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大切なのは、まず「前置き」。わかりやすく伝えるために意識したい3つのポイント

大切なのは、まず「前置き」。わかりやすく伝えるために意識したい3つのポイント

意見・主張が通る「伝え方」』(石田健一著、明日香出版社)の著者は、営業、広告制作、宣伝、コーチングおよびコンサルティングと、さまざまな経験を積み重ねてきた人物。そうしたキャリアのなかで、一貫して言葉や表現方法を磨いてきたのだそうです。

つまり本書は、長年にわたって深めてきたそれらを統合し、「伝え方のメソッド」として集約したものだということです。

本書でとりあげた伝え方のメソッドは、相手の「気持ち」や「感情」に寄り添い、場を温めながら、意見・主張を通す方法です。(中略) もちろん、意見・主張が通るようになる、自分の考えや想いが伝わるようになるには、話の順序をどのように組み立てると相手の印象に残るか、理解しやすいかということも重要なのは言うまでもありません。 わかりやすく「ロジカル」に伝えることと、相手の「気持ち」や「感情」まで思いやる「あたたかさ」の相乗効果により、気持ちよく納得して動いてもらえる伝え方になるのです。(「まえがき」より)

「伝え方」を変えると「人間関係」が変わり、そして「結果」が変わる。つまり、その出発点にあるのが「伝え方」だということです。そんな本書のchapter 3「わかりやすい・理解しやすい『伝え方』のコツ」から、いくつかをご紹介しましょう。

「前置き」で方向性を示し、「要するに」「結論として」で話をまとめる

プレゼンや会議、商談で説明をするときは、次の話題について「前置き」をすることが大切。

たとえばテレビのニュース番組では、キャスターが話題を変えるとき、「さあ、次は海外サッカーについてのお話です」など、必ず次の話題の前置きをします。それと同じで、つまりそうすることで、聞き手は「これからなんの話が始まるのか」を理解しやすくなるわけです。

「わかりやすい説明」をするコツは、話の方向性を示すこと。方向性が明確でないと、どのあたりを指しているのか、いまなにを伝えようとしているのかが、聞き手に伝わらないからです。

そのことを著者は、「プレゼンで現状分析の説明を終え、次に現状分析から見出した課題を解決するための方法」をスライドで提示する場合の例を挙げて解説しています。

「ここまで現状分析についてお話ししました。ここからは今ある課題を解決するための方法として、次の3点をご提案したいと思います」(70ページより)

このように「前置き」を入れてから、スライドを先に進めるということ。こうすることで話の方向性が明確になり、聞き手にとってわかりやすい説明になるというわけです。さらに、重要だと思うポイントについて話をする際には、

「ここが、もっとも重要な部分なのですが」 「本日、一番お伝えしたいポイントなのですが」 「ここからが本題なのですが」(70ページより)

など、強調するフレーズを使うことで、集中して聞いてもらえるといいます。

なお「相手がすぐ理解できると思われる内容」について話をする場合は、「とても簡単な話ですが」と話し始めることで、聞き手は話を聞こうという態勢になるもの。逆に「かなりややこしい話になりますが」と言われると、身構えてしまうかもしれません。前置きの違いによって、相手の意識や聴く姿勢は大きく変わってくるということです。

また、説明の途中で方向性をわかりやすくしたいときは、「次に」「すなわち」「一方で」「話は変わりますが」などの「つなぎの言葉」を入れると効果的。そうすることで、聞き手は話の展開を予想して聴くことができ、ストレスを減らせるわけです。

「前置き」や「つなぎ言葉」を使って説明を進めたら、最後は「要するに」「結論として」「つまり~です」を使って話をまとめる段階。たとえば「現状の問題について、3つの視点から説明しました。本日の結論としましては~」というように話を抽象化してまとめることができるわけです。そこには、「そろそろ説明が終わるのかな」と、聞き手の意識をこちらの話に向ける効果も。

とはいえこれらは、何度も使うとくどい印象を与えることにもなりかねません。そこで、「これで本当に最後」という決めの部分で使うことがポイントだといいます。(68ページより)

「重要→詳細」「大→小」の順に説明する

人前で話すことに苦手意識を持っている人は、「言いたいことが、うまくまとまらない」「なにから話していいのかわからない」といった悩みや不安を抱えがち。では、一度話しただけで理解され、納得してもらうためには、どのように伝えればいいのでしょうか?

