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マネー特集─今さら聞けない、お金の疑問

家を買う or 賃貸、自分に合っているのはどっち? 損をしないために判断となるポイントとは

家を買う or 賃貸、自分に合っているのはどっち? 損をしないために判断となるポイントとは
Image: Teguh Jati Prasetyo / Shutterstock.com

「借りる」「買う」の二者択一として語られることが多い「家」。しかし実際は家を継ぐ予定のある人以外、「賃貸を続ける」のか、止めて「家の購入に踏み切る」のどちらかです。ただ、新しいことに挑戦するよりも今までの状態を続ける方が楽なもの。本当は自分には合っていないのに、そうと気づかないまま損をしているかもしれません。

賃貸のままが良いのか家を買うべきなのか判断のポイントとなるのは何なのか。ファイナンシャル・プランナーの吉武亮さんにお話を伺いました。


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吉武 亮(よしたけ りょう)ファイナンシャル・プランナーブログ

明治大学出身。学生時代、約1000人を集める学生大運動会を企画する学生団体「SWITCH」を友人と創設。卒業後、上場保険代理店で新人賞、社長賞受賞後、ファイナンシャル・プランナーとして独立。これまで約500人のライフプランニングを手掛ける。クライアントの資産設計をしながら、お金の貯め方・守り方・増やし方をアドバイスしている。出演ラジオ:Rainbow Town FM(79.2MHz)11Crystal

賃貸と持ち家の争点

そもそも、なぜ持ち家と賃貸で迷うのか。争点となる、「買う理由」「買わない理由」は何なのか。メリットとデメリットを明らかにしましょう。

まず「持ち家」に焦点をあてます。家を買う理由となるメリットは、「資産になる」こと。生涯買った家に住み続けるとして、支払うお金の総額で考えると、賃貸よりも少なくなるケースが多いそうです。また、住み続けずに途中で売った場合も、それほど物件の価格が変わらないのであれば、借金(ローン)が減っていること、加えて場所によっては土地の値段が上がることもあり、購入にかかったよりもプラスとして売れる場合があります

また、運用も可能です。戸建てやマンションを土地ごと買った場合、それを壊して別の建物を建てたり、駐車場にしたりといった、更地にして別の活用をすることができます。マンションの一室を買った場合でも、今は「Airbnb」のように誰かに貸すという選択肢もあります。運用においてライフプランやタイミングを考えることは大事なものの、最終的に得をする可能性は賃貸よりもあるそうです。

そのほかのメリットは、「住宅ローン控除」。住宅ローン減税というものがあり、住宅ローンを組むと400万円を上限として、ローンを組んでいる10年間残債の1%が住民税と所得税から減額されます。たとえば4000万円のローンを組んだ場合、初年度はまるまる残っているとしたら、1%にあたる40万円がその年に支払う所得税と住民税から差し引かれます。

さらに直接的なメリットではないものの、家を買う理由には、「自分の家を持っている」「夢のマイホームを手に入れた」といったブランド感やモチベーションという気持ち的なものが大きいのだそう。確かに自分の親くらいの世代の50~60代が20~30代だった頃はそのようなイメージが強いのですが、今の20~30代も同じなのか疑問に思ったのでお聞きすると、同様にいるが、昔よりも賃貸でお金を払い続けるのはもったいないから買ってしまおうという人の割合が増えているとのこと。

ローンを払えなくなるとどうなる

一方、家を買うデメリットとしてあげられるのは、家をいざ売りたいと思ったときに希望のタイミングと金額では売れない可能性があるということ。また、ローンが払えなくなるというリスクです。

ローンがもしも払えなくなったらどうなるのでしょうか。一般的に“タイムリミット”は半年だそう。返済が2カ月滞ると、「そろそろ競売にかけますよ」と通知が金融機関からきます。3カ月になると競売に掛けられはじめ、半年もそのままにしておくと、価格の半額くらいでたたき売られてしまうこともあるとのこと。そのうえローンが手元に残るので、家はないのにローンは支払わなければならない最悪の事態となります。

次に賃貸の理由を見てみましょう。メリットはリスクが低いこと。何かあれば引っ越しが簡単にできますし、それに伴って発生するのは引っ越し費用程度。デメリットは家を買った場合に比べると、結果的に費用の総額が大きくなる傾向があるということです。

