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赤ちゃんの「寝かしつけ」がうまくいく、「ねんねトレーニング」とは?

赤ちゃんの「寝かしつけ」がうまくいく、「ねんねトレーニング」とは?

0歳でも、1歳からでも大丈夫! 赤ちゃんが夜早く、長く眠る かんたん ねんねトレーニングBOOK』(伊藤かよこ著、日本実業出版社)の著者は鍼灸師ですが、出産後に息子の夜泣きに悩んだ経験から、「小児はり」や子どもの睡眠についての知識を習得。寝かしつけのカウンセリング、リラックス効果の高いスキンタッチ指導を開始し、「こども専門鍼灸師」として活動しているという人物です。

たくさんのママやパパのお話をうかがってわかったことは、一言で「夜泣きや寝かしつけ」の悩みといっても、その内容は千差万別だということです。

ねんねトレーニング(ねんトレ)についてはじめて知った方、すでに試してみた方や、ねんトレには成功したものの、それでも夜泣きが続いているお子さんもいらっしゃいました。

みなさんのお話をうかがっているうちに、夜泣きや寝かしつけの悩みを解決するには、これまでにどのような寝かしつけをやってきたのか、離乳やねんトレについての考え方、育児の方針、赤ちゃんの体質、ママやパパの性格、家族構成、住環境などを総合した、各家庭に合った対応が必要だということが私の中で明確になっていきました。(「プロローグ」より)

そこで本書では、寝かしつけのテクニックはもちろんのこと、心理学や東洋医学の知識も取り入れ、さまざまな悩みに対して幅広く対応しているというわけです。

きょうは「ねんねトレーニング(ねんトレ)」の具体的なやり方を解説した第2章「『うちの子、何度も起きるんです』を解決! さぁ、ねんねトレーニングをやってみよう」に焦点を当ててみたいと思います。

なるべく赤ちゃんを泣かせない「ゆるゆるねんトレ」と、最短2日でママができるだけ苦しい思いをしない「スピードねんトレ」を紹介した章です。

なるべく泣かせない! 時間をかけてゆっくり進める「ゆるゆるねんトレ」

「赤ちゃんがごきげんのときは家事をするチャンス! 泣いたときはあわてて抱っこ」、こんなふうにしていると、赤ちゃんは「抱っこしてもらうためには泣く必要がある」と考えるようになってしまうもの。つまり、よく泣く赤ちゃんになってしまうということです。

じゃあ、赤ちゃんが泣いたときはどうすればいいのでしょうか? 泣くことは赤ちゃんからの呼びかけです。無視はしないでください。赤ちゃんが泣いたらそばに行って、「なあに?」「どうしたの?」と声をかけます。そして、よく観察してください。ケガや具合の悪いところはないか、おむつは濡れていないか、暑かったり寒かったりしないかなど、いつもと違うところはないか確かめます。抱っこをするのはそれからです。

抱っこは機嫌のいいときに。そして、泣いたときは、まずは観察、すぐに抱っこしないところからスタートです。(38ページより)

特に、夜中は見守ることが大切だと著者はいいます。すぐに泣き止ませたいという気持ちもわかるけれども、そこはぐっとがまん。夜中に赤ちゃんが泣き出しても、まずはしばらく待つべきだというのです。

待っても泣きやまないときは静かに背中をトントン、それでもだめなら「ねんねだよ」「大丈夫よ」と声をかけながらトントン、鳴き声がどんどん大きくなるようなら抱っこ、それでも泣きやまないならおっぱいと、赤ちゃんのリズムを崩さないように時間をかけてゆっくり進めることが大切だということ。

もちろん、泣き方が激しすぎる、顔色が悪い、どこかを押さえて泣くなど、いつもと様子が違うと感じたときはすぐに対応することが必要。それはママならわかることなので、自分の感覚を信じることが大切だといいます。

ゆるゆるねんトレでは、抱っこやおっぱいはいままでどおりで大丈夫。ただし、寝ながらのおっぱい(添い乳)だけはやめようと著者は記しています。抱っこやおっぱいで赤ちゃんがうとうとしたら、まだ寝入っていないうちに、布団またはベッドに下ろすといいそうなのです。そこで泣き出したとしてもすぐには抱き上げず、寝かせたまま、両手でぎゅっと抱きしめるか、そのままトントン。

しばらく様子を見て、泣き声が激しくなるようなら抱き上げ、ウトウトしたらまたおろす。これを何度か繰り返すと、やがて布団やベッドにおろしても眠りにつくといいます。

ゆるゆるねんトレのメリットは、生後すぐにでもはじめられること。できるだけ早いうちから「泣いてもすぐに抱き上げず、まずは様子を見る」「眠りに入る瞬間は、布団の上で」という習慣をつければ、6カ月ごろには朝まで続けて眠れるようになるそうです。

