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○年後、どんな自分だったら幸せ? モチベーションをアップする方法

○年後、どんな自分だったら幸せ? モチベーションをアップする方法

モチベーションが上がらないことで悩む人は多く、そもそもモチベーションについての明確な説明がほとんどなされていない。また、「モチベーションは自分自身では上げられない」という誤った理解が、モチベーションへのアプローチを消極的にしてしまっているーー。

そう主張するのは、『究極のモチベーション 心が折れない働き方』(見波利幸著、清流出版)の著者。産業カウンセラーとして、メンタルヘルスの研修や講演、個人や企業に対するカウンセリングやコンサルティングなどに携わる人物です。

しかし実際には自分でモチベーションを上げられないはずはなく、逆に、部下が上司を変えたりすることなどは不可能な話なのだといいます。なぜなら上司も会社も給料も、いわば環境の問題、つまり外部的な要因だから。むしろ意識の向きを自分自身のほうへと180度転回させることこそが、モチベーションを高めるカギだというのです。

モチベーションは自分では上げることはできない、ということは決してありません。コントロールできるようになりますし、揺るがない究極のモチベーションも、必ず手に入ります。

本書では、「自分でできる」モチベーションアップの方法を、モチベーションの土台から考えていきます。自分のこれまでの働き方、自分の強み、大切にしてきた価値観などを振り返り、モチベーションの源泉を知り、ありたい自分・なりたい自分の姿を明確にします。 そしてそれは、会社や組織への貢献ややりがいを感じながら、より主体的に、豊かな人生を歩む喜びに気づいていただくことでもあります。(「はじめに」より)

きょうはCHAPTER 5「究極のモチベーションの作り方」のなかから、2つのポイントを抜き出してみたいと思います。

ベストキャリア ーー マッチングを図る

「こんな仕事をやってみたい」「こんなことに挑戦したい」というような興味、関心、情熱は誰もが持っているもの。しかしその一方には、「こういう仕事をしてほしい」「こんな形で働いてほしい」といった会社側の要請もあります。

つまり、双方がぴったり重なり合うのがベストキャリア。しかし現実的には多少ずれていることが多く、それどころか完全に離れてしまっていることもあるでしょう。

現在の人事制度の多くは、社員を駒のように扱っているように感じると著者はいいます。しかし本来なら、会社はできる限り社員の希望に近づく努力をし、そのうえで社員も会社に近づく努力をするのがベストな状態。適性や能力を見て配属を決めていくことができれば、社員のモチベーションを上げることができるわけです。

そのためマッチングを図るべく、自己申告制度(社員が将来やりたい職務希望などを自己申告し、異動などの参考情報にする制度)、社内フリーエージェント制度(社員が自分の能力や実績を希望部署に売り込み、異動可能にする制度)などを導入する企業も増えてきています。とはいえ、まだまだ少ないのが現状。

マッチングの面で、社員から会社に近づくアプローチとしてまず考えられるのは、希望に沿わない部署に配属されても、適応できるように努力すること。その部署で知識を得て、経験を積み、スキルを高めていけばいいということです。

また、先ほど触れた自己申告制度などを利用して、積極的にアピールするという方法も。簡単に受け入れられるものではありませんが、黙っているよりは表明したほうが可能性はあるわけです。ちなみに著者も、過去に移動を直訴した経験があるそうです。なかなか興味深い話なので、少し長いですが引用してみましょう。

外資系コンピュータ会社でIT開発に携わっていたのですが、マネジメントをやりたいと思い、嫌いな上司を跳び越して、もっと上の人に直接お願いしたのです。これはビジネス的にはタブーですよね。 するとその人は「いいよ、やらせてあげよう」と答えてくれたのですが、続けてこういいました。 「マネジメントの仕事は、部下の話を聞いたり、多部署と折衝したり、リーダーシップを測ったり、コミュニケーションや人間関係の力が必要だ。その力は営業に行けば養われるから、おまえ、明日から営業に行け」 営業をやりたいなどとはさらさら思っていなかったので、私は大失敗しちゃったなと思いました。その時点で私と会社のマッチングは離れてしまったわけですね。 でもそのあとでこう考えたんです。<確かに今の自分には、指摘されたヒューマンスキル的なものは備わっていない。それは今マネジメントの仕事に就いても、すぐに備わるものでもないだろう。でも営業に行けば早く身につくかもしれない。身につけば、配属されたときに、質のいいマネジメントができるかもしれない>。この瞬間にある程度マッチングされたのです。(128ページより)

