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毎日の仕事から逃げ出したくなったら? まずは自分の「気持ち」を認めてあげよう

毎日の仕事から逃げ出したくなったら? まずは自分の「気持ち」を認めてあげよう
Photo: 印南敦史

逃げ出したくなったら読む本』(石原加受子著、祥伝社)は、2016年に文庫として出版された同名作に、撮り下ろしCDをつけて単行本化したもの。著者は思考・感情・五感・イメージ・呼吸・声などをトータルにとらえた独自の心理学により、問題解決、生き方、対人関係、親子関係などに関するセミナー、グループ・ワーク、カウンセリングを行っているという心理カウンセラーです。

仕事や家事、勉強などから「もう逃げ出してしまいたい」「でも、逃げるなんてダメだ」と相反する考えが頭のなかを堂々巡りすることは誰にでもあるものですが、そのことに関する著者の発言がまずは印象に残ります。

あなたが逃げ出したいと思っているその出来事は、本当に逃げてはいけないことなのでしょうか。

「逃げちゃダメだ」と、自分で勝手に思い込んでいるだけだという可能性はありませんか?(中略)

もしあなたが「逃げ出したい」と感じたときには、まず、その「逃げ出したい」という自分の気持ちと向き合うことが大切です。(中略)

自分の気持ちと向き合うというのは、“いま感じている自分の気持ちに気づく”ということです。このこと自体を大きく重く捉える必要はありません。(「はじめに」より)

大切なのは、この“いまの気持ち”。もし「もうやりたくない。逃げ出したい」という状態になっているのだとしたら、考えたり行動したりしているその時々に感じているはずの“いまの気持ち”を無視してきた結果だということ。だとすれば、逃げ出したくなっても無理はないというわけです。

自分をわかってあげられるのは誰でもありません、自分自身です。その時々の“自分の気持ち”にどれだけ自分が気づいてあげられるか、です。もしあなたが「逃げ出したい」という気持ちになっているとしたら、そんな自分を受け入れて、

「そうか、そうか、いま私は、こんな気持ちになっているんだね」

というふうに、自分をいたわってあげることから始めましょう。(「はじめに」より)

こうした考え方に基づいて書かれた本書のなかから、きょうは多くの人が悩んでいるであろう普遍的な苦悩をテーマにしたchapter 1「毎日の仕事から逃げ出したいとき」をクローズアップしてみましょう。

休憩したい自分を認めてあげよう

自分中心になって、自分の気持ちと向き合ってよく考えてみれば、自分のことがわかってくるもの。しかもそれだけでなく、自分のまわりの状況も見えやすくなると著者はいいます。自分の置かれた状況が見えてくれば、自分が直面している出来事が「本当に逃げてはいけないことなのか」「本当にそこまで深刻になるようなことなのか」が見えやすくなってくるというのです。

「毎日の仕事から逃げ出したい」「やりたくない」「もうがんばりたくない」というような悩みを抱える人が自分の気持ちと向き合ったとき、自分のなかに「休みたい」という気持ちがあることに気づくはず。しかし同時に「でも、がんばらなきゃいけない」などと考え、「休みたい」という気持ちを否定してしまうというのです。

しかし努力という点について著者は、「がんばりたいから、がんばる」「好きだから、気がついたらがんばってしまっている」というのが理想だと考えているのだそうです。つまり「休憩したい」とき無理にがんばることは、必ずしもよいとは限らないということ。もちろんがんばるべき場面もたくさんあるでしょうが、自分を抑え込んで無理にがんばったところで、思うような成果はなかなか得られないわけです。

一方、要所要所で休憩をとった場合は、休むことで集中力が回復し、効率も向上するはず。休まなかったときにくらべ、労働時間は減ったのに、かえって成果が上がる場合も珍しくないといいます。さらには体だけでなく心も休まり、より前向きな気持ちで取り組むことができるようになることに。つい軽く見られがちではあるけれど、「休む」ことはとても大事なことだということです。

ここで、より良い休息をとるために大事な“コツ”を一つ紹介したいと思います。それは、ただ休むのではなく、「休みたい自分」を心から許してあげるということです。(19ページより)

後ろめたい気持ちのまま休んだ場合と、自分が休むことを認めて気持ちよく休んだ場合とでは、後者のほうがよりよく休めて当然。だからこそ、休むときは「休みたい自分」「休んでいる自分」を認めるべきだという考え方です。(18ページより)

