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日本と海外の違いを知るプロバレエダンサーが教える、すぐできる生活改善4つのヒント

日本と海外の違いを知るプロバレエダンサーが教える、すぐできる生活改善4つのヒント
Photo: 鷲見雄馬

6時間ではなく絶対に7時間寝ないといけない、そんな状況に置かれたことがありますか?

6時間睡眠だと眠たいけれど、なんとなく仕事ができてしまう。だから早寝早起きをしなくてもいいや…そんな風に、生活習慣を根本的に変えようと思いたつことがなかなかできない方は多いと思います。

今回は、海外でプロのバレエダンサーとして踊ってきた筆者が厳しい環境やこまめな体調管理を強いられる中で体験してきた、生活上の困難や人生の転機点などに関する小話もまじえて、生活習慣や健康管理を見直すための「すぐできるヒント」お届けします。

1.生活習慣の悪さは、一発逆転できる

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Image: ESB Professional/Shutterstock.com

今でこそプロのダンサーとして踊っている筆者。中高一貫の進学校に通っていた学生時代、私は、大学受験をするか、バレエを選ぶかで思い悩みながらも多忙な日々を過ごしていました。

当時は、朝7時から通学、授業や、課外活動の後にレッスンをこなし、帰宅は夜中の11時。そこから夕飯を食べて宿題を片付けるという毎日で朝から晩まで休みのない目の回るような生活をしていました。

睡眠時間3時間という日もあり、それはそれは若さだけで乗り切っていたような乱れた生活習慣でした。

■目の回るような生活から一転、ポルトガルへ

高校卒業後、ポルトガルのバレエ学校へ留学してすぐに始まったのは、休養なくして続けられないハードな練習の日々。基本的に、昼12時から夜8時半まで、休憩時間以外は体中が筋肉痛に襲われるような練習を繰り返していました。

私にとっては、ハードな練習だけでなく十分な睡眠時間を確保できること自体が新鮮でした。なによりもそれまで、わかっていても変えられなかった生活習慣を変えられたことが一番の収穫でした。

■生活習慣が変えられた理由

生活習慣を変えられたのは、毎日ほぼ同じリズムで起床と就寝を繰り返していたからです。

人間にはサーカディアンリズムという体内時計がありますが、不規則な生活だと、何が自然なリズムなのかわからなくなります。

一方で、一定の生活習慣を毎日続ければ、「今日はいつもより調子がいいな?」といった気づきと出会えます。

私の場合、ポルトガルでの生活で初めて、7時間と8時間、8時間と9時間の睡眠時間がもたらすパフォーマンスの差に気づくことができました。

たとえば、6時間睡眠でも1つ1つの動きを単体でこなして踊ることはできるものの、7時間寝た日には、さらに1つ先の動きまで予測して踊り続けられる、という違いを発見できました。

そう気づけたのはひとえに、安定した生活習慣のおかげで微妙なパフォーマンスの違いがはっきりと感じられるようになったからで、脳がそう感じるために、必要な睡眠時間も確保できていたからです。

■生活習慣は誰にでも変えられる!

これまで生活習慣が悪かった人も諦めてはいけません。乱れた生活をしていた人は、その経験がバネになるはずです。

なぜなら、毎日のスケジュールに加えて、以前の悪い生活習慣という別の指標が存在することで、より違いを体感しやすくなり、個人的なモチベーションを維持しやすくなるからです。

2.「自分流・慣れ」の落とし穴に気づく

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Image: Black Salmon/Shutterstock.com

留学後、私はプロのダンサーとしてヨーロッパや旧ソ連で踊っていました。いまは、長年お世話になったジョージア(旧グルジア)国立バレエ団を辞めて、日本でフリーランスをしています。

バレエ団では、ある程度の生活習慣にも気を配れるようになり、睡眠時間に応じてその日の調整ができているつもりだったのですが、そこにはバレエ団生活への「慣れ」という落とし穴がありました。

■慣れる=フル稼働していた脳が楽な方法を覚えてきた

慣れるとは、新たな気づきが少なくなることでもあります。 向上心を持ち続けたいなら、気づきがないのは致命的です。

これはバレエだけでなく、生活習慣についても言えること。とんでもない健康管理を続けているのかもしれないのに、それに気づけてすらいない、というのは深刻な事態です。

■慣れてしまうとチャレンジできない

個人的に気づいたのは、バレエ団やジョージアといったコミュニティの内部で共有されている価値観や美的感覚に日々触れていると、自分自身の良いところも悪いところも、時間をかけて周囲に受け入れられてしまう、ということ。

欠点が見過ごされていき、いつしか「彼はそういう人だから」と見なされるようになってしまっては、自分のためになりません。フリーランスとして働き始めてから、より一層そう感じるようになっています。

