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世界記録は4秒台? 「ルービックキューブ」にハマって販売会社まで立ち上げた男性【趣味の達人】

世界記録は4秒台? 「ルービックキューブ」にハマって販売会社まで立ち上げた男性【趣味の達人】
Photo: 大崎えりや

今年は気分を一新して、なにか新しいことを始めたい。そんな人へ向け、なにかしらのコトやモノに異常なまでに熱中している"趣味人"にインタビューし、趣味探しのヒントを探ります。

ルービックキューブの達人

Video: 大崎えりや

こちらはご覧通り、「ルービックキューブ」です。解くのめちゃくちゃ速い。

今回はルービックキューブにハマり、販売会社まで立ち上げてしまったという男性にお話を聞きました。

ルービックキューブといえば「昭和に流行したおもちゃ」という印象があるかもしれませんが、今もなお世界中で根強いファンがいるのだそうです。

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今回お話を聞いた、長谷田貴史さん。普段は、即時買取アプリ「CASH」で知られる株式会社バンクで働いています。
Photo: 大崎えりや

—— ルービックキューブ、完成させるのめちゃくちゃ速いですね。

長谷田さん:そうでもないですよ。今の世界記録は4秒台ですからね。

—— 超人ですね…。長谷田さんがルービックキューブにハマったきっかけから教えてください。

長谷田さん:ルービックキューブを初めて知ったのは、高校1年生の冬でした。その時、テレビで昭和のおもちゃを特集する番組がやっていて、昔のおもちゃの達人たちが出ていたんですけど、その中にルービックキューブの達人もいたんです。その人がルービックキューブを30秒ぐらいで解いたのを見て、おもしろそうだなと思って。

—— 30秒ですか。

長谷田さん:その時に30秒なんで、結構速い人だったと思います。で、その日におもちゃ屋さんに行ってルービックキューブを探したら、たまたま最後の1つが残っていたんです。なんか運命的だなと思って、その日に買って、さっそく解き始めました。

—— そのときテレビに出てた達人の方は、なんていうお名前なんですか?

長谷田さん:それが、未だに誰だったのかというのはわかってないんですよ。

—— いつか、出会えたらいいですね。その後どっぷりハマっていくわけですが、ルービックキューブのどういうところが魅力なのでしょうか?

長谷田さん:正解=ゴールは明確なのに、そこに至るまでの方法が無数にあって、いろんなパターンの解き方があるというのが面白いですね。一生に一度会うか会わないかぐらいのパターンもあるので、「二度とこのパターンは会わないだろうな」というものと出会った時は嬉しいです。

知られざるルービックキューブの世界

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長谷田さんが持ってきてくれたさまざまなルービックキューブ
Photo: 大崎えりや

長谷田さん:ルービックキューブを自力で解けるようになったら、今度は学校に持っていってたんですよ。そしたら「ルービックキューブを解ける人」というのが学校内でもちょっと広まって、「僕もやりたい」「私もやりたい」みたいな人が出てきて、一時的にクラスでブームになりましたね。

—— 仲間が増えたんですね。一番最初に解ける人ということで、ちょっとしたヒーローみたいな感じですか?

長谷田さん:いやあ、どうなんでしょうね(笑)。その後大学に入って東京に出てきてからは、日本でやっている大会にはほとんどすべて参加して、地方の大会には夜行バスで遠征してました。あと、当時はYahoo!ジオシティーズでルービックキューブが趣味の人が集まる掲示板があったんですけど、そのオフ会にも参加してましたね。

オフ会ではひたすらみんなでタイムを計測したり、「この時、どうやって解いてる?」みたいなことを語り合ったり。ちょうどYouTubeが出始めたころだったので、「最近、あの人の動画見た?」から始まって、「あの人は、この動画では実はこうやって解いてる」みたいなことをみんなで解析したりもしていました。

—— オフ会というより勉強会ですね…。どういう人たちが参加してるんですか?

長谷田さん:まじめな人が多かったですね。男女比で言うと男性の方が多かったですが、年齢は幼稚園児から大人まで幅広かったです。息子さんがハマった影響でお父さんもハマって、みたいな。

—— 幅広いファンがいるんですね。そうしたルービックキューブのコミュニティって、日本にはたくさんあるんですか?

長谷田さん:一番大きな団体として日本ルービックキューブ協会というのがあるんですけど、それとは別に趣味の集まりがたくさんある感じですね。まあ、協会もある意味では趣味の集まりみたいな感じではあるんですけど(笑)。今はルービックキューブのサークルがある大学や会社もあったりします。

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珍しい形の金ピカのキューブパズル
Photo: 大崎えりや

—— 昔と比べてルービックキューブ人口って増えてるんですか?

