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では #MeToo 以後、セクハラ被害者はどのように声をあげるべきか

では #MeToo 以後、セクハラ被害者はどのように声をあげるべきか
Image: Tasiania/Shutterstock.com

昨年の秋以来、世界中でセクハラ被害の訴えが噴出していますが、なぜ被害者たちはすぐに被害を訴えなかったのでしょうか

自分の訴えを信じてもらえないのではないか、人事部に訴えるほど「悪質」ではないと言われるのではないか、被害を訴えるとキャリアに傷がつくのではないか、などなど、いろいろな不安材料があったことでしょう。でも、どうやってセクハラを報告すればよいかわからなかったからという人もきっと多かったはずです。

最近、ライフハッカーは『#MeToo と声をあげたい人に、知っておいてほしいこと』という記事を公開しました。たとえば映画業界のように、正式な人事部を持たない業界では根深い問題になっています。

では、上司や同僚が卑しいジョークを飛ばしたり、真夜中に不適切な質問をテキストメッセージで送ってきたりしたときは、どうすべきなのでしょうか。あるいは、もろに身体に触ってきたりパーティで言い寄ってこられたら?

そんなとき取るべき行動を2人の労働法弁護士に聞いてみました。

就業規則でセクハラの報告の仕方を確認する

Zuckerman法律事務所で労働法弁護士としてセクハラや目に見えない差別を扱っているEric Bachmanさんは、加害者に「やめて欲しい」とやんわりと伝えることから告訴に至るまで、被害者には幅広い選択肢があるといいます。

一番穏便な方法としては、ハラスメントをしてくる相手と話し合い、相手の言動を不快に感じていることをはっきりさせて、やめて欲しいと伝えることです。ときにはそれで充分効果があり、ハラスメントが終わることもあります。

相手が報復行動に出なければ、これは理想的な結末です。しかし、それでも相手がハラスメントをやめない場合は、「苦情を文書にして社内の上層部に上げることが肝心です」 。

こうした苦情を報告する方法が確立している会社に勤務しているなら、就業規則をチェックして、そのガイドラインに従いましょう。

もし会社に然るべき規則が無い場合は、さらに階級が上のマネージャー、人事部、役員に話してみてください。この場合も、ミスコミュニケーションを防ぐために苦情は文書にして提出することが肝心です。何があったのか、そして、それがどのように自分自身にも仕事のパフォーマンスにも悪影響を与えているかを詳しく説明して、今すぐやめてもらいたいと思っていることを伝えてください。

とBachmanさんは言います。

個人のPCで記録をつける

起こったこととハラスメントをやめてもらうために自分がしたことを日付入りの文書にして記録しておきましょう。Bachmanさんは以下のようにアドバイスしています。

たとえば、性的なコメントやジョークを言われたことについて苦情を言いたい場合は、いつどこで誰が何をどういう理由でしたのかを具体的に説明するメモを書き、日付をつけておきましょう。他の社員がそのハラスメントを目撃した場合は、その人の名前も記録しておきます。嫌がらせのテキスト、メール、写真などを送りつけられたら、絶対に削除したり編集したりせず、必ずそのまま保存しておいてください。

この種の記録は職場のPCでなく自宅のPCに保存することが大切です。

ここで留意すべきことがあります。ニューヨーク市のOutten and Golden法律事務所のパートナーで労働法弁護士のKathleen Peratisさんは、ハラスメントを文書にして記録している場合、訴訟になった際にそのメモは相手側に事前に「開示」されてしまうかもしれないと警告しています。

しかし、その記録が「訴訟を見越して」作成されたものなら、つまり、訴訟を起こす準備としてわざわざそうした記録をつけていた場合は、相手側に開示しなくてよくなります。ですから、メモには必ず「訴訟を見越して」と明記しておくことで、相手側の手に渡らないようにしましょう。

また、Bachmanさんはハラスメントの言動を密かに録音する場合の注意点を指摘しています。秘密裏の録音に関する法律は州によって異なります。会話の当事者の片方だけが録音することに同意していれば良い州もあれば、会話に参加している全員が録音することに同意している必要がある州もあります。インターネットで自分の州の法律を調べることもできますが、秘密裏にハラスメントを録音したいと思った時点でインターネットに頼るより弁護士に相談したほうが良いでしょう。

弁護士を見つける

ここまでしても、まだハラスメントが続いていたりハラスメントを報告したことで報復を受けた場合は、労働法弁護士を見つけましょう。何かあるたびにいちいち弁護士に電話する必要はありませんが、セクハラや男女差別を受ける職場環境で働くことを強要されるべきではないとBachmanさんは言います。

ハラスメントのせいで仕事のパフォーマンスや精神衛生に悪影響が及んでいると感じるなら、弁護士に連絡すべきでしょう。

被害者グループを作ると勝算が高くなる

女性がたったひとりでセクハラ被害を訴えると、組織的に攻撃されかねません。女性は被害者グループを結成してさえ、弱い立場なのです。しかし、他の女性たちにもセクハラ被害を報告してもらうと、主張を信じてもらいやすくなり、会社に行動を起こさせやすくなります。今こそ「Whisper Network」の力を使うときです。

The New York Times紙に寄稿しているClaire Cain Millerさんは、大学のキャンパスでハラスメントを報告する「情報エスクロー」という新しい戦略を発表しています。被害者は加害者に対して日時を明記した苦情を提出しますが、同じ加害者に対してさらに別の職員が苦情を申し立てた場合に限ってその苦情が上に報告されるという仕組みです。

