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ワークライフバランスは女性に学ぶべき

ワークライフバランスは女性に学ぶべき
Image: g-stockstudio/Shutterstock.com

「女性は決してアートモンスター(芸術の怪物)にはならない。なぜなら、アートモンスターとは、芸術のことしか考えず、日々の雑事のことなど頭にない存在だからだ」とジェニー・オフィル氏は小説『Dept. of Speculation』のなかで書いています。それに対して女性には、仕事と生活の「バランス」をとることが問答無用で求められます。

この性差別主義的な社会規範は、男性にとっても得にはなりません。ポッドキャスターのジョスリン・グレイ氏は、ワークライフバランスの重要な要素について、番組のゲストに定期的に質問しています。アーティストで作家のオースティン・クレオン氏は最近、性別によってその答えに差があることに気づきました。男性がワークライフバランスをあたりまえに存在するものだととらえているのに対し、女性は多くの場合、その存在を信じてさえいなかったのです。さらに、女性には「ワーク」と「ライフ」をはっきり区別していない傾向もありました。

クレオン氏は、成功を収めている複数の女性アーティストの仕事習慣を調査しました。その結果、女性アーティストたちは、子どもが走りまわったり、文字どおり足下で遊んだりしている部屋で制作や執筆に勤しんでいることがわかりました。また、ジュディ・シカゴ氏の調査では、女性アーティストたちは、やるべき諸々の家事や育児の「あいま」に仕事をしていました。

それに対して、成功を収めている男性アーティストには、自分のまわりに壁を築き、「ゾーンに入る」ための決まった儀式をしてから仕事にとりかかる傾向がありました。ドキュメンタリー映画監督のエレノア・コッポラ氏は、夫であるフランシス・フォード・コッポラ氏が仕事にとりかかる様子を、こんなふうに回想しています。

仕事部屋にいるフランシスのところへ行ったら、彼は鉛筆を残らず並べていました。エスプレッソもありました。それは全部、集中して仕事にとりかかるためのちょっとした儀式なんです。(女性には)仕事にとりかかるための儀式を行なう時間なんてありません! ぱっと切り替えて、10分間を活用して3行だけ書いたり、絵を描いたりするしかないのです。

自分だけの隔離された空間をつくるのが悪いと言っているわけではありません。こまごまとした創作プロセスや儀式や境界を定めておくのも、悪いことではありません。問題は、そうしたプロセスに崇高な目的があると誤解してしまうことです。

日々の暮らしに無頓着になることを神聖視すると、そのプロセスが実際の生活よりも重要になり、その結果、身近な人たちに対する無関心さや、場合によっては虐待までをも正当化してしまいかねません。私たちの文化では、あまりにも長いあいだ、特権を濫用する男性の存在が看過されてきました。その大きな原因は、そうしたプロセスの神聖視にあるのです。優れた芸術作品の創造と良い人間になることは両立できないとでも言わんばかりに、そうしたプロセスが「天才の代価」と見なされてきたのです。

とはいえ、クレオン氏の調査では、周囲から隔離された壁のなかのアーティストという概念を拒み、ワークとライフを一体化させている男性たちの存在も明らかになっています。彼らの多くは、自覚的に大きな努力を払いながら、ワークライフバランスを実現しています。トム・ウェイツ氏、ウェンデル・ベリー氏、ジェームズ・コチョーカ氏といったアーティストは、生活と仕事の相互作用を重視し、それを創作プロセスに組みこもうと努めています。

このアプローチは、恵まれた人にしかできないものです。そこまで生活と仕事を一体化できればどんなにいいだろう、と思っている人は多いはずです。バランスを求めて、仕事にきちんと気を使っている人もいるでしょう。

しかし、仕事を家に持ち帰る人が多い昨今では、私たちはみな、彼らのアプローチに学ぶ必要があります。「いつも職場にいる」からといって、生活から引き離されてはいけません。そうではなく、仕事を生活に組みこむべきです。仕事部屋に閉じこもらず、仕事始めの儀式を省略し、「10分間を活用する」べきなのです。


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Image: g-stockstudio/Shutterstock.com

Source: Hurry Slowly, Austin Kleon

Nick Douglas - Lifehacker US[原文

訳:梅田智世/ガリレオ

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