長谷田さん:増えていると思いますね。キュービックルーマンというコーナーを『はねるのトびら』でやってたり、日本人が世界チャンピオンになった時期もあったりして、そういうタイミングで結構増えたと思います。

—— 世界大会もあるんですね。

長谷田さん:World Cube Association(ワールド・キューブ・アソシエーション)というアメリカに本部を置く団体が主に運営してます。その団体が「今度どこそこで世界大会をやるよ!」と言って、現地のルービックキューブ好きや協会の人達が集まって一緒に大会を作っていくという形ですね。最近はかなり組織化されてきています。参加者は10代、20代が多いですね。

—— アットホームな感じですね。大会の賞金ってどのぐらいなんですか?

長谷田さん:過去の世界大会だと、3x3のルービックキューブで優勝すると日本円で100万円近い賞金とかもあるんですけど、一般的な大会では賞品がお金じゃない場合も多いです。図書カードだったり、主催者が運営するルービックキューブのストアのポイントだったりもしますね。

—— ルービックキューブだけで食べているようなプロのプレイヤーはいますか?

長谷田さん:たぶん、いないと思いますね…。ひょっとしたら、例えばYouTubeに動画をあげて、その再生回数で稼いでるというような人とかはいるかもしれないですけど、純粋にルービックキューブで食べている人というと、プレイヤーよりもストアの人の方が多いかもしれません。

ただ、今の時代はプレイヤーも個人で活動ができるので、「スポンサーのロゴを付けて大会に出るから広告費ください」みたいなことをやっている選手はいます。でも、それだけで生活ができるところまでは、やっぱりいかないと思うんですけど。

未だ進化し続けている、ルービックキューブ

—— 大会を観る側の楽しみ方として、ポイントはありますか?

長谷田さん:一般的な大会だと、1つのラウンドで5回解きます。その中で一番速いものと遅いものを削った、残り3回の平均タイムで競います。なので、あるプレイヤーが速いタイムで解いた後に、ほかのプレイヤーが緊張してうまく解けないなど、さまざまなドラマが生まれます。

—— 種目も色々とあるそうですね。

長谷田さん:ありますね。両手で解くもの、片手で解くもの、足で解くもの、目隠しで解くものまであります。

—— 目隠し!?

長谷田さん:最初に形を覚えて、そのあと目隠しをして解いていくんです。あとは、一般的なルービックキューブ以外にも、三角形12面体の特殊なキューブパズルを使った種目もありますね。1つの種目だけに特化して練習している人もいますよ。

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三角形のキューブパズル
Photo: 大崎えりや

—— そうした大会やオフ会などを通じた"出会い"はたくさんありそうですね。

長谷田さん:言葉を使わない遊びなので、海外の人とも交流しやすいです。今はインターネットでつながりやすいですし、海外との垣根はあまり感じないですね。

ネットでこうやったら早く解けるというような情報が公開されると、一斉に世界中の人がそれをキャッチアップしていく、というようなイメージです。

—— 将棋などで新しい手が発見されて、それが話題になるようなイメージですかね。

長谷田さん:近いかもしれないですね(笑)。タイムもちょっとずつ早くなってきてますし、どこが限界なのか未だに分からないです。僕が始めた頃は20秒切れたらすごいという世界だったんですが、最近の大会だと優勝者は余裕で10秒切りますし。

—— そこまで速くなってくると、頭だけじゃなくて肉体的な能力も必要ですね…。もはやスポーツです。

「趣味」を「仕事」にした理由

—— 大学在学中に、ルービックキューブの販売会社を立ち上げられたそうですね。

長谷田さん:はい。最初はルービックキューブ仲間で、中国や韓国のパズルメーカーから自分たちが使うためのものを共同購入してたんです。その時に、僕が取りまとめ役的なことをやっていました。そのうち、面識がない人からも僕に「買いたい」という連絡が来るようになって、それがどんどん増えていくうちに「あ、これは需要があるな」というのがわかって、個人事業主として販売を始めました。

—— なるほど。最初は仲間内でやっていたのが、だんだんと業者化していったんですね。

長谷田さん:そのあと大学を辞めて、1年くらい韓国へ行きました。なんで韓国かというと、その時の世界記録を持っている選手が韓国にいたり、品質のいいキューブを作る工場が韓国に集まっていたからです。

—— え? ルービックキューブのためだけに大学を辞めて、韓国に行ったんですか?

長谷田さん:そうです(笑)。韓国の大会に出たり、工場とコネクションを作ったり。当時、韓国には大手のキューブパズルのオンラインショップが2つあったんですけど、そこの人たちと仲良くなって、「専門店をやりたいと思っているから、その時には売って欲しい」という約束をして。

どういう商品がいいかとか何個から仕入れさせてもらえるかとか、掛け率をどうしようかっていう話をまとめて、日本に帰ってくる1カ月ぐらい前にショップをオープンさせました。

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長谷田さんが立ち上げたECサイト 「tribox」
Screenshot: ライフハッカー[日本版]編集部 via tribox

—— 大学を辞めてまで韓国へ行ったということは、ルービックキューブを本格的に仕事にしていこうという思いがあったんですか?