「個人的には、良い物件があって買えるならば、買った方が得なのではと思います」と吉武さん。それでは、「良い物件」とはどんな物件なのでしょうか。

もし買うなら良い物件とは何か

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Image: siro46 / Shutterstock.com

以前に「相続で損をしないためのポイント」の記事で話に出ましたが、「都心で駅近の中古一戸建て」がおすすめだそう。なぜ都心がいいのかというと、日本の人口は減少しており、仕事がなくなってくると人は都心に移動してくるからです。都心の人口は増えるので物件の需要は高くなります。また、中古一戸建てがいい理由は、不動産の価値は建物と土地で決まるからです。日本人は新築を好みますが、中古になると一気に値段が下がるため、はじめから中古で買う方が値崩れのスピードは遅くなります。

要するに、新築のときの価値が最大で、そこからだんだんと下がっていき、最後に土地の値段が残ります。建物は土地よりも値崩れしやすく、土地には古いも新しいもないので、土地のある場所と建物が占める割合が重要となります。都心の駅近はニーズがありますし、マンションより一戸建ては価格の中で土地が占める割合が大きいので、マンションよりも値崩れが少なくなります。一戸建ては郊外が多いうえに数が少ないのでマンションよりも不動産屋は積極的に売ってくるものではありませんが、中古で10~15年ほどの戸建てを買うのが理想的だそう。

とはいえ、メリットとデメリットが分かっても、自分ごととして考えると難しいものです。家を買った方が「自分は」結局得なのか、そうではないのか判断するポイントは何でしょう。

住み続けられるならば、基本的には買った方が得だそうです。例外としては住む場所が非常に田舎で、家賃が右肩下がりしていくと確定している場合。家を購入してしまうと購入金額がそこでFIXし、ローンを払っていく必要があるため、賃貸の方が損をしないからです。

自己資金がいくらあれば「家を買う」が選択肢になるのか

そうはいっても、先立つものがなければ家の購入は現実的ではないと考える方は多いでしょう。では、自己資金がどれくらいあれば「家を買う」という選択肢が現実になるのでしょうか。

頭金となる自己資金は、物件価格(土地と建物の合計)に対して2割とのこと。もしもローンが返済できなくなってしまうと、物件価格よりも借金の方が多くなることがあります。5000万円で購入した物件が4000万円の価値になっており、そのときローンが4500万円残っているとしたら、差額として500万円借金の方が多いというようなケースです。この場合、500万円を金融機関に払わないと売りに出せないので、手元に500万円の現金がなくては、まずそのお金を工面しなくてはならず、売るのに時間がかかってしまいます。結局ローンの返済もできず、競売にかけられる最悪の事態もありえます。2割が大体リスクヘッジとして適した金額なのだそう。少なくとも頭金を2割入れるか、2割を手元に持っておけば、このような差額が発生しても金融機関にお金を支払うことができます。

また、新築は値崩れが大きいと先述しましたが、特に新築は不動産屋の利益分が大幅に乗せられている分、買った瞬間に2~3割も値段が下がるケースも多く、リスクが大きいので注意した方がいいそうです。

ところで、自己資金がないとローンが組めないので家を買えないと思っている人もいるのですが、実際は購入は可能。金融機関や不動産屋は基本的にローンを組んで欲しいと思ってます。初期費用はゼロではないですが、物件価格の1割以下の数十万もあれば、フルローンを組むことが可能なのだそう。ただし、個人事業主など、職業や労働形態によっては無理なのは留意しておきましょう。

ローンを組むのは個人事業主だとどれくらい難しい?

