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トランスジェンダーの娘との日々は面白い。マーロ・マックさんの子育てハック

トランスジェンダーの娘との日々は面白い。マーロ・マックさんの子育てハック
Photo: Marlo Mack

敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ子育て術「HOW I PARENT」シリーズ。今回はトランスジェンダーの娘を育てる日々を伝えるポッドキャスト「How to Be a Girl」のクリエイター、マーロ・マックさんの子育て術です。

マーロ・マックさん(仮名)は、トランスジェンダーの娘「M」との生活を題材にしたポッドキャスト「How to Be a Girl」を制作しています。このポッドキャストは、娘の同級生の母親たちが、ペニスがある女の子がクラスにいるとわかったときの反応に始まり、「あなたは自分で子どもを産んで母親になることはできない」とマーロさんが娘に伝えたときのことまで、何でもストーリーにして伝えることで、リスナーにトランスジェンダーの世界を垣間見る機会を与えています。そんなマーロさんの子育て術をご紹介します。

氏名:マーロ・マック(仮名)

居住地:ワシントン州シアトル

職業:ラジオプロデューサー、ポッドキャスター

家族構成:娘のM(10歳)、フィアンセのB

──最初に、家族とキャリアについて教えてください

娘が3歳になったときから私はシングルマザーです。幸運にも、娘の父親とは仲良く一緒に子育てできています(それから、私はもうじき再婚する予定なので、娘にはステップファーザーができることになります)。私の仕事は公営ラジオのプロデューサーです。

──ここまでの人生は概ね計画通り? それとも予想外のことが多かった?

予想外のこと? もちろんありましたよ。娘が生まれたときは、男の子だと思ったので男の子として育てていました。その認識が間違いであることは、娘が単語を文にして話せるようになって間もなく、娘から指摘されました。この子は女の子だったのです。

それから1年ぐらいは「ピンクが好きでドレスを着るのが好きでもいいから、男の子でいられないの?」などと言って、男の子だと自覚させようとしました。でも、この戦いに勝ち目が無いことも、こんなふうに戦うことで子どもを傷つけていることにも気づきました。4歳から、娘は女の子として幸せに暮らしていて、アイデンティティが揺らいだことは一度もありません。

私はラジオのプロデューサーで、長年にわたりオーディオが大好きなので、娘が生まれたときからずっと録音してきました。子ども時代の素敵な思い出になったらいいなと思ってのことでした。娘が、自分は「彼」でなく「彼女」だと言い始めたときも録音は続けました。

私たちの会話はついに2人の生活を描く「How to Be a Girl」という名前のポッドキャストになり、私たちの生活のストーリーを伝え、全ての人間が、意識しているかいないかに関わらず、暮らしているジェンダーという不思議な世界を紹介しています(内容に興味のある方は、私が娘の成長を記録するために作った以下のアニメをご覧ください)。

──朝のルーティンは? 子どもにスムーズに外出の準備をさせる裏ワザは?

残念ながら私は朝型ではなく、娘も季節性アレルギーと薄毛と一緒に夜型を私から遺伝しているようです(ごめんね、ハニー)。ですから、2人とも朝は辛いです。「コツ」は、できるだけ前の晩に済ましておくこと。なにしろ私は真夜中に全開モードになるので、靴下を対にしていくといった難しい作業も何とかできるのです。寝る前に、翌日のランチを詰め、翌日着る洋服を並べ、娘にも翌日の服を選ばせます。こうしておけば、朝起きたら、それを着て、私はコーヒーを飲み、娘はベーグルをもぐもぐ食べればいいだけです。こんなにシンプルなルーティンなら、学校には定刻に行けていると思うかもしれませんが、実際には、それでも2回に1回ぐらいは遅れているけれど、許容範囲かなと思っています。

──誰からどの程度育児を手伝ってもらっている?

今は、子どもの父親と一緒に子育てできているのでとてもラッキーです。ほぼ半分ぐらい、彼が子どもを預かってくれています。私は、オフの時間を持てないと、到底やっていけません。親権を共有しているおかげで、子どもがいるどの友人より私の方が自由な時間を多く持てています。もちろん、娘が父親のところにいっているときは、とても寂しいけれど、そのときしか私も休憩できません。だって、娘が一緒にいると、何もかも私がしなければならないから。娘が真夜中に咳が出て目覚めても、誰かにミルクや薬を買いに行ってもらうことはできません。

シングルマザーになって間もない頃は、本当に大変でした。1日中仕事をした後は、ママだって5分ぐらい自分の時間が必要だと理解できない4歳の娘と2人きりで過ごした長い夜は思い出すのも辛過ぎます。今では娘もその頃より大きくなったので、楽になりました。それに、私も私生活で新しいパートナーができたので(近々娘と一緒に彼の家に引っ越します)、寂しい夜ももうすぐ過去の話になります。

Mが4歳で描いた自画像。
Photo: How to Be a Girl

── 「これがないと生きられない」というガジェット・アプリ・チャート・ツールは?