これにより、理論的には、1人で苦情を申し立てたら受けていたかもしれない報復を受けることがなくなり、ハラスメントの加害者も記録できます

しかし、このデジタル式苦情保管システムはまだ大学のキャンパスでしか試用されていません。2018年には試験的なプログラムがさらに広範囲に導入される予定です。現時点では普通の職場では使えませんが、徐々に普及していくかもしれません。

職場でセクハラを目撃したら

セクハラを間近で目撃したら、どのような行動を取るべきでしょうか。これまで目撃者の視点には十分な注意が払われてこなかったとPeratisさんはいいます。セクハラの標的にされている人を助けるにはどうしたら良いのでしょうか。

セクハラの被害者は孤独感に苛まれていたり、多少なりとも自分が悪いのではと思っていることが多いので、友人や同僚として介入すると、状況を好転させる助けになります。「何かを見たら、声をあげよう」というスローガンを職場のハラスメントにも適用しましょう。いやらしいジョークを耳にしたり醜悪な振る舞いを目撃したら「そういう種類の話は不愉快です」ときっぱり言うことで、ハラスメントを非難する絶大な効果があります。

Peratisさんは次のように語っています。

男性たちは、単にジョークを言っただけで、嫌がらせをするつもりはなかったと言い訳するでしょう。しかし、被害者を辱め侮辱していることに違いありません。人を貶めるこの種のユーモアを耳にした第三者が批判の声をあげると、敵対的環境を防ぐ近道になります。

特に男性の第三者が声を上げるとより効果的です。また、直接の被害者でない人が声をあげることで報復を免れることになるかもしれません。セクハラを目撃した第三者は声を上げても利益を得ることもなければ、批判をかわそうとしているわけでもないからです。

ですから、現場に居合わせた人の発言は被害者の発言より重視されるかもしれません。

その場ですぐに批判の声を上げられないにしても、ハラスメントを受けた人にメールを送ったり言葉をかけたりして、サポートして欲しいか聞いてみましょう。被害者が「放っておいて」とそのときは言ったとしても、後で被害を報告する決心をしたとき、自分には協力してくれる人がいるとわかっているのは良いことだとPeratisさんは言います。さらに、セクハラの目撃者は、目撃した内容を自分にメールすることで事件を文書化できます。この場合も、職場のPCでなく自宅のPCでやりましょう。

Millerさんは、上記に関連するニューヨークタイムズ紙の記事で、従来のオフィスにおけるセクハラ防止トレーニングは、しょせんは企業の管理職たちによる言い訳の訓練でしかないので特段役に立つものではないとしていますが、目撃者の介入は助けになると指摘しています。

誰もが健全な職場環境を維持する力を手にするだけでなく、人によっては使用したくない「被害者」と「加害者」というラベルを取り去ることにもなるからです。自分自身がセクハラ被害に遭っていなくても、勤務先の就業規則では、セクハラを目撃した際の報告のしかたはどのように定められているか確認しておきましょう。

雇用機会均等委員会に苦情を持ち込む

弁護士が提案する社外への苦情申し立ての方法の中では、雇用機会均等委員会(EEOC)に差別を申し立てることが最も一般的であり重要でもあります。

差別の申し立てとは、雇用主(あるいは組合)により差別されたことを正式に表明することです。さらに、Bachmanさんは言います。

民間企業の社員なら、ハラスメントがあった日から180日以内か300日以内にEEOCに差別を訴える必要があります。ハラスメントの継続的なパターンを証明できるなら、それ以前に行われたハラスメントも訴えることができます。

1964年の公民権法第7条に抵触するとして法的に告訴することになった場合は、まずEEOCに差別を受けた旨を申し立てる必要があります。

これは、人事部が機能している一般的な企業では、比較的簡単にできますが、フリーランサーやテレビや映画の業界などで働く人たちにはもっと高いハードルがありますハービー・ワインスタインのようなケースでは、被害者は誰にセクハラを報告したらいいかわからないかもしれません。

さらに、セクハラが1回限りのオーディションで行われており、セクハラされたと主張するとキャリア上、ネガティブな結果を招きそうな場合には「敵対的職場環境」を証明するのは困難です。

そんな場合、被害者はハラスメントの加害者が働く会社に苦情を訴えるべきだとBachmanさんは言います。

まともな会社なら苦情を調査するはずです。

これは以前ならお勧めできなかったことかもしれませんが、今は間違いなく変化の潮目が来ています。企業はハラスメントの訴えを無視することで生じる法的リスクや社会的評判が悪くなることを気にするようになってきました。

しかし、セクハラの被害者が声をあげるかどうかは、声をあげることで被害者が被る損失をどの程度受け入れられるかどうかに多分に左右されます。ですから、最近次々にセクハラを告発しているのはハリウッドで比較的成功している女性たちであることは当然のことかもしれません。

労働者階級に属する人々がハラスメントや暴行を受けている話は、まだほとんど世の中に知られていません。ホテルの客室係、サービス業従事者、風俗業従事者などにしてみれば、「どうやってセクハラを報告するか」どころではないのです。彼らにとっては、セクハラ被害を訴えることで払う代償が高すぎるからです。

Image: Tasiania/Shutterstock.com

Source: The New York Times, Callisto, U.S. Equal Employment Opportunity Commission

Reference: Wikipedia

Leigh Anderson - Lifehacker US [原文

(訳:春野ユリ)

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