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お金に働いてもらうために、「投資と経済のキホン」を押さえておこう

お金に働いてもらうために、「投資と経済のキホン」を押さえておこう

超・初心者のための投資のキホン 1000円からできるお金のふやし方』(大槻奈那著、ワニブックス)の著者は、マネックス証券 チーフ・アナリスト兼マネックスユニバーシティ長。マネックスユニバーシティとは、オンライン証券のマネックス証券で、個人の方々に投資教育を行う部署なのだそうです。

でも、そんな立場にいるからこそ、お金についてはいろいろと思うところがおありのようです。

日銀のマイナス金利導入から2年が経ち、モノの値段もじわじわと上昇し始めました。特に今年の春は、飲料、納豆、テーマパークの入場料等、あらゆるものが値上げされたことが話題になりました。

そんな中で預金はどうか、というと、なにしろマイナス金利ですから、銀行は預金に金利をつけるわけにはいきません。定期預金は期間にかかわらずほぼゼロです。つまり、理論的には、預金をしていると、ちょっと前に買えていたものが手に入らなくなってしまうという状態になりつつあるのです。 (中略)若い人々の間にまで、医療費や年金への不安が高まっています。寿命が延びるのはいいことなのですが、若者にとって、それまで生きてきた年数の2倍も3倍も生きていかなければならないというのは不安なことでしょう。 まして新聞やテレビなどの報道では、年金の支給開始年齢が引き上げられる可能性があるとか、医療費負担が増加する方向だとか、不安要素の大合唱です。 (「はじめに」より)

そんな状況だからこそ、この30年間で「お金に働いてもらう」ことが本当に必要になってきたのだと著者は主張しています。具体的にいえば、そのための手段は「投資」。そして投資について重要なポイントは、それが資産形成の重要なスキルであるということ。仕事から趣味まで、人はさまざまなスキルを持っていますが、投資もそのひとつだということなのです。

スキルは誰でも磨くことができ、磨けば伸びるもの。そしてスキルを磨けばそれに連動して、資産形成のスピードも早まることに。つまり投資は万人が参加できる、平等で民主的なスキルだという考え方なのです。

しかしそのためには、経済や投資についての基本的な知識をつけておくことは必然的に必要となるでしょう。そこで第5章「投資と経済のキホン」から、いくつかの考え方を抜き出してみたいと思います。

まずは経済ニュースを見る

スキルを高めるために重要なのは、なんといっても情報と知識。そして情報については、投資や経済環境に関する正しい情報を集めることが大切なのだと著者は主張しています。そして、「そのために、まずは経済ニュースをみるようにしましょう」とも。

「小難しいニュースは苦手」という人もいるかもしれませんが、情報がなければ勘で勝負するギャンブルと同じだというのです。

料理をする人が食材やレシピを調べるように、山登りやサーフィンをする人が天気予報を調べるように、動くためには情報が必要であり、それがスキルアップにつながるものなのです。(157ページより)

ただし時間は貴重な資源なので、無駄遣いをしないためにも情報収拾の効率を意識するべき。仕事などで日々忙しい人にとっては、ぼーっとニュース番組を見たり、漠然と新聞のページをめくり続けることが、場合によっては時間の無駄遣いになることもありうるというわけです。

そこで、著者が活用することを勧めているのがインターネットです。なにしろインターネット上の経済ニュースは、スマートフォンさえあれば、いつでも、どこにいても確認することが可能。つまり、移動中でもちょっとした空き時間でも情報収拾が可能になるということです。(154ページより)

重要なポイントだけ効率よく押さえる

そしてネットニュースの見方として、著者は「見出し(ヘッドライン)のナナメヨミ」を勧めてもいます。

改めていうまでもなく、ネットニュースのほとんどは、まず国内、国際、経済、エンタメ、スポーツなどの「ジャンル」があり、その下に各ジャンルのニュースの「見出し」が並び、読みたい項目をクリックして「本文」を読むという三階層になっています。

そのなかから「経済」のジャンルを選び、「見出し」をざっと読めば、どんなニュースが注目され、話題になっているかが把握できるということ。たしかに経済ニュースに慣れていない人でも、これくらいのことであれば移動時間や休憩時間を利用して簡単にできるでしょう。

