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AIが番組アシスタントを務めるラジオ、J-WAVE「INNOVATION WORLD」担当者に聞く、AI活用の理由

AIが番組アシスタントを務めるラジオ、J-WAVE「INNOVATION WORLD」担当者に聞く、AI活用の理由
Image: J-WAVE

FMラジオ局J-WAVEにて毎週金曜日22:00より放送されている「INNOVATION WORLD」。

AR三兄弟の長男・川田十夢さんが番組ナビゲーターを務め、テクノロジーとイノベーションに関するテーマで様々なゲストが登場するラジオ番組であり、ライフハッカー[日本版]編集長・松葉信彦も数回ゲスト出演している番組ですが、実は「AIの番組アシスタント」が登場します。

その名も「Tommy」。IBM Watsonを活用し、番組ゲストの性格分析や、リスナーからの「XXな楽曲教えて」という漠然としたリクエストに応えて選曲をする「漠リク」といった場面で活躍しています。

さらに2月には番組発のAIをテーマにしたイベントINNOVATION WORLD COMPLEX Vol.1(2月28日@渋谷 duo MUSIC EXCHANGE)も実施予定。ライフハッカーではこのイベントのメディアパートナーとして、トークセッションの模様などをレポート予定です。

今回はイベントに先立ち、Tommyの生まれた経緯や舞台裏にフォーカス。この番組のプロデューサーであるJ-WAVE 小向国靖さんに現在の運用方法、今後の活動について聞きました。

ゲストの過去記事や歌詞を読み込んで性格分析

──Tommyのアイデアは、どのような経緯で挙がったのでしょうか?

番組がスタートしたのが2015年。そして2016年には「INNOVATION WORLD FESTA」というテクノロジーと音楽フェスを実施したところ好評で、さらに番組の方ももっと発信力を高めるために週一の展開となりました。その際に一年間を通してのストーリーも作れたらと思い、社内で「シンギュラリティプロジェクト」と銘打ち、AIを番組アシスタントにして成長していく様について番組を通して一年発信していくことにしました。そんな中IBMさんと繋がる機会があったのですが「Watsonだとこんなことができる」と様々なアイデアを出していただきました。

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番組ナビゲーターの川田十夢さん

ストーリーとしては、ナビゲーター川田十夢が一週間休みたいから、そのためにAIを育てていくというもの。一年後、「来週はよろしくね」と言えるように。でもちょっと心配でTommyが仕切る番組収録を川田が覗きにくるというのがオチだったりして。実際にTommyに1時間の番組を1人で任せられるかどうかはこれからですが。

──性格分析と楽曲リクエスト、それぞれどのようなデータを読み込んでいるのでしょうか?まずは性格分析について伺えますか。

テキスト情報です。ゲストの過去のインタビュー記事を読み込ませて、それを元に、世の中でよく使われている心理テストの原型のようなデータに落とし込んでいます。面白いのは取材記事を読み込ませているので、取材時のいわば「盛った」ときの性格を映し出していることです。これが時に本心とは異なるということもあるんですね。本当の自分ではそうではなく、外向けの時はそういう性格だ、という捉え方をされるゲストの方もいます。インタビュー記事以外を読み込ませる場合もあり、KREVAさんや佐野元春さんのときはご自身の代表曲10曲の歌詞を読み込みました。

──本当の自分との差異をAIが導き出してくれるということですね。一方の選曲については過去のJ-WAVEのデータを元にということですが、具体的にはどのようなデータでしょうか?

ベースは開局時からの30年間の年間チャートです。プラスして開局以前にリリースされたクラシックやロックのスタンダードナンバーも別に入れています。トータルして四桁の楽曲数にはなっています。

人間は、AIがしたことに対して深読みして意味を探ってしまう

「Tommy」概要(「INNOVATION WORLD」HPより)

──リスナーさんからの反応はいかがですか?

不思議なもので、人間はAIが何かしたことに対して、すごく深読みして意味を探ってしまうようです。例えば「クリスマスの曲を教えて」というリクエストがあった時に出て来たのは山下達郎さんの「クリスマスイブ」。いわば直球の選曲ですが、「(ゲストの)KREVAさんが以前カバーしたから、そこまで読み取って選曲してるのか?」などAIの選曲意図をスタッフやリスナーがいっしょに考えるのもそれはそれで面白いようですね。

若い人をはじめ「初めてメールしました」という方も増えました。AIによる選曲が、ガチャのような楽しみといいますか、何が出てくるかわからないワクワク感があるので普通に聞くよりいい曲に聴こえるのかもしれません。

──社内外からの反響はいかがですか。

想像以上にメディアの方からの反響があり、有難いです。おそらくJ-WAVEの中でも2017年一番メディアから取材を受けた番組だったのではないでしょうか。他社のイベントでも「Tommyを出演者として検討可能ですか?」という話も頂くことがあります。AIのタレント化、という需要はあるようです。他にも「カーナビのTommyバージョン」というアイデアも出て来ました。カーナビの中にTommyが内蔵されていて、番組と同様にドライバーが話しかけることで適切な選曲を紹介してくれるようなものですね。

──イベント「INNOVATION WORLD COMPLEX 2018」ではTommyはどのような活躍をしますか?

このイベントのテーマがずばり「AI」なのですが、進行をTommyが務めます。登壇者の呼び込みは全てTommyの担当なのですが、ちょっと会話にタイムラグがある、というところもまた面白いと思っていただければと思います。いわば、AIのイベントをAIが仕切るということになります。

イベント自体は「INNOVATION WORLD FESTA」よりアカデミックにしつつ、一方で音楽の匂いもあるイベントにしたいと思い、渋谷 duo MUSIC EXCHANGEでの開催にしました。スクエア・エニックスのAIリサーチャー三宅陽一郎さん、シーマンなどを手がけたゲームクリエイターの斉藤由多加さん、農業におけるディープラーニングを開発する小池誠さん、将棋ソフト「ボナンザ」の開発者山本一成さんなどが登壇します。 イベントの最後にはアーティストのDE DE MOUSEさんとバーチャル楽器KAGURAのコラボパフォーマンスもお楽しみいただけます。

【イベント概要】

「J-WAVE INNOVATION WORLD COMPLEX vol.1」

日時:2018年2月28日(水) 17:00オープン 21:30頃終了(予定)

場所:渋谷DUO MUSIC EXCHANGE ※ワンドリンクサービス

参加方法:抽選制 こちらより応募 ※1月26日(金)23:59まで

Image: J-WAVE

Source: INNOVATION WORLD COMPLEX VOL.1

市來孝人

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