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裸足で走る「ベアフット・ランニング」をオススメする理由と始め方

裸足で走る「ベアフット・ランニング」をオススメする理由と始め方
Image: Elena Scotti/GMG via Shutterstock

裸足ランニング(ベアフット・ランニング)は、裸での水遊びとよく似ています。すでに楽しいことが、周囲の環境や身体との深いつながりを感じることで、さらに気持ちよく、記憶に残るものになるのです。

水着なしで泳げば水温を肌で感じられるのと同じように、靴なしで走ると身の周りの世界を直接感じられ、自分の足に耳を傾けられるようになるでしょう。

裸足ランニングの魅力を紹介する前に1つだけ。私は決して、靴嫌いではありません。これまでも、靴を履いて走った場所はたくさんあります。

非常に寒い場所(マサチューセッツ州西部)、非常に暑い場所(オーストラリア北部)、地面が危険な場所(ハワイ島の溶岩原)など、とにかく裸足で走るなんて勘弁してほしいような場所(カリフォルニア州オークランドはあちこちに割れたガラスがあるようです)もたくさんあります。

とはいえ、靴を履いて走った場所よりも、裸足で走った場所のほうがたくさんあります。経験が増えるたびに、かつては怖かったようなところでも安心して裸足で走れるようになりました。以下に、私がこれまでに学んだ教訓をお伝えします。

裸足ランニングにはまった経緯

私は祖母に育てられました。祖母はマンハッタン育ちながら、夏はニューヨーク州北部にあるアディロンダック山地で過ごしていたそうです。

彼女にとって裸足とは、自由を意味しました。

園芸や料理だけでなく、薪集めや雪かきをするときまで裸足でした。真冬の寒い日には、誰が最後まで裸足で外にいられるか競争したものです。勝つのは決まって祖母でした。

私は学校や街中では、真っ白なリーボックやジェリーサンダルなど、80年代に流行った子ども靴を履いていましたが、家では祖母にならい、帰るなり裸足になっていました。

20代はニューヨーク市に住んで働いていたので、裸足になることはほとんどありませんでした。でも30代前半に、再び裸足の喜びに触れる機会がありました。

8月のある夜、フィアンセとのデートに向かう途中のことです。急に大雨に降られ、人々は軒下に逃げ込んでいました。とても暑い夜で、エスパドリーユを履いていた私は危なっかしく歩いていました。

ヒールを履いていても歩くのが速い私ですが、大雨のせいでゆっくり歩くしかなかったのです。ある瞬間「もう無理!」と思った私は、靴を脱いで裸足で歩き始めました。コンクリートの温もりとつま先に降り注ぐ冷たい雨を感じながら慎重に歩いていたところ、雨が弱まりました。

そのとき、なぜか「走らなきゃ!」と思ったのです。私は、一時的に人がいなくなった通りを、裸足のままで駆け出しました。約束のバーに着いたころには全身びしょ濡れだったので、婚約者はきっと不思議に思ったことでしょう。

その後、コネチカット州の森でトレイルランニングをしたときに裸足で走ってみました。以降、やめられなくなって現在に至ります。

裸足で走る理由

ベアフット・ランニングは、この10年で非常に人気が高まりました。腱炎やその他の怪我に悩むランナーや、単純に強さや効率を高めたいランナーが、裸足で走るメリットに気づき始めたのです。常に裸足で走る人もいますが、トレーニングの一環として部分的に裸足で走っている人もたくさんいます。

ベアフット・ランニングが足や身体にどれほどいいかは、いろいろなところで議論されています。最低限の靴または裸足で走るのは慢性傷害にいいとする研究結果もありますが、実験の規模が小さすぎる、あるいは期間が短すぎるという批判があるのも事実です。

British Journal of Sports Medicineに掲載された論文によると、ベアフット・ランニングの影響はまだ解明されていないようです。

長期的な前向き研究はまだ行なわれておらず、ベアフット・ランニングと怪我あるいはパフォーマンスの関係は、まだ弱く不確かなものです。

スニーカーは足への衝撃を吸収してくれるので、より速くより長く走れると考える人がいる一方で、靴、とりわけスニーカーは筋骨格によくないという人もいます。ワシントンDCの足病医Stephen Pribut氏はRunner’s Worldの取材にこう答えています。

一日中靴を履いていると、足の筋肉が衰える可能性があります。

ベアフット・ランニングの賛同者は、人間は裸足、または薄底のモカシンでさまざまな地形(硬くて平らなツンドラを含む)を長距離走れるように進化してきたため、スニーカーは怪我のもとだと主張しています。

裸足または「ベアフット・ランニング」用スニーカーで走ると、自然に足の前部を使って走ることになります。人間にとってこのような走り方が自然であるにもかかわらず、多くの人が靴を履くことで忘れてしまっているという事実が、子どもを対象にした研究で明らかになっています。

また、ハーバード大学の研究によると、走るときにかかとから着地すると、高周波の力が身体と骨に伝わり怪我につながる可能性があります。一方、つま先から着地すると、低周波の力が筋肉に伝わるため、筋肉が襲撃を吸収してくれます。裸足のときにかかとで走ろうとすると違和感を感じると思います。