例えば、ある日の見出しを見てみると、「日経平均一時上げ幅500円超」「ベア前 年超え相次ぐ」「OECD米の輸入制限に警告」「野菜相場が急落」などが並んでいました。 これらをナナメヨミするだけで、感覚的にではありますが景気がよさそうだとわかります。たったそれだけのことでも、投資や経済に目を向ける第一歩になります。(158ページより)

そして、見出しのなかで気になるニュースがあれば、本文を読んでみる。見出しを読み、本文まで読むニュースを取捨選択するという習慣をつけることができれば、それは時間の節約になり、結果として効率よく日々のニュースを把握することが可能になるというわけです。

見出しのなかには、聞きなれない言葉や知らない単語が出てくるかもしれません。しかし、そんなときにも、勉強を兼ねて本文を読んでみるといいそうです。たとえば「ベアってなんだろう」「OECDってどういう意味だろう?」といった疑問を持ちつつ本文を読むことで、ニュースに対する関心も高まりやすくなっていくということ。

本文を読んでも意味がわからなかった場合は、ついでにその場で意味を検索してみましょう。見出しになるということは、経済ニュースとして重要だということ。そのためキーワードとなる単語の意味を押さえておくだけで、スキルを高めるために重要な2つ目の要素である「知識」も増えることになるわけです。

するとニュースを読み解く力が上がっていき、のちのちの投資に役立つ可能性も十分に考えられるということです。(158ページより)

疑う視点を持つ

ニュースの読み方として重要なのは、「疑う視点」を持つこと。

たとえば「GDP2.5%増」というニュースを見たとします。GDPは国の経済規模を表すもっとも重要な指数ともいえるため、2.5%増なら好景気のようだと判断するかもしれません。しかしGDPのように連続性を持って測っている数値は、過去からの流れを確認しなければならないもの。

今年のGDPが2.5増でも、昨年も2.5増だったとしたら、景気回復ではなく現状維持という判断のほうが正確。昨年が3.0だったなら景気が減退している可能性もあるわけです。

正しく判断するためには「GDP2.5増」といった部分的な情報を切り取るのではなく、その背景にも目を向ける必要があります。そのために「プラスなら好景気?」と疑う視点が重要になるのです。(161ページより)

また経済活動は、気候などにも影響を受けるもの。日本は輸出国なので輸出先となる国の経済状況にも影響を受けますし、為替レートも影響します。つまりはそのような環境的要因により、GDPなどの数値が短期的によくなっている可能性もあるのです。

そこで、数字を見るだけではつかめない景気の実態や経済活動の本質を見るためにも、「本当に景気がいいの?」と疑ってみることが大事だということです。

そして疑う視点が持てるようになると、「本当かな?」「調べてみよう」という気持ちも芽生えやすくなるもの。その際には書籍や雑誌など紙媒体を活用するといいそうですが、それもまた自分の知識を増やすことにつながっていくことでしょう。(160ページより)

アンテナを張って情報を集める

情報に関してもうひとつ重要なのは、広い視野を持つこと。アンテナを高くすればするほど、投資や経済環境に関する情報に敏感になり、有益な情報も入手しやすくなるからです。

たとえば株を買うと、その株の値動きのことが気になります。そして「きょうの株価はどうか」「あすは上がりそうか」といったことにばかり意識が向いてしまうため、保有株に関する情報ばかり集めてしまいがち。

しかし市場においては、3600種もの銘柄が売買されています。保有している株よりも、もっと魅力的で、値上がりが期待できる株がほかにたくさんあるかもしれないわけです。

そのようなチャンスを逃さないためにも、広い視野を持って市場全体を見ることが大事です。株はその時々の旬のテーマで買われることがあり、例えば、AI、IoT、EV(電気自動車)、仮想通貨といったキーワードが注目されることで、関連銘柄が買われたりします。 視野を広げれば、そのようなキーワードにも目が向きやすくなるでしょう。(162ページより)

知らないキーワードを調べれば、知識が増えることになります。すると投資対象となる銘柄の幅が広がって、利益を得るチャンスもつかみやすくなるといいます。(162ページより)




「お金についての大切なこと」を、プロフェッショナルの立場からわかりやすく解説した1冊。なにより、「残業も副業も転職も無理なら、お金に働いてもらおう」という考え方は新鮮。将来のために、読んでおく価値は十分にありそうです。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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