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「SMART」な目標とは? 勉強を諦めずに続けるための「メンタルの技術」

「SMART」な目標とは? 勉強を諦めずに続けるための「メンタルの技術」

ノルウェー出身のスーパーエリートが世界で学んで選び抜いた王道の勉強法』(オラヴ・シーヴェ著、片山奈緒美訳、TAC出版)の著者は、もともとごく平凡な学生だったものの、効果的な勉強法を実践したおかげで好成績を収めることができるようになったという人物。高校で学年トップになって以降、ノルウェー経済大学、カリフォルニア大学バークレー校に進み、オックスフォード大学で経営学修士号を取得したのだそうです。

そんな実績があるからこそ、「なぜ、よい成績をとる必要があるのか」という問いに対しては次のように答えています。

もしあなたがよい成績をとることができれば、自分には新しいことを学び、学んだことを活用する能力があり、一定の条件のもとで結果を出せる人間だと示すことになります。言い方を変えれば、あなたのチャンスが広がるということです。 (「はじめに」より)


よい成績はチャンスをもたらしてくれるだけではありません。自信がつき、満足感も得られます。結果、勉強がさらに楽しくなり、意欲がますます高まるというプラス思考のサイクルが生まれます。 (「はじめに」より)

それだけではなく、人生のいろいろな場面において勉強のテクニックは活用できるとも主張しています。やるべきことに適切な優先順位をつけ、効率的に仕事や勉強に取り組み、正しく考えることができれば、さまざまな意味でいい方向に進むという考え方。そこで本書では、そのための効果的な勉強法を紹介しているわけです。

きょうは、やる気の出し方や目標の立て方、正しく考えて学習に活かす方法に触れているパート3「正しく考えるには」から、「メンタルの技術」に焦点を当ててみましょう。

自分の目標を定める

著者はここで、目標を定めることの大切さを説いています。なぜなら、目標があると進むべき方向が定まり、突き進む力が生まれるものだから。具体的にいえば、目標を持つと集中力が高まり、日々の生活のなかで正しい選択ができるようになるということ。ただし、目標は具体的であることが重要だとも強調しています。

そこで注目すべきは「SMARTな目標」。すぐれた目標の法則を頭文字で表すとSMART(Specific, Measurable, Ambitious, Realistic, Time limited/具体的なもの、測定可能なもの、意欲的なもの、現実的なもの、期限つき)になるというのです。

「具体的なもの」は、明確にシンプルに設定すべき。「測定可能なもの」は、結果が測定できる形に。「意欲的なもの」は、簡単すぎず、さらに上をめざすものに設定することが大切。「現実的なもの」は、物理的に可能な内容にし、苦しむほど厳しいものは選ばないようにすること。そして「期限つき」は、達成するべき期限をはっきり設定しようということ。

なお目標を設定する際は、長期的なものと短期的なもの、両方を定めると効果的。著者がオススメしているのは、次のようなものです。

・進学または就職の目標(長期的目標)

・最終的な成績の目標(長期的目標)

・各教科や科目の成績の目標

・各授業や講義の目標(とても短期的な目標)

(159ページより)

勉強を始めたばかりのころは、なかなか現実的な目標を設定しづらいもの。達成がとうてい困難な目標や、逆にあっけなく達成できる目標にしてしまうこともあるでしょう。しかしそういう場合は、修正することが必要。なぜなら実際の結果との差が開きすぎると、目標は「やる気の源」としての価値を失ってしまうから。

また、どんな結果でも受け入れられる準備をしておけば、たとえ小さな目標を達成できなかったとしても、自己否定の悪循環におちいることはないといいます。そして目標は、常に思い出すようにすることが大切。忘れてしまっては効き目がないわけです。(157ページより)

楽しむ

勉強をおもしろいと感じる人は、新しいことを学んだり問題を解いたりすることに喜びを覚えるもの。そして勉強が楽しいと思える段階まで到達すると、よりよく学べるだけでなく、速く学べるようにもなるといいます。理由はシンプルで、楽しいことだと作業がはかどるから。

でも実際問題として、どう楽しいものにすればいいのでしょうか? このことについて、著者は3つの手段を紹介しています。

態度を変える

ある行為をどう思うかは、自分の態度が大きく関係するもの。たとえば「テキストを読むのはおもしろくない」と最初から決めてかかってしまうと、脳がそう認識する可能性が高いわけです。