■常識的な着眼点を忘れないように

ストイックな環境に順応した人だけが生き残れる世界にいたため、常識的な着眼点を見失っていたなとも思い知るようになりました。

個人個人の常識というのは、自覚しているつもりでいても、交際する人間関係や周りの環境によって刻一刻と変化するもの。

だからこそ今は、一定の生活リズムを習慣化する一方で、不慣れなものにチャレンジすることを、人にも薦めています。

3.働いたら、しっかり休む

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Image: Jelena Danilovic/Shutterstock.com

バレエ団における就労環境というのは、国によっても、バレエ団によっても異なります。

私が働いていたジョージア国立バレエ団は、ちょうど2016年にオペラ劇場の改修工事を終えたところで、最高の劇場に恵まれていました。最新式の照明装置に囲まれた広々とした舞台や、まばゆいばかりのシャンデリアが花のつぼみのように吊り下げられた豪華な観客席。環境はとても良かったと思います。

しかしケガをしたダンサーに対する治療のレベルはヨーロッパほど進んでおらず、ダンサーは半ば独力で解決方法を探っていく必要がありました。私自身も、まだ入団して間もない頃に膝の不調に悩まされ、その後1年近く満足に踊れないことがありました。

■何がケガの原因だったのか?

自分で調べていくうちにわかったのは、練習を重ねて上を目指そうと思うあまりに、休養のとり方がずさんになっていたということ。

体の使い方を矯正する必要にも迫られましたが、それ以上に、疲れた体をうまく休ませることが急務に。ところがこれまで、休む方法を「練習」したことなんてありませんでした。

■体を休ませるにはどうしたらいいか?

体の休ませ方は、その体を何に使っているかによって変わります。

たとえば、体を酷使する職業の場合、食事や読書など、いわゆる休日の過ごし方がそのまま休養になります。

逆に普段頭を使う仕事をしている方にとっては、体を動かすことが休養です。

まずは自分が日々どういった活動に時間をかけているか、その活動では何を酷使しているのか、ということを自覚できると、休ませるべきものが明確になり、休む効率も良くなるはずです。

4.お金には変えられない経験を報酬と考えて行動する

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Image: Vlad Karavaev/Shutterstock.com

ジョージアでは月給制で働いていました。しかし日本のバレエ界では、安定した月給をもらえる環境がまだ多くありません。

そのため日本ではお金のやりくりが問題になってきますが、 ジョージアでは、日本での生活からは想像のつかないような気苦労が絶えませんでした。

■ジョージアでぶつかった言葉や文化・宗教の壁

日常生活で話す言葉はジョージア語。一方、劇場のなかではロシア語を聴き取る必要がありました。ジョージア語とロシア語は、それぞれ異なる文字や語彙をもった言語です。

最初は配役表に載った自分の名前がわからず、それが配役表なのかどうかすらわかりませんでした。しかも 外国人同士の会話は英語で、コミュニケーションには文化や宗教の壁も立ちはだかります。

■インフラや買い物の壁

ジョージアのような国では、インフラ整備や生活環境が必ずしも快適とは限りませんし、当然コンビニや自販機はありません。レストランに行っても、メニューに書かれた料理があるとは限りません。

ほんの数日間の滞在ならまだしも、長期間この環境に住みながらバレエ団で踊り続けることは容易ではありませんでした。

■そこで、お金に代わる報酬(経験)を探しを始めた

そんな日々の暮らしの中で、これは! と思う報酬(経験)を見つけていくことができれば、ささやかな楽しみを満喫しながら、確実に生活を変えることができます。

ジョージアの首都トビリシに住んでいた3年半の間に、私は3度引っ越しをしています。初めの3棟では同僚とシェア、最後の1軒は一人暮らしでした。

シェアで暮らすのと一人暮らしとでは、1日に人と話す時間が変わるので、一人暮らしになってからは、なるべく家から出て人と会話し、少なくとも人のいる環境に触れる時間を増やすようにしていました。

また、シェアのときには、ある程度自分だけの時間をとれるように努力していました。

日々の料理を工夫したり、近所の散策に出かけたり、という時間も非常に大事になってきます。

日単位での報酬を生活のあちこちに散りばめる、といった心がけは、じつはお金と同じくらい必要な「幸せ必需品」だと思います。


4つのヒント、いかがだったでしょうか。

慣れないことを続けていくためには、そのプロセスを楽しむことが大切です。まずはできるところから、取り入れて、生活改善・健康管理を楽しんでみてください。

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鷲見 雄馬(すみ・ゆうま)

開成高校卒。東京藝大中退。オランダ国立バレエ学校を経て、ジョージア(旧グルジア)国立バレエ団に入 団。プロのバレエダンサーとして、モスクワ・ボリショイ劇場など世界各国で踊る。2018年3月に帰国し、現在フリー。ダンサーとしての活動のかたわら、雑誌編集や執筆、チラシデザイン、新規プロジェクトの企画・運営を手がけるなど、多彩な分野で活躍中。


Image: Shutterstock.com 1,2,3,4

鷲見雄馬

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