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Image: Olesya Kuznetsova / Shutterstock.com

ローンの組みやすい職業は公務員、上場企業に勤務する会社員、一般企業の会社員の順。個人事業主となると有名な上場企業に勤めている会社員の配偶者の主婦(夫)よりも信用力が落ちるとされてしまうことが多いのだとか。はっきりと無理と言われるわけではないものの、審査は厳しく、数年分の確定申告書の提示を求められることもあります。それで支払い能力を認められればローンは組めますが、やはり若い方が審査は通りやすいそう。

とはいえ、かなりハードルがあがるので基本的にローンを組むのは無理と考えておいた方がいいそうです。現在は会社員ではあるが、ゆくゆくは個人事業主になるつもりの人は、家を買うことをが視野にあるなら購入しておきましょう。そのほかにはクレジットカードの作成や、投資信託に興味のある人は個人事業主になる前にやっておいた方が良いとのことです。

基本すぎて聞けない、支払い方法に関する賃貸のときとの違い

多くの人が経験している通り、賃貸の場合は管理費と家賃の合計金額が毎月指定した口座から引き落とされます。では、家を買った場合はどう変わるのでしょうか。ローンを家賃と考えるなら、ほかに発生するものはあるのでしょうか。

一番の違いは固定資産税が発生すること。納付書が送られてくるので、各市町村の窓口や郵便局や金融機関の窓口、コンビニで支払います。また、口座振替やペイジー支払い、最近はクレジットカード払いも可能なのだとか。

ローンは家賃と同じように金融機関によって指定した銀行口座から毎月引き落とされます。また、マンションの一室を購入した場合は、管理会社が共用部分の掃除などのメンテナンスを行っているので、管理費修繕積立金町内会費も引き落とされます。なお、戸建ての場合は必要ありません。

借りる、買うで迷うときと判断するための基準とは

ライフスタイルの変化にともない、家に求めるものは変わってきます。賃貸のままでいるのか、家を買うのか迷うタイミングと、その時々で気をつけるべきこととは何でしょうか。

まず、子どもが学校を変わるのが可哀想なので、子どもが小学校にあがる前に買いたい人が最も多いのだそう。子ども部屋も必要になりますしね。この場合、購入者はまだ若いケースが多いでしょう。ローンを組むときの返済負担率は年収にもよるものの、定年までの期間が長いので若い人の方が審査は通りやすいです。 なぜかというと、年収に対してローン返済額の割合がいくらになるのかで審査が通るかどうかは決まりますが、自己負担率が年収の35%以内という基準があります。したがって、ローンの期間が短いと年間の返済負担率が上がってしまうからです。

融資額は返済額(年収の35%が基準)×返済期間で決定されることになります。たとえば、45歳の人が年収500万円で5000万円の家を買いたいとします。定年の65歳までに支払いを終えたいと思うなら、20年間で払う必要があり、金利を無視しても年間250万円の支払いになるので自己負担率は50%。ローンの審査は通りません。もしも30歳で年収が450万円だったとして、このとき購入していたら、ローンは35年間となり、年間142万円の支払いになります。450万円の35%は158.5万円なので、これなら審査は通ったでしょう。ローンが長いと金利の分、支払い総額は増えますが毎年の返済額は少なくて済みます

それに金融機関の立場からも、長期でローンを組んでもらった方が金利がとれる点で歓迎されます。確かに年齢が上がると借りにくくなるものの、70歳までのローンで退職金をあてて繰り上げ返済といった提案をされる場合もありますが、リスクは大きいです。

ただし、この例はフルローンを仮定した話なので、年齢があがれば、その分たいていの人は貯金をしているかと思います。もちろん、その場合は先に多く支払い、年間ローンで払う分は少なくするというのも可能です。しかし、そのように計画的に考えているのでなければ、覚えておいた方がいいでしょう。

また、出産前のタイミングで買うか迷う人は多いのですが、子どもが3人生まれる予定で4LDKを購入したのに1人しか生まれなかったので賃貸で良かったということがありえます。家族の人数がこれ以上変わらないと決まった段階で購入を考えた方がいいかもしれません。

そして、夫婦2人だけになる、子どもが自立したあとや老後も家を買うか検討されるタイミングです。自分や配偶者が一人っ子などで親の家を継ぐ可能性があるかといったことは考えておいた方がいいでしょう。また、賃貸で住み続ける場合は長生きする分家賃を払い続けなくてはならないことがデメリットとしてあげられるものの、家を買った場合はもしも老人ホームに入ることになったら、誰が固定資産税やローンを払うのか問題になります。相続できる親族がいるのといないのでも変わってきますが、自分の置かれている状況と未来を見越して考えるべきです。

