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家族が重い病気になったら? 子どもに伝えるときに守りたい4つのこと

家族が重い病気になったら? 子どもに伝えるときに守りたい4つのこと
Image: Emese/Shutterstock.com

10年ほど前に、義父がパーキンソン病と診断されました。この病気の症状である手足の震えが目立つようになり、義父にとっては孫にあたる私の娘も、「おじいちゃん」の手が震えるのは、何か理由があると気づいていました。それから何年もの間、妻も私も、義父の病状について娘に説明しようとしませんでした。娘から見てわかる症状は手足の震えだけでしたし、「おじいちゃんはどうしたの?」と尋ねられることもなかったからです。

しかしこの冬になって、義父は不随意のけいれんやひきつけの発作を起こすようになりました。これは「ジスキネジア」と呼ばれる症状で、パーキンソン病の患者ではよく見られるものです。この発作は夜中に起きることが多く、さらにパーキンソン病の症状の1つである夜間の不眠も重なって、私たち家族が恒例にしている日曜朝のFaceTimeを使ったおしゃべりにも、寝ているため出てこないことが多くなりました。

娘は、「おじいちゃんは具合があまり良くないの」という私たち夫婦の説明に納得しているように見えました。しかしある日曜日、恒例のビデオ通話のあとに、義母が電話をかけてきて、義母のいとこが、脳卒中を起こして亡くなったとの知らせを伝えてきました。電話で義母と話している間、娘は隣の部屋で遊んでいました。

電話から少し経って、娘が工作に熱中していないことに、妻が気づきました。娘は落ち着きがなく、そわそわして気が散っているようです。何か作業を始めてもすぐにやめてしまい、別の作業に移る、という行動を繰り返していました。どうもふだんとは様子が違います。そこでどうしたのかと、尋ねてみました。すると娘は、少し黙り込んでから、「おじいちゃんがしばらくFaceTimeに出てこないし、ずっと顔も見ていない」と、不安になった理由を話してくれました。義母と妻が電話で、誰かが亡くなったと話しているのを聞いて、死んでしまったのはおじいちゃんではないかと思ったというのです。

娘の話を聞いて、私たち夫婦はほぼ同時に、ほぼ同じことを思いました。「これはまずい」と。

家族の病気は子どもにも伝えるべき

子どもに人の死について伝える方法に関しては、さまざまなためになる情報があるのですが、病気についてどう伝えるべきかを教えてくれるアドバイスは、それほど多くないように思います。年齢を問わず、家族や親戚が病気にかかることはあり得る話です。親をはじめとする大人は、親しい人が病気になると自分でも不安感を覚えるため、子どもが同じような気持ちを味わうことがないように、そうした感情を隠そうとしがちです。それでも、子どもは大人が思う以上に状況を理解しているものですし、きちんと会話に加えてあげれば、自分はのけ者にされていないと感じ、安心感を得る手助けになります。

その後、私たちから何度か言って聞かせ、義父にも短時間ながらFaceTimeでのビデオ通話に参加してもらったことで、娘も「おじいちゃんは大丈夫」と納得できました。今回の経験から私が学んだ、子どもに病気について話す際に注意したい点を、以下の4つのポイントにまとめました。

1. 子どもの話をきちんと聞き、考える余地を与えよう

私はまず、娘が親しく付き合っている友達のお母さんに、アドバイスを求めました。このお母さんはCheryl Mayer氏といい、ソーシャルワーカーの資格を持ち、ニューヨーク州シラキュースの一学区を担当しています。そのため、子どもたちに、親や友達がガンになったとか、亡くなったといった辛い知らせを伝える立場にあります。こうした時にMayer氏は、子どもの話をよく聞いて、彼らが情報を消化できる時間を与えるようにしています。そして、子どもがどんな反応を見せたとしても、「その反応はまったくおかしくない」と肯定してあげるそうです

また、ニューヨークで活動する心理学者Tanya Gesek博士も、親が話す前に、まずは子どもがどこまで知っているかを把握し、どのくらいの話なら感情的に受け入れられるかを推し量ることをすすめています。Gesek博士は、子どもや思春期の青少年と接している立場から、特に年少の子どもについては、病気にまつわる全体像を伝えることが大事だと指摘しています。病気の名前や、その病気によってどんな変化が起きるのかを教え(「おばあちゃんは酸素吸入が必要になるかもしれない」)、伝染するものかどうかも伝えてあげましょう(「おじさんをハグしても大丈夫」というように)。「子どもたちが病気の症状を見ても不安にならないように、必要なことを教えてあげるのがベストです」と、Gesek博士は述べています。

