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コンディションを一定に保つために、「ゆとりを持つ習慣」を身につけよう

コンディションを一定に保つために、「ゆとりを持つ習慣」を身につけよう

効率・時間・スピード すごい習慣力』(冨山真由著、三笠書房)の著者は、行動習慣コンサルタント®、行動定着コーチ®。日本では数少ない女性の行動科学マネジメント公認インストラクターとして、企業の若手社員から管理職までの幅広い層を対象に、セルフマネジメント講習を行なっているのだそうです。

そのような立場から指摘しているのは、「どれだけ意欲のある人でも、努力がきちんと報われなかったり、なかなか成果を実感できなかったりすると、意外なほど簡単にくじけてしまうもの」なのだということ。

人は、やる気や意志だけでなにかを続けられるほど、強い存在ではないということです。だからこそ、いい習慣を定着させるためには、こうした人間の特性、心理を踏まえたうえで、無理のない楽な方法を取り入れることが重要だといいます。そして本書も、そのような観点に基づいてかかれているわけです。

本書で紹介するのは、「行動科学マネジメント」にもとづいた習慣化メソッドです。

アメリカのビジネス界で大きな成果を上げている行動分析学・行動心理学をもとに、日本人に最適な形にアレンジしたものです。やる気や能力に頼らず、誰がやっても、ラクに成果が出る「再現性」を備えた点が最大の特長です。(「はじめに」より)

きょうは7章「『ゆとり』を持つ」のなかから、いくつかの要点を抜き出してみましょう。その前提としてあるのは、「コンディションを一定に保つうえでは、『ゆとりを持つ習慣』が大切」だという考え方です。

スマホ・パソコンは「就寝30分前にやめる」

仕事ができる人ほど、良質な睡眠をとっているもの。成果を出し続けるためには、翌日に疲れを残さず、グッドコンディションを維持することも大切だということです。そのため、睡眠不足になりがちな人や眠りの質がよくない人は、すぐにでも良質な睡眠をとるための習慣を取り入れたほうがいいます。

そして、記憶にとどめておきたいコツは、ベッドに入る30分前までに「心と体をゆるめる」ことなのだとか。

私たちは日中、交感神経優位の状態で仕事をしているのだそうです。交感神経の働きによって体の深部の体温が上昇するため、体が活発に動いてくれるのだということ。そして夜になると副交感神経が優位になるので、体の深部中から熱が放出され、次第に体温が下がっていくことに。この体温の低下がサインとなり、「入眠ホルモン」であるメラトニンが分泌され、眠りへと入っていくというのです。

つまり、よい眠りにつくためには、「仕事モード」で交感神経が優位になっている心と体を、「休息モード」の副交感神経優位の心と体へと切り替える必要があるということです。

ところでベッドに入る前の30分には、心がけたいことが3つあるのだと著者は記しています。

まず1つ目は、「薄暗い明かりのなかで過ごす」こと。というのも部屋が明るいと、メラトニンの分泌が抑えられてしまうというのです。特に蛍光灯が発するブルーライトは、メラトニン分泌の大敵なので注意が必要。

なお、手軽にできる方法は、「豆電球の明るさ」にすることだといいます。フットライトを部屋の片隅に起き、その明かりですごすのもいいそうです。家族と一緒なので薄暗い部屋にはできないという場合は、部屋の明かりを、ブルーライトを軽減するタイプのものに変えるのもひとつの方法。

2つ目は、寝る前に「スマホやパソコンを見ない」こと。ご存知のとおり、スマホやパソコンの画面は、大量のブルーライトを発しています。しかし、顔から数十センチの距離でブルーライトを浴び続けたら、心と体をゆるめるどころか、交感神経優位の活動モードにしているようなもの。せめて30分以内に収めるべきだといいます。

そして3つ目は、ヨガの呼吸法のひとつである「片鼻呼吸をしてみる」こと。

1. まず、リラックスした状態で背筋を伸ばします。イスに座った状態でも、あぐらの状態でもかまいません。そして、目を閉じます。

2. 人差し指と親指で、鼻の穴を両方ふさぎます。

3. 右の鼻を押さえている指だけ離し、右の鼻から4秒かけて息を吸い込みます。そして、4秒かけて息を吐き出します。次に、最初の状態に指を戻します。

4. 今度は、左の鼻を押さえている指だけ離し、左の鼻から4秒かけて息を吸い込み、4秒かけて息を吐きまします。そして、最初の状態に指を戻します。

5. 3.と4.の動作を1セットとし、これを10セットほど繰り返します。

(188ページより)

