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敏感で内向的な人でも、楽に生きることはできる!

敏感で内向的な人でも、楽に生きることはできる!
Photo: 印南敦史

敏感な人や内向的な人が楽に生きるヒント』(イルセ・サン著、枇谷玲子訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者によれば、「とても敏感な人(HSP:Highly Sensitive Person)」は5人に1人、内向的な人は2、3人に1人存在するのだとか。

ちなみに著者も自分が“内向的なHSP”であることを認めており、そのような立場に基づく自身の経験を生かしながら、心理療法士として、敏感な人や内向的な人のケアをしてきたのだそうです。

本書を読むにあたってまず注目すべきは、そんな立場にいる著者の考え方です。なにしろ、敏感であることや内向的であることが、近い将来市民権を得て認められるようになるのではないかと期待しているというのですから。また、その変化を少しずつ感じてもいるのだとか。だとすればそれは、敏感な人や内向的な人を勇気づけてくれることになるのではないでしょうか。

今の社会のなかでは、控えめで集団の中心から外れて狭く深い人間関係を築こうとする人よりも、多くの人と積極的に関わる外交的な人のほうが評価されやすいのが現実です。そのようななかで生きていかねばならぬ困難さを感じている人も少なくないでしょう。

しかし、実際には、敏感な人や内向的な人の多くは、能力が高く、さまざまな才能を持っています。物事を深く多角的に考える力や、相手の気持ちを察して気配りできる力があり、想像力が豊かでクリエイティブな才能に恵まれているなど、たくさんあります。 自分の敏感さや内向性をポジティブに受け止め、堂々と思考やアイディアを伸ばしていっている人も増えてきています。 (「はじめに」より)

私たちが敏感で内向的な自分を受け入れ、自分の特性を生かせば、それは他の人の見本となって広がっていくだろうと著者はいいます。その結果、自分に自信を持てるようになった人の多くは、萎縮したり、自分を恥じたりすることなく、社会にいられるようになるだろうというのです。

しかも、そうした進化は続いていくと考えているのだそうです。それだけではありません。敏感な人や内向的な人が、自分が生きやすいように人生をコントロールするのが上手になればなるほど、世のなかはその人々の才能という恩恵を受けられるのだとも記しているのです。

こうした考え方に基づいた本書から、きょうは「コミュニケーション」についての考え方がまとめられた「ラクに生きるヒント4 不快なコミュニケーションを回避する」に焦点を当て、いくつかのポイントを抜き出してみたいと思います。

直接話さず、メールや手紙で気持ちを伝える

誰かにノーと言わなければならないときや、距離を置く必要があるときには、面と向かって本人にそう伝えるように教えられてきた人も少なくないはず。ところが敏感な人や内向的な人にとって、そんなふうに直接的にやり合うのはとても不快なことでもあるでしょう。

そんな人のために著者は、内向的または敏感でありながら、気軽に断る方法を思いつける人の考え方を紹介しています。

私はふだん、相手に携帯メールで、自分の考えや気持ちを伝えるようにしています。 面と向かって言うと、あまりにも暴力的だったり、子供っぽかったりする表現をしてしまわないかと恐れる私の気持ちには、このやり方が一番合っています。 このメールをしたあとに、相手と対面で話をします。 最初から直接口で言わずに、携帯メールを送るのを気まずく思うこともあります。自分のやり方がよいのかは分かりません。 ――マイ・ブリット(46歳)

この人のように、直接言う代わりに文字で伝えることのメリットはたくさんあると著者も言います。敏感な人や内向的な人は、ひとりでいるときのほうが自分の心の声を聞くことができたり、じっくりと自分がどうすべきか考えたりできるもの。

書くことによって、いつもより簡単に適切な対処法を思いつくこともあるわけです。そして、そうすることによって結果的に、自分に正直になる勇気も持ちやすくなるといいます。

逆に伝えられる側に立った場合も、たとえば感情的な反応が過剰に起こる可能性のある事柄については、できれば文字で伝えてほしいのだとか。そうすることで、慌てることなくその状況に落ち着いて対処でき、ポジティブな要素を見出すことができるから。

