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人生を楽しむために大切なのは、「どうでもいいことを気にしない」こと

人生を楽しむために大切なのは、「どうでもいいことを気にしない」こと
Photo: 印南敦史

“ときめかない"ことなら、やめちゃえば? ニューヨークの女性の「自分らしく」生きる考え方』(サラ・ナイト著、上野陽子訳、秀和システム)の著者は、ニューヨークで活動するフリーランスの編集者兼ライター。2015年の夏に大手出版社を退職し、15年にわたるキャリアを捨てて独立したのだそうです。

契機が訪れたのは、会社員としての束縛から逃れ、自分が好きに使えるいくらかの時間と自由を手にしたある日のこと。米国でも出版された世界的ベストセラー『人生がときめく 片づけの魔法』(近藤麻理恵著)を読んだ結果、日常の“やらなくてはいけないこと"をも大胆に整理することに成功。そうして「義理」や「責任」から自由になり、本当の幸せを感じられるようになったというのです。そして、そこから、自分なりの「法則」に到達したのだとか。

私は「日常のムダを省くと、心にゆとりが生まれる」、これを自覚するための断捨離メソッドを編み出しました。幸せを感じられず、人生が好転しないもののために、貴重な時間やお金をかけないこと。そうすれば、「ときめき」をもたらしてくれることだけに、時間やエネルギー、お金をもっと使うことができます。

わたしはこれを「気にしない法則」と名づけました。この法則には2ステップあります。

ステップ1 自分にとって「ムダなこと」を決める

ステップ2 「ムダだと決めたこと」は気にしない

そしてもちろん、「申し訳ない」と思わないことです。(「はじめに ——『人生がときめく片づけの魔法』から学んだ、「人生のムダを省く」方法」より)

著者が「極めてシンプル」だというそのメソッドを理解し、マスターするために書かれたのが本書だということ。そんな本書のCHAPTER 1「それは、気にすべきこと? 気にしなくてもいいこと?」から、要点をチェックしてみましょう。

それって、本当に気にしなくちゃいけないこと?

著者はまず、自分自身に対して次のように聞いてみてほしいと読者に訴えています。

・ストレスを感じている?

・スケジュールがいっぱい?

・人生がむちゃくちゃになっている?

(24ページより)

いずれかひとつでも答えが「イエス」なら、「それはなぜか?」と立ち止まって考えてみるべき。しかし、実は答えはとても簡単なのだそうです。それは、「自分自身が、あまりにいろんなことを気にしすぎているから」。もっといえば、「そうしなくちゃいけない」と思い込んでいるからだというのです。

しかし著者は、人生をもっと楽しむのにいちばんいい方法は、「どうでもいいことを気にしない」ことだと主張します。著者が提唱する「気にしないメソッド」においては、ムダな人や物事に費やす時間、エネルギー、お金を最小限に抑えることが大きな意味を持つということ。

そして、そのことを踏まえたうえで、次に著者はこう問いかけます。これは、人生でもっとも基本的な質問なのだそうです。

「なぜ、気にしなくちゃいけないの?」

(25ページより)

自分の時間やエネルギー、お金を使うというのに、なんでもむやみに「いいよ」「行くよ」「やります」と安請け合いすべきではないと著者。それよりもまず、自分の気持ちを確かめるために「それは、本当にしなくちゃいけないこと?」と自分に問いかけるべきだというのです。

あまりにたくさんのことに気を配ると、当然のことながら自分自身が消耗します。その結果、心配性になり、ストレスを抱え、絶望的な気分になることだってあるかもしれません。しかし、それでは意味がありません。そこで、そうしたムダをなくすためにまずすべきは、「気にすべきこと」を見極めること。

ワクワクもしないのに、なんとなく気にしているなら…そんなことはサッパリと忘れて、自分が楽しいと思うことをするべきです。

計算式は簡単で、結論は明快。

必要なのは「やった! すごくワクワクする!」という感覚です。

(26ページより)

罪悪感にとらわれ、義務感にしばられ、あれこれ気にするよりも、きっぱりと決断できて、人に優しく、そして心配事などない生き方のほうが魅力的であるはず。だからこそ、誰かを喜ばせるために、すぐ「いいよ」と口にすることはいますぐやめて、少し考える時間をとってみるべきだということ。

自分が気にしていることは、自分の時間、エネルギー、お金を注ぎ込みたい対象でしょうか? 「それ、本当にやらなくちゃいけないこと?」という質問に、正直に答えてみることが大切だという考え方です。(24ページより)