仕事をするのが苦しくなる理由

そもそも、なぜ毎日の仕事が苦しくなるのでしょうか? このことについて、そのベースにあるのは「仕事に対する考え方」だと著者は指摘しています。仕事を過大に捉えているため、結果的に苦しんでいる人が多いというのです。

たしかに、人生において仕事が占める割合は少なくないでしょう。しかし、決してすべてではなく、他にも大事なことはたくさんあるわけです。それに、いくら仕事が大事だといっても、仕事を過大に考えるあまり、かえって仕事がやりにくくなってしまっているのだとしたら本末転倒。

また、仕事を過大に捉えている人は、「少しでも早く多くの結果を出さなければいけない」と思い込む傾向にあるのだといいます。しかし、周囲や他者のことを気にしながら「結果を出さなければいけない」と思い詰めれば、焦りからかえって仕事がうまく行かなくなっても当然。成果を求めて焦れば焦るほど苦しくなっていき、仕事をすること自体が怖くなってしまうわけです。

しかもそういうときは、なかなか人に相談できないものでもあります。相談するということひとつとっても、そこに至るまでのステップがいくつもあり、逃げ出したくなるまで、ひとりで処理しようとしてしまうということ。だとすれば、どこかのタイミングで発想を変え、人に相談してみるのもひとつの解決法なのかもしれません。(21ページより)

自分の気持ちを認めてあげないと

私たちは嫌だと思っていることから意識をそらしたり、あるいは完全に意識の外に追いやったりしてしまう傾向があるもの。そして同じようなことが、自分の気持ちや感情についても起こるのだそうです。

たとえば休むことに罪悪感があると、「こんなことで弱音を吐くなんて情けない」と感じ、がんばろうとするもの。その結果、休みたいという自分の気持ちに気づきにくくなってしまうというわけです。

つまり、自分の気持ちを自分で否定してしまっていると、その気持ちに対して鈍感になっていくということ。本当は「すごく苦しくてつらい」状態なのに、自分では「なんとなく苦しい」程度にしか意識できなくなってしまうのです。

もし、あなたが頭の中で、「こんなことで弱音を吐くなんて情けない」といった「自分の気持ちを否定する言葉」を普段からつぶやいているようであれば、より注意深く自分の気持ちや体調に気を配る必要があります。自分に関心を抱いて自分の気持ちと向き合うように心がけていれば、頭の中でつい「自分の気持ちを否定する言葉」をつぶやいている自分に気づくようになるでしょう。(29ページより)

そんな自分を自覚できたときに初めて、「自分の気持ちを否定する言葉」をやめることができるという考え方です。(29ページより)

自分自身が原因の悪循環

著者は本書において、早めに自分の気持ちに気づき、それを大事にするべきだということを強調しています。そこには理由があって、つまりは小さな出来事も大きな出来事も、「同じパターン」で起こっているから。

つまり根底にAという意識があるとすれば、どんな場面においてもそのAを土台とした言動をとっていくもの。Aという意識が強固であればあるほど、どこにおいてもそのAのパターンが現れることになります。自分中心の意識になってくると、そのことがわかってくるのだといいます。

このことについて著者は、始終腹を立てている人のことを引き合いに出しています。そういう人は、どんな場所でもどんなときでも怖い形相をして周囲に睨みをきかせ、最初から相手を攻撃するような喋り方をしたりするもの。そのため相手との関係を悪くしてしまうわけですが、本人は自分が相手に対してどんな態度をとっているのかに気づいていない場合も少なくありません。

他者のことを警戒ばかりしているため、なおさら気づきにくい状態になっているということです。そのため、相手に軽関心を抱かせ身構えさせているのは、実は自分自身だということに気づかないわけです。

このように、根底にあるAという意識が土台になって、いろんな場面でそのパターンが言動となって現れ、それが相手に影響を与えていきます。全ての行動は小さな出来事も大きな出来事も同じパターンで起こっている、というのはこういうことです。(36ページより)

だとすれば、早めに自分の気持ちに気づき、その根底にあるパターンを修正したり改善したりすればいいということになるでしょう。そしてその際には、安全な方法、取り組みやすいところから始めるべき。そうすれば、逃げたくなるようなことそのものが起こりにくくなるものだと著者は記しています。(34ページより)




冒頭でも触れたとおり、本書には著者による特別録り下ろし音源が付属しています。どこからでも聴くことができ、本書を読むことすらつらい場合は、聞くだけでも効果が望めるのだとか。逃げ出したくなったときは、大いに活用することができそうです。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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