たしかに「営業なんてできない、嫌だなあ」と思い続けていたとしたら、「つらい、大変、苦しい」だけで終わったことでしょう。マッチングを図れないまま、モチベーションも下がり続けたままだったかもしれません。そして、そんな経験があるからこそ、「どうすればよりよいマッチングが図れるか」を、常に意識してほしいと著者は強調するのです。

○年後、どんな自分だったら幸せなのか

著者はここで、「○年後に自分がどうなっていれば、幸せだと感じることができるか」について考えることの重要性を説いています。なお「○年後」については、長いレンジ(期間)を考えるべきだといいます。たとえば、若い人なら「20年後」など。

考えるヒント

●いちばんやりたい仕事 ●自己実現、成長 ●キャリアとライフのバランス ●いちばん大切な人との関係 ●いちばん大切な価値観 ●いちばん誇りに思うこと ●いちばん充実していること ●人生にとっての成功 ●夢、原体験 など (147ページより)

これらの項目を参考にしながら、具体的なビジョンをノートなどに書き出してみようと提案しているのです。

どのように考えていくかについては、まず仕事のことから始めるといいそうです。「どのような仕事や役割を担っていれば幸せか」「どのような責任を果たせていれば幸せか」などを、20年度、10年後の「自分がありたい姿」「なっていたい姿」を思い描きながら考えてみるということ。

ただし仕事のことを考えただけでは、仕事の価値観を想像できるはずもありません。そこで次に、プライベートについて考えることも大切。プライベートとの連動を図ることで、仕事の価値観は創造できるという考え方です。「仕事はお金を稼ぐだけのもの、自分の幸せはプライベートのなかにしかない」というのでは、いつまでたっても連動は図れないわけです。

家族との関係性や家族に対する役割が、どのようになっていれば幸せを感じることができるか、あるいは、「趣味やスポーツでこんな世界が持てたら幸せだろう」とか、「ここまで極められたら幸せだろう」など、思いつくまま書き出してみるということ。

仕事もプライベートも、両方とも幸せになりうるものです。ですから、できれば一緒にして考えるよう心がけてください。そうすることで、プライベートの幸せを得られるように仕事をし、その仕事で幸せを感じ、さらにプライベートがより充実していくというふうに、両方の相互補完性がはっきりとわかり、自分の幸せというものが明確になってきます。(126ページより)

この作業では、「夢」をある程度書き入れてもかまわないそうです。たとえば将来的に豊かな生活をしたいというのであれば、どの程度の豊かさであったらいいのかを考えてみるということ。

別荘を持つとか、定年までにローンを完済するとか、毎年家族と海外旅行に出かけられるくらい裕福になるとか、夢なのだから遠慮することなく、思いつくものをどんどん書いていけばOK。そして、さらに深めていってほしいのだそうです。

たとえば「定年まで働ければ幸せ」と書いたとします。では、定年のときにどのような状況なら幸せなのか。「健康でいられればもっと幸せ」なのであれば、どの程度の健康を想定しているのか、そのためにはなにをすればいいのかと、考えを進めていくということ。

健康診断で引っかからないように過ごすのか、適性体重を維持するのか、一時間ぐらいは走れる体力をつけるのか、筋肉を鍛えるのかなどと、自問自答しながら掘り下げようというのですから、かなりの細かさ。そればかりか、さらには関係性を広げ、「健康なら趣味も充実させられるだろうから、どの程度まで趣味を極めれば幸せなのか」というように、徹底的にふくらませてほしいというのです。

時間がかかる作業ですね。しかしじつは、ここが核心なのです。なぜならば、その幸せのビジョンを得るために、実現するためにーーという心の働きこそ、モチベーションの源泉だからです。(149ページより)

このことを理解していないと、上司に言われただけのいまの仕事しか見えなくなり、不平不満だけになってしまうことに。しかし、この作業をすることで、「20年後は必ずこういうふうに幸せになるんだ。だからこの仕事も価値がある」と考えられるようになることに。

いわば、将来が確実なビジョンとなって見えるわけです。そして、これが将来に対しての期待であり、未来志向はここからは始まるのだと著者はいいます。重要なのは、他の人に頼ることなく、「自分でできる」ということ。それがまさに、モチベーションのコントロールにほかならないのだそうです。

将来の幸福を見つめれば、結果的にはターニングポイントがもたらされるということ。そのため、じっくり取り組むべきだという考え方です。




このようにモチベーションをさまざまな角度から考察しているため、普段なら見逃してしまうような気づきを得ることができるかもしれません。モチベーションを高めたいという方は、読んでみてはいかがでしょうか?

Photo: 印南敦史

印南敦史

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