著者によれば、もっとも有効なのは「大事なポイントを先に伝え、次に詳しい内容を話す」こと。つまり「重要→詳細」「大→小」の順に説明すべきだというのです。このことについて、ここでは上司と部下のやりとりを通じて説明しています。

部長「明日の企画会議、14時からだよね。予定通りでいいんだよね?」 部下「あ、部長! 明日の会議なんですけど、商品部の鈴木部長に急な用事が入ってしまったらしく……。会議の資料は準備できていますが、商品部の部長が出席できないことには……」 部長「それで、会議はやるの? 延期するの?」 (73ページより)

この例では、会議を予定どおり実施するのかを部長から聞かれた部下の答えが、質問の意図から外れていることがわかります。部長からすると、もっとも知りたいことがわからないため、どう対応すればいいのか判断できないわけです。

つまりこのとき、部下は結論を先に、「重要→詳細」の順で説明すべきだったということ。とはいえ急に質問されたりすると、緊張してうまく説明できなくなってしまうということも考えられます。そこで、上記の例で説明すると、次のような順序で話す習慣を身につけるといいそうです。

部長「明日の企画会議、14時からだよね。予定通りでいいんだよね?」 部下「部長、明日の会議ですが、結論から申しますと予定通り実施いたします」 部下「ただし、商品部の鈴木部長は急に出張が入ったので、田中課長が代理で出席されます(鈴木部長との打ち合わせについては来週に再度確認します)」 部下「会議の資料も準備ができています」 (74ページより)

こうして、部長がもっとも知りたいこと、つまり「会議を予定どおり行うのか、延期するのか」を最優先して説明するということ。「商品部の鈴木部長が出張で欠席であること」「田中課長が代理で出席すること」「会議の資料はすで完成していること」は、あとで伝えればいいわけです。

聞き手は、イチからすべてを知りたいわけではありません。まず重要なこと、自分の質問に対して知りたいことに答えてもらい、詳しいことはあとで説明してくれればいいと思っています。 話の順番によって、聞き手の頭の中にスッと入っていくかどうかが左右されるのです。「知っていることを全部説明しよう」「最初からとにかく話しはじめよう」とする必要はありません。(75ページより)

最初に重要な部分をざっくりと説明し、詳しい情報はあとに改めて話す伝え方は、プレゼンや会議で説明したり発言するときだけでなくスピーチや自己紹介などあらゆる場面で使えるスキル。そのため、常に「重要→詳細」「大→小」の順番で説明することを心がけたいと著者は記しています。(72ページより)

「シンプル」で「短い」フレーズの組み合わせが「強力」なフレーズに

テレビ番組のナレーションには、「日本一とうたわれた、名旅館がある」など、短いフレーズを繰り返すことで、歯切れのいいテンポをつくり、視聴者を惹きつける方法があります。

おもにニュース番組やドキュメンタリー番組のナレーションに使われる「サウンド・バイト」という手法。これを使うと、どの年代の人が聞いてもわかりやすく、記憶にも残りやすくなるというのです。そんなサウンド・バイトは、説明やプレゼンなどにも応用できるスキルなのだそうです。

話が長いと焦点がぼやけ、なにが言いたいのかわからなくなってしまうもの。ダラダラと長く話すのではなく、シンプルで短い言葉を組み合わせ、より強いメッセージに変えることが大切だというわけです。

言葉やフレーズを磨きに磨き、聞き手にとっても大切なメッセージまで絞り込むことができれば、相手の心に響きます。短い言葉に、相手に届けたい言葉だけをギュッと凝縮する。本当に伝えたいメッセージほど、言葉を短くするのです。 そのためには、言葉を短くする「意識」を持つこと。言葉を短くしようと常に心がけることが必要です。 そして、いろいろ説明したいことがあっても、「ひと言」で表現できないか、言葉を取捨選択し、実際に絞り込んでみます。 短い言葉やフレーズで表現しようとすると、話を要約せざるをえません。必要のない言葉を削り、どうしても伝えたい言葉しか残らないようにするのです。(77ページより)

必要のない言葉を削る習慣を身につけるには、上司や同僚との会話、友人、家族との会話において、「もっとシンプルに表現できないか」「いま会話している内容を『ひとこと』で伝えられないか」を考えることが大切。日ごろから、意識的に言葉を選びぬくことが大切だということです。それを繰り返していくうち、話が伝わりやすくなり、相手の理解も速くなっていくそうです。

さらに伝えるときのコツとして、ポイントとなるキーワードを「ゆっくり」話し、他の部分とのスピードに緩急をつけることも重要。そうすることで、伝えたいワードがさらに印象に残るわけです。

人の記憶に残すには、「ワンフレーズで区切る」「短い言葉の組み合わせで強いフレーズをつくる」「話すときには緩急をつける」ことが大切。これらを意識すれば、聞き手の印象に強く残るメッセージとなるという考え方です。(76ページより)




20代のころは「意見・主張が通る人」ではなかったという著者は、日々の仕事を通じ、「自分の意見・主張をやみくもに伝えるのではなく、たえず相手の『気持ち』や『感情』を意識するようになったのだそうです。すると、やがて相手に気持ちよく動いてもらえるようになったというのです。

つまり、そのような実体験が軸になっているからこそ、本書の内容は多くの人の心に響くのかもしれません。意見や主張が通らないと悩んでいる方は、手にとってみてはいかがでしょうか。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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