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英語ができる俳優は方言もうまい。大河主演俳優・鈴木亮平さんを変えた学びのマインド

英語ができる俳優は方言もうまい。大河主演俳優・鈴木亮平さんを変えた学びのマインド
Photo: 小笠原真紀(マガジンハウス)

新年度にともなう生活の変化も落ち着き、改めて自分を見つめるには良い時期になりました。「学びなおし」が注目される今、語学――とりわけ英語は職業を問わず、可能性を大きく広げてくれるツール。ブラッシュアップしたいと願いつつ、挫折を繰り返した覚えのある人も多いかもしれません。

そこで今回は、英語が堪能なことで知られる俳優の鈴木亮平さんに、英会話の効率的な習得につながる勉強法や、英語学習のハードルを下げるマインドチェンジについてインタビュー。鈴木さんの人生に大きな位置を占めてきた、「英語を学ぶとはどういうことなのかについてもお聞きしました。

鈴木亮平さんプロフィール

1983年3月29日生まれ。兵庫県出身。15歳の夏から1年間、交換留学で米・オクラホマへ。東京外国語大学では言語学を専攻。2006年俳優デビュー。2014年、連続テレビ小説『花子とアン』でヒロインの夫役を演じ注目を集める。これまでの出演作は、映画『俺物語!!』『海賊とよばれた男』『忍びの国』、ドラマ『天皇の料理番』『銭形警部』『宮沢賢治の食卓』、舞台『ライ王のテラス』『トロイ戦争は起こらない』など。2018年のNHK大河ドラマ『西郷どん』では、主人公の西郷隆盛役を演じている。6月8日に映画『羊と鋼の森』が公開。

英語は最強のコミュニケーションツール

NHK大河ドラマ『西郷どん』で主演をつとめる他、映画など多方面で活躍する鈴木亮平さんは、東京外国大学で言語学を専攻し、英検一級を所持するなど優れた英語力の持ち主。映画の舞台挨拶では、ユーモアを交えた流ちょうな会話で外国人記者団を魅了するほどですが、ネイティブでも帰国子女でもありません

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Photo: 小笠原真紀(マガジンハウス)

そんな鈴木さんが、2018年4月に初の英語本となる『鈴木亮平の中学英語で世界一周! feat.スティーブ・ソレイシィ』を刊行。女性誌『anan』で約3年にわたり続けてきた連載を書籍化したもので、カリスマ英会話コーチであるスティーブ・ソレイシィさんとの対談を軸に、旅先や訪日外国人とのコミュニケーションに役立つフレーズを紹介しています。

「世界中で話される英語は、もはやネイティブスピーカーのためだけのものではありません。僕にとって英語は、他の国の人とコミュニケーションをとるための最強の“ツール”。英語を身につけたことで、世界が大きく広がりました」と話す鈴木さん。コミュニケーションの手段というだけでなく、英語を学ぶことで物事の捉え方が変わり仕事の質の向上や視野が拡大するという、英語学習の新たな側面も見えてきました。

英語の勉強の前にマインドを変えよう

――本書を読んで、表現やテクニックだけでなく、英語を学ぶ上でのマインドチェンジの方法を教えてくれる本だと感じました。これは、鈴木さんの今までの経験から出た発想なのでしょうか?

鈴木:そうだと思います。僕はネイティブでも帰国子女でもなく、2度の短期留学と、15歳のときにオクラホマに1年間留学しただけで、実体験のなかで英語を学んできました。学校でも家でも英語しか通じないから、一番効率的な伝え方を編み出すしかない。それでサバイバル術というか、なるべく簡単な方法で伝えたいと考えるようになりました。100%ヒットしなくても、それに近いものを打っていけば十分伝わる。100%を伝えるのは、母国語でも難しいことですから。

――50%でも伝えることができれば、逆に相手が「こういうこと?」と返してくれて、そこからコミュニケーションが広がるという良さもありそうですね。

鈴木:そうなんです。最近は「鈴木さんって英語がペラペラなんですよね」と聞かれたら、「ハイ!」って答えるようにしているんですけど(笑)、なにをもって「英語がペラペラ」なのかと考えると、「聞きたいことが聞けたらペラペラ」だと。聞くことさえできれば相手が答えてくれるから、それでもうコミュニケーションがとれます。

