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世界一辛いトウガラシの開発競争が激化。「最悪のトウガラシ」が体にもたらす影響とは?

世界一辛いトウガラシの開発競争が激化。「最悪のトウガラシ」が体にもたらす影響とは?
Image: MediaGroup_BestForYou/Shutterstock.com

今年の4月、ニューヨーク州クーパーズタウンで34歳の男性が、雷鳴頭痛でERに運ばれたという症例報告がBMJに掲載されました。雷鳴頭痛は、脳出血の兆候とも言われる激しい痛みです。症状は、空吐きと強烈な頭と首の痛みでした。彼は数日前に参加したトウガラシ食べコンテストで、世界一辛いトウガラシのギネス記録を持つキャロライナ・リーパーを1つ食べていました。

幸いなことに、このような被害はあまり多くはありません。ペンシルベニア大学で心理学を教えるPaul Rozin教授は、「リスクは非常に低い」と言います。Rozin教授は料理と社会におけるその役割を専門としており、1980年代前半から、トウガラシの独特な魅力について研究をしてきました。

トウガラシを食べることによる害については、あまり研究が進んでいません。消化管に炎症が起きるケースや、処理しきれないほどのスパイスを食べて嘔吐するケースもあります。

とはいえRozin教授は、そんなに有害なら、これほど多くの文化に広く浸透していないはずだと考えています。

耳鼻咽喉科の専門医でNYU医学部の臨床准教授を務めるRichard Nass医師は、トウガラシが身体に与える影響は好ましくないものの、通常は一時的で軽微なものと述べています。

消化器系の粘膜内層が損傷し、胃酸が喉に逆流してきます。

このような症状は、市販の薬と時間、そして数日間穏やかな食事をすることで治ります。

しばらくはチキンとライスを食べるといいでしょう。

ブルックリンで人気のホットソース「Heatonist」を調合し販売しているシェフNoah Chaimberg氏は、辛いものを食べ過ぎたあとの痛みには、生クリームやアイスクリームなどの乳製品を勧めています。カプサイシンは脂溶性であり、乳製品の死亡に吸収されるそうです。

トウガラシの体への影響とは?

トウガラシによる恐ろしい体験は、スモールステップで解決できます。それでも、救急医療を必要とするほどのトウガラシの食べ過ぎによる異常な出来事は存在し、症例報告が出されています。

冒頭の雷鳴頭痛を訴えた男性のCTスキャンには、可逆性脳血管攣縮症候群の兆候が表れています。これは、脳に血液を運ぶ血管が急激に収縮することでひどい頭痛を引き起こす、珍しい症状です。医師らは、彼の症状を数日間治療および監視したあとで退院させました。基礎疾患がなかったため、原因はトウガラシへの反応と結論付けたそうです。

彼が食べたキャロライナ・リーパーは、平均1個当たり160万スコヴィルの辛さを持ち、辛いものでは220万スコヴィルに達することもあります。スコヴィル値は、トウガラシの辛さをもたらす刺激物であるカプサイシンの濃度を示す単位で、参考までにシラノ・ペッパーは1万~2万スコヴィル、ハラペーニョは2500から1万スコヴィルです。

カリフォルニアに住む46歳の男性は、2016年にトウガラシ食べコンテストに参加し、ブート・ジョロキアのピューレで味付けしたハンバーガーを食べました。ブート・ジョロキアはゴースト・ペッパーの異名を持ち、100万スコヴィルの辛さを誇ります。彼は食道に2.5センチの裂傷を負い、救急に運ばれました。緊急手術となり、23日間入院、そのうち14日間は挿管された状態だったといいます。たった1つのハンバーガーが原因で。

2014年、45歳の男性が、「尿内に赤いかたまり」があり排尿が難しいと、チャールストンのERを受診しました。症例報告によると、「その患者は辛いものを食べ、尿にトウガラシが混入していた」とのこと。超音波検査の結果、腸膀胱瘻が発見されました。これは腸と膀胱の境界の損傷で、消化物の残骸が膀胱に漏れていたそうです。

こんな恥ずかしい出来事はめったにありませんが、トウガラシが有害に感じられ、体に苦痛を与えることを示す理由はあります。カプサイシンは、鼻、口、皮膚にある疼痛受容体に結合します。その後に続く汗、皮膚の発赤、唾液の分泌は、有害な毒素を排除するための身体の反応です。詳細な研究が行われているわけではないのですが、上で紹介したような極端な身体反応は、おそらく極端なカプサイシンの摂取によるものと考えられます。Rozin教授は言います。

損傷の原因はたいてい、トウガラシに対する身体反応です。

では、痛みを伴うにもかかわらず、なぜ私たちはトウガラシを食べるのでしょうか。

ジェットコースターと同じです。最初は危険に思えて、人によって慣れるまでに多少の時間がかかることもあります。でも、怖くないことがわかると、スリルを求めてまた挑戦したくなってしまうのです。

ここ数年、MTVのいたずら番組「Jackass」の影響で、マッドサイエンティストならぬマッド植物学者らによる「世界一辛いトウガラシ」を作る競争が激化しています。

世界最辛競争の激化

昔から栽培されているトウガラシでは、ゴースト・ペッパーやトリニダード・モルガ・スコーピオンが世界一辛いと言われており、どちらも100万スコヴィル前後です。

しかし2010年、「バッチT」スコーピオン・ペッパーとキャロライナ・リーパーが登場。前者はHippy Seed CompanyのためにButch Taylor氏が開発したトリニダード・モルガの亜種で、140万スコヴィルを記録。後者はPuckerButt Pepper Co.のためにEd Currie氏が作ったもので160万スコヴィルを記録しました。どちらもギネス世界記録に認定され、格好のYouTubeネタとなりました。

2017年には、ノースウェールズの農夫Mike Smith氏が「ドラゴン・ブレス」というトウガラシを作りました。ノッティンガム大学の研究者によると、その辛さは250万スコヴィルに達するそうです。Smith氏は、食べると死を招く可能性があるが、医療用として、麻酔アレルギー患者の皮膚の感覚をなくすのに使えるのではないかと述べています。

キャロライナ・リーパーを開発したEd Currie氏もこれに負けていません。同じ2017年に「ペッパーX」を発表し、318万スコヴィルを記録したのです。

前述のHeatonistの創業者Chaimberg氏は、ペッパーXベースのソースを販売しています。彼のキッチンラボの冷蔵庫には、ペッパーXがいくつか保管されているのだそう。

スプーンでペッパーXを押しつぶして味見したら、燃えるようでした。

同社がペッパーX入りのソースを「Last Dab」と名付け販売したところ、最初の1000本は90秒でまたたく間に売り切れたそうです。

シェフでもあるChaimberg氏は、彼自身もお客さんも、痛みと刺激物に対する身体の検出機能に負担をかけていることは承知であり、むしろそこが彼の商品の魅力なのだと言います。

普段はない要素が加わるので、食べ物を4次元で楽しめます。それが生理学的に人を魅了し、普段は放出されない脳内化学物質が放出されるんです。


Image: MediaGroup_BestForYou/Shutterstock.com

Source: BMJ, MAYO Clinic, Guinness World Record, Cleveland Clinic, Los Angels Times(1, 2), Mental Floss, AAEM, Slate(1, 2), NM State, The Hippy Seed Company, Daily Post,

Nick Keppler - Lifehacker US[原文

訳:掘込泰三

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