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「定例会議」は30分が原則? 時間の制約があれば会議の質は上がる

「定例会議」は30分が原則? 時間の制約があれば会議の質は上がる

課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。 (「はじめに」より)

最高品質の会議術』(前田鎌利著、ダイヤモンド社)の著者は、そう断言しています。ご存知の方も多いと思いますが、2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関である「ソフトバンクアカデミア」第1期生に選ばれ、数々の実績を打ち立ててきた人物です。

会議とは、「関係者が集まって相談をし、物事を決定すること」(『大辞泉』小学館)。つまり、「物事を決定すること」=「意思決定」こそが会議の本質ということです。そして、現場のメンバーがプロジェクトを前に進めるためには、組織的な意思決定が不可欠。現場に「生産性を上げよう」と激励する前に、マネジメント・サイドがスピーディかつ精度の高い意思決定をしなければならないのです。(「はじめに」より)

だとすれば、マネジャーが「会議の品質」を高めることによって、「意思決定の品質」を高めるスキルを磨かなければならないのは当然の話だということになるでしょう。そこで本書においては、著者が実践を通じて確立し、ソフトバンク在職時に効果を実証したという「最高品質の会議術」がまとめられているわけです。

きょうは第2章「『30分会議』の設計図」のなかから、「定例会議は『30分』が原則である」という項目に焦点を当ててみたいと思います。インパクト抜群のタイトルからも推測できるように、会議のムダを省くことに焦点を当てたパートです。

「会議は1時間」という認識が生産性を下げる

多くの場合、「会議は1時間」という考え方が一般的ではないでしょうか。事実、著者が働いてきた複数の会社でも、会議の基本は「1時間」だったそうです。「うちの会社もそうだ」と、心当たりのある方もいらっしゃるはず。

しかし、「なぜ1時間かける必要があるのか?」と改めて考えてみると、明確な答えが存在しないことに気づくことにもなるでしょう。「以前からそうだったから」「きりがいいから」「なんとなく」など、あやふやな理由で「1時間会議」を続けているというケースが少なくないわけです。

ところが、それこそが「会議の品質」を落とす大きな原因なのだと著者は指摘しています。たとえば「1時間あるから」という理由で、本来なら定例会議からできるだけ排除すべき「情報共有」「伝達」「報告」などに余分なコストをかけてしまうということが考えられます。

あるいは、そもそも定例会議にかける必要性の薄い案件まで議題に上げることにより、意思決定にタイムロスを生んでしまうということも考えられます。それどころか、「まだ時間が残っているから」と、意味のないコミュニケーションに貴重な時間を費やしてしまうことも。

そんなことを繰り返している結果、定例会議から緊張感が失われ、ただムダなコストだけが積み上がってしまうということ。

そのムダを知っているからこそ、著者はマネジャーになったとき、チームの定例会議は「30分」を基本とするように改めたのだそうです。高品質な会議を生み出すため、あえて時間的な制約を設けるようにしたわけで、まさに発想の転換であると言えます。

まず物理的な制約を設け、次にその制約のなかで、最高の成果を生み出すための工夫をする。そこに、「改善のための工夫」が生まれると考えたわけです。(46ページより)

人間の集中力は「15分周期」である

そもそも、人間の集中力には限界があるものです。「集中力が持続する時間は90分」だと言われていることからも、そのあたりは推測できるでしょう。とはいえ当然のことながら、それは、90分ずっと集中できるという意味ではありません。

それどころか、集中力の波は15分周期だとも言われています。つまり人間の集中力を維持させるためには、「15分」をワンブロックとして考える必要があるということになります。

実際、テレビ番組も10~15分程度でCMを入れる構成になっています。テレビ局としてはCMを流さなければならないという理由もあると思いますが、一方で、CMで休憩を挟むことで視聴者の集中力を維持するという理由もあると思われます。私が大学で教員資格を取得するために教育実習に行ったときに、小学校の授業が45分なのも同様の理由であることを知りました。 あるいは、同時通訳も基本的に15分周期で担当者が交代するサイクルを採用しているといいます。同時通訳にはきわめて高度な集中力が要求されるため、集中力の波が切れる15分ごとに休憩を入れるのでしょう。(47ページより)

そしてそれは、著者自身が実感するところでもあるのだそうです。1時間ほどかけてプレゼンテーションをした場合、だいたい15分ごとに利き手の集中力が途切れてくるというのです。そのためプレゼン資料をつくるときには、15分ごとに話題を変えたり、ちょっとした笑いの要素を入れるなど工夫を加えるのだとか。そうしなければ、長時間のプレゼンを集中して聞いてもらえないわけです。

なお、東京大学の池谷裕二教授が、(株)ベネッセコーポレーションの協力のもとで実施した実験が、これを裏づけているのだそうです。

中学1年生を、1時間ぶっ通しで英語を学習する「60分学習」のグループと、休憩を挟みながら学習する「15分×3=45分学習」のグループに分けて比較した結果、後者のほうが明らかに学習効果が上がったというのです。

このことについて著者は、おそらく「15分」をワンブロックとしたために、集中力を維持することができたからなのだろうと推測しています。

また、これは会議にもそのままあてはまるのだそうです。だらだらと「1時間会議」を続けているようでは、参加者の集中力が持たなくても当然。その結果、ディスカッションのレベルが下がり、意思決定のレベルをも下げてしまうということです。

だから著者は、人間の集中力の特性に合わせて「15分」をワンブロックとして、それを2サイクルで回す「30分会議」を定例会議の基本にしたというわけなのです。(47ページより)

「インプット15分+アウトプット15分」の2部構成

もっと具体的に言うと、「30分会議」を「インプット15分+アウトプット15分」の2部構成にしたのだといいます。それぞれ「基本的に15分以内」という制約を設け、「15分×2=30分会議」になるようにしたということ。それぞれの内容を確認してみましょう。

まずインプットは「情報共有」の時間。たとえば経営方針や総務、人事関連などの伝達、進捗確認など、メンバーに業務上必要な情報をインプットしてもらうためのパート。

このような意思決定とは直接関係しないパートについては、できる限り簡略化する工夫をし、短縮化するように心がけることが大切。慣れればやがて、15分をフルに使わなくても終えられるようになるそうです。(48ページより)

時間制約があるから「会議の品質」は上がる

次のアウトプットは「提案・議論」の時間であり、つまりはこれこそが定例会議の本題。メンバー全員のディスカッションを経たうえで、なんらかの意思決定(=アウトプット)をするパートだということです。

もちろんこのパートも基本は15分ですが、インプットが10分で終わったとしたら、残り20分を使うことも。また、インプット10分、アウトプット10分で終わったのであれば、20分で解散してもまったく問題ないそうです。

むしろ、さっさと切り上げる、ややそっけないくらいの会議進行のほうが望ましいと私は考えています。ビジネス環境の変化が加速度的にスピードを上げていますから、それに対応するためには、多少そっけなくてもスピード感を重視する姿勢をメンバーに印象づけることができるからです。(50ページより)

重要なのは、まず最初に「30分」という制約を設定することだと著者はいいます。その制約を設定してしまえば、それをクリアするためのアイデアが必ず出てくるというのです。そして、メンバーの高い集中力を引き出すことにより、「最高品質の会議」を実現することが可能になるそうです。(50ページより)




本書は、10万部を超えるベストセラーとなった『社内プレゼンの資料作成術』に次ぐ新刊。すぐに役立てることのできるアイデア満載なので、会議のパフォーマンスを高めたいという方は手に取ってみてはいかがでしょうか?

Photo: 印南敦史

印南敦史

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