目標は、たぶんアメリカ人のように英語をしゃべれることではないんですよ。日本人なりの英語をスムーズに届けられるようになること。日本人の良さが伝わる、“日本人がしゃべる英語”であることがすごく大事だと思っています。

中学英語だけで大丈夫、伝わる

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Photo: 小笠原真紀(マガジンハウス)

――ソレイシィさんとの会話には、鈴木さんが非ネイティブだからこその気づきや発見が散りばめられていて、ソレイシィさんが感心される場面もたくさんありましたね。

鈴木:非ネイティブの僕とソレイシィさんは、お互いに気づかないところを持っていると思うんです。「こういうとき、こう言ったら伝わるんだ」とハッとするようなフレーズも、ネイティブの人は意外と気づかずに使っていることもあるんですよ。発音も、たとえばlittleは“リトル”じゃなくて“リル”って言うじゃないですか。日本人が無意識に鼻濁音を使うようなもので、ノンネイティブにとっては疑問を感じるところですよね。

このようなネイティブには当たり前だけれど、日本人からすると「そこを省略するんだ」と驚くような部分を取り上げていきたい。逆にソレイシィさんは、僕が思いもつかないような表現や便利な言い方をたくさん知っているので、いつも発見があるという感じ。この本は英会話の本ではありますが、コミュニケーションの本にもなっている気がします。

――今回、中学英語にこだわった理由を教えてください。

鈴木:今までの経験を振り返ると、留学したときも、旅先で英語を使うときも、中学英語以上のものはほぼ使っていないんです。基本的に文法はぜんぶ中学で習いますし。僕はうまく言えないことがあったら、瞬間的に違う言い方を考えるクセがついています。ちょっとしたコツ言い換えのしかたを知っていれば、難しい単語や表現を知らなくても、気持ちは十分伝わるんですよね。

僕がよく使うのが、文章を完成させずにしゃべり出すテクニック。例えば“May I~?”というのはすごく便利なフレーズなんですが、何か欲しいときに“May I have あー…”まで言って、あとは相手に察してもらうという(笑)。汎用性の高い表現を覚えて、どんどん使い回すというのは、本でも取り上げているコツのひとつです。

また、失敗から学んだのは、“人前で言うとドン引きされる台詞”でしょうか。びっくりしたときの「オーマイゴッド」なんて日本でも流行りましたが、アメリカでは軽々しく口に出すべきではない言葉です。これを使うくらいなら、“Oh my goodness!”という婉曲表現を覚えたほうがいいですね。

音楽と海外ドラマで語彙力アップ

――実際に鈴木さんが有効だったと思う英語の勉強法を教えてください。

鈴木:音楽はおすすめです。「◯◯◯◯(曲名) lyricsで検索すれば、すぐに歌詞がでてきますから。歌っていると口も覚えるので、言い回しがスラスラッと出てくるんですよ。曲は好きな曲でいいですが、スローすぎないものがおすすめ。ちょっと早めなほうがしゃべりのテンポに近くなります。僕はラップも好きですが、スラングが多いので注意は必要ですね。

映画で勉強するという人もいますが、個人的には映画より海外ドラマがいいと思います。ドラマのほうが台詞がシンプルだから、それを何度も聞くのはいいと思います。気になるフレーズがあったら、実生活でも使ってみる。「ハマった!」と思えたら、もう自分のものになりますから。

あとは、海外ドラマは業界ものが多いから、仕事をしている人は自分の業界のドラマを見るといい。同じ単語が何度も出てくるので、いつの間にか詳しくなれるんです。僕も『アントラージュ』という俳優業界を描いた海外ドラマを見たときは、「へえ、こう言うんだ」って発見がありました。

薩摩ことばと英語力の意外な関係

――俳優という仕事をしていく上で、英語の勉強が役立ったと感じる場面はありますか?