「ほかの人がどう考えるか?」なんて気にしない

著者は、自分が大切にすべきことを第一に考えましょうと主張します。たいていの場合、「自分のこの決断を、ほかの人はどう思うだろう?」なとど考えるからうまくいかなくなるもの。しかし問題なのは、ほかの人がどう考えるかなどということはコントロールできないということ。他人の考えをコントロールしようとして時間を使ったとしても、そんな努力は失敗に終わるし、むなしいだけだということです。

「ほかの人がどう思うか」を気にする理由は、2つ考えられるそうです。まずは、悪い人になりたくないから。2つ目は、悪い人のように見られたくもないから

もちろん、ほかの人の気持ちは尊重したほうがいいけれど、かといって「相手がどう思うか」を気にしないことが、その人の感情を大きく傷つけるようなことはないはず。尊重しつつも、ほかの人の「意見」を気にする必要はないということ。

私たちは相手に敬意を払いながらも同意しない、あるいは意見を受け入れない権利があると著者はいうのです。この受け意味のスタンスで、誰を傷つけることもなく、さらに自分のことも完全に守れるという考え方。(38ページより)

気にしないことで「お金」が節約できる

お金を使うことについても同じで、自分が欲しいものにお金を使うことの大切さをも著者は強調しています。そして、このことについては、無添加のピーナツバターを買うことを友人から勧められた場合のことを例に挙げています。友人の気持ちを傷つけるのを恐れて、そのピーナツバターを買った場合のケースです。

たとえば、ひと瓶2000円の無添加ピーナツバターの購入費=1TK(ときめき)としてみましょう。あなたの予算を無添加ピーナツバターに使うことは、何か同等のものに1TK使えなくなるということです。

もし、ピーナツバターパーティから家まで2000円ぶんタクシーに乗れば、公共の乗り物でさらにイラつく必要がなくなります。あるいは、スノーボード貯金に2000円プラスすることもできるし、スノーボードの道具を借りることだってできます。(53ページより)

お金は、自分がなによりも“価値がある”と考えることに使うべきだということ。とはいえ、もちろんお金がすべてではないでしょう。それだけでなく、時間やエネルギーだって、使い道はたくさんあるもの。そして時間やエネルギーも、お金と同様に予算案を立てられるものであるわけです。

つまりはお金を使う際にも、「ほかの人がどう思うか」なんて、考えるのをやめるべきだということ。それよりも、自分が大切だと思う順に「気にすることの予算リスト」をつくるべきだというのです。

人はゴールを考えないまま、自分が気にすべきことをただ並べてしまいがち。瞬時に「いいよ」と返事をし、なりゆきで予定を入れてしまったりするわけです。その結果、あとから「あんまりよく考えてなかった…」と実感することも。

しかし、幸せをいちばん大きくふくらませるには、お金を使う前に、その出費についてよく考えることが大切。時間、エネルギー、お金を節約できたら、結果として、それらはもっと大きな楽しみを生み出してくれるはずだから。(52ページより)

イメージを使ったストレスを可視化する練習

ここで著者は、ひとつ練習問題を出しています。

座って、リラックスしてください。

ゆっくりと数分かけて、自由に、友人、家族、社会から感じているストレス、あるいは自分自身のねじ曲がった義務感に意識を向けてください。

以下に例をあげますが、これにかぎったことではありません。

たとえば、ハンドバッグとベルトをコーディネートする、SNSをする、地産地消の食事を楽しむ、ホットヨガをする、パレオダイエットをする、ハリー・ポッターの本を読む、チアシードを食べる、流行に乗る、バレエをする、村上春樹の新作を発売日に読む、ハッシュタグを気にする、フェアトレードコーヒーを飲む、クラウドを使う、よその子どもを気使う、敬虔なクリスチャンになる、中国の経済を理解する、#ネコのインスタグラムを追う、流行のテレビを見逃さない、父親の新しい妻と打ち解けようとする、あるいはハロウィンの仮装パレードのような大きなイベントに参加する…など。(59ページより)

こんなにたくさんのことを気にしていると気づいたら、神経過敏になりすぎている自分を腹立たしく感じるかもしれません。しかし、それでいいいというのです。そして次に、「気にするのをやめたら、どんなに幸せで気が楽になるか」イメージしてみることを勧めています。

その結果、ホットヨガなんかやる必要ないと感じるかもしれないし、クラウドなど気にする余地もないかも。このように、あらゆることを気にするのをやめたときが、ベストな人生が始まる瞬間だというのです。(59ページより)




女性目線に基づく本書は、基本的には女性に向けて書かれています。しかし本質的な部分は、女性だけでなく、男性にも共感できるものばかり。つまり男女差に関係なく、多くの人に訴えかける内容だということです。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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