2. 子どもの年齢に応じた伝え方に気を配ろう

子どもの疑問に正直に答えることも大切です。大人がきちんと接すれば、子どもは自分が信頼されていると感じ、質問をしても大丈夫なのだと安心するでしょう。とはいえ、「大人の答えは、子どもの年齢を考慮したものであるべきだ」とGesek博士は釘を刺します。幼稚園児と16歳の子では、伝え方も変わってくるはずです。

正直に話すことは大切ですが、子どもの発達段階に応じたものでなければならないというのが、私の意見です」と、Gesek博士は述べます。「3歳以下の子は、話してもあまりよくわからないでしょう。それ以上の年齢なら、たとえ幼くても心の強さがありますし、大人が思う以上にいろいろなことを受け止められるものです。この年代の子どもの率直な言動に、かえって大人が救われることも実は多いのです。大人は、病気について話すことに心理的な抵抗を覚える人もいますからね。

年少の子どもの場合、時間をかけて徐々に情報を伝えると、不安感に打ちのめされてしまうのを防げます。Mayer氏によれば、「子どもの感情を肯定してあげるだけで十分」ということもあるようです。それでも不安が消えないようであれば、どう思っているのかを尋ね、気持ちを口に出すように促すといいとのことです。

「そうだね、私も少し心配なんだよ」と伝え、大人の自分がどうやってそうした感情と向き合っているのかを伝えるようにしています。「心配だけれど、おじいちゃんはとても良いお医者さんにかかっているから、できることはなんでもやってもらえているはずだよ」というように話しますね。

3. 悪い情報を隠さないようにしよう

悲しい知らせを受け止める際の心の動きには、大人も子どもも大きな違いはありません。とはいえ子どもの場合は、与えられる情報も理解力も大人に及びません。Mayer氏は、大人がお手本となり、身をもって悲しい気持ちとの向き合い方を教えることが大事だと指摘します。

何より大事な点として、Gesek博士とMayer氏の両方が強調しているのは、状況に真っ正面から向き合うことです。「子どもは厳しい状況を体験することで、心の強さを身につけていきます。つらい話だからと隠してしまうと、心の強さや忍耐心を身につける機会を奪うことにつながります」と、Gesek博士は述べています。

Mayer氏も、自らの親としての体験から身につけたアプローチについて話してくれました。

親が理解を促そうとするのではなく、むしろ問題を隠そうとした場合のほうが、子どもは大きな壁にぶつかるように思います。私は、我が子にはまだ子どものうちに、失望や喪失感、いら立ち、怒り、悲しみ、傷心といった感情を味わってほしいと考えています。年少のころに実際に体験しておくことで、大人になってからもこれらの感情とうまく付き合える力が身につくと思うからです。

安全上の問題がない限り、病気になった友達や親戚の人には、今までどおり子どもを会いに行かせ、子どもなりに何か手助けができないか考えさせましょう。子どもだって、車いすを押したり、カードを作って送ったりといったことはできますし、時にはただ手を握ってあげるだけでも、病気の人の励みになるはずです。

4. わからないことは「わからない」と正直に言おう

子どもに正直に接するうえで大事な点の1つは、自分が答えを知らないときに、そう認める率直さを持つことです。

私は息子に対して、「それはお母さんもわからないけれど、きっといつかわかると思う。わかったら教えてあげる」と答えたことが何度もあります。

子どもを見ていて、さらに心理的な支えが必要だと感じたときには、子ども向けのカウンセラーなど、プロの助けを借りてください。そして、親自身の心のケアも忘れずに。あなた自身も人の子だということをいつも胸にとどめておいてください。

Mayer氏が言うように、わからない時は「わからない」と答えても、まったく問題はないのです。


Image: Emese/Shutterstock.com

Source: Michael J Fox Foundation

Jared Paventi - Lifehacker US[原文

訳:長谷 睦/ガリレオ

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