鈴木:そうですね、英語をやっていて良かったと思ったのは、どういうイントネーションでしゃべっているか自分で確認しながら話すクセがついているから、方言が比較的うまくしゃべれるということだと思います。大河ドラマでも薩摩ことばが重要なんですが、関西弁から標準語に矯正したこともあるので、そういう経験は生きていますね。

英語ができるからといって、僕にネイティブの、アメリカ生まれの日系人の役はこないと思うんです。あるとすれば、英語を話せる日本人の役。日常生活でも、日本から英語圏に来た旅行者や留学生に、完璧な英語をしゃべってほしいなんて誰も求めていないんですよね。少々なまりがあっても、スムーズに言いたいことを伝えられるとか、日本人らしいちょっときめ細やかな英語をしゃべれるのが素敵かなと思います。

英語で培われた共感力が、俳優という仕事に生きてくる

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Photo: 小笠原真紀(マガジンハウス)

――英語がご自身の人生や考え方に影響を与えた部分はありますか?

鈴木:一番わかりやすいのは、英語を話せるようになると世界が広がるし、他の人と話すことで自分がどんどん影響を受けていくということですね。言葉を勉強するのは、その国の文化や考え方を知ることなので、脳の構造がちょっと変わる気がします。ああ、こんなふうな使い方をするんだとか…視野が広がるというか。

いろいろな角度からものを見られるようになったのは、海外の人と話す機会が増えたからだと思うのですが、仕事に生かされている部分はあると思います。俳優というお仕事は、その役に対してどれだけ自分が共感できるかということを試される。この人のやっていることは、一般的にいうと悪いことかもしれないけれど、この人の立場になってみたらそれが正義だよなとか、そうせざるを得ない環境だったよなとか。そういうことは、世界のさまざまな価値観に触れてきたことで、わかってきたところはありますね。

それに、言語の勉強を通して言葉以外のことを知ることは、考え方や発想も広げてくれる。高校生のとき、第二外国語がドイツ語だったのですが、ドイツ語を学ぶとドイツに行きたくなりました。そうして旅をすればいろいろ経験して、世界が広がっていく…。そのきっかけを与えてくれるのが英語であり、語学なのかもしれません。

言葉を楽しむ、鈴木亮平流Tips

――旅行好きでいらっしゃいますが、現地で緊張からスムーズに“海外モード”に入るコツを教えてください。

鈴木:海外旅行では、都会に行くときほどちょっと胸を張るようにしています。自信を持っているように見せると自信が湧いてくる。あとは大きな声でしゃべること。自信がない言葉こそ大声で。元気よく「Ola!」と挨拶したり、「マドモワゼール!」と声をかけたり(笑)。そうすると「この人には話しかけてもいいんだな」と思われて、コミュニケーションのきっかけになります。

――海外旅行で、必ず押さえるべきフレーズはありますか?

鈴木:挨拶、数字、「おいしい」、「トイレ」。あとは「かわいい」…とかかな(笑)。「おいしい」は、すごくいいですよ。韓国語だったら「うーむ…マシッソヨ」みたいなのもいいし、「マシッソヨー!!」みたいに声を張ると盛り上がるし。その一言で、店のみんなに愛されますから。

日本でも外国人が居酒屋にいて「オイシー!」って言ってくれたら、まわり中嬉しくなりますもんね。話しかけたくなる。そういうことだと思うんです。

――英語だけでなく、その国の言語で話すことが大切なんですね。日本人的に、この言語は合っていそう、やりやすそう…という言葉はありますか?

鈴木:あります。イタリア語。発音とリスニングがしやすいです。


最後に“これから学びたいこと”をうかがうと、「ペン習字とピアノ」との答えが。字が下手なのがコンプレックスで、ペン習字は通信教育のキットを3年前に購入したものの、ずっと寝かせてあるのだとか。ピアノについてはこれまで楽器を習ったことがなく、音楽の素養を身につけることができれば、お芝居の表現としてもなにか変わるだろうと期待していると話してくれました。

自分の前にある見えない壁は、新しい学びが取り除いてくれる――。身をもってそれを体現する鈴木亮平さん。自分自身を表現し、発信するプロである鈴木さんの視点が、きっと外国語への苦手意識を克服するヒントをくれるはずです。


Photo: 小笠原真紀(マガジンハウス)

スタイリスト: 臼井 崇(THYMON Inc.)

ヘア&メイク: 宮田靖士(THYMON Inc.)

Source: Amazon

Reference: Wikipedia

田邉愛理

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