長谷田さん:そうですね。やっぱり需要もあるし、やっている人がいなかったので。海外から商品を買った時に不良品をひいてそのまま泣き寝入りするとか、連絡しても返事が返ってこないとかいったケースも自分で経験していました。そういう状況だとルービックキューブを趣味にする人は増えないだろうし、身近に安心して買えるところが必要だなと思っていたんです。

—— ルービックキューブ好きを増やしたいという思いがあったんですね。良いキューブと悪いキューブで、どのような違いがあるのでしょうか。

長谷田さん:単純にメーカーが違うので、それぞれ品質の善し悪しがあるんですけど、回しやすさがそれぞれのブランドによって違いますね。

—— 素人目に見るとあんまり違いが分からないですけど、本気でやっている人にとっては大きな違いなんでしょうね。

長谷田さん:そうですね。モノによって全然スピードが変わります。

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左はブロックの色がシールだが右はタイル仕様。内部構造なども異なる。
Photo: 大崎えりや

—— 大会で規定などはありますか?

長谷田さん:今のところ、どのメーカーのものを使ってもいいという形ですね。ただ、何か変な改造をしていないかなどのチェックは、事前にあります。

—— 現在もショップの経営には関わられてるんですか?

長谷田さん:2014年3月に、それまで個人で経営してたものを法人化しました。そのタイミングで元々一緒にやってたメンバーが代表取締役と取締役に就いて、僕も一応取締役では残っていますが、日常の運営からは離れています。今は、主にその二人が運営をしています。

—— なるほど。運営から離れられた理由は?

長谷田さん:いくつか理由はありますが、ずっとこれを続けていったらECの人にはなれるかもしれないけど、長期的に会社を伸ばすには、僕自身がもっと広い経験をした方がいいんじゃないかと思ったんです。

一人で悩むことも多かったので、チームでデザインとか開発ができる環境というのが、ちょっとうらやましかったのもありますね。それで、チームでデザインや開発ができるところ行ってみようと思って、企業に就職する形になりました。

—— 今も趣味としての活動はされているんですか?

長谷田さん:今は、たまに大きな大会に顔を出したりしているぐらいですね。なんだかんだで家にルービックキューブがいっぱいあるので、ふとした瞬間に触ったり、解いたりしてます。

—— 今も大会前はがっつり練習しますか?

長谷田さん:正直なところしてないですね(笑)。どちらかというと、これまでもプレイヤーとしてよりは販売や大会の運営側として参加することが多かったので。ルービックキューブ界隈でも、解くのが早い人というより、運営とかショップの人みたいな認識の方が強いと思います。

—— 振り返ってみても、高校のクラスで流行らせたように、もともと趣味を広めることに関心があったのかもしれませんね。

長谷田さん:ああ、それはあるかもしれませんですね。自分がおもしろいって思っているものを人にも「おもしろいね」って思ってもらえるのは、やっぱり楽しい瞬間ではあるので。

まずは「構造」を把握しよう

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Photo: 大崎えりや

—— せっかくなので、最後にルービックキューブを解くコツを教えていただけますでしょうか。

長谷田さん: ルービックキューブの構造を把握すると、解きやすくなると思います。角のパーツは3色、辺の部分のパーツは2色、真ん中のパーツは1色でできています。

構造として、角のパーツは真ん中にはいかないし、辺のパーツは角にいかないんです。そして、真ん中のパーツはどんなに回しても位置関係は変わりません。青の反対は緑だし、赤の反対はオレンジ。どんなに動かしても、それは変わりません。こうした構造を理解しておくと、解きやすくなると思います。 —— なるほど。全然意識してませんでした。

—— なるほど。全然意識してませんでした。

長谷田さん:いろいろな解き方がありますが、まずは、下から一段ずつ揃えていくことを目指すといいと思います。やりながら構造を理解し、パターンを覚えていくと、徐々に解けるようになっていくと思いますよ。どう動かしたらどうなるというパターンを、紙に書きながらやってみてもいいかもしれないです。

—— 今のところまったく解ける気がしないのですが、人によって向き不向きはありますか?

長谷田さん:向いてないと思う人の方が向いているかもしれませんよ。「難しいやつだよね」という先入観がある人ほど、パターンを理解できたり、解くことができたりした時の感動も大きいでしょうし、「もう1回やってみよう」となる。その「もう1回やってみよう」が積み重なっていった結果、いつの間にかできるになっているものです。




筆者も取材後、ルービックキューブを練習しておりますが、ようやく1段目だけ揃えられるようになりました。なんとか全面クリアできるように今後も頑張りたいと思います。

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Photo: ライフハッカー[日本版]編集部

オフィスのデスクに置いておいて時折ガチャガチャすると、ちょっとした気分転換にもなるのでオススメです。

世界中で開催される大会がこちらのページからチェックできるようになっているので、もしハマったら挑戦してみてはいかがでしょうか。

Video: 大崎えりや

Photo: 大崎えりや,ライフハッカー[日本版]編集部

開發祐介

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