ほかにも、裸足で走るとストライドや走り方を変える心配がないというメリットがあります。2017年4月にInternational Journal of Exercise Scienceに掲載された論文によると、経験豊富なランナーもそうでないランナーも、裸足で走ることで自分にとっていちばん効率的なストライドを見つけられたそうです。

さあ、始めよう

新しいことを始めるには、まずは入りやすい方法から。最初は「ベアフット・ランニング」用スニーカーがオススメです。地面との間にパッドがあまりないので、通常のスニーカーとの違いを感じることができるでしょう。

裸足で走る感覚を得たなら、芝生の上大きな駐車場波打ち際の濡れた砂浜など、あなたにとってやりやすい場所で、裸足で走ってみてください。足が慣れるまでは、1回約20分を週に2回くらいのペースがいいでしょう。続けているうちに足の裏の皮膚が硬くなっていきます。

あるいは、通常のランニングを4つのパートに分け、その3番目または4番目を、スニーカーを手に持って裸足で走ってみてください。自信がついたら、森の道や道路などで試してみましょう。

いざというときに備えて、スニーカーかサンダルを持つのを忘れずに。同じルートで何度か練習を繰り返すことで、あなた自身もあなたの足もその場所に慣れ、裸足で走ることに順応できるでしょう。

まったく新しい感覚の世界

裸足で走ることのメリットは、強さバランス敏捷性がアップすることだけではありません。自分の身体や周囲の世界に対する認識が、大きく広がるのです。

まず、自分の足が、地形の小さな変化に勝手に反応するようになるのを実感するでしょう。あるいは、小さな障害物を避けるのにどれだけ敏捷でなければならないかを知り、驚くかもしれません。自分の身体の声に耳を澄ませてください。

走りながら足を着地させるとき、どこに着けば気持ちがいいのか? 踵の感覚は? つま先は何をしている?(スニーカーを履いていると、つま先でバランスを取ったり地形と駆け引きしたりするチャンスがありません。つま先が自分の仕事を思い出すまで、少し時間がかかるでしょう)。

あなた自身も、足から感じる地面の感触に気づくでしょう。特に、森や自然の中を走る場合、温度や湿り気の違いを感じられるはずです。

やがて、トレイルの日陰部分でつま先に感じる冷たい泥を押しつぶす感覚を予測できたり、道に落ちているほんの小さな石に足の甲を当てない方法を覚えたり、坂を登るときに足の親指で木の根をつかむ方法を見つけたりできるようになります。

私の場合、裸足で走ると足をクリエイティブに使えるようになります。跳ねたり、ストライドを頻繁に変えたり、ふくらはぎやお尻をうまく使って走れるようになったり。とにかく、足を着地させるのに適した場所を見つけることに集中しています。

タコは友だち

これまで、足の治療にかかったことが10回ほどあります。そのたびに足の裏を削られそうになりますが、私はそれが耐えられません。くすぐったくて嫌なだけではなく、足の裏が硬いことの重要性を身をもって知っているからです。

裸足で歩いたり走ったりするうちに、足の裏の膨らんだ部分の大半が、薄いながらも硬い皮膚に覆われるようになりました。これが、自らの身体で作られた、天然の保護になっています。

これって素晴らしいことではないでしょうか(硬い部分を落としてしまわなければ、軽くこするのは構いません)。

安全第一

ベアフット・ランニングは次第に楽になってきますが、とてものめり込みやすく、集中力を必要とします。とにかく、足を着く場所にかなりの注意を払わなければならないからです。

裸足に慣れてしまうと、スニーカーで走るのが「麻痺」したような感覚を覚えると同時に、あまりおもしろく感じられません。とはいえ、あまり気分が乗らないこともあります。そんなときは何も考えずに走りたいので、最低限のランニングシューズを履くことにしています。

当然ですが、裸足で走れば、靴を履いて走るよりも、足に切り傷を作る危険は高まります。同様に、水着で自転車に乗れば、綿の服を着て乗るよりも転んだときに深刻な傷を負う可能性は高まります。

でも、水着で自転車に乗る気分は最高で、そうする人は皆、自分でリスクを負っています。私はこれまでに、ベアフット・ランニング中に足を切ったり、虫に刺されたりかまれたりしたことはありません。


ベアフット・ランニングは、誰にでも向いているわけではありません。でも、それでいいと思います。興味はあるけどやっぱり不安という人は、最低限のスニーカーを使えばよく似た感覚を味わえるでしょう。それでも、自分の身体や周囲の世界、さらには自分の過去とのつながりを本当に感じたければ、完全に裸足で走るのがオススメです。


Image: Elena Scotti/GMG via Shutterstock

Source: Science Direct, BMJ Journals, Runner’s World, NCBI, Harvard University, International Journal of Exercise Science

Starre Julia Vartan - Lifehacker Vitals[原文

(訳:堀込泰三)

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