デメリットは、親の負担が大きいこと。月齢や年齢が上がるほど、抱っこやおっぱいでの寝かしつけに慣れているため、布団の上で眠りに入ることを学ぶには時間がかかるかもしれないというわけです。でも大切なのは、赤ちゃんの学習能力を信じること。やがて必ず、1人で眠りに入るコツをつかんでくれるといいます。(37ページより)

パパと力を合わせよう 最短2日の「スピードねんトレ」

赤ちゃんの泣き声は、ママにとっての最優先事項。長い時間泣かせておくことに、多くのママは耐えられないわけです。そこで、途中で抱っこしておっぱいをあげてしまうなど、ねんトレが挫折し、事態は余計に悪化していくもの。

そこで著者は、ねんトレの初日はパパに赤ちゃんを寝かしつけてもらいましょうと提案しています。そしてその日は、ママにはお出かけすることをおすすめしてもいます。ママは別の部屋にいてもいいのですが、赤ちゃんの泣き声が聞こえると、心配になってパパから赤ちゃんを取り上げてしまうことも。また、パパがママに助けを求めることもあるというのです。

しかし、ねんトレについてパパに説明することで、ママの覚悟も決まり、力を合わせてこの困難を克服しようと、夫婦の絆も深まることに。

そして、ねんトレの決行を決めたら、パパと赤ちゃんが2人きりになる時間を増やすべき。これは、ママがいない状態に慣れさせるためだといいます。

ゆるゆるねんトレ同様、スピードねんトレの場合も、赤ちゃんにも言葉で説明し、協力をお願いすることが大切。

★ママから赤ちゃんへ

・今日ママは、夜お出かけするの。

・パパと2人でねんねしてね。

・ママは、明日の朝に帰ってくるから大丈夫よ。

・朝になったらたくさん抱っこしようね。

(55ページより)


★パパから赤ちゃんへ

・ママはいないけど、パパがいるから大丈夫だよ。

・今日は一緒に寝ような。

(55ページより)

いつからねんトレをはじめるかは、事前に決めておくことが必要。そこで著者は、連休などママとパパの時間と気持ちの余裕があるときにはじめることを勧めています。ただし、もっとも優先するのは赤ちゃんの体調。赤ちゃんの様子(体温、きげんはいいか、いつもと変わったところはないかなど)をよく観察することが重要だというわけです。

ママの心得は、心配だからこそ楽しいことをすること。「パパに悪い」と感じるかもしれませんが、出産から休みなくがんばり続けてきた自分へのご褒美だと思って、堂々と休むことが大切だということです。

そしてパパの心得は、赤ちゃんを不安にしない、そしてパパが不安にならないこと。赤ちゃんはママのことを呼び続けるかもしれませんが、そこでパパが動揺しないことが重要だというのです。

パパの抱っこは、おっぱいにつながらないので、抱っこはたくさんすることが大切。ただし、抱っこで寝かしつけ、そろりと布団におろそうとは思わないこと。「寝付く瞬間は1人で」を守るべきだということです。どのくらい泣くのかは赤ちゃんによって違うものの、一晩中泣き続ける赤ちゃんはいないというのでご安心を。

そして翌朝は、ママもパパも「ありがとう」からスタート。お出かけしていたとしても心の中で応援していたわけですから、ママも一緒にがんばったと考えるわけです。さらに、朝は抱っこやおっぱいあり、夜は抱っこやおっぱいなし、と、はっきり区切ることも重要だといいます。

なお2日目の夜はほとんどの場合、1日目より赤ちゃんが泣く時間は短くなるのだそうです。お布団の上でトントンしながら寝かしつけると、多くの赤ちゃんは泣くはず。もし、ママが泣き声に耐えられないようなら、2日目もパパに任せるという手段も。

スピードねんトレのメリットは、最短2日で赤ちゃんの夜泣きがぐんと減ること。力をあわせることで、夫婦の絆が深まること。パパがママの大変さを理解することで、今後の育児に対する姿勢が変わること。

デメリットは、ゆるゆるねんトレにくらべて心理的ストレスが大きいこと、ママのおっぱいトラブルだそうです。特に、完全母乳でおっぱいがたくさん出るママは、いきなり断乳するのではなく、少しずつおっぱいを減らすこと、そして、おっぱいが痛くなる前に搾乳をするようにと著者は勧めています。(51ページより)




「ねんトレのことは知っているけれど、赤ちゃんがかわいそうで行動に移せない」という声も、著者はたくさん聞いてきたそうです。しかし、だからこそねんトレのやり方を正しく伝え、考え方を見なおしてもらうことも夜泣き改善には必要。

大切なのは、きちんとした知識を身につけ、それを行動に移すこと。本書を参考にしながらねんトレを実践すれば、赤ちゃんの寝かしつけが楽になるかもしれません。

Photo: 印南敦史


印南敦史

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