ヨガの世界では、「左鼻呼吸」は右脳を刺激して副交感神経優位にする効果があり、「右鼻呼吸」は左脳を刺激して交感神経優位にするこうかがあると考えられているのだそうです。左右の鼻呼吸を交互に行なうことで、自律神経のバランスが整い、切り替えがうまくいくようになるのだとか。鼻は脳にも近いため、実際に行なってみると、頭がスッキリしてくるといいます。(186ページより)

1日20分間だけ「早歩きしてみる」

著者によれば、ビジネスパーソンの多くが、「頭は目一杯使っているのに、運動量は総じて少ない」状態にあるのだそうです。しかし頭と体の働きがアンバランスになると、精神的に不安定になりがち。「頭がモヤモヤして気分が晴れない」というときは、病気の場合を除けば、「頭だけがよく働いているアンバランスな状態」と考えられるのだそうです。その結果、体が次のような状態になっていることが考えられるのだといいます。

1. 体温が上がりにくい状態になっている。

健康な人の体温は、明け方がもっとも低く、日中にかけて上がっていき、夕方にピークを迎えるもの。そこから徐々に下がっていき、入眠が促されるわけです。

著者によると、健康のひとつの目安は、1日のなかで「体温差が0.5℃以上あること」。運動をすると細胞の代謝や体内の血流がよくなり、平均体温が上がるため、1日の体温差が生じやすくなるもの。その結果、ぐっすり眠って快適な朝を迎えられるというわけです。

一方、「なかなか眠れない」という悩みを持つ人は、運動不足によって体温差がなくなったり、体温の推移が乱れている可能性が。一般に「歳をとってなかなか眠れない」という人も、このなかに含まれる場合が多いのだそうです。

2. 「歩数」と「運動強度」が絶対的に不足している。

現在、健康科学で注目されている指標のひとつが、「8000歩/20分」。東京都健康長寿医療センターの青柳幸利氏が、15年にもおよぶ住民追跡調査から導き出したものだそうです。「1日の総歩行数は8000歩。そのうち20分程度は中強度の歩行。これを習慣づければ、ほぼ万病を防げる」という考え方。ちなみに「中強度の歩行」とは、「なんとか会話ができる程度の速歩き」だといいます。

私たちは通常、「頭のモヤモヤをスッキリさせたい」というとき、頭だけで解決しようとするもの。しかし行動科学では、体を動かすほうがよっぽど効果があると考えられているというのです。そこで著者は、次の2つの方法をオススメしています。

1つは、モヤモヤを感じたら軽いジョギングなどで気持ちよい汗を流すこと。なお、このとき重要なのは、姿勢や表情だといいます。なぜなら感情は、姿勢と表情に連動するものだから。前を向いて、笑顔で運動することが大切だというわけです。

もうひとつは、「8000歩/20分」の習慣を身につけてしまうこと。いうまでもなく、毎日適度な運動をする生活を送れば、モヤモヤしなくなってくるという考え方です。とはいえ、これまで歩数が3000歩程度だった人が、いきなり「8000歩/20分」を目指すのは無理があろうというもの。徐々に近づけることが大切なのです。

ちなみに、「8000歩/20分よりも多く運動すれば効果があるか」というと、必ずしもそうではないのだそうです。1万歩、2万歩も歩くハードな生活は、帰って免疫力を下げてしまうというのです。やはり、“適度”な運動を心がけることがよいようです。(190ページより)




紹介されている39種の具体的な習慣は、どれもごく簡単なことばかり。特にデスクワークをする人におすすめの方法だそうで、著者が研修で指導したITエンジニアの方は、集中力が持続することによって作業効率が上がり、同じ時間で、それまでの2倍の仕事量をこなせるようになったのだとか。

同じように本書で紹介されているコツを身につければ、多くの成果を上げられるようになるかもしれません。

Photo: 印南敦史

印南敦史

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