人間関係が良くなる! 脳の疲れをとる本』(古賀良彦監修、方丈社)。不快な状況をすぐに変えることは難しいけれど、脳を休めるコツさえつかめば手軽にできるというのです。

脳はタフで、あまり休みを必要としない“心身の司令塔”ですが、内臓や筋肉とは違う休ませ方が必要。脳だけに必要な「休ませ方」を知らないまま、ストレス解消したような気になっていると、脳の調子が整わず、モヤモヤは晴れないというわけです。しかし、脳が求めるタイプの休養や栄養を与えてリフレッシュすると、脳が関わる身体パフォーマンス(認知・判断・行動)や心の状態などによい影響が。

本書では、ブレインヘルス(脳の健康)の第一人者、杏林大学名誉教授・古賀良彦先生(NPO法人日本ブレインヘルス協会理事長)が監修する最先端研究のエビデンスに基づく「脳が求めるタイプの休み方」を紹介します。(「はじめに」より)

そんな本書のなかから、きょうはCHAPTER 2「脳の疲れをとれば、仕事がはかどる」内の「いますぐできる脳が喜ぶ食習慣」に焦点を当ててみたいと思います。仕事がはかどらないことを悩み、忙しくしている人でも、食べるもの・食べ方、飲むもの・飲み方に気を配るだけで、脳を休めることができるというのです。

脳を休ませるおやつを常備

脳にいい“ブレインフード”としてよく知られるのは、チョコレート菓子の商品名でも知られるGABA(Gamma-Amino Butyric Acid)。その正体は「γ-アミノ酪酸」というアミノ酸の一種。それは脳に存在している興奮を鎮める神経伝達物質なので、ストレスを和らげ、リラックスを促す作用を持っているのだといいます。

また昼に十分なGABAをとることは、夜の睡眠の質をよくするとも考えられるため、日中の食事やおやつでしっかりとっておくべきだとか。ストレス緩和には1日100mg程度が必要なので、手軽に食べられてGABAをとれるチョコレートなどをおやつとして常備しておくとよいそうです。

GABAは、身近な食品からとることも可能。発芽玄米100g中に約10mg、ジャガイモ100g中に約35mg、トマト100g中に約60mg、みかん100g中に約17mg含まれているほか、ナス、アスパラガス、カボチャ、キュウリ、メロンなどの野菜や果物、そして漬物・キムチなど一部の発酵食品にも豊富だといいます。(40ページより)

朝に勝つ、おめざ&朝食

朝にスッキリ目覚めることができると、質のよい睡眠がとれたという実感を持つことができるもの。そんなこともあってか昔の人は起きるとすぐ、「おめざ」と呼ばれる甘いものを口にしていました。そうすれば脳が素早く覚醒するということを、日常生活のなかで理解していたのでしょう。

実際、アイスクリームが脳の働きに与える影響について監修者が調べた実験でも、そのことが立証されているのだといいます。朝の「おめざ」としてチョコレートコーティングされたバニラアイスを食べた結果、脳がリラックス状態になったことがわかったというのです。そればかりか、日中の活動に備えてしっかりと覚醒させてくれる効果も明らかに。

なおチョコレートコーティングされたバニラアイスは、ひとくち大のものなら3個程度、小ぶりのバータイプなら1本が適量だそうです。

一方、朝食には温かいスープを加えるべき。温かいスープを飲んだ直後から、周波数の高いα波が多量に出るため、気分よく活動に取りかかれるように脳がスタンバイ状態になるというのがその理由です。(41ページより)

最強のランチデザート

仕事や勉強の最中に脳を休ませ、新たな活力を与えるのにもってこいの一品は、アロエ果肉の入ったヨーグルト。

その裏づけとなっているのが、アロエ果肉入りヨーグルトとプレーンヨーグルトを食べたあとに専門的なテストを実施し、その間の脳の血液量を比較した実験。その結果、アロエ入りヨーグルトを食べると前頭葉の血液量が増加して活性化されるため、前頭葉の「前頭連合野」にある「ワーキングメモリー」という記憶システムの能力が向上することがわかったというのです。

ワーキングメモリーとは情報を処理するための短期の記憶で、人の思考や判断にとても重要な役割を担います。たとえば「カレーをつくろう!」と思ったとき、パッと「肉、タマネギ、ジャガイモ…」と、何が必要か材料を思い浮かべる能力のこと。加齢によって衰える能力ですが、日頃から自分で課題を思い浮かべ、必要な7アイテムを言うトレーニング法(マジック7)で鍛えられます。材料が7つ言えたら、次はスパイスを7つ言い、代用品がないか工夫やイメージをすることでより鍛えられます。(44ページより)

