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「お小遣い」は多めに渡すべき? お金に強い子どもの育て方とは

「お小遣い」は多めに渡すべき? お金に強い子どもの育て方とは
Photo: 印南敦史

たとえば「子どもをひとり育てるには、1000万円以上の大金がかかる」とか、「お金をかけてあげないと、社会で活躍できる大人になれない」などと思い込んでいる親は少なくないはず。

しかし、それは大きな誤解だと断言するのは、『手取り20万円 子育て家族の貯金の教科書』(横山光昭、朝倉真弓著、きこ書房)の著者。子育てにかける金額の多い少ないではなく、親が「限られたお金をどうやって使うか」が重要だというのです。

年収1000万円以上の家庭で、いろいろな習いごとをさせて有名大学に進学させたとしても、親のお金の使い方が雑だったとしたら、子どもは浪費家になって将来苦労するかもしれません。

逆に年収が300万円でも、親がお金の管理をしっかりできれば、子どもは社会を生き抜くために必要なマネーリテラシー(お金をうまく使う力)を早くから身につけ、自分で考えることができ、将来お金で苦労しない大人に育つものだという考え方。

もちろん、親がしっかりお金を管理できていれば、たとえ収入が少なくとも、2人以上の子どもを無理なく大学に送ることだって可能です。 限られたお金をうまく貯め、そしてうまく使う。その方法さえマスターしていれば、十分な教育を子どもに受けさせ、賢く強い大人に育てることはどんな家庭でもできるのです。(「はじめに 子どもの将来は、お金の《使い方》で変わる」より)

そこで本書では、手取り月収が20万円の親の相談に著者が応じる形で、そのための方法を明らかにしているわけです。きょうはそのなかから【第五章】「お金に強い子どもの育て方」に焦点を当ててみたいと思います。

大事なのは金銭《感覚》教育

子どもがお金の価値を理解するのは、何歳ごろからなのでしょうか? この問いに対して著者は、10歳ごろではないかと答えています。とはいえ10歳でも、お小遣いが500円なのに1回で500円の買い物をしてしまい、出かけるたびに10円のお菓子を買いたがったりするものでもあります。

そう考えると、本当にお金の価値をわかっているのかは怪しいものだとも考えられます。ましてや最近はクレジットカードや電子決済も多いので、なおさらお金の価値を理解しづらいともいえるでしょう。

しかし、そんな時代だからこそ、小さいうちから現金でお金の価値を教えて上げる必要があるというのです。大人も同じですが、「お金としての実態」がないと、ついつい使ってしまうものだから。

著者はそれを金銭教育ならぬ、金銭《感覚》教育だと表現していますが、社会で生きていくためには金銭感覚が武器になるからこそ、それは欠かせないということ。どこでどんな生活をするとしても、お金は絶対に必要となるものだからです。(172ページより)

子どものお小遣いをちょっと多めに渡す理由

子どもの金銭感覚を養うためには、お小遣いを渡し、そのなかでやりくりする経験を積ませることが大切。ちなみに著者は、子どもが小学校に入学するころには、使う分よりも少し多めのお小遣いを渡すようにしているのだそうです。

ただし多めといっても、小学生のうちは1000円以内で十分。たとえば、いつもマンガ雑誌に300円くらい使う子なら、少し多めに450円を与えるというようなイメージです。つまり、その上乗せ分を、貯めるもよし、使ってしまうもよし、本人に任せるということ。

親としては「すぐに使い切ってしまいそう」だと不安になって当然ですが、それでいいというのです。最初は使い切っていたとしても、「欲しいものを親は簡単に買ってくれない」ということがわかると、お金を貯めたり、「そもそも、この“欲しいもの”を本当に欲しいのか」と、子どもながらに熟考するようになるから。

「欲しい」というウォンツの理由を掘り下げていくと、より本質的なニーズが見えてくるということです。たとえば「『ファストフード店に行きたい理由』は、友だちと時間を過ごしたいから。だったら、家に来てもらったら、お金を使わずにすむのではないか」など。