ご多分に漏れず私もiPhoneに依存しています。「住宅ローンの支払い」「許可証」「ミルク」など、しなければならないのにきっと忘れてしまうことをリマインドするためにアラームをセットする手間が省けるので助かっています。私はアラーム音が大嫌いで、どんなにきれいな音でもアラームが鳴るとドキっとするのですが、いまいましい雑用をすべてトラッキングできる唯一の安心な方法だから使っています。年季の入った母親の脳ではとてもそこまでできません。あと、本をダウンロードして読むKindleも大好き。娘が「もっとテレビを見せて」と言うと、私はKindleを渡して「本を読みなさい」と言って、まともな親になった気分になれるのです。

──子育てをするようになってから仕事のやり方は変わった?

効率が良くなったと思います。子どもが生まれる前は、時間はいくらでもありましたが、今は時間は足りなくて貴重。夜遅くまで仕事のプロジェクトを引っ張ることはできませんし、長いランチもできません。娘をデイケアに迎えに行くのが遅れると、1分ごとに20ドルもチャージされるからです。自由な時間が2、3時間持てたら、もう天国のよう。私にはめったにない魔法の贈り物です。でも、そうなったらその時間はどんなふうに使ったらいいのでしょうか(子どもが生まれる前の私は、膨大な自由時間をいったい何に使っていたのか、今となっては不思議です)。

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Photo: How to Be a Girl

──どのように子どもを仕事に関わらせている?

ポットキャスト用に、娘にたくさんインタビューをして、どのような話題を扱うべきか、彼女の考えを聞いています。娘には、コントロール感と当事者意識を持ってもらいたいと思っていて、実際に彼女はそうなっているとかな。彼女はポッドキャストのことをとても誇りに思っていて、私たちのストーリーをシェアすることで他人を助けているという考えを気に入っているよう。娘がもっと大きくなったら、自分で指揮して自分だけのオーディオストーリーを作る気になったら楽しいですね。でも、当面は、ポッドキャストよりレゴの方に興味があるみたい。

──夜のルーティンは何をしている?

私が夕食を作っている間、娘はレゴで何か素敵なものを作ります。それから、一緒に座って夕食を食べます。娘に「今日はどうだったの」と質問して、冷静に娘の話を聞くように心がけて、何らかの情報を娘から引き出すようにしています。お互いに、その日にあった良いことを2つ、悪いことを1つ話す「2本のバラと1つの棘」というゲームをするときもあります。たいてい最後まで行きませんが、良い会話のスタートになります。それからお風呂に入って、スナックを食べて、ベッドでお話を読みます。

──子どもにはあなたのどんなところを見習って欲しい?

情熱を持って一生懸命努力すれば、誇りに思えるものを作り出せることを娘に見せたいと思っています。彼女は私が夜も週末も一生懸命ポッドキャストの仕事をしている姿を見ています(私は平日は別の定職に就いています)。そして、私がポッドキャストである程度成功していて、そのことに関してとても喜んでいることもわかっています。娘がこの状態に立ち会っているのは良いことだと思います。それから、物事を深刻に考え過ぎないこと、自分に優しくなることを学んで欲しいと思っています。私自身もうまくできていないことですが、心がけていることです。

──子育てで一番辛いことは何?

娘は、トランスジェンダーであるせいで先々苦しい思いをするかもしれないのに、私には解決してあげられないのがわかっていること。

──トランスジェンダーの子どもについて世の人々に知っておいて欲しいことは?

2つあります。

1つ目:娘は他の子どもたちとほとんど変わりません。学校に行き、友だちと遊び、もっとテレビを見せてと私にねだり、キャンディが好きでホウレンソウが嫌いです。全く一般的であると同時に完全にユニークでもあります(これはすべての人間に言えることですね)。そして、トランスジェンダーであることは、彼女を形成しているたくさんの細部の1つでしかありません。

2つ目:子どもにとってトランスジェンダーであることは、辛いこと。私と娘の間で、その話はほとんどしません。娘が学校や友達と遊ぶことやピアノのレッスンやレゴで忙し過ぎるから。でも、トランスジェンダーだということは、生活の端々で常に忍び寄ってくるので、娘の意識から離れたことはないはずです。毎回新しい友達ができるたびに「私がトランスジェンダーだとわかっても私を好きでいてくれるかしら」とクエスチョンマークが付きます。公共のトイレを使うときも「誰かに扉の下からのぞかれたらどうしよう」と不安になります。服を選ぶときも「このパンツでうまく全部隠れるかしら」とハラハラしなければなりません。娘が思春期になったらますます大変そうです。

──トランスジェンダーの子どもを育てている親御さんたちに一言

親が何を言おうが何をしようが、その子どもがトランスジェンダーであることは変えられません。トランスジェンダーは先天的なことだから。それが実感できたとき、私は心が解放され、我が子を本人が「なりたい自分」にさせてやることができました。これは、簡単なことではありませんが、きっとできます。子どもを愛し続け、子どもに耳を傾け続けましょう。そして、必要ならサポートを受けましょう

Michelle Woo – Lifehacker US[原文

Photo: Marlo Mack

訳:春野ユリ

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