「そこまで先のことは読めない」と思う方もいるでしょうが、いずれにせよ、購入したい物件に5年住むことができるかどうかが1つの判断基準となるそう。新築よりもリスクが少ない中古物件だとしても、不動産屋や管理会社といった中間会社の手数料が価格に含まれているのと物件を買うと初期費用もかかるので、買ってからすぐに売るのは損をします。大体5年たたないとプラスにはならないそうです。

後で後悔しないために気をつけること

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Image: file404 / Shutterstock.com

これまでを振り返ると、買うと得をする可能性は大きそうですが、今は消費税の増税のタイミングを意識しておくべきです。特に土地に対して建物の割合が大きいマンションを買う場合、消費税は建物にかかるため、10%にあがるとかなり大きな影響が生じます。

また、契約するときには細かい部分ですが、火災保険や金融機関について考えることも大事です。不動産屋に勧められるままに入るのが一般的ですが、損をする可能性があります。実際は選ぶことが可能なので、契約内容に不必要なものが含まれていないかよく調べた方がいいでしょう。住宅ローンに関しても同様です。「団体信用保険」というのがありますが、ローンを組んでいる人が亡くなった場合は払った分がなかったことになってしまいます。それに入らないで民間の保険に変えられるケースもあり、結果として安くなることもあるそうです。

それに、「住む」ことを前提として家を買うことを考えてきましたが、もしも投資用不動産を買うことに興味があるなら、先に居住用の不動産を買ってしまうと投資用不動産のローンが組みにくくなるそう。居住用不動産は純粋にローンだけですが、投資用不動産は収入もあるからです。よって、居住用の不動産を買う前に投資用不動産を買っておいた方がいいとのこと。ちなみに投資用不動産の場合は居住用とは違い、5年住めるかよりも社会的な需要があるかが買うときのポイント。具体的には、入居率の高い都心のワンルームマンション。立地や物件によってはプラスになることが見込めるそうです。

「買う」「買わない」で将来の資金計画はこのように変わる

資金の貯め方や運用などを考えると、賃貸と持ち家でどう違うのでしょうか。それによって日々の過ごし方や心構えも変わってくるので、自分に合っているのか判断する基準となります。

家を買った場合、ローンを払っている間は大変ですが、終わったら楽になるので、老後に必要な費用は賃貸よりもかかりません。老後資金に関しては、運用をどうするかが重視されるでしょう。ただし、これはローンを払い終わるまで何事もなかった場合の話で、働き盛りのときにがんなどの病気にかかり、半年休まなくてはならなくなるケースもあり得ます。それでもローンを払い続けられるように余剰資金を貯めておく必要があります。

賃貸の場合は家賃を生涯支払い続けなくてはいけません。一方で大病にかかって休職を余儀なくされても、賃貸の場合は実家に戻ったりもっと安い物件に移ったりと選択肢が多く臨機応変に動くことができます。ローンを払うための余剰資金はいらないものの、その分老後資金の貯蓄をしっかりやっておくことが大事です。

では、老後資金の貯蓄は具体的にいくら必要なのでしょうか。生命保険文化センターによると、65歳以上の年金生活をしている夫婦にアンケートをとったところ、ゆとりのある生活のためには月35万円が必要という結果が出ました。持ち家と賃貸の人で別々にデータがとられたわけではありませんが、最低はこれくらい必要という目安になるでしょう。

シニアガイドによると、厚生年金でもらえる月額のボリュームゾーンは男性で18万円、女性で9万円と言われており、合計金額は27万円。つまり1カ月あたり8万円の不足となります。この8万円を毎月、仮に20年間としたら合計にして1920万円をリカバーできるほどの貯蓄があるか、何らかの仕事をしたり資産を運用したりしてまかなうことができるのか考えなくてはいけないということです。


「人生で一番高い買い物」とも言われる家。たとえ購入せずともかかる合計金額を考えると、生涯にかかるお金の中で大きなウェイトを占めています。金額そのものが大きいので、ちょっとしたことで大きく損得が左右されるでしょう。早めに行動しないと後からやろうと思ってもできないことも多いので、後悔しないためにも今いちどライフプランの中で「家」について考えてみると良さそうです。


Image: Teguh Jati Prasetyo, siro46, Olesya Kuznetsova, file404 / Shutterstock.com

Source: 生命保険文化センター, シニアガイド

今井麻裕美

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