ただし、顔と顔を突き合わせて話さず、文字だけで伝えることには難点もないわけではありません。声の調子や表情がわからないので、文字で伝えると誤解されるリスクが大きくなるわけです。

一方、電話の場合は、声の調子にも情報が含まれているからこそ、誤解されるリスクがやや下がるもの。そこで相手と一線を引く必要があるときは、一対一で会うよりも、電話をかけるほうがいいと著者はいいます。

電話で話すことで気分が悪くなったり、自分の心の声を聞きながら話せそうにないなら、途中で「休憩をとろう、30分後に電話する」などと申し出ればいいわけです。(118ページより)

相手の反応を予測しておく

著者によれば、敏感な人や内向的な人の多くは、「心配しすぎちゃダメ」と言われがち。たしかに状況がちっとも危険ではないとわかったり、考えたことがすべて無駄だったとわかったりしたときには、心配することに費やした労力は無駄になってしまうでしょう。しかし、事前にシミュレーションをしておくことにも、たくさんのメリットがあるはずです。

たとえば、完全に自分流のやり方で問題を解決したことに、上司が強い不満を覚えているのではないかと想像し、そのことについて一晩考え込んだとしましょう。

ところが実際には上司が自分を認めてくれていたとしたら、それまで多くの感情や思考を費やしてきたことを悔やむかもしれません。でも、もしも心配していたとおり、上司が自分のやり方を批判的に見ていたとしたら?

その場合は、もしもの事態に備えていたおかげで、大きなショックを受けずにすむかもしれません。そればかりか、後悔するようなことをうっかり上司に言ってしまったりすることも防げると考えられます。あるいは、長期的に見ると会社での立場にプラスに働くような、分別のある方法で、上司の批判に応えることができるということもありえるでしょう。

上司やパートナーに不満を持っているのであれば、あらかじめさまざまな想定をしつつ、「なにをどのように伝えればよいか」と考えることで、平和的に解決することも可能に。

敏感な動物が行動に出る前に長く観察するように、前もって徹底的に考えることは、敏感な人の気質の一つだと強調しておきたいと思います。 神経が敏感な人が自分自身を慎重に扱うのは賢明です。たとえ、あとで杞憂だったと判明した場合でも。どうか自分自身に愛情を持って語りかけるのを忘れないでください。(127ページより)

どこからが考えすぎか、自分で判断するのは難しいかもしれません。だからこそ、ときにはパートナー、医師、専門のセラピストなど誰かの助けを借りることも一考。助けを借りなさすぎるよりは、借りすぎるほうがいいと著者は考えているそうです。

なお実際のところ、敏感な人や内向的な人が、事前に結果を予想しようとするのは、多くの場合、自分にとってだけでなく、他者にとって不快な状況になるのを避けようとするため。もしかしたら、大事な会話をする前に、次のような会話を心のなかでシミュレーションしているのかもしれません。

「向こうがこう言ってきたら、私はこう言おう。またこう返ってきたら、こう答えよう。それで相手が傷ついたら、たとえば彼のユーモアを私がいかに評価しているのか、いかに彼を快く思っているのか、伝えよう」(129ページより)

会話がどんな流れになるか予想する能力を、みんなが持ち合わせているわけではありません。そして予想するには、思いやりと想像力が必要だと著者はいいます。もちろん、大げさな想像をしたり、他の人との接触の芽を摘んでしまう場合もあるかもしれません。しかし、本人や他者を不快な状況から救い出すこともあり得るはず。

だからこそ、大事な会話をする前には、準備して臨むべき。会話にさまざまな感情が入り乱れれば、ときには言葉を詰まらせることになるかもしれません。そのため、前もってある程度準備しておいたほうがいいということです。(126ページより)




本書の巻頭には、自分が「どれくらい敏感か」「どれくらい内向的/外交的か」がわかる2つの診断テストが掲載されています。そのテストで自分のタイプを知ってから読み進めば、著者の思いをより明確に吸収できるかもしれません。

いずれにしても、自分が敏感で内向的であることをプラス要素として生かしたいなら、ぜひ読んでおきたい1冊だといえるでしょう。

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印南敦史

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