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228社が116.8億円を寄付。官民が本気で取り組む留学支援プログラム「トビタテ!留学JAPAN」は何が画期的なのか?

228社が116.8億円を寄付。官民が本気で取り組む留学支援プログラム「トビタテ!留学JAPAN」は何が画期的なのか?
Photo: 松葉信彦

「TOEICやTOEFLの点数よりも、独自性や熱意を評価する」

そんな一風変わった留学支援プログラムを、ご存じでしょうか?

その名も、「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」。文部科学省が主導するこのプログラムは、返済不要の奨学金を毎月最大16万円支給するというもの。さらに、大学への留学だけではなく、ボランティアやインターンも支給対象という、従来の留学支援プログラムとは異なるものです。

しかし、なぜ文部科学省はここまで思い切った取り組みをはじめたのでしょうか?

今回、トビタテ!留学JAPANの広報である西川さんに、日本人留学生の現状と、トビタテ!留学JAPANの目的から選考方法まで詳しく伺ってきました。

グローバルに活躍できる人が求められる日本

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Photo: 松葉信彦

若者の海外離れが囁かれていますが、実態は異なるようです。日本学生支援機構の調査によると、2009年度に3万6302人だった大学生留学数は、2016年度には約9万6000人と倍以上に増加しています。

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Image: トビタテ!留学JAPAN 提供

ただその伸びのうち、75%が1カ月未満の留学であり、1年以上留学した人は全体の8%。長期留学が伸び悩んでいるのが現状です。

さらに、「人口が半分の韓国と比べても、大学や大学院への留学者数(社会人含む)は半分以下」と、西川さんは日本人留学生の少なさに危機感を感じています。

日本が鎖国していたころであればいざしらず、21世紀はグローバルにビジネスを行なう時代。広い視野を持ち、海外で活躍できる人材が求められています。

それを証明するかのように、日本企業の海外売上高は2001年から年々増加。さらに国際協力銀行の調査によると、8割以上の企業が海外事業を「強化・拡大」していくと回答しています。

トビタテ!留学JAPANとは?

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Image: トビタテ!留学JAPAN

こうした時代背景のもと、2013年に文部科学省主導で「トビタテ!留学JAPAN」がスタートしました。主な取り組みとして、2014年から民間寄付による奨学金制度「日本代表プログラム」を運営。世界で活躍できる人材の排出を目的とし、2020年までに日本人留学生の数を倍にすることを目指しています。

このプログラムの特徴は次の4つ。

  • 奨学金は、16万円/月 or 12万円/月(渡航先により異なる)
  • 全額返済不要
  • 高校生は最大1年、大学生は最大2年間受給できる
  • 学生が自由に留学プランを作成できる

その中でも、「学生が自由に留学プランを作成できる」というのは、今までになかった画期的な取り組みです。

留学に対する国の支援といえば、学位留学を支援する「学位取得型」、短期留学を支援する「協定派遣型」があります。しかし、いずれも教育機関で学ぶことが前提でした。

一方、「トビタテ!留学JAPAN 」は、学生が自由に留学プランを作れます。アフリカでボランティアをしても、ヨーロッパでインターンをしても支給の対象になるのです。しかも、返済の義務がないため、学生にとって非常に魅力的なプログラムと言えるでしょう。

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タンザニアで、村の中学の先生と
Image:トビタテ!留学JAPAN 提供

ここまで自由度の高い留学プログラムを実現できた理由を、「民間企業のサポートが大きい」と西川さんは言います。

「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」は、文部科学省が主導していますが、ソフトバンクやトヨタ自動車、三菱商事をはじめとする228社が116.8億円を寄付しています。