しかし逆に、「これから読む内容はおもしろい、目標を達成するために重要だ」と声に出して言うと、ずっと楽しく感じられるようになるということ。実際にそれを口にすることで、考えをポジティブな方向に持っていけるという考え方です。

他の人と一緒に勉強する

他の人と一緒だと、気持ちが少し軽くなり、勉強が楽しくなるということ。それに実際、成績が上がることも多いのだそうです。ただし、集まったときに勉強から話がそれないように気をつけることは必要。

“フロー”をめざす

フロー”とは心理学の用語で、「時間や場所の感覚もなくなるほど、いましていることが楽しく感じられる状態」のこと。100パーセント集中しているため、まわりのことも気にならなくなるわけです。そしてさらに努力するようになり、普段よりずっと効率よく作業できるということ。

一般に作家、作曲家、科学者、芸術家などは仕事に深く入り込み、こうした状態になりやすい傾向にあるものの、フローの状態になることは誰にでも可能だそうです。(161ページより)

自分を信じる

私たちがときに行き詰まってしまうのは、自分の限界を自分で設定してしまっていることが多いから。しかし自分を信じると、驚くようなことが起こるのだと著者はいいます。困難を乗り越える力が強まったり、クリエイティブな解決方法を見つけ出したりできるようになるというのです。

自己啓発書のベストセラー作家であるナポレオン・ヒルも、我々が知力をもって想像し、信じられることは、すべて達成できるといっています。 最近では、成果を上げるために自分を信じることが非常に重要であるのがわかってきました。成功するためには、まず、自分にはできると信じることが必要です。それは試合に備えるアスリートであれ、勉強に悩む学生であれ、同じです。(164ページより)

自信を持ちすぎると傲慢になり、成功を確信しすぎて努力しなくなってしまうということもありうるでしょう。しかし自信がないと、なにもしないうちから諦めてしまうことになりがちです。そのため著者も、壁にぶつかると、「この壁を乗り越えた人がたくさんいるのだ。彼らにできたのだから、私にもできる」と自分に言い聞かせていたそうです。

もちろん自分を信じることは簡単ではありませんが、練習次第で身につき、そしてテクニックもあるのだとか。自分をより強く信じられるようになるには、難しい課題をやり遂げたり、困難を乗り越えたりした「過去の経験」を振り返ってみればいいというのです。

そうすれば、もう一度成功するための手がかりをつかむことができるということ。そこで著者は、うまくいったときのことをリストに書き出し、ときどき眺めて思い出してみることを勧めています。(164ページより)

ポジティブになる

考えたり期待したりすると、それが効果として現れる場合があるもの。著者はその点にも注目しています。

スティーブン・チャンドラーは、著書『あなたの夢が現実になる小さな100のステップ』(PHP研究所)の中で、どんな目標を設定したとしても、ポジティブだとその達成が10倍早くなると述べています。否定的な考え方はあなたのエネルギーを消耗させます。問題の解決よりも問題そのものや、起きてほしくないこと、望ましくないことに関心が向いてしまうからです。(中略)一方、5日後にテストがある、勉強することが多いけれどどう勉強しようかと思うのは問題解決に焦点があたっているポジティブな考え方です。またポジティブでいると、他の人が困難に思う状況でもチャンスととらえることができます。自分で設定した目標にエネルギーを集中することができるのです。(167ページより)

よりポジティブに考えるために、著者はまず「言葉と問いかけを正しく使う」ことを勧めています。「ベストな状態でいるためにはなにをすべきか」を自分に尋ねていると、無意識のうちに答えが見つかるという考え方。

また、「ほほえむ」「ポジティブな人とつきあう」ということと一緒に重要視しているのが、「困難を予想しておく」こと。本当に楽観的な人は成功だけでなく、困難も予想しているもの。障害が立ちはだかったら、それを楽しんで解決していくわけです。そこで、問題そのものではなく、「解決すること」に焦点を当てるべきだということ。(166ページより)




この他、「賢く勉強するためのテクニック」「テストでいかに力を発揮するか」などについても具体的な説明がなされています。つまり、勉強法を多角的に理解することができるということ。さらなるステップアップを目指している人は、読んでみると気づきを得ることができるかもしれません。


Photo: 印南敦史

印南敦史

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