マジック7で日常的にワーキングメモリーを鍛えつつ、午後に重要な打ち合わせやプレゼンがある日のランチにはアロエ果肉の入ったヨーグルトで締める。そうすれば、ベストなパフォーマンスを発揮できるかもしれません。(44ページより)

コーヒーの飲み分けで脳に差がつく

コーヒーがライフスタイルに組み込まれた現代においては、コーヒーのクオリティにこだわる人も決して珍しくありません。事実、気分転換したいとき、コーヒーを飲むという人も多いことでしょう。でも、せっかく飲むなら、ブレインヘルス研究で確かめられた“種類別、香りの効能”を利用するといいそうです。

リラックス優先:プレゼンや苦手な人との面談の前 → グアテマラ、ブルーマウンテン

集中力でチョイス:上司との打ち合わせや家族との真剣な会話、ドライブへのテイクアウト、語学学習中 → ブラジルサントス

聡明さでチョイス:企画書作成中や得意先との商談前、マンション自治会の会合前や会合中 → マンデリン、ハワイコナ

のんびり気分優先:趣味の時間、アウトドアにテイクアウト → モカマタリ

(46ページより)

このようにコーヒーを飲み分けると、香りの効能を有効活用できるとのこと。(46ページより)

身近なドリンク、脳のための飲み分け

次に、コーヒー以外の飲み物について。コーヒーに限らず、ひと息つくときに「なにを飲むか」によって、脳を喜ばせることができるというのです。健康維持には1日に1.5リットルの水分補給が必要ですが、十分に飲めない人も少なくないもの。そこで、こうしたエビデンスを動機づけにして、過不足ない水分補給をすることが大切だという考え方です。

興味深いのが、ここで紹介されている実験の結果です。

「60℃にあたためたグレープジュース」と「常温のグレープジュース(10℃以下)」、「水常温(10℃以下)」を3分かけて飲んだあとに簡単な計算問題を解く実験をしたところ、ホットグレープジュースを飲んだときの問題達成数が最も多かったというのです。

グレープジュースを飲んだとき、脳の血液量は温度に関係なく増えたものの、血液量の上がり方、効果の強弱に違いが見られたということ。ホットグレープジュースは、心や体が温まるだけではなく、勉強の効率もアップさせてくれるわけです。

たとえば受験生が追い込みに入る秋から冬にかけて、お母さんがエールを送ってあげようと思うなら、グレープフルーツを手絞りした後、温めた1杯のホットグレープフルーツジュースの差し入れがおすすめ。同様に、これからもうひと頑張りするぞという場合、仕事の合間にひと休みするときにもよいでしょう。(49ページより)

オレンジジュース(17℃)でも実験は行われており、水(17℃)とくらべて飲用後はポジティブな心理指標が高くなることが確認されているのだといいます(POMS2ならびにVASという専門的なテストによる)。また、前頭葉の血液量も調べたところ、オレンジジュースのほうが早く血液量が増え、脳が活発に動くことが確認されたのだそうです。

このような実験結果から言えるのは、オレンジジュースが緊張感を減らし、積極的で明るい気持ちをもたらすこと。それが生産性の向上に繋がる可能性があると考えられるため、前向きな気分転換に活用できるというのです。

では、お酒はどうでしょうか? お酒を飲むとよく眠れると思っている人もいらっしゃるでしょうが、それは誤解。寝つきがいいこともあるとはいえ、浅い眠りが続き、何度も目を覚ますことになり、睡眠の質は下がるというのです。また利尿作用があるので、トイレに起きる回数も増えることに。

だから飲むのは寝る3時間前、夕飯中・後に適量を守りましょう。 酒類の適量は日本酒なら1合、ビールは中瓶1本、ウイスキーはダブル1杯、ワインは180mlです。ブレインヘルスの視点で言うなら、良い香りを楽しみながら、ちびちび1杯飲むような飲み方が理想的。(50ページより)

やはり飲みすぎず、適量を楽しむことが大切だということなのでしょう。(48ページより)

意識的にストレスと上手につきあう対処法である「ストレス・コーピング」の方法として、「3つのR」が知られているそうです。ひとつ目のRは「Rest(休息)」で、おもに睡眠。2つ目は「Relaxation(癒し)」で五感を穏やかに刺激し、リフレッシュすること。そして3つ目が、ここでご紹介した「Recreation(活性化)」だというわけです。

1日のなかに3つのRのすべてを組み込んだ生活リズムをつくることができれば、捉えどころのないストレスに対処できるといいます。本書を参考に、そんなリズムをつくってみてはいかがでしょうか?

Photo: 印南敦史

印南敦史

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