また、「渡したらそれっきり」ではなく、「これを取っておけば、いつか大きなものが買えるよ」とか、「買い物するたびにお菓子を買っていたら、すぐになくなっちゃうよ」などのアドバイスをすることももちろん大切だといいます。(175ページより)

お金の《小さな失敗》をさせておく

ところで、子どもたちが初めて手に入れる大金は、おそらくお年玉であるはず。著者の家でも、自分たち親からそれぞれお年玉をあげ、親戚からももらっているのだそうです。その一部を使う分としてとっておき、残りは自分たちの口座に入れて管理させているというのです。

なお、そんな著者は、お年玉も多少多めにあげるようにしているのだといいます。そのなかでやりくりして、自分の欲しいものは自分で手に入れるようにさせているというわけです。

お金の教育の一環として、「あえて失敗経験を積ませる」という考え方もあるでしょうが、「自由にやらせていれば、だいたい勝手に失敗してくれる」ものだと著者。大金に舞い上がって使い過ぎてしまい、そのあと苦しくなるということを、身をもって知ることになるということです。

お友達同士で誕生日プレゼントの交換をしている小学校3年生の娘は、お小遣いが500円なのに、1か月分のお小遣いを超えるプレゼントを買ってしまったことがありました。こうした経験を経て、与えられた額のなかでやりくりする方法を学んでいくのです。(179ページより)

そうなると親としては、つい手を差し伸べたくなってしまうもの。しかし著者は、たとえ親に泣きついても、毎月1度のお小遣い以上のお金は絶対に出さないそうです。もちろん、お小遣いの前払いも絶対にしないのだといいます。

小学生くらいの間は、多少の失敗はつきもの。でも、本当に危なくなりそうだったら、親が「それでいいの?」と口出しをしてあげればいいわけです。なお、子ども同士のお金の貸し借りは絶対禁止。大切なのは、どんなに痛い思いをしても、翌月のお小遣い日まで我慢すること。簡単に貸し借りしてはいけないというルールは、大人と同じだというわけです。(177ページより)

スマホの明細は、必ず子どもに見せる

最近は、小学生のうちからスマートフォンを持たせる家庭も多いのではないでしょうか。部活の連絡などがLINEで送られてくることもあり、さらに中学生になるとスマホを持っていることが前提の生活になるため、持たせないというわけにはいかなくなる場合も。でも当然のことながら、スマホを持たせるとしたら、そのぶん通信費がかかることになります。

そこで著者の家では、月に1回「マネー会議」を行い、その際にそれぞれのスマホ代も公表しているのだそうです。「これだけかかっているんだよ」「こんなにお金をかける価値のある使い方をしているのか?」と、口すっぱく話しているというのです。

ただし、ここで気をつけなければならないことがあるそうです。子どもは、親にお金をかけてもらえる存在だという特権があるもの。だから、親が「これだけかけてやっているんだ」と恩に着せたり、「将来面倒を見てほしい」などと期待したりすべきではないということ。

それは、「絶対にやってはいけないこと」だと著者は強調します。ただし、子どもだからといって、なにも知らされることなく浪費できるというのも家族の一員としてはおかしな話。だからこそ、スマホ代を伝えることに意味があるということなのです。

ウチの場合、スマホ代の仕組みを教えながら一緒に考えたことが、結果的にお金の教育に役立った気がします。そもそも本体代はいくらなのか、キャリアが設定している月額の内訳はどうなっているのか。格安SIMを使うとどのくらい安くなるのかなど、一緒に調べました。(182ページより)

それは大人も知らない場合もあるため、ともに理解するという意味で、決して無駄なことではないでしょう。そんなこともあってか、スマホを6台所有しているという著者の家では、全部合わせても月額1万円前後で収まっているのだとか。(180ページより)




「大学入試までに300万円を貯める方法」「学資保険についての考え方」「貯金と保険について覚えておきたいこと」「習い事のお金をムダにしない秘訣」など、役立つ情報が、会話形式でわかりやすくまとめられています。そのため、教育費に関する不安を解消できるはず。子どもにかけるお金のことで悩んでいる方は、読んでみれば前向きな気持ちになれるかもしれません。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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