そのため資金を柔軟に使うことができ、今回のプログラムを実現できたというわけです。

選べる6つのコース

ただ、自由度の高い留学だからといって、必ずしもインターンやボランティアをする必要はありません。

トビタテ!留学JAPANは、6つのコースで構成されており、自分の目的にあったコースを選べます。

  1. 理系、複合・融合系人材コース:理系分野の留学が対象
  2. 新興国コース:新興国への留学が対象
  3. 世界トップレベル大学等コース:文系で世界ランキング100位内の大学、研究室で学ぶ人文、社会科学分野の留学が対象
  4. 多様性人材コース:全分野の留学が対象
  5. 地域人材コース:将来グローカルに活躍したい人が対象
  6. 高校生コース:将来グローバルに活躍したい高校生が対象

たとえば、「理系、複合・融合系人材コース」は、AIや病気の研究など、理系分野の留学が対象。「地域人材コース」は、海外でスキルや知識を身につけ、将来地方に貢献したい人が対象です。

このように、学生は自分の興味のある分野を選び、自分だけの留学ができるのです。

※これらのコースは、それぞれ応募条件や募集人数が異なります。応募する際に「トビタテ!留学JAPAN」のホームページを確認するようにしましょう。

選考は「熱意」を重視

これだけメリットのあるプログラムだと「英語ができて成績優秀な人が対象」と思うかもしれませんが、「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」はすべての学生にチャンスがあります

「TOEIC300点台で合格した人もいます」と西川さん。

トビタテ!留学JAPANの選考は、「書類選考」と「面接」の2段階。英語力は関係なく「独自性」「好奇心」「熱意」を重視し、留学でしたいことを熱く語ってもらいます。大学受験でいうAO入試のようなものです。

今までの留学支援プログラムの多くは、学校の成績やTOEFLが求められていましたが、このプログラムは違います。「留学で何をしたいのか」が、重視されるのです。

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8期生壮行会の様子
Image: トビタテ!留学JAPAN 提供

もちろん、語学力がなければ、現地で苦労するかもしれません。しかし、苦労が多いからこそ、学生の力も伸びると西川さんは言います。

たとえば、アジアにボランティアに行った高校生の話ですが、他国からの参加者は英語が堪能な生徒ばかりで、自分の居場所を作るのに苦労したそうです。しかし、厳しい状況や壁にぶつかるからこそ、「乗り越えてやる」という強い気持ちが生まれ、毎晩遅くまで電子辞書で発言したい内容を下調べしたと言っていました。帰国するころには、たった数週間の滞在でも自分の成長を実感できたそうです。

自分で決めたことだからこそ、やらざるをえない。このプログラムの本当の意味は、学生が主体的に留学することかもしれませんね。

応募方法とアドバイス

トビタテ!留学JAPANは、高校生と大学生が対象のプログラムです。高校生は年1回、大学生は年2回、応募のタイミングがあります。もし、高校1年生で留学に行きたい場合、中学3年生から申請が可能とのこと。プログラムへの応募は、学校を通して行う必要がありますので、あらかじめ教員に相談しておく必要があります。

前述しましたが、このプログラムは高校生と大学生であれば、誰でも応募可能です。しかし、西川さんはできるだけ早いうちに留学をしたほうがいいと言います。

留学して、考えが変わることはよくあること。高校のころに留学をすれば、ギアチェンジが簡単です。留学をして考え方が変わり、進学先に大きな影響を与えるかもしれません。大学生もできるだけ早く留学することで、残りの学生生活の過ごし方が変わるでしょう。


今まで国による留学支援プログラムは、成績のいい人に有利なものでしたが、トビタテ!留学JAPANによって、留学の裾野は確実に広がりました。

お金が原因でできなかった、海外ボランティアや海外インターン。英語力が足りずできなかった、海外の大学での研究。官民が協力することで、「できない言い訳」は通用しなくなりました。

現時点ではこのプログラムは2020年に募集が終了することになっていますので、留学したいと考えている学生は早めに応募したほうがいいでしょう。また、まわりに高校生や大学生がいれば、「おもしろいプログラムがあるよ!」とすすめてみるのもいいかもしれません。


Photo: 松葉信彦

Image: トビタテ!留学JAPAN

Source: トビタテ!留学JAPAN, (独)日本学生支援機構, 国際協力銀行

島津健吾

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